23 / 27
青春の一瞬
しおりを挟む
春は、別れと出会いの季節。
いつの間にか、二ヶ月後には三年生だ。
だが、その前に、先輩たちの卒業式がある。
けど、俺と庭理に仲の良い先輩はいない。
だから、卒業式が近いことに、とくに何か特別な気持ちを浮かべることは無かった。
「なぁ、美園、話がある」
それは、帰りのホームルームが終わり、帰宅しようと席をたった時。
「なんだ百合木」
「ここじゃなんだから、ちょっと来てくれ」
俺は百合木についてった。
たどり着いたのは、校舎裏。
百合木にベンチに座るよう促される。
俺への告白ではないようだが、一体話とはなんだろう。
「あのさ」
意を決した百合木が喋り出した。
「俺、三年の先輩で、好きな人がいるんだ」
「まじか。でもなんで俺に?」
率直な疑問だった。
「頼む!告白するの手伝ってくれ!」
百合木が手を合わせ、俺に迫る。
「いやいや、だからなんで俺?」
「だってお前彼女いるだろ?だからさ、なんつーか、良い告白の仕方とか教えてくれ!」
「彼女?そんなのいないけど」
本当はいるけど。
「えっ、だってバレンタインデーの時、ひとつは確実に貰えるって言ってたじゃんか。それって彼女からだろ?」
「えっ、いやそれはっ」
俺は言葉を詰まらせる。
「やっぱいるんじゃねぇか」
いるけれど、彼女は庭理ですって素直に言える訳もない。
「なぁ、明日ここで告白しようと思うんだけどさ」
「えっ、明日?」
「あぁ、3月に入る前に告白しとこうと思って」
「あ、そうですか」
「それでさ、練習相手とか、あと当日ここら辺で見ててくれよ」
「いや、練習相手はいいけど、なんで百合木がコクるとき俺いなきゃなんだよ」
俺が当然のように断る。
「頼む!一人じゃ小心細い!」
百合木の強い押しに負け、ついに俺は頷いてしまった。
次の日の放課後。
「結局昨日は俺相手に何回か告白の練習しただけだけど、大丈夫かな」
「大丈夫じゃない?」
何故か隣にいる庭理が、そう答える。
「......なんでいるんだよ」
「今日こそ一緒に帰りたいなって思って」
「いや、昨日は悪かったけど」
「ちょっ、お前ら静かにしといてくれよ!」
百合木が茂みに隠れている俺達に注意する。
それから俺達は律儀に黙りこんだ。
ぶっちゃけ、これからバイトだから早く終わらせてほしい。
その思いが伝わったのか、一人の女性が校舎の死角から現れた。
黒髪のロングで、抜群のスタイル。顔も綺麗に整っていて、かなりの美人だ。
百合木、この人と釣り合うのか?
