恋なんてしてやらねぇ!

空々ロク。

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恋なんてしてやらねぇ!⑤

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『キセキ!今日部活休みだよね?遊びに行こうよ!』
正午前、目を覚ましてスマホを見るとセトからメッセージが来ていた。
送られてきていたのは2時間前だ。
『今起きた。OK!何処行く?』
メッセージを送信してから起き上がる。
夏休みに入ってから部活のない日はずっとこんな感じだ。
正午前後に起きて活動を始める。
その分、部活がある日は開始前から学校に行って誰よりも遅く帰っていた。
つくづく自分はバスケが大好きなのだと思い知る。
『おはよ。そうだと思った。リュウと話してたんだけどナイトプール行かない?いつもと違う楽しみ方出来そうだし』
『お、いいじゃん。行こうぜ。準備したら駅行く』
『分かった。じゃあ俺たちもゆっくり駅向かうね』
可愛い猫が手を振っているスタンプが送られてくる。
スマホをカバンに突っ込んでからプールに必要な物もまとめて入れる。
今年の夏は酷暑の所為でプールに行くことが多い。
ナイトプールは初めてだが、先週も先々週も2人と一緒にプールへ行った気がする。
今年の夏休みの思い出を挙げるならバスケとプールの2つになりそうだ。
何度行っても飽きないのは2人といるのが楽しいからだろう。
身支度を終え、エアコンを切る。
家族全員外出しているようだったが、大声で「行ってきまーす!」と言ってから家を出た。
一歩外に出ただけで分かる──今日も異常なぐらい暑い、と。

「キセキー!」
ぶんぶんと手を振るセトを見つけて駆け寄る。隣にはリュウもいた。
「おはよ。そんなに手振らなくてもお前ら背ぇ高いんだから見えるって」
「だってこうしたらキセキ走って来てくれるんだもん。それが可愛くて」
「意味分かんねぇの。リュウもおはよ。2人は飯食ったのか?」
2人の真ん中に収まった俺はリュウを見上げて尋ねる。
3人でいる時は大抵この並びになる。
セト曰く「キセキが端っこにいると心配になる」らしいが余計なお世話だ。
「おはようさん。いや、多分キセキも食うてへんと思ったから合流してから食おうかって話しててん」
「マジ?悪かったな。じゃあ早速食いに行こうぜ。何食う?」
「甘い物食べたいなぁ」
「駄目やで。昼飯はちゃんと食わな」
「ちぇ。リュウ、そればっかり」
「けどリュウの言う通りだろ。俺もガッツリ食うの賛成ー!飯食おうぜ飯」
「仕方ないなぁ」
駅を越えて大きなショッピングモールに辿り着く。
チェーン店は大体ここに揃っている。選び放題とも言える場所だ。
ずらりと並ぶ飲食店街に着き、リュウが腕を組みながら言った。
「牛丼かカレーかラーメンか定食やな」
「そん中だったらカレー以外」
「んー、定食がいいかな」
行きたい所や食べたい物は大体いつもこうやって決まる。
リュウが意見を出し、俺がある程度削減し、セトが最終決定する。
いつからかこの決め方は当たり前になっていたのだが、楽で気に入っていた。
ただし俺たち3人の時にしか使えない技とも言える。
定食屋は並ばずに入ることが出来た。腹が減っていた俺にはありがたい。
席に着いてメニューを眺める。
ヒレカツ定食やエビフライ定食など美味しそうな定食がずらりと並んでいた。
「外は暑ぃけど店内涼しいからすげぇ食いたくなるな」
「分かるわ。外やと食欲減退するけどエアコン効けば普通に戻るやんな」
「いや、絶対2人とも普通じゃないからね……この酷暑じゃ全然食欲湧かないって」
放っておいたらセトは何日も食べなくなりそうだ。
それが分かっているからこそリュウは強引にセトに昼飯を食べさせるのだろう。
「そか?っちゅーかそうやなくてもセトは食わんけどな。今日はちゃんと食べときや」
「うん、分かった。美味しそうだもんね。カニクリームコロッケ定食にしようかな」
「それも美味そう。あー、悩む」
見れば見るほど全部美味しそうに見えてくる。だからこういうものはすぐに決めた方がいいのだ。
悩めば悩むだけ選ばなかった未来を羨む可能性が高くなるから。
「んじゃヒレカツ定食で」
「俺はロースにしよかな。白米大盛りで」
タッチパネルで注文を済ませ、配膳ロボが運んできた水を飲んで一息つく。
身体を鍛えていなければ少し外を歩いただけでクタクタになりそうだ。
