あなたは嘘つき、それでも愛します!(改善版)

マイン

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本篇

小学校で起きたある事故。

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小学3年生の冬。俺が通っている学校ではその時期にバース性診断がある。その時期に近づくと学校や家では

「あいつは成績がよくて優しいから‪α‬に違いない」
「この子は何やっても凡人だからβなのかしら...」
「弱虫でダメダメだからΩだ!」

という話で持ちきりになる。もちろん俺もその話を友達とおふざけ半分で話していた。診察が終わり、診察結果を見たとき俺は絶句してしまった。

桜井さくらい 悠人はると 10歳 Ωと判明致しました。』

そう書かれていたのだ。周りの友達は‪α‬やβ。クラスにΩは俺だけだったのだ。Ωというだけで一部の‪α‬は俺を避けるように生活するようになった。それもそうだ。もし俺がヒートを起こせば面倒事に巻き込まれるのは目に見えている。でもただ1人を除いて。
清水しみず 颯真ふうま(‪α‬)。彼だけが今まで通り俺に接してくれた。家が近く学校外でもよく遊んでいた仲だ。

「バース性がなんだろうと俺らは親友だろ!」
「α‬がなんだ!Ωがなんだ!そんなので俺らの友情は引き裂けないぜ!」

そう言ってくれた楓真。すごく嬉しかった。そんな彼が好きだった。この時間がずっと続けばどれほど幸せななんだろうと思っていた。
でも人生はそんなに甘くなかった。
小学4年生に進学した頃に事故は起こった。その日は少し熱っぽいかなと思いつつ学校へ行った時のこと。いつも通り昼休み楓真と遊んでいたんだ。その時、

「なんだか、悠人からすごくいい匂いがする。」
「え?」
「なんでこんなにいい匂いするんだ?もっと近くで嗅がせて」

腕を掴まれた時初めて自分の体が敏感になり、火照っていることがわかった。最初はどういうことか分からなかったが

「うなじは守らなきゃ」

これだけは本能で思った。その時のことは今でもはっきり覚えている。うなじを両手で守りながら見た楓真の顔はΩの発情にのせられた‪α‬そのものだった。ギラついた目、荒い息遣い、力強い手。全てが怖かった。

「い、痛いよ楓真!噛まないで!やめて!だ、誰か助けて!」
「分かってる。でもどうしても抑えられないんだよ。受け入れて?俺たち親友だろ?」
「い、嫌だ!離して!あ、そんなところ触らないで...」
「...ここにち○こ挿れたい。いいよね?悠人。」

楓真の指が俺のおしりの穴に入ってくる。感じたこともない感覚。怖かった。ただただ怖かった。
その時騒ぎを聞き付けた先生が止めに入ってくれ未遂に終わった。その後お互いの両親が呼ばれ話し合いが設けられた。

「1歩間違えればお宅の息子さんの人生をめちゃくちゃにするところだった。ほんとに申し訳ない。」
「いや、ご近所で仲がいいから大丈夫だと何も言わなかったこちらの責任でもあります。なので頭をあげてください。」
「本当に申し訳ない。ほら楓真も謝りなさい。」

楓真は黙っていた。俺も怖くて何も言えなかった。手が痛い。何回も噛まれたんだ。包帯でぐるぐる巻きになっていた。おしりに入れられた楓真の指の感覚が無くならない。

「俺は悪くない...」

何か呟いた。そう思い顔を上げ楓真の顔を見るとこちらを睨んでいた。

「俺は悪くない!全部悠人のせいだ!悠人が誘惑しなかったらこんなことにならなかった!所詮俺は‪α‬で悠人はΩなんだよ!こんなことになるなら悠人と友達になるんじゃなかった!」

俺は何も言い返さなかった。いや、言い返せなかった。ただショックで言葉が出てこなかった。「友達になるんじゃなかった」この言葉だけがずっと耳に残った。
その後楓真一家はどこかへ引っ越して行った。この手の話はすぐ広まっていく。
ご近所では

「小学校で襲われた可哀想な子。」
「うちの子も誘われたらどうしましょう。」

学校では

「あいつのせいで楓真は転校した!」
「あいつと仲良くすると悪い事が起こる」

そんなふうに言われた。両親や先生は色々とサポートしてくれたが孤立していることが変わることは無かった。
そんな日々が続いていたある日、いつものように1人で過ごせるところを探していると1人物陰で静かにに泣いている男の子がいた。

「なんでそんなところで泣いてるの?」

なんだかほっとけなくて声をかけてしまった。

「あ、えっと...ブワッ」
「え、ちょどうしたの!?」

もっと泣いてしまった。俺はオドオドしながら彼の背中をさすった。
それから数分後やっと落ち着いてきた彼に水を飲ませてから話し始めた。彼は柳瀬やなせ 優羽ゆうというらしい。隣のクラスの男の子だった。バース性については...何も聞かなかった。

「ほんとにすみません。なんとお詫びすれば...」
「気にしないで!それにしても体の中の水分全部出る勢いで泣いてたけどどうしたの?」
「実は家でも学校でもバース性について色々と言われててそれが辛くて。」
「そうだったんだ。」
「はい。家族はみんな優秀なのにお前はって...」

話の内容的に彼もΩなのだろうか。そう思いたい。その後も沢山話して仲良くなり今後もここで会おうということになった。
俺にとって学校での唯一の楽しみとなった。孤立していることや楓真との1件を忘れられるぐらいには...
それから半年後、優羽が例の場所に来ない日が何日か続いた。俺といるのが嫌になったのではないかそんなことを考えてしまい始めた頃。優羽があの場所にいた。

「優羽!どうしたんだよ!ここ数日学校にも来てなかったみたいだし、どこか体調悪いのか?」

優羽はすぐには答えなかった。しばらくして申し訳なさそうな顔で

「はるくんごめん。僕転校することになったんだ...来れてなかったのも転校の手続きとかで...そのせいでこの街から遠いところに引っ越すことになって...」

他にもなにか話してた気はする。でも何も話が入ってこなかった。転校?また大切な友達がいなくなるの...?嫌だ。せっかくまた楽しい時間が過ごせるって思ってたのに...もう友達作らない方がいいのかな。嫌だ。嫌だ。嫌だ。

「はるくん!」

優羽の聞いたこともないほどの大きな声で俺はハッとした。

「大丈夫?顔色悪いけど。確かに急に言われてもびっくりするだろうし混乱するだろうけど...」

すごく真っ直ぐな目で俺の目を見つめて優羽はこう言った。

「でも安心して!絶対また会いに来る!いつになるかは分からないけど絶対に!はるくんを1人になんてしない!約束する!だって僕たち友達でしょ!」

その言葉を聞いて俺は泣きそうになった。「友達」その言葉が俺の中で一番嬉しい言葉だった。

「あ、でも嫌だったら全然...」
「ううん、嫌なんかじゃない。約束だよ。絶対会いに来てね」
「うん!約束!」

それからしばらくして優羽は転校して行った。どこへ行ったかは聞いていない。また会いに来てくれるって約束したから。
それからまた孤立した生活が始まったが特に何も問題もなく小学校を卒業し、中学は親の勧めでΩ専用学校に通うことになった。
そこで友紀ゆきとも出会い、楽しい学校生活を送れていた。
そして高校はこのままは嫌だというのと友紀が一緒ということで共学に通うことになった。

「おーい!悠人!早くしないと入学早々遅刻するぞ!」
「分かってるよ!じゃあ母さん、父さん行ってきます!」
「えぇ、行ってらっしゃい」

3年ぶりの共学...緊張はするけどすごく楽しみ!
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