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資料群1
深海こだまに関する記録(2026年1月16日、級長手記)
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この記録は保護した子供を病院や福祉に繋ぐために残す。
今の私にはこの子が必要だ。私の我儘に付き合わせる以上、終わった後にケアを受けられるようにしなければならない。
・はじめに
保護した子供の名前をこの記事では、仮名ではなく実名で記載する。
こうしたのには理由がある。
まず彼は虐待を受けていた痕跡がありながら、自分の暮らしていた施設の正しい名前が分からない。それはつまり、彼がいた施設にまだ虐待を受けている子供がいるかもしれないということなのだ。そうだとすれば、どうにか助け出さねばならない。
もちろん、理由と対応についてはこだまくんに説明し、許諾を得ている。
施設の人が私に凸って来ればよし。手掛かりを持っている人が来ればなおよし。
保護した場所はなおびの女学院。彼の暮らしていたという施設は愛知県天地市の『天地きずなの里』。なーにがきずなの里じゃい! こっちはテガソードの里じゃ!
・経緯
1月15日の深夜、校内で失踪した後輩を探していた私は中等部校舎で、刃物を持ったレインコートの人影に追いかけられた。それから逃げる途中、さらに不審な黒い人影に遭遇した。
挟み撃ちになった私を助けてくれたのがこの子だ。
我が校でちらほら話題に出ていた『光る幽霊』は後述する身体的特徴から、彼のことだと思われる。
・概要
保護した子供の名前は深海こだま。漢字も教えてくれた。男の子だ。
年齢は不明。学年は五年生と言っていたので、10か11歳だろう。名前に用いられる漢字も小学生なら書けるもののみだ。
年齢が不明なのは理由がある。どうもこだまくんは自身の誕生日を知らないらしく、今自分が何歳なのか分かっていないのだ。誕生日を祝われ、ケーキに刺さっている本数で……みたいな経験もなし。児童養護施設にいたとのことだが、今時そんな子供をぞんざいに扱う施設があるだろうか?
・外観、身体的特徴
ぱっと見女の子にも見える。おそらく発育不良か何かで二次性徴をキチンと迎えていない可能性もある。顔立ちが綺麗なのもあるだろうか。歯並びはいい悪いというより、サメのようなギザ歯になっている。
全身に発疹のようなものがあり、これは顔にも及んでいる。明かりのある場所で見ると乳白色をしている。光っていない蓄光素材、そんな印象だ。こだまくんは髪の端や裏側……インナーカラーと呼ばれる場所や瞳も同じ乳白色になっている。これが暗闇で光って幽霊の様に見えたのだろう。
自然に書いてしまったが、こだまくんは暗いところにいると、この乳白色のところが蛍光グリーンに光るのだ。
身体的には五年生とは思えないくらい小さくて軽い。寄宿舎まで隠して運ぶのが容易だった。骨ばっていて痩せているようだ。
さすがに心配になったので、泥などを落とすついでに服を脱がせて身体をよく見た。これで身体の発疹には気づくことが出来た。
びっくりするほど痩せている。体重計に乗せていないので分からないが、私が持って帰れるくらいだったし30キロ無いんじゃないだろうか。
一番驚き、現実かどうか疑ったのは彼の腕。右腕は欠損していて無いのだが、腕の途切れている二の腕のところが何か……こう、説明しにくいが機械の様になっている。本来は二の腕から機械の腕が続いていて、それを外した後のような。
無理矢理外したとか、壊れて取れたとかではないように見える。意図的に外したのだろうと分かるくらい、パーツを外したという感じで取れている。
左腕はあるのだが、こちらも機械の腕。右腕も同じようなものだったのだろう。
右腕は友達にあげたらしい。あげた……いや疑ってもしょうがない。
機械の腕は装甲に覆われているが、その装甲は金属ではなく、軽くて頑丈な素材になっている。競技用自転車などに使われるカーボンやFRPのような、軽量で強固な素材のようだ。感触的にはカーボンかな?
・懸念点
ただ、一番私が心配しているのは身体的な面ももちろんだが、精神的な面だ。
私の手がこだまくんの頭より上に来ると、彼は怯えて腕で頭を覆う。防御でもしているのだろうか。私に対しても少しずつ話してはくれているが、おどおどして顔色を窺っているように見える。
年齢は分からないが学年は知っている……これは推測になるが、こだまくんは虐待を受けていたのではないだろうか?