現にセトは「うあー生き返るー」とガブガブ水を飲んでいた。
「セト、大丈夫か?」
「だんだん暑さに慣れて来たから最近の方がマシ。でも長時間外にはいたくないかな。こんな時期に運動部で頑張ってる2人は本当にすごいと思うよ」
「まぁ、体育館も暑いけどそれ以上にバスケ楽しいからな。暑さ忘れる」
「キセキの暑さ忘れるって言葉はガチっぽいから怖いわ。バスケ夢中になり過ぎるとこあるからな。気ぃ付けや」
隣に座るリュウに頭をコツンと叩かれる。
それは否定出来なかった。つい最近、倒れるまではいかなくてもその寸前まで行ったことがある。
同級生に助けてもらわなければどうなっていたか分からない。
その話を2人にするつもりはない。余計な心配を掛けてしまうのは避けたかった。
けれどリュウの話ぶりを見る限り運動部内で噂が駆け巡ったのかもしれない。
自分から言わない俺を考慮して遠回しに言ってくれた可能性も──と真剣に考えていると配膳ロボが食事を運んできた。
近くにいたセトがトレーを順番に持ち、礼を言って受け取った。
「この配膳ロボ、猫ちゃんだねぇ。可愛い」
「本当セトって猫好きだよな。来世は猫になるんだっけ?」
「そー、その予定。そういえば九条くんもかなり猫好きらしいよね」
俺の瞳をじっと見て言うセトはどっちの意味で俺を見たのか分からない。
「九条」の件か「猫」の件か──前者なら俺は一気に不機嫌になるけれど、恐らく前者だろう。
「だから何で九条のことになると俺に同意求めるんだよ」
「仲良いから」
「別に仲良くねぇって」
「連絡先交換したのに?」
「……それは成り行きだし。さっさと飯食おうぜ」
無理やり会話を断ち切って「いただきます」とご飯を食べ始める。
ヒレカツは思った以上にカリッとしていて美味しかった。
ボリュームもちょうど良さそうだ。
隣のリュウに目を向ければ大盛りだというのに俺と同じくらいのペースで食べている。
大食いでガタイのいいリュウには憧れる。けれど一生リュウのようにはなれないだろう。
憧れは憧れでいいのだ。自分の近くにそういう存在がいてくれるだけでモチベーションに繋がる。
カニクリームコロッケを一口大に切ってゆっくり食べるセトの食べ方も優雅で好きだけれど。
箸を持つ綺麗な指先を見て気付く。セトのネイルの色が先週と変わっていることに。
「セト、爪の色変えたんだ」
「あ、気付いてくれた?いい彼氏になるねぇ、キセキは」
8月に入ってからセトはネイルにハマっていて、爪先を綺麗に整えたり色を塗ることに夢中だ。
何事にも興味が湧かないセトにしてはかなり珍しい。
きっかけはモデルの仕事をしている時に塗ってもらったかららしいが、セトが人の影響で何かに興味を持つなど初めてに等しい。
だから俺は密かに嬉しかった。セトも良い方に変わっているのだと。
「先週水色で今週ピンクなら普通気付くだろ」
「でもリュウには何も言われなかったしぃ?」
「……」
露骨に意地悪な顔をしたセトはリュウを見る。リュウは無言で顔を顰めた。
確かに何事も大雑把で小さいことを気にしないリュウは気付かないかもしれない。
どちらかというとリュウは人の外見より内面をよく見ているから。
「まぁ、リュウらしいな。あれから結構ハマってんの?」
「そうだね。俺にしては珍しくやりたいって思えたからしばらくやってみようかなって」
「へぇ、超いいじゃん。今度俺にも塗ってくれ」
「バスケは爪割れやすいから透明塗るのもいいかもね。今度持ってくるよ。リュウもどう?」
「遠慮しとくわ。似合う気せぇへん」
ひらひらと手を振るリュウはもう定食を食べ終えたらしく、タッチパネルで追加注文をしていた。相変わらず早食いで大食いだ。
リュウが注文した揚げ物盛り合わせが到着した頃、俺も定食を食べ終える。
流石に追加注文しようとは思わない。充分満腹だ。
「あ、そういえばリュウもうすぐ大会じゃなかったっけ?」
「今週末な。日曜日」
「応援行きたいー!キセキも部活休みだったら行こうよ」
「日曜日は午前中だけ部活ある。大会って午後行っても間に合うのか?」
「だってリュウは勝つから大丈夫だよ。決勝まで残るに決まってる」
自信満々に言うセトだが俺もそう思う。リュウが途中敗退するなど全く想像出来なかった。
「ほな、2人が来るまでは粘ってみるわ」
「優勝する気しかないくせにねぇ」
「そりゃ大会出るんやから目標はそこやろ。優勝以外目指さんで」
「楽しみにしてるな」
