恋なんてしてやらねぇ!

空々ロク。

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恋なんてしてやらねぇ!⑩

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「嵐兄!おはよ」
弟の琉乃に身体を揺さぶられ、目を覚ます。
目覚まし時計よりも早く起こしてくれるのはありがたい。
琉乃のおかげで遅刻しないようなものだ。
「琉乃、おはよう。ありがとな、起こしてくれて」
「任せて。嵐兄の為なら何でもするから。何時だって起こしてあげる」
「お前が俺の為に何時に起きてるか心配になってきたな」
欠伸を噛み殺してベッドから降りる。
琉乃はそんな俺の様子をニコニコと見ていた。
何か用があるのかと思い、尋ねる。
「どうした?」
「ううん。嵐兄のこと見てるのが琉乃の幸せだから見てるだけ。気にしないで。あとあわよくば着替えてるとこ見たいなって思っただけ」
琉乃は昔から俺のことが好きだった。
それも、異常なぐらいに。
だから止めなければ止まらなくなる──色々と。
「……そうか。じゃ、また後でな」
ぎゅうぎゅうと部屋から押し出す。
「えー!」と不満そうな声が聞こえたが無視してドアを閉めた。
早めに着替え終えた方が良さそうだ。
(まぁ、琉乃らしいけど)
琉乃の俺への愛はあまりにも強過ぎる。
「絶対嵐兄のお嫁さんになる!」と言い続けていた幼少期。
いつかそんな夢は忘れるだろうと思っていたが未だに変わらず、本気で叶えるつもりらしい。
──そしてそれはもしかしたら叶わなくもないかもしれない。
部屋を出るとすぐそこに琉乃がいた。
俺が出てくるのを待っていたらしい。
両耳に多数つけられたピアスをいじりながら「あ、嵐兄!さっきの酷い」と文句を言ってくる。
「仕方ないだろ。朝から盛られても困るし」
「えー、別にいいじゃん。嵐兄とイチャイチャしたい」
「お前と違って学校サボりたくねぇの。ほら、飯食うぞ」
「はぁい」
一階に降り、母親に「おはよう」と挨拶する。
作ってくれた朝ご飯は今日も豪華だ。料理好きの母は作るのが上手い。
ガッツリと食べ終え「ご馳走様」と席を立った。
手早く身支度を済ませて部屋に戻る。
鞄の準備をしていると「嵐兄ー!」と琉乃が部屋に入ってきた。
「どうした?」
「まだいた。良かった」
「今日は途中まで一緒に行くって話してただろ。ちゃんと琉乃が準備終わるまで待つから安心しな」
「ありがと!すぐ準備してくるから!」
バタバタと部屋を出て行く琉乃は騒々しい。
家ではこんなに五月蝿いのに学校では物静からしい。
ジャラジャラと両耳にピアスをつけた中学生など教師には確実に好かれていないだろうけれど、琉乃はとにかく頭が良かった。
そして運動も出来る。いわゆる文武両道というやつだ。成績だけ見れば立派な優等生と言える。
問題は素行と見た目だ。
琉乃は学校をサボることが多い。
行きたい気分の時は行くし、そうでなければ行かない。
「自由に生きる」が信条だという。
髪色を一部ビビッドピンクにしているのも自由を愛する琉乃らしい。
シルバーアクセサリーが大好きな琉乃は両耳合わせて10個以上ピアスを開けている。
どちらの耳朶も拡張しているし、その大きさは最近0Gと4Gになった。
ピアスだけでなく首にも腕にも指にもシルバーアクセサリーをいくつもつけている。
学校で外すよう言われても当然外さない。
家では1つの指輪以外全て外しているが、その指輪は琉乃にとって特別なものだった。
そして、俺にとっても。
「嵐兄!準備出来たから行こう」
「あぁ、行くか」
家の中に向かって大声で「行ってきます」と言う。遠くから母親の「行ってらっしゃい」という声が聞こえた。
ドアを開けて押さえておく。先に琉乃に行かせてから施錠した。
俺の高校は最寄り駅から3駅だ。そして最寄り駅へ行く途中に俺の母校でもある琉乃の中学校がある。
並んで歩いていると琉乃が俺の腕を掴んで言った。
「わあ!寒い寒い!1月になってから毎日寒すぎ」
「そうだな」
コートを着てマフラーをしても肌を突き刺すような寒さを感じる。
天気が崩れたら雪にでもなりそうな寒さだった。
「ねー、今日部活だっけ?」
「いや、今日は休み。何で?」
「欲しい物があるから嵐兄とデートしたい」
「でも俺駅に着くの17時頃だぞ。それまで待つの大変じゃないか?」
「1回家に帰るから大丈夫だよ。着替えたりメイクしたりして待ってる」
「そう?琉乃がいいならいいけど。なるべく早く帰れるようにするな」
「うん!超楽しみにしてるねっ!」
ニコニコと笑う琉乃は純粋に可愛いと思う。
けれどそれを伝えたら大変なことになるのは目に見えている。
「そういえば爽真くんの恋、上手く行きそう?」
「さぁな。でも上手く行って欲しいとは思ってる」
「絶対お似合いだから付き合って欲しいなー!琉乃も応援してるって爽真くんに言っておいてね」
「分かった。言っとく」
琉乃と爽真は何度か会ったことがある。
初めて見た時から琉乃は爽真のことを気に入り、何かと気に掛けていた。
そして文化祭でうちの高校に遊びに来て以降は恋愛事情まで気にするようになった。
「嵐兄と爽真くんのステージ見に行った時にすごく可愛い子見つけたの!琉乃と同じぐらいの身長で猫みたいな子!爽真くんの視線がそっちばかり向いてるから絶対爽真くんの好きな子なんだって思って!」
文化祭の後、琉乃は興奮しながらそう言った。
猫のような可愛い子とは雪城希汐のことだろうとすぐに分かった。
恋バナが好きな琉乃にはピンと来たのだろう。爽真が雪城のことを好きなのだと。
それ以降、琉乃は爽真の恋を応援していた。
「爽真にはちゃんと言っとくから琉乃も学校頑張れよ」
中学校近くに着き琉乃は渋々俺の腕から自分の腕を離した。
「はぁい。それなりに頑張るね」
「それでいい。行っただけで充分偉いから」
「えへっ☆嵐兄優しい!大好き!」
飛びついて来そうな琉乃を片手で制する。
琉乃は小さく口を尖らせたが納得してくれたらしい。
手を振って中学校へと駆け出して行った。
後ろ姿を見送ってから駅に向かって歩き出す。
──我ながら「甘い」と思わなくもないけれど。

