[完結]砂塵の惑星

夏伐

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5探し物

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 その数分をどこかでやり過ごせば良い。私たちは手近な倉庫に隠れた。私は銃の弾道を予測して安全地帯に移動できるだけの反射と神経がある。

 人の気配のない部屋に入り込み、静かに兵士をやり過ごす。

「お前、本当に機械なの?」

「そうですよ」

「でもさ、」船長は私の腕を掴んでふにふにと肉をつまむ。「柔らかいじゃん」

「表面は人工的に作られた肉ですよ。交換の為に、船には肉の培養装置もありますよ。それに疑似的に血管もありますし。私は人間と変わりはないです」

 食用も兼ねていることは言わない。こういう所、彼らは繊細で気にするからだ。
 
「前にこの世界の人間は皆くるってるって言ったの覚えてるか?」

「覚えてますよ」

 もうすぐ彼は消えてしまう。

「――お前が一番くるってるのかもな。ロボのくせに。俺が帰る方法探してたの知ってて黙ってたんだろ? 性格もわりぃ」

「でも良いくるい方でしょう?」

 私が笑うと彼も笑う。そうして、瞬きの間に姿を消した。まるで初めからそこにいなかったかのように。

 私はおままごとが終わったことを理解して、船の内部で眠っていた駆動機械の目を覚まさせる。普段整備しているものとは全く違う。

 殺すための機械だ。

 はじめ、異世界からやってきた博士、私と壊れた車しかなかった。廃墟に近い滅んだ国で胎児のようだった私を成長させ完成させた。

 その時の私は他の工機と変わらなかった。

 何年も何十年も一緒に過ごすうちに、博士の人恋しさからか、私の姿はどんどんと彼らに近づいていった。

 動力が完成する前から博士は私の行く末を気にするようになった。壊れた車は彼が世界を旅していた相棒だという。それを船車に生まれ変わらせ、ソーラー動力を組み込み、整備さえすれば永久に動けるようになった。

 博士が帰る前、消える前に私に言った。

「またきっと俺の『次』が送られる。そいつが困ってたら助けてやってくれ」

「ハイ!」

 私はこの世界を異世界人を探して旅をした。何十年もさまよい、いくつもの国を渡り歩き、略奪者から逃げ延びた。
 資源を回収し、改装を繰り返した。私と船を繋ぎ、私たちは一つになった。

 そうして私たちを破壊しようとする集団や国を滅ぼして、この世界を生き抜いてきた。

 この国もいつしか私の一部になる。私はいつ来るか分からない異世界人の為にこの世界で彷徨わなくてはならない。

 その為に進化し続ける。

 この国が私から資源をはぎ取ろうとするのと同じ理由だ。進化し続けなければ滅びてしまう。
 私はまた探し続けなくてはいけない。お互い協力することは出来ない。

 この世界の人間は私の探しているものではないのだから。
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みんなの感想(1件)

ムスタングス先生

面白かったです!!

2021.09.25 夏伐

ありがとうございます! そういっていただけるととても励みになります!!!
とても嬉しいです!

解除

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