勇者の剣が抜けないんだけど??

k.saitou

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失敗と工夫

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 自信満々に剣の柄に手を掛け、引き抜こうとしたジークであったが、
 「ふんーーー!!ググググッ!ウオオオ!!」
 全く動かなかった。細身の刀身には似合わぬそれこそ大木の様な頑強さで、ジークの渾身の力をいとも容易く跳ね返す。
 ジークはぜぇぜぇと荒い息をし、
 「何て堅いんだ…こんなの誰がやっても抜けるわけ無い…」
 自分の頼りない体型を完全に棚に上げ、祭壇の強度の所為にする彼は、端から見ればさぞ滑稽な事だろう。しかし、この剣。実際の所ジークだから抜けなかったのでは無い。この剣には加護の魔法が掛かっており、勇者で無ければ抜けない仕様になっているのだ。
 そうでなければガーディアンの1体や2体いてもおかしくは無い。
 「すんなりと最奥部まで行けたのも納得だ。これだけ強固な祭壇ならな」
 ジークは疲れたのか、その場で座り込む。
 (さて、どうしたものかーー)
 漠然とした絶望に思考力を奪われそうになった刹那、ジークは何を思ったのか祭壇を指で軽く撫でた。
 「この祭壇何かザラザラしてるな…いや…待てよ…?これは行けるか…?」
 ジークは独りごちると、颯爽と階段を駆け上がって行った。

 ◇ ◇ ◇

 次の日の朝。ジークは再び祭壇の前にいた。
 昨日と違う点は、今日の彼が手ぶらでは無いこと。ジークは何やら、小さい機械の様な物を持っていた。目が荒い円盤状のヤスリの様な物が付いた謎の機械。
 「祭壇は少なくとも石で出来ている…そしてザラザラしている…つまり!」
 ジークは謎の機械の電源と思わしき部分を、カチッ押す。するとーー
 「ウイィィィィィィィン!!!」
 けたたましい駆動音と共に、円盤状の刃が高速回転し始める。ジークは、勝ち誇った様な顔で剣に指を差し、毅然とした声で告げる。
 「今の俺の力じゃ確かにお前の事は抜けない。でも、俺の力で抜けないなら他の手段を使えば良いだけの事。脳は使うために有るのだから。鍵や金庫が破壊できてしまう様にーーー作る事が出来るのなら…それは同時に壊せるって事なんだ!!」
 そしてジークが円形状の刃を祭壇に当てるとーーギイィィィィンと言う音と共に、祭壇から火花が出た。
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