琉乃は俺の弟だ。同時に恋人でもある。
付き合い始めたのは2年近く前。俺が高校生になった時だった。
「高校入ったら嵐兄モテそうで超イヤ」
「今までとそんなに変わらないだろ」
「ううん。絶対モテる。中学生なんてガキの集まりだけど高校生からは違うもん。嵐兄みたいな脱力系バンドマンは高校で一気に注目浴びるようになるんだよ!」
力説する琉乃へ突っ込みたい所は多々あったが何を言っても否定されそうな気がして「うんうん」と頷いておく。
「だからすごくイヤ。嵐兄がカッコイイって言われるのはいいけど好きって言われるのはイヤ」
「んー、じゃあ付き合うか?」
「えっ!えぇ!?」
「その方が安心するならそうする。もし近付かれても恋人いるからって言えるし」
「嘘っ!?いいの!?」
「いいよ。琉乃がいいなら」
琉乃は喜び、困惑し、挙句感極まって泣き出した。
「う、嬉しい……っ!本当に嬉しい……ありがとう嵐兄ぃぃぃ!」
大泣きしたまま抱きついて来た琉乃を抱き締める。
昔から好きでいてくれた琉乃のことを本当は俺も同じぐらい好きだったのだろう。
狂愛と呼べる程の愛を注いでくれていた琉乃を愛しく思っていたのだから。
「こちらこそ。好きでいてくれてありがとう」
「~~っ!」
涙で言葉にならない琉乃の頭を撫でる。
──こうして俺と弟は恋人になったのだった。
とはいえ変わったことはほとんどなかった。
唯一ペアリングをはめるようになったことぐらいだ。
2人でシルバーアクセを見に行った時、琉乃が気に入った指輪を見て「俺も同じやつください」と勝手にペアリングにしたのだけれど店を出た後琉乃は泣いて喜んでいた。
「嵐兄とペアリング出来るのすごく幸せ」
「ちょうど琉乃がカッコイイ指輪選んでたからさ。見てて欲しくなったしちょうどいいかなって」
「常々思ってたけど嵐兄って琉乃のこと喜ばせるの上手いよね。こういうサプライズみたいなの本当に嬉しい」
「けど琉乃のこと泣かせまくってる気ぃする」
「これは嬉し涙だからいいのっ!」
泣きながら笑う琉乃は本当に幸せそうで──それを見て俺も嬉しくなったのだった。

