59 / 89
58 【秋道視点】
しおりを挟む
家を出てからどれくらい経ったろう。
たしかこの辺に・・・あ、あった!
主となる成分が入っている薬草を見つけた私はそれを採って懐に入れた。かなり走ったので流石に足が痛かったがこうしている間にも身体に毒は周ってしまう。出来るだけ急がねば。
その後他の薬草も採りながら足を止める事なくなんとか汗だくで屋敷まで辿り着いた。
『帰ってたぞ!』
ゆきが心配そうに駆け寄ってきた。
『薬草は?』
『なんとか見つかった!あれから具合はどうだ?』
『冷やしてはいたけどずっと高熱が下がらないです。あと紫の斑点がみるみる身体中に広がってきていて・・・とりあえず今は眠っています。』
遠目に見る野武士はかなり顔色が悪く見えた。
『そうか・・・まずいな。急いで薬を作ろう!』
子供の頃村長に習った解毒薬の作り方を必死になって思い出した。分量を間違えば効能が弱くなってしまう。慎重にすり潰さねば・・・。
『よし、これでいいだろう。身体を起こしてくれ。』
そう伝え他の野武士達は心配そうに身体を起こし支え始めた。
『眠っていた所悪いが解毒薬だ。味は不味いがよく効く。頑張って飲み干すのだ。』
『あ、ああ・・・。』
苦しそうな顔でゆっくり、少しずつ薬を飲み始めた野武士をゆきも含めそこにいる全員で応援した。
『よし、全部飲んだな。あとは薬が効くのを待とう。ゆっくり休め。熱が下がってくるまでは引き続き手ぬぐいで身体を冷やそう!』
『わかりました!』
それからちゃんと効いてくれる事を願いながらゆきと二人野武士を見守る事になった。
『秋道さんも疲れたでしょう。お風呂入って休んでもいいですよ?』
『いや、大丈夫だ。少なくとも熱が下がるのを見届けるまでは・・・。』
まあ野武士も心配だが一方ではゆきと二人でいたかったという事情もある。
『そうですか・・・秋道さんは本当に凄いですよね。強いし、こうやって薬草の知識もあるし、みんなから頼られてなんでも出来るじゃないですか。』
『別にそんな事はないが・・・。』
ゆきに褒められた私はたぶん謙遜しながら顔が崩れていたんじゃないだろうか。素直に嬉しかった。
『それに引き替え私なんて・・・なんの役にも立たなくて。この世界に来てからは特にいつも誰かに助けてもらってばかり。こんなになんにも出来ない自分なんて・・・時継様のそばにはいていいわけ無いですよね・・・。』
『・・・・・。』
ゆきから時継様の名前を聞いて本音を言えばショックだった。だがゆきの中に少しでも迷いがあるのであればこれはチャンスかもしれない。そうだ、山道を走りながらずっと考えていたではないか。私は真っ直ぐにゆきを見つめやっとの思いで言葉を発した。
『好きだ。』
『・・・・・え?』
ゆきはかなり驚いたようで目を丸くしていた。
『私は・・・ゆきが好きだ。いつか言おうとしていたんだが・・・まさか時継様に先を越されるとはな。』
ゆきに想いを伝えるという事はずっと仕えてきた時継様に対しての裏切りににも似た行為だ。やっと言えたとはいえ一方でその想いに苦笑いした。
『ゆき、そんな事思わなくてもよい。知らない場所に来たのなら色々わからなくて当然だろう。それについてはこれから覚えていけばいいじゃないか。少なくとも私や時継様はゆきの笑顔に毎回救われているぞ。』
たしかこの辺に・・・あ、あった!
主となる成分が入っている薬草を見つけた私はそれを採って懐に入れた。かなり走ったので流石に足が痛かったがこうしている間にも身体に毒は周ってしまう。出来るだけ急がねば。
その後他の薬草も採りながら足を止める事なくなんとか汗だくで屋敷まで辿り着いた。
『帰ってたぞ!』
ゆきが心配そうに駆け寄ってきた。
『薬草は?』
『なんとか見つかった!あれから具合はどうだ?』
『冷やしてはいたけどずっと高熱が下がらないです。あと紫の斑点がみるみる身体中に広がってきていて・・・とりあえず今は眠っています。』
遠目に見る野武士はかなり顔色が悪く見えた。
『そうか・・・まずいな。急いで薬を作ろう!』
子供の頃村長に習った解毒薬の作り方を必死になって思い出した。分量を間違えば効能が弱くなってしまう。慎重にすり潰さねば・・・。
『よし、これでいいだろう。身体を起こしてくれ。』
そう伝え他の野武士達は心配そうに身体を起こし支え始めた。
『眠っていた所悪いが解毒薬だ。味は不味いがよく効く。頑張って飲み干すのだ。』
『あ、ああ・・・。』
苦しそうな顔でゆっくり、少しずつ薬を飲み始めた野武士をゆきも含めそこにいる全員で応援した。
『よし、全部飲んだな。あとは薬が効くのを待とう。ゆっくり休め。熱が下がってくるまでは引き続き手ぬぐいで身体を冷やそう!』
『わかりました!』
それからちゃんと効いてくれる事を願いながらゆきと二人野武士を見守る事になった。
『秋道さんも疲れたでしょう。お風呂入って休んでもいいですよ?』
『いや、大丈夫だ。少なくとも熱が下がるのを見届けるまでは・・・。』
まあ野武士も心配だが一方ではゆきと二人でいたかったという事情もある。
『そうですか・・・秋道さんは本当に凄いですよね。強いし、こうやって薬草の知識もあるし、みんなから頼られてなんでも出来るじゃないですか。』
『別にそんな事はないが・・・。』
ゆきに褒められた私はたぶん謙遜しながら顔が崩れていたんじゃないだろうか。素直に嬉しかった。
『それに引き替え私なんて・・・なんの役にも立たなくて。この世界に来てからは特にいつも誰かに助けてもらってばかり。こんなになんにも出来ない自分なんて・・・時継様のそばにはいていいわけ無いですよね・・・。』
『・・・・・。』
ゆきから時継様の名前を聞いて本音を言えばショックだった。だがゆきの中に少しでも迷いがあるのであればこれはチャンスかもしれない。そうだ、山道を走りながらずっと考えていたではないか。私は真っ直ぐにゆきを見つめやっとの思いで言葉を発した。
『好きだ。』
『・・・・・え?』
ゆきはかなり驚いたようで目を丸くしていた。
『私は・・・ゆきが好きだ。いつか言おうとしていたんだが・・・まさか時継様に先を越されるとはな。』
