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二十六話 イオン視点
しおりを挟むちょうど昼食を食べ終わった頃、私の部屋の扉がノックされた。
「入って構わん」
俺の部屋に入ってくる人間なんて限られている。
今の時間帯で入ってくるのはルファルスくらいだろう。
予想通り、開かれた扉からはルファルスが入ってくる。
「殿下。討伐隊から報告が来ました」
討伐隊が順調に進んでいれば今日の早朝にも赤いオーガとの戦闘があっただろう。
今はまだ昼過ぎ。この時間に報告がくるということは恐らく順調なのだろう。
「討伐は成功か?」
「はい、殿下。討伐隊は赤いオーガの討伐を完了したとのことです」
「そうか」
私は心の中で安堵した。
今できる最強の戦力を集め、討伐隊を結成させたが、正直勝てるかどうか疑問に思っていた。
ここ二日間常に頭の隅にその考えが浮かんでいた。あの討伐隊が負ければもうこの王国に赤いオーガを討伐できるような戦力はなかった。
冒険者に頼るという手もあったが、すぐに高ランク冒険者が見つかるとは限らない。
まぁ、色々と心配をしたが、どうやら我が王国の騎士団、魔導師団は優秀だったらしい。
「それで、被害は?」
討伐が成功したのはとても喜ばしいことだが、さすがに被害がゼロで討伐できたなんてことはないだろう。
だが、今回の討伐対象から考えれば精鋭五十人のうち半分も残って入れば上出来だ。
「報告によりますと、騎士団の被害は副団長を含む二十名が死亡。八名が行方不明。一人が重傷。一名が軽傷。生存が確認されたのは二名です。
魔導師団の被害は十五名が死亡。五名が行方不明。生存は一名も確認できておりません。
支援部隊の被害は一名行方不明。もう一名が軽症。生存が確認されたのは一名です」
「討伐隊の生存者がたったの二人だと!?」
討伐が成功だと聞いて浮かれていたが、まさかここまで被害が出ているとは……!
本当にギリギリの戦いだったというわけか。
だが、いくら討伐対象が強力だったとしてもこの結果はまずいな。
一週間が山だと言われた父上だが、まだ息を引き取っていない。
もし、仮にたった一日でも会話ができるくらいに回復してしまい、この事を聞かれでもしたら……
私はしっかりと対応したつもりだが父上の目にそう映る保証はない。
それに加えて、ここ最近の街への魔物の侵入などの事を知られれば王位継承権第一位を剥奪すると言いかねないぞ。
「今現在、ネケラスの騎士達が行方不明者の捜索にあたっていますので生存者が増える可能性も少ないですがございます」
「そんなのは本当に少しだけだろう。
行方不明など死んでいるか、魔物に食われて死体も残っていないかのどちらかに決まっているだろう。そんなものに期待するつもりはない」
行方不明者が生きて見つかる事例など数えるほどしかないだろうが。
騎士団長、副団長、騎士団の精鋭の多くが死亡。魔導師団の精鋭も多くが死亡。
我が国の戦力低下は避けられない。
ただでさえ魔物がよく人を襲うようになり、街にも侵入したりで人手も戦力も足りていない状況だと言うのに。
問題が山積みだ。
くそッ!
私が苛立ちを覚えていると、扉がノックされた。
いったい何の用だ? こんな時に。
「入れ」
「イオン殿下! 申し上げます!」
あの服、確か……父上を担当していた治療医か?
「国王陛下が崩御されました!」
「……そうか」
自分の親が死ぬ。
なんとも思っていなかったはずだが、やはり悲しいものだな。
だが、それ以上に、問題の一つが解決されたことが嬉しかった。
悲しさなんて気にならないくらいに。
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