9 / 9
09 任務、遠征
しおりを挟む
「はァッ!」
俺は剣に闇を纏わせ、前方宙返りをしながら《シバルリルゴーレム》の右腕の付け根を斬りつけた。
鋼のような素材で構築されているそれは、鈍い音と共に石タイルの張られている地面に落下する。
右腕を失ったゴーレムは、狼狽えたのか、或いは急に変わったバランスに対応仕切れなかったのか、一瞬動きを止めた。
「今だサクト!」
「うん。わかってる!」
ゴーレムの後方に潜んでいたサクトは、背中の傷のある部位に跳躍し、紫色の光を帯びた短剣を突き刺した。確かあれは斬属性スキルの《リニック》。短剣専用の軽攻撃である。
そのリニックを諸に喰らったゴーレムは、重音の断末魔を遂げながら、その場に転げ伏した。
「ナイス、サクト」
俺はサクトとハイタッチを交わした。
「よし、この調子で今日中にはこの森を抜けよう」
この森、初クエストの時とは違う、おどろおどろしい森を見回してみる。
初クエストの時の森とは違い霧は無いが、まず所々に生えている木が不気味だ。まるで枯れかけの杉のような木と、まだ昼間である筈なのに少し薄暗い所が、どうも不安を煽るのだ。
何故俺達がこんな場所にいるのかというと、話は数日前に遡る。
魔王軍に入隊してから、早三ヶ月経った。
三ヶ月も経つと流石にこの世界にも慣れ始め、順調にクエストもこなせるようになってきた。そう実感を感じていたある日。
「アッシュ、魔王様直々のクエストだって」
サクトの元に、とあるクエストが届いたのである。
その内容は、簡単に説明してしまうと、とある魔剣の情報が手に入ったから、調査してほしいとのことだ。
その調査場所が、この薄気味悪いこの森の先にある遺跡なのだが……。
「サクトぉ、まだ着かないの? だいぶ歩いたと思うんだけど……」
疎らに敷かれている石タイルを踏みながら、俺はサクトにそう質した。
「うーん。でも、ゴーレムも頻繁に出るようになったし、もうそろそろ着くと思うよ?」
先程も同じような質問をして、同じような返答が帰って来たことに対し、俺は軽く項垂れた。
確かにゴーレムは多く出くわすようになった。ここらのゴーレムは基本遺跡を守る為に造られたゴーレムなので、遺跡に近いほど多くのゴーレムが配置されている寸法なのである。
「っと、噂をすれば……アッシュ、いくよ」
サクトが短剣を構え、前方を睨んだ。その視線の先には、ひとつ目を赤く光らせるゴーレムが向かってきていた。
あの重厚な白く艶めく物質で出来ているゴーレムは、先程も戦った《シバルリルゴーレム》だ。
「さっきと同じ作戦……だよな?」
「うん。油断はせずにね」
念を押したサクトは、そのままゴーレムに突っ込んでいった。俺も後から追い駆ける。
サクトがゴーレムの攻撃範囲内まで接近すると、ゴーレムの殴り攻撃を避け、頭上に跳んだ。飛び越える間際に、頭を短剣の柄で殴りつけた。いくら打属性が有効なゴーレムでも、あれでは大きなダメージは与えられない。
しかし、サクトもそんなことはわかりきっている。俺はサクトに気を取られているゴーレムに、《シュライド》を見舞った。
この際、呪文は使わなかった。俺はジョブを《バーサーカー》から上位職である《ドレッドナイト》に転職したからである。
上位職になると、スキル発動の為に必要な呪文を唱える必要が無くなるのだ。つまり、よりスピーディーな戦闘が行えるようになる。ロストアースではそんな機能無かった筈だが、まぁ、気に留めないようにしよう。
「ガガッ……!」
俺のシュライドを受けたゴーレムは、僅かながらに仰け反った。
すると、ゴーレムの背後でスキルの駆動音が響いた。その瞬間、梔子色の二撃がゴーレムを襲った。あれは短剣専用斬属性スキル《イクスターヴ》だ。X字の刺突で攻撃する。中々に華のあるスキルである。
そのイクスターヴで弱点であるヒビに的確に突き刺されたゴーレムは、その場で崩れた。因みに、この前の戦闘もサクトがヒビに突き刺し倒したのだ。
「さて、本格的にゴーレムも増え出したし、本当に近いな、遺跡」
サクトは遺跡のある方角を見据え、そう呟いた。
「四日歩いて、やっと到着ですか……」
俺は意味もなく敬語でそう呟いた。
俺は剣に闇を纏わせ、前方宙返りをしながら《シバルリルゴーレム》の右腕の付け根を斬りつけた。
鋼のような素材で構築されているそれは、鈍い音と共に石タイルの張られている地面に落下する。
右腕を失ったゴーレムは、狼狽えたのか、或いは急に変わったバランスに対応仕切れなかったのか、一瞬動きを止めた。
「今だサクト!」
「うん。わかってる!」
ゴーレムの後方に潜んでいたサクトは、背中の傷のある部位に跳躍し、紫色の光を帯びた短剣を突き刺した。確かあれは斬属性スキルの《リニック》。短剣専用の軽攻撃である。
