運命に集められた子ども達

白銀優実華

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ロクサーヌ南部、その中の崖に囲まれた町セドセアに朝日が昇った少し後。

町の中心部くらいの所に少年が女性達に囲まれていた。

「バルロ今日は誰とデートするの?」

「そうね、誰とするの?」

女性達がそう少年改めバルロ・ベルーニヨに口々に言う。

「ええっとー……」

バルロは周りに助けを求める様に目を泳がせる。

そしてバルロの目に映ったのは、こちらに来る郵便屋だった。

「バルロー!君に手紙が来て居るよー!」

郵便屋は手紙を見える様に上に掲げた。

「ありがとう!……助かった」

バルロは最初は聞こえる様に言い、最後は周りの女性達に聞こえない様に言ったのだった。

「ロデ、手紙をもらえるかい?」

「うん!これだよ」

女性達をかき分け郵便屋改めロデの元に向かうバルロ。

「ありがとう……じゃあぼくは宿屋に一旦帰らせてもらうよ、手紙を読まなくちゃいけないし、いいかな?」

手紙を受け取りすぐに女性達の方を向き、悲しげな顔を作るバルロ。

「そ、そうね今日はいいわ、ね?」

「え、ええ!休息も必要よね!」

「大事な用の手紙だったら大変だものね!」

女性達が口々にそう言うと、バルロはさっきの悲しげな顔が嘘の様になくなって笑顔を見せた。

「ありがとう、君達!じゃあもう行くね」

女性達とロデを置いてバルロは宿屋のある方に走った。

そして宿屋に着き鍵をもらい、扉の鍵を開けて中に入った。

バルロは椅子に腰かけ、机の上にあるペーパーナイフを取り、封筒の封を開ける。

〈親愛なるバルロ・ベルーニヨ様へ。今日手紙を認めたのは、あなた様に頼み事があって手紙を書きました。詳しい事は私の家に来ていただきたく思います。場所はロクサーヌ南部のエスポワです。詳しい場所は地図を同封しました。それでは1月10日に来る事を首を長くして待っています。イカルガ・ランスより〉

イカルガという人はバルロの知り合いに居なかった。

ならばこの人は誰でどうしてこの場所が分かったのか。

バルロは不思議に思った。

だがバルロはこれはいいきっかけだとも思った。

バルロは10才の頃に両親が亡くなり、気ままな旅をしていた。

女性にモテると分かってからは、その顔を利用していた。

だからバルロはここに居る女性達と後腐れなく別れられると思いこの手紙の人に会いに行く事に決めた。

そしてバルロは出発の準備をして、セドセアから出てすぐの所にある乗合馬車に乗りエスポワまで行くのであった。
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