そうなると、もしかすると早急に病院へ搬送するのは避けた方がいいのだろうか。下手に動くと、彼を虐待していた親の元へ帰されてしまう。それを避けるために、全身にあった痣などは写真を撮っておいた。
もしかすると、力を借りている場合ではないのだろうか。
今の私にはこの子が必要だ。私の我儘に付き合わせる以上、終わった後にケアを受けられるようにしなければならない。
・はじめに
保護した子供の名前をこの記事では、仮名ではなく実名で記載する。
こうしたのには理由がある。
まず彼は虐待を受けていた痕跡がありながら、自分の暮らしていた施設の正しい名前が分からない。それはつまり、彼がいた施設にまだ虐待を受けている子供がいるかもしれないということなのだ。そうだとすれば、どうにか助け出さねばならない。
もちろん、理由と対応についてはこだまくんに説明し、許諾を得ている。
施設の人が私に凸って来ればよし。手掛かりを持っている人が来ればなおよし。
保護した場所はなおびの女学院。彼の暮らしていたという施設は愛知県天地市の『天地きずなの里』。なーにがきずなの里じゃい! こっちはテガソードの里じゃ!
・経緯
1月15日の深夜、校内で失踪した後輩を探していた私は中等部校舎で、刃物を持ったレインコートの人影に追いかけられた。それから逃げる途中、さらに不審な黒い人影に遭遇した。
挟み撃ちになった私を助けてくれたのがこの子だ。
我が校でちらほら話題に出ていた『光る幽霊』は後述する身体的特徴から、彼のことだと思われる。
・概要
保護した子供の名前は深海こだま。漢字も教えてくれた。男の子だ。
年齢は不明。学年は五年生と言っていたので、10か11歳だろう。名前に用いられる漢字も小学生なら書けるもののみだ。
年齢が不明なのは理由がある。どうもこだまくんは自身の誕生日を知らないらしく、今自分が何歳なのか分かっていないのだ。誕生日を祝われ、ケーキに刺さっている本数で……みたいな経験もなし。児童養護施設にいたとのことだが、今時そんな子供をぞんざいに扱う施設があるだろうか?
・外観、身体的特徴
ぱっと見女の子にも見える。おそらく発育不良か何かで二次性徴をキチンと迎えていない可能性もある。顔立ちが綺麗なのもあるだろうか。歯並びはいい悪いというより、サメのようなギザ歯になっている。
全身に発疹のようなものがあり、これは顔にも及んでいる。明かりのある場所で見ると乳白色をしている。光っていない蓄光素材、そんな印象だ。こだまくんは髪の端や裏側……インナーカラーと呼ばれる場所や瞳も同じ乳白色になっている。これが暗闇で光って幽霊の様に見えたのだろう。
自然に書いてしまったが、こだまくんは暗いところにいると、この乳白色のところが蛍光グリーンに光るのだ。
身体的には五年生とは思えないくらい小さくて軽い。寄宿舎まで隠して運ぶのが容易だった。骨ばっていて痩せているようだ。
さすがに心配になったので、泥などを落とすついでに服を脱がせて身体をよく見た。これで身体の発疹には気づくことが出来た。
びっくりするほど痩せている。体重計に乗せていないので分からないが、私が持って帰れるくらいだったし30キロ無いんじゃないだろうか。
一番驚き、現実かどうか疑ったのは彼の腕。右腕は欠損していて無いのだが、腕の途切れている二の腕のところが何か……こう、説明しにくいが機械の様になっている。本来は二の腕から機械の腕が続いていて、それを外した後のような。
無理矢理外したとか、壊れて取れたとかではないように見える。意図的に外したのだろうと分かるくらい、パーツを外したという感じで取れている。
左腕はあるのだが、こちらも機械の腕。右腕も同じようなものだったのだろう。
右腕は友達にあげたらしい。あげた……いや疑ってもしょうがない。
機械の腕は装甲に覆われているが、その装甲は金属ではなく、軽くて頑丈な素材になっている。競技用自転車などに使われるカーボンやFRPのような、軽量で強固な素材のようだ。感触的にはカーボンかな?
・懸念点
ただ、一番私が心配しているのは身体的な面ももちろんだが、精神的な面だ。
私の手がこだまくんの頭より上に来ると、彼は怯えて腕で頭を覆う。防御でもしているのだろうか。私に対しても少しずつ話してはくれているが、おどおどして顔色を窺っているように見える。
年齢は分からないが学年は知っている……これは推測になるが、こだまくんは虐待を受けていたのではないだろうか?
そうなると、もしかすると早急に病院へ搬送するのは避けた方がいいのだろうか。下手に動くと、彼を虐待していた親の元へ帰されてしまう。それを避けるために、全身にあった痣などは写真を撮っておいた。
もしかすると、力を借りている場合ではないのだろうか。
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