そんな失礼なことを考えていると、百合木が緊張混じりに口を開く。
「来てくれてありがとうございます、峰月先輩っ......」
こんなに緊張している百合木は初めて見た。
俺が告白したときは、ここまで緊張していなかったが、なんかナルシストっぽいというかキザというか、おちゃらけた告白だったな。
ヤバい、思い出したら死にたくなってきた。
「どうしたの百合木君。話って」
峰月という先輩が、後ろで手を組ながら百合木に聞く。
「峰月先輩、前に助けてもらった時から好きです!付き合って下さい!」
そう言って、百合木は頭を下げる。
シンプルながらも想いの伝わりやすい良い告白だったと思う。
「ごめんなさい」
即答だった。
百合木は、うちのクラスでもモテる方だ。
バレンタインデーの時に貰っていたチョコもエグいくらいの数だったし、高身長で顔立ちも悪くない。
「あの、なんでか聞いてもいいですかね」
百合木が頭を下げたまま聞いた。
俺としても、気になる所だ。
「私、好きな人がいるの」
百合木は顔をしかめ、下唇を噛む。
「じゃあ、もういくね」
峰月先輩がそう言うと、足早に去っていった。
すると、百合木はゆっくりと頭を上げ、俺達に近づく。
「やっぱフラれちまった」
ぺかっと笑う百合木だが、その笑顔が心からのものではないと思えた。いや、誰でもそう感じるだろう。
「やっぱってことは、フラれるって薄々感じてたのか」
「ははっ、まぁな。峰月先輩に好きな人がいるってとこまで分かってた。けど、告白しときたかったんだ」
頬を掻きながら百合木はそう言う。
「あー、やっぱ峰月先輩には悪いことしたなぁ」
「ん?どういうこと?」
余程気になったのか、庭理が聞く。
「いや、だって相手からの告白断るのってさ。意外と心痛むんだよ」
成る程、百合木も何回か告白されてそうだし、そういう気持ちは結構分かるんだな。
「ってことで、二人とも、俺の心のケアよろしくー」
「成る程な、だから俺を見届け人に選んだわけか」
百合木がそうだと頷く。
流石に、フラれた後の百合木をほっとくわけにはいかないな。
「ちょっと待て、バイト先に電話してくる」
そう言い、俺はスマホを取り出す。
「えっ、美園今日バイトなんか?じゃあそっち優先してくれよ」
「いや、いいって今日くらい」
「俺の心が痛むの!これ以上俺に罪悪感を与えない為にも、行ってくれよ。なっ」
寂しそうな表情で言われるが、やはり気乗りはしなかった。
しかし、このままここに居座るわけにもいかず、俺はバイト先に向かった。
庭理も今日はバイトの為、そこへ向かう。
百合木、本当に大丈夫だろうか。
いつの間にか、二ヶ月後には三年生だ。
だが、その前に、先輩たちの卒業式がある。
けど、俺と庭理に仲の良い先輩はいない。
だから、卒業式が近いことに、とくに何か特別な気持ちを浮かべることは無かった。
「なぁ、美園、話がある」
それは、帰りのホームルームが終わり、帰宅しようと席をたった時。
「なんだ百合木」
「ここじゃなんだから、ちょっと来てくれ」
俺は百合木についてった。
たどり着いたのは、校舎裏。
百合木にベンチに座るよう促される。
俺への告白ではないようだが、一体話とはなんだろう。
「あのさ」
意を決した百合木が喋り出した。
「俺、三年の先輩で、好きな人がいるんだ」
「まじか。でもなんで俺に?」
率直な疑問だった。
「頼む!告白するの手伝ってくれ!」
百合木が手を合わせ、俺に迫る。
「いやいや、だからなんで俺?」
「だってお前彼女いるだろ?だからさ、なんつーか、良い告白の仕方とか教えてくれ!」
「彼女?そんなのいないけど」
本当はいるけど。
「えっ、だってバレンタインデーの時、ひとつは確実に貰えるって言ってたじゃんか。それって彼女からだろ?」
「えっ、いやそれはっ」
俺は言葉を詰まらせる。
「やっぱいるんじゃねぇか」
いるけれど、彼女は庭理ですって素直に言える訳もない。
「なぁ、明日ここで告白しようと思うんだけどさ」
「えっ、明日?」
「あぁ、3月に入る前に告白しとこうと思って」
「あ、そうですか」
「それでさ、練習相手とか、あと当日ここら辺で見ててくれよ」
「いや、練習相手はいいけど、なんで百合木がコクるとき俺いなきゃなんだよ」
俺が当然のように断る。
「頼む!一人じゃ小心細い!」
百合木の強い押しに負け、ついに俺は頷いてしまった。
次の日の放課後。
「結局昨日は俺相手に何回か告白の練習しただけだけど、大丈夫かな」
「大丈夫じゃない?」
何故か隣にいる庭理が、そう答える。
「......なんでいるんだよ」
「今日こそ一緒に帰りたいなって思って」
「いや、昨日は悪かったけど」
「ちょっ、お前ら静かにしといてくれよ!」
百合木が茂みに隠れている俺達に注意する。
それから俺達は律儀に黙りこんだ。
ぶっちゃけ、これからバイトだから早く終わらせてほしい。
その思いが伝わったのか、一人の女性が校舎の死角から現れた。
黒髪のロングで、抜群のスタイル。顔も綺麗に整っていて、かなりの美人だ。
百合木、この人と釣り合うのか?