中学時代空手をしているリュウを見て似合うと思ったけれど、高校に入って弓道をしているリュウを見ても似合うと思った。
そして似合うだけでなくどちらでも成績を残しているのがリュウのすごい所だ。
スマホのスケジュールに予定を打ち込む。
──楽しみな予定がまたひとつ増えた。

昼飯を終え、ショッピングモールを回ってからナイトプールへ向かう。
3つ先の駅に着いた時はもう18時になっていた。
それでもまだ暑いと感じるのだから今年の夏は異常だと言える。
「着いたぁ……早くプール入りたい……」
セトにとってはかなりキツかったらしい。
早く水の中にいれなければ溶けてしまいそうだ。
早々に着替えてプールに入る。
プール内はそれなりに人がいたがぶつかる程ではなかった。
「生き返るー」
今年何回聞いたか分からないセトの言葉に苦笑する。
「セト、そればっかりだな」
「だってそんなことばっかりなんだもん」
「確かに今年の夏は暑いよなぁ。そんで長々と続きそうやから嫌や」
「8月終わったら夏も終わってくれなきゃ嫌。絶対嫌」
水の中でジタバタするセトの気持ちも分からなくない。
暑さがパッタリやんだらいいのだけれど。
しばらく水の中を漂っているとレンタル屋を見つけた。
皆が使っている浮き輪などはそこから借りられるようだ。
「あ、俺あれ借りてくる。フロートってやつ」
「キセキ1人で大丈夫?」
「大丈夫だって!待ってろ」
プールから上がりレンタル屋に行く。
色んな形のフロートがあったがSNS映えを気にするセトが好きそうなシェル型を選んだ。
フロートを持って2人組の男たちの後ろに並ぶ。何となくその後頭部は見覚えがあった。
同じクラスにいるような──。
「あっ!」
大声を上げた所為で前方の2人が振り返った。
その顔は確実に見知った人物で。
「あれ?雪城だ」
「ぐ、偶然だな……九条、御子柴」
こんな所で会うとは思いもしなかった。
けれど考えてみれば同じ高校の奴らが行く地元の遊び場所など限られてくる。
九条と御子柴がいてもおかしくはない。
「3人で来てるのか?」
「あぁ、まぁな。そっちは2人?」
「爽真が急にナイトプール行きたいって言い出して。今思えばいい予感でもしてたのかもな」
「そんなつもりなかったけど。でも偶然とはいえ雪城に会えて嬉しいよ」
にこりといつものように爽やかな笑顔を向けてくる九条。
返事に困って前を指差す。
「進んでるぜ、列」
九条と御子柴はフラミンゴのフロートを借りていた。
レンタルの手続きを済ませるとまだ2人はレンタル屋付近に立っていて俺に手招きをした。
近付いた俺に九条は笑顔で言った。
「折角だから混ぜてもらおうかと思って」
「まぁ……多分2人はいいって言うと思うけど」
「良かった。じゃあ着いてく」
シェル型フロートを担ぎながらセトとリュウが泳いでいる場所まで戻った。
そしてぼちゃんとプールに入る。
「あれ?フロートだけじゃなくてイケメン2人までレンタルしてきたの?」
「セトっ!」
「ごめんごめん。まさか九条くんと御子柴くんがいると思わなくて」
「混ぜろって言われたから連れてきた。あとこれ、フロートな」
「シェル型だ!可愛い」
いそいそとフロートに乗ったセトは九条と御子柴を見て言った。
「こんばんは。適当に水の流れに乗ってるだけだけど良かったら一緒にどうぞ」
「ありがとな」
「ついでにナイトプール詳しそうやから教えてくれたら助かるわ」
「お、いいよ。このまま流れに乗って半分ぐらい行くとドリンク屋がある」
「じゃあそこ目指そうか」
話がついたらしく俺はフロートに上がってセトの隣に座る。
完璧な防水加工を施したスマホを使って撮影をしているセトを眺めながらぼんやりと考える。
ナイトプールのこと、バスケのこと、友達のこと、九条のこと──考えているうちにドリンク屋に着いたらしい。
それどころかリュウにドリンクを渡された。
「キセキがぼーっとしとるからそのままにしとこって話になっててん。これ飲んで元気出しや。ほい」
「悪ぃ。ちょっと考え事してた」
受け取った黄色のドリンクには大きなパイナップルが刺さっている。
パイナップル味のドリンクなのだろう。
1人でフロートに座って飲んでいると隣に九条が座った。
「あれ?セトは?」
「あっち」
九条が指さした先にはフラミンゴフロートに乗るセトが見えた。乗り換えたらしい。
「だから今だけ泉に譲ってもらった」
「ふぅん。別にいいけど。ここ、よく来んの?」
「今年は2回目だな。嵐のこと引っ張って来てる感じ」