そのリニックを諸に喰らったゴーレムは、重音の断末魔を遂げながら、その場に転げ伏した。
「ナイス、サクト」
俺はサクトとハイタッチを交わした。
「よし、この調子で今日中にはこの森を抜けよう」
この森、初クエストの時とは違う、おどろおどろしい森を見回してみる。
初クエストの時の森とは違い霧は無いが、まず所々に生えている木が不気味だ。まるで枯れかけの杉のような木と、まだ昼間である筈なのに少し薄暗い所が、どうも不安を煽るのだ。
何故俺達がこんな場所にいるのかというと、話は数日前に遡る。
魔王軍に入隊してから、早三ヶ月経った。
三ヶ月も経つと流石にこの世界にも慣れ始め、順調にクエストもこなせるようになってきた。そう実感を感じていたある日。
「アッシュ、魔王様直々のクエストだって」
サクトの元に、とあるクエストが届いたのである。
その内容は、簡単に説明してしまうと、とある魔剣の情報が手に入ったから、調査してほしいとのことだ。
その調査場所が、この薄気味悪いこの森の先にある遺跡なのだが……。
「サクトぉ、まだ着かないの? だいぶ歩いたと思うんだけど……」
疎らに敷かれている石タイルを踏みながら、俺はサクトにそう質した。
「うーん。でも、ゴーレムも頻繁に出るようになったし、もうそろそろ着くと思うよ?」
先程も同じような質問をして、同じような返答が帰って来たことに対し、俺は軽く項垂れた。
確かにゴーレムは多く出くわすようになった。ここらのゴーレムは基本遺跡を守る為に造られたゴーレムなので、遺跡に近いほど多くのゴーレムが配置されている寸法なのである。
「っと、噂をすれば……アッシュ、いくよ」
サクトが短剣を構え、前方を睨んだ。その視線の先には、ひとつ目を赤く光らせるゴーレムが向かってきていた。
あの重厚な白く艶めく物質で出来ているゴーレムは、先程も戦った《シバルリルゴーレム》だ。
「さっきと同じ作戦……だよな?」
「うん。油断はせずにね」
念を押したサクトは、そのままゴーレムに突っ込んでいった。俺も後から追い駆ける。
サクトがゴーレムの攻撃範囲内まで接近すると、ゴーレムの殴り攻撃を避け、頭上に跳んだ。飛び越える間際に、頭を短剣の柄で殴りつけた。いくら打属性が有効なゴーレムでも、あれでは大きなダメージは与えられない。
しかし、サクトもそんなことはわかりきっている。俺はサクトに気を取られているゴーレムに、《シュライド》を見舞った。
この際、呪文は使わなかった。俺はジョブを《バーサーカー》から上位職である《ドレッドナイト》に転職したからである。
上位職になると、スキル発動の為に必要な呪文を唱える必要が無くなるのだ。つまり、よりスピーディーな戦闘が行えるようになる。ロストアースではそんな機能無かった筈だが、まぁ、気に留めないようにしよう。
「ガガッ……!」
俺のシュライドを受けたゴーレムは、僅かながらに仰け反った。
すると、ゴーレムの背後でスキルの駆動音が響いた。その瞬間、梔子色の二撃がゴーレムを襲った。あれは短剣専用斬属性スキル《イクスターヴ》だ。X字の刺突で攻撃する。中々に華のあるスキルである。
そのイクスターヴで弱点であるヒビに的確に突き刺されたゴーレムは、その場で崩れた。因みに、この前の戦闘もサクトがヒビに突き刺し倒したのだ。
「さて、本格的にゴーレムも増え出したし、本当に近いな、遺跡」
サクトは遺跡のある方角を見据え、そう呟いた。
「四日歩いて、やっと到着ですか……」
俺は意味もなく敬語でそう呟いた。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
異世界魔物大図鑑 転生したら魔物使いとかいう職業になった俺は、とりあえず魔物を育てながら図鑑的なモノを作る事にしました
おーるぼん
ファンタジー
主人公は俺、43歳独身久保田トシオだ。
人生に疲れて自ら命を絶とうとしていた所、それに失敗(というか妨害された)して異世界に辿り着いた。
最初は夢かと思っていたこの世界だが、どうやらそうではなかったらしい、しかも俺は魔物使いとか言う就いた覚えもない職業になっていた。
おまけにそれが判明したと同時に雑魚魔物使いだと罵倒される始末……随分とふざけた世界である。
だが……ここは現実の世界なんかよりもずっと面白い。
俺はこの世界で仲間たちと共に生きていこうと思う。
これは、そんなしがない中年である俺が四苦八苦しながらもセカンドライフを楽しんでいるだけの物語である。
……分かっている、『図鑑要素が全くないじゃないか!』と言いたいんだろう?