ゆきに想いを伝えるという事はずっと仕えてきた時継様に対しての裏切りににも似た行為だ。やっと言えたとはいえ一方でその想いに苦笑いした。
『ゆき、そんな事思わなくてもよい。知らない場所に来たのなら色々わからなくて当然だろう。それについてはこれから覚えていけばいいじゃないか。少なくとも私や時継様はゆきの笑顔に毎回救われているぞ。』
0
あなたにおすすめの小説
おばさんは、ひっそり暮らしたい
蝋梅
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。
たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。
さて、生きるには働かなければならない。
「仕方がない、ご飯屋にするか」
栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。
「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」
意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。
騎士サイド追加しました。2023/05/23
番外編を不定期ですが始めました。
異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?
来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。
そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった!
亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。
「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」
「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」
おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。
現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。
お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、
美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!
辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました
腐ったバナナ
恋愛
異世界に転移した元会社員のミサキは、現代の調味料と調理技術というチート能力を駆使し、辺境の森で誰にも邪魔されない静かなスローライフを送ることを目指していた。
しかし、彼女の作る絶品の料理の香りは、辺境を守る冷酷な「鉄血」騎士団長ガイウスを引き寄せてしまった。
冷酷騎士団長に『出来損ない』と捨てられましたが、どうやら私の力が覚醒したらしく、ヤンデレ化した彼に執着されています
放浪人
恋愛
平凡な毎日を送っていたはずの私、橘 莉奈(たちばな りな)は、突然、眩い光に包まれ異世界『エルドラ』に召喚されてしまう。 伝説の『聖女』として迎えられたのも束の間、魔力測定で「魔力ゼロ」と判定され、『出来損ない』の烙印を押されてしまった。
希望を失った私を引き取ったのは、氷のように冷たい瞳を持つ、この国の騎士団長カイン・アシュフォード。 「お前はここで、俺の命令だけを聞いていればいい」 物置のような部屋に押し込められ、彼から向けられるのは侮蔑の視線と冷たい言葉だけ。
元の世界に帰ることもできず、絶望的な日々が続くと思っていた。
──しかし、ある出来事をきっかけに、私の中に眠っていた〝本当の力〟が目覚め始める。 その瞬間から、私を見るカインの目が変わり始めた。
「リリア、お前は俺だけのものだ」 「どこへも行かせない。永遠に、俺のそばにいろ」
かつての冷酷さはどこへやら、彼は私に異常なまでの執着を見せ、甘く、そして狂気的な愛情で私を束縛しようとしてくる。 これは本当に愛情なの? それともただの執着?
優しい第二王子エリアスは私に手を差し伸べてくれるけれど、カインの嫉妬の炎は燃え盛るばかり。 逃げ場のない城の中、歪んだ愛の檻に、私は囚われていく──。
拾った年上侯爵が甘え上手すぎて、よしよししてたら婚約することになりました
星乃和花
恋愛
⭐︎火木土21:00更新ー本編8話・後日談8話⭐︎
王都の市場で花屋をしているリナは、ある朝――
路地裏で倒れている“美形の年上男性”を拾ってしまう。
熱で弱っているだけ……のはずが、彼はなぜか距離が近い。
「行かないで」「撫でて」「君がいると回復する」
甘えが上手すぎるうえに、褒め方までずるい。
よしよし看病してあげていたら、いつの間にか毎日市場に現れるようになり、
気づけば花屋は貴族の面会所(?)になっていて――
しかも彼の正体は、王都を支える侯爵家の当主だった!?
「君は国のために必要だ(※僕が倒れるから)」
年上当主の“甘え策略”に、花屋の心臓は今日ももたない。
ほのぼの王都日常コメディ×甘やかし捕獲ラブ、開幕です。
なりゆきで妻になった割に大事にされている……と思ったら溺愛されてた
たぬきち25番
恋愛
男爵家の三女イリスに転生した七海は、貴族の夜会で相手を見つけることができずに女官になった。
女官として認められ、夜会を仕切る部署に配属された。
そして今回、既婚者しか入れない夜会の責任者を任せられた。
夜会当日、伯爵家のリカルドがどうしても公爵に会う必要があるので夜会会場に入れてほしいと懇願された。
だが、会場に入るためには結婚をしている必要があり……?
※本当に申し訳ないです、感想の返信できないかもしれません……
※他サイト様にも掲載始めました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる