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4獲物
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侵入者の数は多く、至る所から銃撃の音がする。それと肉のひしゃげていく音。
私は船長のデバイスの位置を探知する。どうやら国の中にいるようだ。デバイスの音声通話をオンにした。
「船長、大丈夫ですか?」
『そっちこそ大丈夫か!』
デバイスを通じて向こうからくぐもった銃撃の音が聞こえる。向こうからの音声は切られた。
私は船の様子を把握する。侵略は駆動機械によって表層で留まるだろう。技術力が全然違う。常に技術進化をせねばこの惑星で動き続けることなどできない。
常に隙間から入り込む砂粒、温度差の激しい昼夜、四季もなく永遠に夏が続く。水は貴重で雨を察知する能力は生き残るのに必須だった。
そんな過酷な環境で生き抜いてきた私と、豊かなオアシスに保護されて数に恵まれて育ってきたものたちではくぐった修羅場が違うのだ。
どうせ彼らは金属資源を求めてこの船を解体するつもりだ。そういう奴らは多かった。この船も初めはもっと小さかった。
向かい来る敵から奪い吸収してここまで大きくなった。
エンジンが稼働するまで1時間ある。大きくなればそれだけ必要な動力も変わる。
私は小型動力装置を背負い、国に乗り込んだ。
銃撃戦の中を駆け抜け、船から飛び降りる。飛ぶようにして軍隊の上を跳躍すると、彼らは唖然としていた。
すぐにはっとして私に銃を向ける。
デバイスの位置情報を頼りに見ず知らずの国の中を走っていく。人間よりも早く、どんな生き物よりも強靭に、全ての障害物を飛び越え破壊し進路を作る。
大きな建物の地下に船長はいた。鉄格子の向こうに見えるその姿はズタボロだった。
どうやら数日、食べ物を与えられなかったようだった。拷問もされたのだろう。酷い怪我はないが精神も肉体も疲れ切っている。
「大丈夫ですか?」
「お前、どうやってここに」
それでも気丈に振舞い、冷静さを失わないその姿はさすが異世界からの渡航者というべきだろう。
「どうやっても何もありませんよ」
鉄格子を腕力で捻じ曲げた。いとも容易く人が通過できるほどの隙間が作られる。
船長の身に着けている腕輪を見る。どうやら壊れていはいないようだ。それはそうだ、価値を知らなければただの不格好な鉄資源。船を解体し、逃げ場を失った所を奪えばそれだけで済む話だ。
「もう遊びの時間は終わりってだけの話です」
私は船長と共に脱出した。
腕輪をむしり取るように彼から奪い取った。移動しつつ背負った小型動力を繋ぎ直す。手で腕輪を支えながら、私の手の数か所からさらに小さなアームが飛び出してくる。
それを見て船長は目を丸くしていた。
裸になっても金属探知機が鳴り響いていたのだから察するくらいはしていると思った。その鈍感さも渡航者としては必要な能力なのかもしれない。
アームは器用に小型動力と腕輪を修復していく。
「お前、直せないって言ってたじゃんか!」
「正確には直す気が無いので直せませんよ」
「はぁ~~??」
「私と船は同一の人工知能により稼働しているんですが、やはり一人で人形遊びするのと他人がいるのでは面白さが違うんです。それに、」
私は直った腕輪を船長に投げ渡した。
彼は銃弾の包囲網を抜けられない。それを察するくらいの能力はあるようだ。だから今、腕輪が修理されたのだという事も。
「私を作ったのは異世界からの渡航者です。こういう場合に備えて、この惑星を彷徨うように作られました」
「こういう事態って?」
「異世界からの渡航者が漂流していた時に、救助できるように、です。彼は優秀でした。あなたと違って」
船長は腕輪を起動する。建物から脱出できるころにはきっと彼はもういないだろう。世界渡航装置が起動するまでに必要なのはほんの数分だ。建物もあわただしく、銃を装備した兵士が走り回っている。
