マギアメイデン・マルアーク

級長

文字の大きさ
6 / 36

5日目 自慰

しおりを挟む
「はぁ……はぁ……」
 シャワーを浴びて雄の匂いを消し、マルアークは一息ついていた。中出しされた精液もある程度は搔きだせたはずだ。
今日の男は妙に汗っかきで匂いがきつかった。水滴をバスタオルで拭い、シャワールームを出る。全て撮影されているのだと聞かされているが、平時は恥じらいが残っており身体にタオルを巻いて隠す。
「あいつ……」
 マルアークは相手の男が脱ぎ散らかした服を見つける。根本が几帳面なので散らかっていると気になるが、こんな奴の服を綺麗に畳んでやるつもりもなかった。適当に集めて隅へ固めようかと彼女はワイシャツを手に取る。僅かに湿っており、持ち上げるだけであの男の匂いが鼻孔に届く。
「……っ」
 彼女は僅かに不快感を覚えたが、それと同時に胸の奥から熱いものが込み上げてきた。直前の情事が、強く抱きしめられて臓腑を熱く滾る肉槍でかき回されるあの感覚が蘇る。
「な、なんで……」
 淫唇がじわりと濡れ、震え始める。この様子は全て見られている。つまりマルアークの精神に糸を通して無理矢理絶頂させることのできる人形使いがタイミングを合わせて干渉しているだけなのが、彼女にはそんなことまで頭が回らない。
「は、はぁ……」
 湿った唇から熱い吐息が漏れ出し、手が股へ導かれる。触れてゆっくりとなぞっていくと、背筋に電流が走ったかの様にびくりとマルアークの躰が震えた。
「んぁああっ!」
 自分の身体故に誰よりもどこを触れれば心地よいか知っている。ただ一人の空間でぴちゃぴちゃと自らを慰める水音が響く。
「すぅ……は、はぁ、はぁっ」
 気づけばシャツを顔に押し当てて匂いを嗅ぎ、股を激しく弄って身体を悶えさせたせいでタオルがはだけても気に留めることなく自慰を続けた。内股が蜜でびしょびしょになる頃、マルアークの躰は跳ねるように絶頂を迎えた。
「イっ……あぁあ!」
 腰が抜けて座り込む彼女は、茫然としていた。自分はいつからこんな淫乱な女になってしまったのか。許嫁に申し訳が、などと思うよりも先に身体は熱っぽく疼く。マルアークはシャツに袖を通すと、ベッドに寝そべって続きをした。
「っ、ああ……」
 思い浮かべるのは自分を抱いた不特定多数の化け物ではなく、許嫁である陽大。変なところで半端に理性が働いてしまい、ここで彼の名を呟けばそこから陽大に危険が及ぶと感じ、それはしなかった。
(陽大……陽大っ)
 脚に躰をねじ込み、猛々しい竿を突き立てられる妄想に彼女は遊ぶ。愛しても恋してもいない男にあれほどまでの快楽を与えられたのだ。もしそれが愛しい人ならどうなってしまうのか。胸が高鳴り、指の動きも激しくなる。
「はぁ、はぁっ、はーぁっ……」
 ベッドにも男の匂いが残っており、まるで抱かれているかの様な錯覚のもと彼女は一人で身体を慰める。陽大とは性交はおろか、同衾もしていない。だが、もしこれが陽大の匂いなら、と脳が変換して燃え盛る劣情と共に錯覚を強めていく。
「うぁああっ!」
 二度目の絶頂。前回よりも激しく蜜が吹き出し、身体も跳ね上がる。しかし一向に満足することはなかった。より熱く、強い飢えと渇きがマルアークを襲った。
「したい……したいしたいしたいっ……!」
 すっかり彼女はセックスの虜となっていた。ここまで実に仕掛け人であるデリンジャーの誘導が巧妙であった。身体が嫌がり、秘部を守る為に出す愛液を『感じている証拠』と位置づけ、ナメクジや虫の様な化け物に犯させることで人の姿をした相手ならマシという錯覚を生み出した。
 そして孕んだ化け物の子を降ろすため、自ら行為に臨まねばならない状況を生み出す。化け物を産むかセックスするか、二択にもならない二択を突き付けた。
「う、ああ、あ……イっ……!」
 マルアークは身体をのけ反らせてイった。すっかりこれが見られていることなど忘れている。
「はぁ、はぁ……なんで、足りな……」
 彼女は疲労感から半ばまどろみつつ、枕を抱いて男の汗がしみ込んだマットレスに躰を擦り付けて続きに浸った。
「ん、ぅ……」
 三度絶頂したことで淫核や乳頭も感度を増し、布に擦り付けるだけで痺れる様な快感を得られた。
「ん、くっ……」
 今更声が漏れない様に、枕を噛んで耐えるマルアーク。全ての罠に面白いくらい嵌まっていく高貴な魔法少女の行く末は、惨めなものとなりそうだった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

【魔法少女の性事情・1】恥ずかしがり屋の魔法少女16歳が肉欲に溺れる話

TEKKON
恋愛
きっとルンルンに怒られちゃうけど、頑張って大幹部を倒したんだもん。今日は変身したままHしても、良いよね?

ハイスペック上司からのドSな溺愛

鳴宮鶉子
恋愛
ハイスペック上司からのドSな溺愛

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

処理中です...