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旅立ち
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「もう、本当に急すぎるわよ!」
そうシオンに言うのは、同い年の幼馴染であり、兄の妻セディアの妹アンジェである。
「ね、こんなにも早いとは僕も思わなかったんだ。」
「シオンとこんな風にティータイムするのもこれで最後なのね。」
アンジェはストロベリーブロンドにグリーンの瞳を持つ美少女だ。
同じΩである事から小さい頃から仲良しで親友なのだ。
「レイフォード殿下はどんな方なのかしらね。」
「アレン兄様が言うにはαの絶対的なオーラを持っていて軍人なような身体つきで男前らしい。」
「まあ!いいじゃない。」
「でも、仕事の話をしている以外はどちらかと言うと無口らしいんだ。夫婦となって上手くやれるかどうか少し心配。」
「…そう。でも、シオンを好きにならない人はいないと思うわ。あなたはとても優しく努力家だし、頭もいい!なんてったって目の覚めるような美貌だもの。あなたが隣国へ嫁ぐという知らせで何人もの貴族のご子息達が涙を流したことか。」
「それは大袈裟だよ。でも、少し不安が和らいだよ。それにモテモテなのはアンジェじゃないか。」
「もう!ほんと鈍いだから。」
「でも政略結婚だとしてもアレン兄様のような夫婦になりたいんだ。」
アレン達は小さい頃からの許嫁だったが、2人で年を重ねながら愛を育みおしどり夫婦なのだ。
「ね~。お姉様羨ましいわ。向こうに行っても必ず手紙を送ってね。私も送るから!」
「ふふ、もちろんだよ。アンジェ。君は僕の大事な親友なんだから。」
「……うん。なんだかやっと実感が湧いてきてすごく寂しい。」
そう言ってアンジェは少し涙目になっていた。
そんな姿をみてシオンもつられそうになった。
それから二人は時間が許す限りたくさんの話をした。
そして次の朝。シオンが隣国へ出発する日が来た。
見送りにアレン夫婦とアンジェが来てくれた。最後に抱擁をする。
「…お父様はやっぱり来ないのですね。」
(期待していなかったが、最後くらいは顔くらい見たかったな。)
「シオン、お父様は決してお前の事をっ」
「大丈夫です。わかっています。」
「っ……。シオン、幸せになるんだぞ。何かあればすぐに知らせを入れてくれ。式典なので会う機会はたくさんあるだろう。披露宴楽しみにしているよ。」
「はい、アレン兄様。どうかお元気で。セディア義姉様、お子を楽しみにしております。身体を大事にしてください。」
「シオン、ありがとう。あなたの幸せを祈っているわ。」
「アンジェ、泣かないで。手紙すぐに送るから。」
「うん。絶対よ?」
「もちろん。君の幸せも願っているよ。」
「では、行って参ります。」
そうしてシオンは馬車に乗り込んだ。
三人が見えなくなるまで手を振り続けた。
ウィンザード皇国までは馬車で三日ほどかかる。
途中休憩をしながら宿泊施設などに泊まるそうだ。
シオンは馬車に揺られながらレイフォード殿下の事を考えていた。
(彼に恋をして愛す事ができるだろうか。そして、僕も愛を返してもらえるだろうか。)
暗い気持ちにならないようシオンは窓の外を眺め、アッシュベル国の風景を目に焼き付けた。
そうシオンに言うのは、同い年の幼馴染であり、兄の妻セディアの妹アンジェである。
「ね、こんなにも早いとは僕も思わなかったんだ。」
「シオンとこんな風にティータイムするのもこれで最後なのね。」
アンジェはストロベリーブロンドにグリーンの瞳を持つ美少女だ。
同じΩである事から小さい頃から仲良しで親友なのだ。
「レイフォード殿下はどんな方なのかしらね。」
「アレン兄様が言うにはαの絶対的なオーラを持っていて軍人なような身体つきで男前らしい。」
「まあ!いいじゃない。」
「でも、仕事の話をしている以外はどちらかと言うと無口らしいんだ。夫婦となって上手くやれるかどうか少し心配。」
「…そう。でも、シオンを好きにならない人はいないと思うわ。あなたはとても優しく努力家だし、頭もいい!なんてったって目の覚めるような美貌だもの。あなたが隣国へ嫁ぐという知らせで何人もの貴族のご子息達が涙を流したことか。」
「それは大袈裟だよ。でも、少し不安が和らいだよ。それにモテモテなのはアンジェじゃないか。」
「もう!ほんと鈍いだから。」
「でも政略結婚だとしてもアレン兄様のような夫婦になりたいんだ。」
アレン達は小さい頃からの許嫁だったが、2人で年を重ねながら愛を育みおしどり夫婦なのだ。
「ね~。お姉様羨ましいわ。向こうに行っても必ず手紙を送ってね。私も送るから!」
「ふふ、もちろんだよ。アンジェ。君は僕の大事な親友なんだから。」
「……うん。なんだかやっと実感が湧いてきてすごく寂しい。」
そう言ってアンジェは少し涙目になっていた。
そんな姿をみてシオンもつられそうになった。
それから二人は時間が許す限りたくさんの話をした。
そして次の朝。シオンが隣国へ出発する日が来た。
見送りにアレン夫婦とアンジェが来てくれた。最後に抱擁をする。
「…お父様はやっぱり来ないのですね。」
(期待していなかったが、最後くらいは顔くらい見たかったな。)
「シオン、お父様は決してお前の事をっ」
「大丈夫です。わかっています。」
「っ……。シオン、幸せになるんだぞ。何かあればすぐに知らせを入れてくれ。式典なので会う機会はたくさんあるだろう。披露宴楽しみにしているよ。」
「はい、アレン兄様。どうかお元気で。セディア義姉様、お子を楽しみにしております。身体を大事にしてください。」
「シオン、ありがとう。あなたの幸せを祈っているわ。」
「アンジェ、泣かないで。手紙すぐに送るから。」
「うん。絶対よ?」
「もちろん。君の幸せも願っているよ。」
「では、行って参ります。」
そうしてシオンは馬車に乗り込んだ。
三人が見えなくなるまで手を振り続けた。
ウィンザード皇国までは馬車で三日ほどかかる。
途中休憩をしながら宿泊施設などに泊まるそうだ。
シオンは馬車に揺られながらレイフォード殿下の事を考えていた。
(彼に恋をして愛す事ができるだろうか。そして、僕も愛を返してもらえるだろうか。)
暗い気持ちにならないようシオンは窓の外を眺め、アッシュベル国の風景を目に焼き付けた。
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