もちろん彼らの狩りの獲物は私たちだ。
私は船長のデバイスの位置を探知する。どうやら国の中にいるようだ。デバイスの音声通話をオンにした。
「船長、大丈夫ですか?」
『そっちこそ大丈夫か!』
デバイスを通じて向こうからくぐもった銃撃の音が聞こえる。向こうからの音声は切られた。
私は船の様子を把握する。侵略は駆動機械によって表層で留まるだろう。技術力が全然違う。常に技術進化をせねばこの惑星で動き続けることなどできない。
常に隙間から入り込む砂粒、温度差の激しい昼夜、四季もなく永遠に夏が続く。水は貴重で雨を察知する能力は生き残るのに必須だった。
そんな過酷な環境で生き抜いてきた私と、豊かなオアシスに保護されて数に恵まれて育ってきたものたちではくぐった修羅場が違うのだ。
どうせ彼らは金属資源を求めてこの船を解体するつもりだ。そういう奴らは多かった。この船も初めはもっと小さかった。
向かい来る敵から奪い吸収してここまで大きくなった。
エンジンが稼働するまで1時間ある。大きくなればそれだけ必要な動力も変わる。
私は小型動力装置を背負い、国に乗り込んだ。
銃撃戦の中を駆け抜け、船から飛び降りる。飛ぶようにして軍隊の上を跳躍すると、彼らは唖然としていた。
すぐにはっとして私に銃を向ける。
デバイスの位置情報を頼りに見ず知らずの国の中を走っていく。人間よりも早く、どんな生き物よりも強靭に、全ての障害物を飛び越え破壊し進路を作る。
大きな建物の地下に船長はいた。鉄格子の向こうに見えるその姿はズタボロだった。
どうやら数日、食べ物を与えられなかったようだった。拷問もされたのだろう。酷い怪我はないが精神も肉体も疲れ切っている。
「大丈夫ですか?」
「お前、どうやってここに」
それでも気丈に振舞い、冷静さを失わないその姿はさすが異世界からの渡航者というべきだろう。
「どうやっても何もありませんよ」
鉄格子を腕力で捻じ曲げた。いとも容易く人が通過できるほどの隙間が作られる。
船長の身に着けている腕輪を見る。どうやら壊れていはいないようだ。それはそうだ、価値を知らなければただの不格好な鉄資源。船を解体し、逃げ場を失った所を奪えばそれだけで済む話だ。
「もう遊びの時間は終わりってだけの話です」
私は船長と共に脱出した。
腕輪をむしり取るように彼から奪い取った。移動しつつ背負った小型動力を繋ぎ直す。手で腕輪を支えながら、私の手の数か所からさらに小さなアームが飛び出してくる。
それを見て船長は目を丸くしていた。
裸になっても金属探知機が鳴り響いていたのだから察するくらいはしていると思った。その鈍感さも渡航者としては必要な能力なのかもしれない。
アームは器用に小型動力と腕輪を修復していく。
「お前、直せないって言ってたじゃんか!」
「正確には直す気が無いので直せませんよ」
「はぁ~~??」
「私と船は同一の人工知能により稼働しているんですが、やはり一人で人形遊びするのと他人がいるのでは面白さが違うんです。それに、」
私は直った腕輪を船長に投げ渡した。
彼は銃弾の包囲網を抜けられない。それを察するくらいの能力はあるようだ。だから今、腕輪が修理されたのだという事も。
「私を作ったのは異世界からの渡航者です。こういう場合に備えて、この惑星を彷徨うように作られました」
「こういう事態って?」
「異世界からの渡航者が漂流していた時に、救助できるように、です。彼は優秀でした。あなたと違って」
船長は腕輪を起動する。建物から脱出できるころにはきっと彼はもういないだろう。世界渡航装置が起動するまでに必要なのはほんの数分だ。建物もあわただしく、銃を装備した兵士が走り回っている。
もちろん彼らの狩りの獲物は私たちだ。
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