運命に集められた子ども達

青い牡丹

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ロクサーヌ南部、その中の木々が生い茂った町ゴルドに朝日が昇って少し経った頃、そんな町の中に一軒の雑貨屋があった。

その雑貨屋の中で少女が売り物を物色していた。

その時、雑貨屋の扉が開いてベルの音が聞こえた。

「トゥルーナに手紙だよ」

雑貨屋の店員改めトゥルーナに手紙を渡す郵便屋。

「ゼルジュじゃない、ありがとう。助かるわ」

「いやいや、どういたしまして。……あ、イスベルじゃないか!君にも手紙だよ」

「……あたしに?誰からだろ?でも、ありがとう」

ゼルジュはトゥルーナに手紙を渡し、帰ろうとしたら少女改めイスベルが見えて、その子にも手紙を渡したのだった。

「じゃあぼくは行くよ」

ゼルジュは扉を開けてベルを鳴らし、外に出て行く。

「あたしも手紙読む為に宿屋に帰ろうかな」

「そう?また来てね」

イスベルも扉を開けてベルを鳴らし、外に出て行き、宿屋がある方へと少し小走りで行く。

宿屋に着いたイスベルは鍵をもらい、自分の泊まっている扉の鍵を開けて中に入った。

イスベルは椅子に腰かけ、机の上にあるペーパーナイフを取り、封筒の封を開ける。

〈親愛なるイスベル・ローレライ様へ。今日手紙を認めたのは、あなた様に頼み事があって手紙を書きました。詳しい事は私の家に来ていただきたく思います。場所はロクサーヌ南部のエスポワです。詳しい場所は地図を同封しました。それでは1月10日に来る事を首を長くして待っています。イカルガ・ランスより〉

イカルガという人はイスベルの知り合いに居なかった。

ならばこの人は誰でどうしてこの場所が分かったのか。

イスベルは不思議に思った。

だがイスベルは行かないという選択肢は持っていなかった。

イスベルは孤児で幼い頃から負けず嫌いな性格をしているので、ここでこの人に会いに行かなければ、自分が負けた気持ちになるからであった。

それからの行動は早かった、出発の準備をしてゴルドから乗合馬車に乗りエスポワまで行くのであった。
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