そんな失礼なことを考えていると、百合木が緊張混じりに口を開く。
「来てくれてありがとうございます、峰月先輩っ......」
こんなに緊張している百合木は初めて見た。
俺が告白したときは、ここまで緊張していなかったが、なんかナルシストっぽいというかキザというか、おちゃらけた告白だったな。
ヤバい、思い出したら死にたくなってきた。
「どうしたの百合木君。話って」
峰月という先輩が、後ろで手を組ながら百合木に聞く。
「峰月先輩、前に助けてもらった時から好きです!付き合って下さい!」
そう言って、百合木は頭を下げる。
シンプルながらも想いの伝わりやすい良い告白だったと思う。
「ごめんなさい」
即答だった。
百合木は、うちのクラスでもモテる方だ。
バレンタインデーの時に貰っていたチョコもエグいくらいの数だったし、高身長で顔立ちも悪くない。
「あの、なんでか聞いてもいいですかね」
百合木が頭を下げたまま聞いた。
俺としても、気になる所だ。
「私、好きな人がいるの」
百合木は顔をしかめ、下唇を噛む。
「じゃあ、もういくね」
峰月先輩がそう言うと、足早に去っていった。
すると、百合木はゆっくりと頭を上げ、俺達に近づく。
「やっぱフラれちまった」
ぺかっと笑う百合木だが、その笑顔が心からのものではないと思えた。いや、誰でもそう感じるだろう。
「やっぱってことは、フラれるって薄々感じてたのか」
「ははっ、まぁな。峰月先輩に好きな人がいるってとこまで分かってた。けど、告白しときたかったんだ」
頬を掻きながら百合木はそう言う。
「あー、やっぱ峰月先輩には悪いことしたなぁ」
「ん?どういうこと?」
余程気になったのか、庭理が聞く。
「いや、だって相手からの告白断るのってさ。意外と心痛むんだよ」
成る程、百合木も何回か告白されてそうだし、そういう気持ちは結構分かるんだな。
「ってことで、二人とも、俺の心のケアよろしくー」
「成る程な、だから俺を見届け人に選んだわけか」
百合木がそうだと頷く。
流石に、フラれた後の百合木をほっとくわけにはいかないな。
「ちょっと待て、バイト先に電話してくる」
そう言い、俺はスマホを取り出す。
「えっ、美園今日バイトなんか?じゃあそっち優先してくれよ」
「いや、いいって今日くらい」
「俺の心が痛むの!これ以上俺に罪悪感を与えない為にも、行ってくれよ。なっ」
寂しそうな表情で言われるが、やはり気乗りはしなかった。
しかし、このままここに居座るわけにもいかず、俺はバイト先に向かった。
庭理も今日はバイトの為、そこへ向かう。
百合木、本当に大丈夫だろうか。
0
あなたにおすすめの小説
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
女の子がほとんど産まれない国に転生しました。
さくらもち
恋愛
何番煎じかのお話です。
100人に3~5人しか産まれない女の子は大切にされ一妻多夫制の国に産まれたのは前世の記憶、日本で亭主関白の旦那に嫁いびりと男尊女卑な家に嫁いで挙句栄養失調と過労死と言う令和になってもまだ昭和な家庭!でありえない最後を迎えてしまった清水 理央、享年44歳
そんな彼女を不憫に思った女神が自身の世界の女性至上主義な国に転生させたお話。
当面は2日に1話更新予定!
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる