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2 因縁があるようです
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私たちはもう面倒に巻き込まれないように、帰りを急いだ。
「エミィ、君さ」
「何ですか?」
「普段は無表情だから目立たないけど、笑顔が怖すぎるんじゃない?」
「人は美しすぎるものを見ると恐怖を覚えますからね。エリックこそ、もう少し笑顔の練習をした方がいいんじゃないかしら?」
「まだ引きつってる?」
私の言葉に、エリックは確かめるように頬へ手をのばした。
「なぜあれで、みんながあなたに好感を持つのか分からないわ」
「そりゃ、跡取りだし、しかも優秀だし、顔も良いから?」
「よく自分で言えるわね」
「そりゃ前と比べての話だから」
会話の方向に少し冷や汗を流したところへ、待たせていた馬車を見つけた。
御者が私たちを見つけ扉を開けてくれる。
周囲にマリアベルやその取り巻きがいないことを確認してから急いで馬車に乗り込んだ。
私たちは焦りながら、ばたばたと馬車に乗り込んだのだが、はた目からはきっとエスコートされている優雅な令嬢に見えるだろう。私もエリックも勉強は頑張ったのよ。
馬車に乗り込むと、私はすぐに話を切り出した。
「それで、あんな子があなたの前世の妻なんですか?」
「何回も言っているように違うって」
マリアベルが言う前世の話は、あながち嘘というわけでもないようだ。
エリックにも生まれる前の記憶があるらしい。
幼い頃にその記憶が蘇ってから、無表情だった彼はぎこちなくても笑うようになっていた。この秘密は私と彼しか知らない。
「マリアベルに、前世の話をしたことは?」
「ないよ」
私は少し怒ってしまう。窓の外は既に貴族街の風景が流れている。前世の話は、他の人に聞かれるところではしたくない。屋敷に着く前に話をまとめておきたい。
「でも知り合いなんでしょう?」
「――そんなんじゃない!」
「知らないわけでもないんでしょう? 見てれば分かります」
私の言葉に彼は言葉に詰まったように、悲しそうな顔をした。それでも他の人には無表情に見えるんだろう。
マリアベルに話しかけられた時の彼の怯え方と一緒だ。
彼はマリアベルに恐怖を覚えている。
「前世でも、付きまとわれたんだ」
「そういう関係ではないんですね?」
「絶対に違う! あの頃は俺は子供だったし、彼女は母の同級生で既婚者だったし」
「……それは犯罪では?」
私の言葉にエリックは諦めたようにため息を吐いた。頭を抱えて、本当にショックを受けているようだ。
「子供の頃は、俺のことが心配なんだってみんな言ってたけど、大人になっても続いて……。平民のしかも男が、女に付きまとわれてるなんて言ったところで無駄だったんだよ。ごめん」
「何に対してのごめんなんですか?」
私はエリックの手を取った。彼は不思議そうに私を見上げる。
今は捨てられそうな子犬のような顔をしている。こんなことであなたを見捨てるわけ、ないじゃありませんか。
「今回も、また、全部ぶち壊しにされる……」
「今と昔で違うことがありますでしょう? 私は父と母に相談してみます。エリックも公爵さまに相談してくださいませ」
「信じてくれるかな?」
「信じるもなにもありませんわ」
前世うんぬんの話は置いておいて、仲睦まじい私たちの間を引き裂こうとしている事は事実だ。仮にも政略結婚である私たちの仲を。
「エミィ、君さ」
「何ですか?」
「普段は無表情だから目立たないけど、笑顔が怖すぎるんじゃない?」
「人は美しすぎるものを見ると恐怖を覚えますからね。エリックこそ、もう少し笑顔の練習をした方がいいんじゃないかしら?」
「まだ引きつってる?」
私の言葉に、エリックは確かめるように頬へ手をのばした。
「なぜあれで、みんながあなたに好感を持つのか分からないわ」
「そりゃ、跡取りだし、しかも優秀だし、顔も良いから?」
「よく自分で言えるわね」
「そりゃ前と比べての話だから」
会話の方向に少し冷や汗を流したところへ、待たせていた馬車を見つけた。
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馬車に乗り込むと、私はすぐに話を切り出した。
「それで、あんな子があなたの前世の妻なんですか?」
「何回も言っているように違うって」
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エリックにも生まれる前の記憶があるらしい。
幼い頃にその記憶が蘇ってから、無表情だった彼はぎこちなくても笑うようになっていた。この秘密は私と彼しか知らない。
「マリアベルに、前世の話をしたことは?」
「ないよ」
私は少し怒ってしまう。窓の外は既に貴族街の風景が流れている。前世の話は、他の人に聞かれるところではしたくない。屋敷に着く前に話をまとめておきたい。
「でも知り合いなんでしょう?」
「――そんなんじゃない!」
「知らないわけでもないんでしょう? 見てれば分かります」
私の言葉に彼は言葉に詰まったように、悲しそうな顔をした。それでも他の人には無表情に見えるんだろう。
マリアベルに話しかけられた時の彼の怯え方と一緒だ。
彼はマリアベルに恐怖を覚えている。
「前世でも、付きまとわれたんだ」
「そういう関係ではないんですね?」
「絶対に違う! あの頃は俺は子供だったし、彼女は母の同級生で既婚者だったし」
「……それは犯罪では?」
私の言葉にエリックは諦めたようにため息を吐いた。頭を抱えて、本当にショックを受けているようだ。
「子供の頃は、俺のことが心配なんだってみんな言ってたけど、大人になっても続いて……。平民のしかも男が、女に付きまとわれてるなんて言ったところで無駄だったんだよ。ごめん」
「何に対してのごめんなんですか?」
私はエリックの手を取った。彼は不思議そうに私を見上げる。
今は捨てられそうな子犬のような顔をしている。こんなことであなたを見捨てるわけ、ないじゃありませんか。
「今回も、また、全部ぶち壊しにされる……」
「今と昔で違うことがありますでしょう? 私は父と母に相談してみます。エリックも公爵さまに相談してくださいませ」
「信じてくれるかな?」
「信じるもなにもありませんわ」
前世うんぬんの話は置いておいて、仲睦まじい私たちの間を引き裂こうとしている事は事実だ。仮にも政略結婚である私たちの仲を。
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