転生悪魔の復讐譚

勇崎シュー

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08:操炎のルーンナイト

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 騎士の空からの斬撃を後ろに跳んでかわした俺は、躓きそうになりつつ、なんとか踏ん張り短剣を構える。

「……なるほど、近くで見て確信した。てめぇか、メイフィルをやったのは」

 メイフィル? 誰だ。
 俺は騎士が口にした者の正体について思惟する。
 そしてひとつの結論に至った。

「……あのエルフのことか」

 俺の返答により、騎士は眉間に皺を寄せた。

「その通りだ。てめぇだろ、やったのは、その剣が何よりの証拠だ」
「人聞きが悪いな。元はと言えばそっちが俺達の仲間を攻撃してきたからだろ。それに、こっちは殺してない」

 俺の言葉に、騎士は不機嫌な笑顔で嘲笑した。

「はっ、お前ら魔族は殺されて当然の種族だろ。なにせ、今まで何度も世界を滅ぼそうと画作してきたわけだしな」

 その話は聞いたことがある。確か、この世界は二度、魔王と称される存在によって滅ぼされかけたのだ。その度に、勇者と呼ばれるものが打ち倒すことによって防いできたらしいが。

「魔王と俺達はカンケーないだろ。人間だって、人殺しはいるだろ? だったら同じ人間族・・・のあんたも人殺しと同列と見ていいのか?」
「構わねぇさ。実際、このオレサマだって、仕方なく人を斬ったことがある。だが、魔族はそんなレベルじゃねぇだろ。面白がって人を虐殺し、命を弄び、世界を滅ぼすだ? そんな勝手なやつらのどこに同情できるっつんだ」

 騎士は驚く程早く返答した。
 正論、なのかもしれない。この騎士の述べたものは。

「それでも……」

 俺は奥歯を噛みしめた。

「それでも、魔族にだって良い奴はたくさんいるんだ。年長のタガは皆のアニキで面倒見もよくて、クラはいつもは大人しい癖に、誰かが喧嘩すると真っ先に仲裁に入るし、メオは誰よりも勉強ができて、色んなこと教えてくれて、リグは親友で、アミちゃんは普段キツイこと言ったりもするけど、本当はすっげぇ優しい良い子で……」

 俺の話しに飽きたのか、騎士が剣を振りかぶり迫ってきた。
 聞けよ、話は最後まで。
 俺は沸騰するように怒りが込み上げてきた。

「お前らが、奪ったんだッ! 陰牙ァッ!」

 俺は降り下ろされた綺麗な軌道の剣を陰牙で弾く。

「なっ……?」

 驚いているようだが、まだ終わんねぇよ。
 日陰神明流、二ノ技━━

「漠引!」

 俺は突いた剣を裂くように引く。
 騎士は、これを身をよじって肩の鎧に当てさせ致命傷を避けた。
 ━━だが、まだだ。

「日陰神明流、三ノ技━━」

 俺は剣を引き抜いた勢いそのまま、むしろ力を更に込め、放つ。

「━━裏穿うらうがちッ!」

 俺は身体を右回りに回転させ、低い斬撃を繰り出す。
 ガキィンッ、と鋼の音が辺り轟いた。
 つまり━━

「なるほど、お前、やっぱ強いな。魔族のガキの癖に」
「…………これも捌ききるのかよっ……!」

 俺は吼えるように毒づいた。
 騎士は弾いた筈の剣で、俺の剣技━━裏穿を真っ向から受け止めた。
 俺の現在放てる剣技の全てを持ってしても、この騎士ひとり、倒せないとは……。

「魔族じゃなけりゃ、弟子にしてぇくらいだ」

 軽い絶望に浸っていると、騎士は俺の剣をピシッと跳ねた。
 瞬間、騎士は俺の胸に向けて剣を突けてきた。
 これは、もう━━

「ちっ」

 騎士は舌打ちしながら、後方に跳びずさった。
 そして、俺の目の前を突風が横切り、地面に獣のような爪痕を遺す。

「諦めちゃ駄目だ、ヴル……!」

 リグ。またリグに助けられた。

「地味に邪魔だな、おまえ」

 剣をぶら下げながら、騎士はリグを睨んだ。
 俺は慌ててリグの前に出る。

「今さら無駄だ。不本意な勝ち方になるが、おまえ達の負けは確定だ。何故なら、さっきの剣戟を聞き付けた仲間が駆けつけにくる。流石に、数で劣っちゃお前らも無理だろ」

 それは、俺もわかっていた。戦いが長引くと、応援が駆けつけてしまう恐れ。
 元々騎士を呼びつけない為に、アングリズリーを秒殺したのだ。それなのに、これでは意味がない。

 ━━逃げる? でも、今逃げるとアミちゃんを置いていく、否、見棄てることになる。
 そんなこと、死んでも嫌だ。

 ならば戦うしか無いが、使える技は出し切った。ここからどうすれば。
 何も案が出てこない。くそっ、くそっ、くそっ! 焦っている。落ち着け。でも、技の連続使用で体力も疲弊している。リグも、殺傷力のある魔法はそもそもあまり使ってこなかったし、乱発させるとすぐくたばってしまうだろう。

「ヴル、良い案がある」

 俺は何故か動こうとしない騎士を見据えたまま、リグの言葉に驚いた。

「マジか。なんだその案って」

 リグは、一度空気を吸った。そんな音がした。

「僕が戦うから、ヴルはその間に、アミちゃんと逃げて」
「……………………はっ?」
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