ちなみに琉乃が散々心配していた「嵐兄は高校行ったら絶対モテる」という言葉は少しだけ当たっていた。
中学時代は避けられることが多かったけれど高校に入ってからは声を掛けられることが増えた。
告白されたことも何度かある。
そう思うと琉乃の勘は当たっていたと言える。

「嵐、おはよう」
教室に入ると爽真に声を掛けられた。
「おはよ。そうだ。忘れる前に言っておかねぇと。琉乃が爽真のこと応援してるって言ってた」
「唐突だな。琉乃ちゃんの応援に答えられるよう頑張らないとね」
「実際どうなんだ?」
席に座りつつ爽真の話を聞く。
クリスマスにデートしたこと、一緒に映画を観たこと、名前呼びに変わったこと。
一連の流れを話す爽真が嬉しそうでこちらまで笑みが溢れる。
友達の幸せな話を聞くのは嬉しい。いつも一緒にいる爽真なら尚更だ。
「じゃあ結構順調なわけだ。むしろ一気に進展したとも言えるな」
「まぁ、そうだね。改めて考えると照れるけど」
「それ琉乃に報告していいか?」
「勿論。誇張しない程度で伝えといて。琉乃ちゃん恋愛事情にフィルター掛けそうだからなるべく控えめに伝えといて欲しい」
爽真の言葉にははっと笑う。数回会った程度でも琉乃のことを充分理解している爽真は流石だ。
ざわざわと教室が五月蝿くなってくる。
始業時間が近付いてきたからだろう。
「爽真おはよ!御子柴もおはよー!」
滑り込むように教室に入ってきて席に座った雪城は俺と爽真に手を上げて言った。
最初の頃は爽真に視線を向けることすらなかったのに、と思うと感慨深くなる。
「おはよう、キセキ」
「おはよ」
シンプルに返すとニカッと大きな笑顔が返ってくる。
爽真が夢中になるのも分かる気がする──なんて琉乃に怒られそうなことを思ってしまった。

「嵐!今日部活ないよな?この後暇?」
「あー、悪い。部活ないけど琉乃と遊ぶ約束してんだ」
「なるほどな。デートいいじゃん。じゃ、駅まで一緒に帰らない?」
授業が終わり、爽真に誘われて「OK」と返す。
部活がない時は大抵爽真と一緒に帰っている。用事がなければ遊ぶことも多い。
入学と同時に仲良くなってから爽真の隣にいるのは日常になっている。
思えばあまり喧嘩をしたこともない。言い合うことはあっても必ずその場で決着がつく。
バンドメンバーとも仲は良いが、こんなに気が合うのは爽真しかいない。
冷たい風を受けながら駅へ向かう。
今日は来週行われるテストの話をしているうちに駅近くに着いてしまった。
「爽真と話してると駅まで早いんだよな」
「あー、わかる。俺も同じ。沢山話してるのにまだまだ話題尽きないのってすごいよなぁ」
「だな。じゃあ今週末爽真んちのカフェでテスト勉強するってことでいいんだよな?」
「うん。予定入れといて。あ、琉乃ちゃん連れてきてくれてもいいよ」
「来たら五月蝿くて勉強の妨げになると思う。誘ったら絶対来るだろうし」
「ははっ、確かに。でもいいよ。折角なら遊びにおいでって言っておいて」
「了解。また明日な」
手を降って爽真と別れる。
電車に乗っている間にスケジュールアプリに予定を打ち込む。
恐らく琉乃も来るだろうと琉乃の名前も入れておいた。

