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十話
しおりを挟む「お、大きい……」
七日ほど馬車に揺られながら着いた帝都。
王都なんかとは比べ物にならないくらい大きい。二、三倍はあるんじゃないかな?
「一応、世界一の大国と言われていますからね」
帝都に近づき門をくぐる。
「わぁ……」
馬車の窓から外を見ると多くの屋台があった。
王都にあるものとは違ったものが売っていて新鮮な気持ちになる。
街並みも王都と比べると若干背の高い建物が多い。
それから少し馬車に揺られると宮廷についた。
「少し待ってくださいね」
アティスがそう言うと馬車から降りて私の方の扉を開けてくれる。
「ありがとうございます」
お礼を言って馬車から降り、宮廷の中へ向かう。
二人で扉をあけて宮廷の中へに入る。
すると、至る所から無数のナイフが飛来した。
え!? 何!?
そう思っているうちにも着々とナイフが迫ってくる。
迫るナイフにアティスは剣を抜きそれに対応する。
普通の人間から見れば剣を振り回しているようにしか見えないがアティスの剣は迫り来るナイフを的確に叩き落とす。
それから1分ほどで剣とナイフがぶつかっていた金属音は鳴り止んだ。
周りを見ると無数のナイフが地面に散乱している。
数千はあると思う。
ていうか、ここ宮廷だよね?
アティスって皇太子だよね?
何で宮廷に入った瞬間に無数のナイフが飛んでくるの?
私の頭が疑問でいっぱいになっていると、宮廷の先から声がした。
「ははははっ、見事だ我が息子よ。さすが次期皇帝だな、あれだけのナイフを使ったのに擦り傷すらつけることができないとは。
アティス。お前、やっぱり俺より強いんじゃないか?」
「父さん、危ないからいつもやめてくださいと言っているでしょう。
怪我でもしたらどうするんですか?」
父さん!?
この人がナイフ事件の犯人ですか!?
父さんってことはこの国の皇帝ですよね? いくら自分の息子が強くても常識ってものがあるでしょう。皇帝は常識というものを持ち合わせていないのでしょうか?
「お前が怪我なんてするわけないだろう。この帝国で最強と言っても問題ないほどのお前がな」
「僕の話はしていません。客人であるマリアが怪我をしたらどうするのかと言っているんですよ」
私のことを心配してくれるんですか!
少し、ときめきました。
……よくよく考えたら普通のことのような気がします。混乱していたようです。
「客人? お! 何だその子?」
今気づいたの!?
宮廷入る時もナイフが飛んでくる時も一緒に居たんだけど……
「今回の任務で少し助けられましてね。この帝国でもマリアほどの魔法を使える者は恐らくいないでしょうし、とりあえず帝国に迎え入れようかと思いまして」
「そうかそうか。お前も、もうそんな年頃だもんな。宮廷に自分の彼女を連れてくるなんてなぁ。
それで、どこで出会ったんだ? その彼女とはどこまで進んだんだ?」
この人、本当に話を聞いていました?
どこをどう解釈したら彼女と間違われるんでしょうか?
お耳が悪いのかな?
いや、でも、皇太子の彼女……悪くないかもしれません。
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