他の何よりアイが欲しい。R15

勇崎シュー

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十五話 聖なる夜に

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「綺麗」
 イルミネーションを見上げながら、庭理がそう呟く。
「ああ」
 同じくイルミネーションを見上げている俺は、庭理に同感していた。
 ここは小さな遊園地だ。
 ここら辺ではまぁまぁ知られていて、小さいと言っても、ちゃんとアトラクションはある。
 この遊園地では、クリスマスまでの一週間限定で、イルミネーションが灯る。
「後で百合木くんに感謝しないとね」
 この遊園は、勉強のお礼にと百合木に教えてもらった所の一つなのだ。
「そうだな。ま、今回は友達としてのデートってのが、ちょっと虚しいけどな」
 そう、ここは以前俺達が東京に行った時ほど遠くにあるわけではない。
 つまり何が言いたいかというと、クラスメイトとか知り合いに遭遇する可能性が高いのだ。
 だから今回庭理は、男の格好をしている。
「海斗、次はコーヒーカップに乗ろ」
 庭理が俺の袖をくいくいと引き、急かしてくる。
「うし、行くか」
 小さい遊園地だからか、人は少ない。
 少ないと言っても、やはり多くのカップルがクリスマスをこの場で楽しんでいた。
「まいど」
 受付に金を払い、コーヒーカップに乗る。
「あ、そういや俺、コーヒーカップに乗るの初めてだ」
「えっ、そうなんだ」
 まぁ、なんで初めてかと追求されたら暗い話になるので、取り敢えずこの場を楽しむことにした。
「庭理!庭理!早い早い!酔う酔う!てか吐く!」
「はははっ、楽しー!」
 思い切りコーヒーカップを満喫(?)した俺達は、近くのベンチで休憩していた。
「あら?あらあら?貴方達は」
 不意に声をかけられ、見てみると。
「こんなところで偶然ね」
 この世で一番会いたくない人とあってしまった。
「あ、根津先生」
 そう、保健室にいた、腐っている先生である。
 てか根津って言うんだなこの先生。
「どうしたの男二人でこんな所に。もしかしてデート?」
「そうです」
「おいっ! 違うだろ庭理!」
 本当は違くないけど!
「俺達は彼女もいない寂しいクリスマスを紛らわす為に、こうして二人で来てるんですよ」
「成る程、要するにデートね」
「だからちげぇよ!」
 思わずキレる俺に先生がまぁまぁと抑制した。
「いやー、それにしてもやっぱり良いわね貴方達実にいいわまさか現実でこんなにも......」
 先生が早口になったら逃げる合図だ、と前回学んだ俺は、庭理の手を引き逃げた。
「庭理、観覧車に逃げるぞ」
「あっ、うん」
 コーヒーカップ同様、受付に金を払い観覧車に乗車する。
「ふー、やっと逃げれた」
 俺は静かに腰を下ろす。
 庭理は向かい側に座っていた。
「それにしても庭理、なんであの先生の名前知ってたんだ?」
「ん?根津香苗ねづかなえ先生のこと?」
 俺はうんと頷く。
「いや、ねづ先生に限らず先生の名前は全員覚えているよ」
 なにそれ凄い。
「庭理、話変わるけど、隣座っていいか」
 そう聞くと、庭理はびくりと身体を震わせ、「どうぞ」と頷いた。
「庭理、メリークリスマス」
 俺はそう言い、ポケットから四角形のケースを取り出す。
「これ、ミサンガ。庭理の手編みマフラーに比べたらちっぽけで悪いけど、貰ってくれ」
「ちっぽけなんてそんな......凄く嬉しいよ」
 庭理は頬を赤くし、ミサンガに手を伸ばした。
「あれ?二つ入ってるよ」
「あ、一個は俺の。今までお揃いのやつとか持って無かったからさ」
 そう言い、俺はミサンガを一つ摘まむ。
 それに習い庭理もミサンガを手に取った。
「ミサンガはさ、これ自身が切れたら、願いが叶うんだって」
 俺が少し自慢げに庭理に話す。
「成る程、じゃあ何お願いしようかなぁ」
 庭理は少し悩んだあと、あっ、と何かを思いつき、ミサンガを手にはめた。
「何お願いしたんだ?」
 俺が庭理に聞くと、庭理は可愛らしく人差し指を唇に当て、
「ナイショ」
 と言った。
 くそ、男装してるのに可愛い。
 そんなこんなで、観覧車は下に着いた。
「そろそろ夜中だし、帰るか」
 庭理にそう提案しながら観覧車から離れると、目の前に根津先生が立っていた。
「貴方達、やっぱりそういう関係だったんじゃない」
 えっ。
「先生、あんたまさか......」
「ええ、見てたわよ。観覧車でしてたこと。最初から全部」
 俺と庭理は青ざめた。
「安心なさい!勿論誰にも言わないわそれにプレゼントをあげるだなんてホントに男らしいわね美園君ええとっても素敵よ貴方達もう......」
「このストーカーババアがああああああぁっ!!」
 俺は気がつけば、自身の靴を先生に投げつけていた。
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