「嵐兄ー!」
家の最寄り駅に着くと琉乃が駆け寄ってきた。
朝言っていた通り一度家に帰ったのだろう。バッチリとメイクされていた。
「お待たせ。確か欲しい物あるんだよな?」
「新しいバッグが欲しいんだ。大きめのやつ」
「あぁ、旅行用?」
「そう!結構荷物多そうだから大きいリュックがいいかなって」
「確かに。その方がいいな」
いつも通り琉乃は俺の手に指を絡める。俺も琉乃も人の目をあまり気にしない為、デートの時は大抵こうして歩く。
繋いだ手から琉乃の体温を感じる。冷え切った俺にはそれが有難かった。
琉乃は商店街の裏にあるバッグ屋を目指しているのだろう。
店員のノリが良く、商品も充実している為よく利用する店だ。
「嵐兄はそんなに荷物持って行かないの?」
「あぁ。必要最低限って感じになると思う」
「琉乃もなるべくそうしなきゃ。嵐兄と旅行するの楽しみだなぁ」
2月の連休を使って2人で旅行しようと決めたのはクリスマスの時だった。
俺のクリスマスプレゼントが旅行券で、琉乃は「絶対嵐兄と行きたい!」とすぐに旅行計画を立てることになった。
家族4人で旅行したことはあるけれど2人で行くのは初めてだ。
そういったことも相まって琉乃はかなり楽しみにしているようだった。
「俺も楽しみ。あ、そう言えば今週末暇か?爽真の家でテスト勉強するんだけど爽真が琉乃も良ければって」
「爽真くんち!?行く行く!爽真くんのカフェ美味しいしオシャレだから大好き」
「やっぱりそう言うと思った。あと爽真の恋はそれなりに進展してるらしいから」
今日聞いた話を琉乃に伝える。琉乃は瞳の中をハートマークにするぐらいときめいていた。
「すごーい!流石爽真くん!このまま上手く行って欲しいなぁ。そしたらダブルデートしてもらおっと」
「って、琉乃は雪城と知り合いじゃないだろ」
「その時お友達になればいいじゃん。琉乃、雪城くんと仲良くなれそうな気がするもん」
「あー、まぁな。雪城は誰とでも仲良くなれそうなタイプだし大丈夫かもな」
雪城と琉乃が並んでいる姿を思い描くと少し笑ってしまう。雰囲気は全然違うけれど確かに仲良くなれそうだ。
「その為にも爽真くんには頑張ってもらわないと!」
「来週言ってやってくれ」
「うん!琉乃が可愛い乙女の気持ち教えてあげるね」
「どんなに可愛くても雪城は乙女じゃないけどな……」
来週はその辺の誤解を解くところから始めなければならないかもしれない。
けれど琉乃の気持ちは分かる。爽真には絶対に上手く行って欲しい。
爽真があんなにも純粋な想いを抱くのは初めてで、あんなにも苦戦しているのも初めて見るから。
最初は軽い気持ちなのだと思っていた。けれど時が経つにつれて爽真の本気度が分かった。
好きになってから約1年経っているのだ。本当に長々と頑張っていると思う。
「でもさ、嵐兄がこんなに誰かを応援するなんて初めてだよね」
「まぁな。爽真ぐらい仲良くなった奴いなかったし」
「だから本当言うと最初の頃爽真くんに嫉妬してた。今は爽真くんのことも大好きだけどね」
「あー、琉乃はそう考えるだろうな。誤解されなくて良かった」
爽真のことは大好きだけれど当然恋愛対象ではない。
ただ誰よりも仲が良い親友のような存在だから幸せになって欲しいのだ。
「爽真くんも幸せになって欲しいね」
自分の薬指に光るシルバーリングを見ながら呟く琉乃を見て思わず頭を撫でてしまった。
優しくて良い弟だと思う。可愛くて良い恋人だと思う。
「あぁ、そうだな」
自分たちの恋人関係がいつまで続けられるかは分からない。
それでも出来る限りは一緒にいたい。
顔を上げて微笑んだ琉乃の唇に唇を重ねる。
裏道であるのをいいことにキスしてしまったけれど、琉乃は盛大に喜んでくれた。
「嵐兄ありがとー!」
飛び付いてきた琉乃を軽く抱き締め返す。
いつまでもこんな風にいられたらいいと思いながら。
──目的のバッグ屋に到着するのはまだまだ先になりそうだ。



いつも俺たちの幸せを願ってくれる親友が、どうか幸せになりますように。
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