「九条は似合うけど御子柴はあんまり似合わねぇもんな」
簡単に言えば九条は陽キャで御子柴はアングラ系だ。
いつ見てもこの組み合わせは不思議だけれど、自分たちも傍から見ればそのようなものだろう。
友達は必ずしも似ている必要はないのだから。
「ははっ、まぁね。でも嵐は嵐で楽しんでるみたいだからいいかなって思って誘ってる」
「そりゃ御子柴は九条といられて楽しいだろうし。好きな奴と行くなら何処でも楽しいもんじゃねぇ?」
「それはあるかも。嵐に知らないインディーズバンドのライブ連れて行ってもらったことあるけど楽しかった」
「それそれ。そういうもんだって」
俺たちが乗ったフロートは水の流れに沿ってプール上を漂っている。
九条との会話に夢中になって気付かなかったが周りに3人はいなかった。
身を乗り出してキョロキョロ探す。
長身の3人はすぐに見つかった。
激しいライトに照らされたプールへ向かったようだった。
「あ、あいつら移動してんじゃん。行く?」
「これ飲み終わったらな」
パイナップルジュースはあと半分ぐらい残っている。
九条はニッと笑った。
「了解。じゃああともう少し2人きりでいていいわけだ」
「……まぁな」
ただ飲み切りたいと思っただけで別に2人きりでいることを願ったわけではないが九条は嬉しそうだった。
相変わらずムカつくぐらいカッコイイ顔を眺めているとぐいっと顔を近付けられた。
「わっ!な、何だよ」
「雪城、今度デートしない?」
「はあ?デート?そういうのって付き合ってる奴に使う言葉だろ」
何故かわたわたと慌ててしまう。
いつもより顔が近い所為かもしれない。
「あー、じゃあ今度一緒に遊ばない?」
「まぁ、それならいいけど。どっか行きてぇとこあんの?」
「雪城に合わせるなら体動かす系かなと思ってたけどさっきの話聞いたら俺の好みのとこ行った方がいいかな」
「それでいいぜ。あんまり九条の好みって知らねぇし。猫好きでカフェ店員ってことぐらいしか」
「あ、そうそう。この前は来てくれてありがとな」
セトに連れられて九条が働く店に行ったのは7月下旬のことだ。
「いいお店見つけたから行こうよ!」と誘われて行った先にまさか九条がいるとは思わなかった。
「いや、こちらこそ。お前の家って知らなくて大声出して悪かった」
「お客さんいなかったから大丈夫」
店員が九条でカフェ自体も九条家だと知ったのは九条に会ってからだった。
あまりにもビックリして「はあっ!?」と大声を出してしまったのは失態だ。
後で散々セトを叱っておいたけれど。
「めちゃくちゃ美味かった。見た目も可愛かったし」
「だろ?是非またご贔屓に」
「あぁ、行くと思う。セトもめちゃくちゃ気に行ってたし。猫好きなとこも喜んでたな」
「泉と俺の共通点は猫好きなとこだけだろうな。カッコ良くて羨ましいけど」
九条はフロートの背もたれに寄り掛かるように座り直した。
パイナップルジュースを飲み終えた俺は「羨ましい?」と眉根を寄せた。
「お前だって充分カッコイイじゃん。それ以上求めるのは嫌味でしかねぇ」
「雪城にカッコイイって言ってもらえるなんてすげぇ嬉しい」
ふわっと笑った九条の笑顔はいつもと違った。
爽やかな笑みでなく、照れたような笑い方。
些細な違いにドキッとしてしまう。
「ま、まぁ……お前がモテるのは知ってっから」
「どんなにモテても一番好きな人に好きになってもらわないと意味ないんだけどね」
もう一度顔を寄せられて戸惑う。
もしかしたら顔が赤くなっているかもしれない。
けれどそれを考える余裕すらなかった。
「そ、それは……」
「だから絶対好きになってもらうから」
九条の強気な瞳がぎらりと光る。
誰かの「本気」を初めて見た気がした。
「……」
「じゃ、皆のとこ行こっか」
いつもの爽やかな笑顔に戻った九条は何事もなかったかのようにプールを上がる。
けれど俺は駄目だった。
ドキドキともワクワクとも違う──けれど好意的な感情が自分の中で渦巻いてしまった。
「くそぅ……」
恋なんてしてやらねぇ、と何度も何度も思って。
そう思っていないとひっくり返されてしまいそうで。
「雪城?大丈夫か?」
「だいっ!じょうっ!ぶっ!」
わざと大声を出して余計な思いを吹き飛ばす。
空になったカップを持ち、フロートを担いで3人の元へ急ぐ。
──2人きりでいるのはもう、危険かもしれない。
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