"深海こだま"の都市伝説について

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資料群2

呪術の基礎解説 『ある』ものを『ない』ものにしてはいけない(月刊アガルタ2017年6月号記事)

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 この記事は本来、関係のないものかもしれない。しかし取得経緯から強い違和感を覚え、記録に乗せることとした。
 違和感、というのは言語化できない信号の発露。この記事に覚えた違和感はもしかすると重要なのかもしれない。
 なぜこの雑誌は貸出カードが入ったままの状態で空き教室に置いてあったのか。そしてこの特集のページに、よりによって『カトレア』の押し花の栞が挟まっていたのか。それが気になるところだ。

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 呪術というのは何も、遠いものではない。
 些細なことから呪術の条件を満たしてしまい、呪いの世界に足を踏み入れてしまう者も多い。例えば「人に指を差してはいけない」と躾られた人は多くいるだろう。行儀が悪いからとされているが、実際のところ相手を指差すというのは最も簡単な呪術だからしてはいけない、とされるようになったのだ。
 相手を指さすことで、相手より自分の方が優位であるという呪詛をかける。中世のキリスト教徒は魔女に指さされるのを恐れたとも言われている。
 今では呪術のことは忘れられ、相手を指さしてはいけないというマナーだけが残った。この様に思わぬところに呪術は存在する。

 あなたは学校のいじめの現場として実際に、もしくはドラマやアニメなどの創作物で、いじめられっ子の席に仏花が供えられるところを見たことはあるだろうか。
 あれも簡単な呪術となるので、いじめはもちろんいけないことだが、呪術的な意味でもやってはいけない。
 生きている人間を死んでいるものとして扱うこと。『ある』ものを『ない』ものとして扱うこと。それも一つの呪術となる。

 また逆に、死んだ子を想って「あの子が生きていたら今年は〇歳」などとするのも、一つの呪術になってしまう。これは一種の降霊術にあたり、既に冥界へ向かった者の魂をこの世に引き戻してしまう。葬儀を行うのは忙しさで悲しみを和らげる作用ももちろんだが、生と死の境界を作るのが主な役目。それを破るというのは相応の危険が伴う。

 認識と実際のズレが一つの隙間となり、そこに怪異が吹き溜まり大きな存在となってこの世に現れる。例えるなら、掃除のしにくい場所に汚れが溜まるように本来は霧散する霊や怪異が留まる場所を作ってしまうことになる。
 当然、そうして生まれた怪異はズレの原因を取り込んで生まれる。死んだ子を想って呪術を成立させてしまった場合は、愛している子を死後も苦しめる結果となってしまう。
 いじめの場合も、怪異の標的がいじめっ子になるのは想像に難くない。

 アガルタ島民にはお馴染みのことかもしれないが、プログラミングと魔術には共通性がある。
 近年、いじめと矮小化して呼ぶのも躊躇われる暴力事件が、スマホの普及により証拠を確保され、SNSで拡散されるようになった。記録と拡散が容易になったのも原因の一つだろうが、もしかするとプログラムの海を泳ぐ怪異たちが復讐を遂げる手助けをしてくれているのかもしれない。彼らにとってプログラムで構築されたSNSは魔法陣のようなもの。力の行使は現実より簡単なはずだ。

 簡単に呪術の禁忌に触れてしまう、ということは簡単に相手を呪えるということ。しかし人を呪わば穴二つ。呪術は気軽にするものではない、それだけは事実である。

 (文責:鮫島瑞希)
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