そこは勘弁してほしい、だってこれから俺が作り始めるんだから。
※他サイト様にも同時掲載しています。
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
趣味で人助けをしていたギルマス、気付いたら愛の重い最強メンバーに囲まれていた
歩く魚
ファンタジー
働きたくない元社畜、異世界で見つけた最適解は――「助成金で生きる」ことだった。
剣と魔法の世界に転生したシンは、冒険者として下積みを積み、ついに夢を叶える。
それは、国家公認の助成金付き制度――ギルド経営によって、働かずに暮らすこと。
そして、その傍で自らの歪んだ性癖を満たすため、誰に頼まれたわけでもない人助けを続けていたがーー
「ご命令と解釈しました、シン様」
「……あなたの命、私に預けてくれるんでしょ?」
次第にギルドには、主人公に執着するメンバーたちが集まり始め、気がつけばギルドは、愛の重い最強集団になっていた。
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
転生したら、伯爵家の嫡子で勝ち組!だけど脳内に神様ぽいのが囁いて、色々依頼する。これって異世界ブラック企業?それとも社畜?誰か助けて
ゆうた
ファンタジー
森の国編 ヴェルトゥール王国戦記
大学2年生の誠一は、大学生活をまったりと過ごしていた。
それが何の因果か、異世界に突然、転生してしまった。
生まれも育ちも恵まれた環境の伯爵家の嫡男に転生したから、
まったりのんびりライフを楽しもうとしていた。
しかし、なぜか脳に直接、神様ぽいのから、四六時中、依頼がくる。
無視すると、身体中がキリキリと痛むし、うるさいしで、依頼をこなす。
これって異世界ブラック企業?神様の社畜的な感じ?
依頼をこなしてると、いつの間か英雄扱いで、
いろんな所から依頼がひっきりなし舞い込む。
誰かこの悪循環、何とかして!
まったりどころか、ヘロヘロな毎日!誰か助けて
ダンジョンを拾ったので、スキル〈ホームセンター〉で好き勝手リフォームします
ランド犬
ファンタジー
異世界に転移した佐々木悠人は、召喚でも勇者でもなかった。ただ迷い込んだ先で見つけたのは、王都を望む郊外にひっそりと口を開けるダンジョン。足を踏み入れた瞬間、発動したスキルは
――〈ホームセンター〉
壁を張り替え、部屋を増やし、畑や牧場、カフェまで作れる不可思議な力だった。
気ままに始めたリフォームは、もふもふなネコミミ獣人の少女との出会いをきっかけに、思わぬ変化を呼び始める。
拡張され続けるダンジョンの先で、悠人が作り上げる“住める迷宮”とは――?
世界最強の七賢者がお世話係の俺にだけはデレデレすぎる件
Y.
ファンタジー
国の頂点に君臨し、神にも等しい力を持つ『七賢者』。
火・水・風・土・光・闇・氷の属性を極めた彼女たちは、畏怖の対象として国民から崇められていた。
――だが、その「聖域」の扉を一枚隔てた先では、とんでもない光景が広がっていた。
「アルトぉ、この服脱がせてー。熱いから魔法で燃やしちゃった」
「……アルトが隣にいないと、私、一生布団から出ないから」
「いいじゃない、減るもんじゃないし。さあ、私と混ざり合いましょう?」
彼女たちの正体は、私生活が壊滅的にポンコツで、特定の一人に依存しきったデレデレな美少女たちだった!
魔法の才能ゼロの雑用係・アルトは、世界で唯一「彼女たちの暴走魔力に耐えられる」という理由で、24時間体制の身の回りのお世話をすることに。
着替え、食事の介助、添い寝(!?)まで……。
世界最強の7人に取り合われ、振り回され、いじり倒される。
胃袋と心根をガッチリ掴んだお世話係と、愛が重すぎる最強ヒロインたちによる、至福の異世界ハーレムラブコメ、開幕!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる