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二章ー止まない街ー
33 路地裏エンカウント
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とある事を思い出した俺は、瞑っていた目を見開いてユズリの両肩を掴んだ。
「ユズリ、玄関の所でメモみたいなの拾ってたよな。今持ってる?」
一瞬身体を震わせたが、同じくメモの存在を思い出したらしくポケットを漁り始める。
「あった。でも、そんな都合よく手がかりになる事が書かれているかな?」
「まぁ、そこは神頼みだね。取り敢えず読んでみようよ」
頷く彼女がメモを広げ、俺も近づいて文字を確認した。
異世界の文字が書かれているが、何故かその意味が何となく分かる。どうにも気持ちの悪い感覚だが、これも恐らく転移者の特典だろう。
「このメモによると、ヴェルギさんは今日の夜誰かと会う予定だったみたいね」
「場所は……バーか。俺未成年だけど入れるかな」
と、同じく未成年であろう彼女に顔を向けると、背後から迫る影に気がつく。
そして、俺とユズリは同じタイミングで目を見開いて……。
「《剣招来》ッ!」
「危ないっ!」
二人で叫びつつ、己が剣で互いに迫られていた敵の魔の手を防ぐのだった。
「チィッ!」
「気づかれたかっ!」
同時に伸びのく何者かに剣を向けつつ、俺達は背中を合わせる。
「任せていい?」
「相手が一人なら負けないわ」
簡潔に話を済ませた俺達は、精神を研ぎ澄ませ、辺りの雨が制止するまで脳を加速させると……。
同じタイミングで、淀みを踏みしめ前へ出る。
「う、おぉッ!」
咆哮と共に全身を奮起させ、しかし四割程の力で袈裟斬りを打ち込む。
悪魔の様な姿をした敵は、鳥類を思わせる左手で攻撃を凌いだ。その為次元の裂け目も出現しない。
「ケッ、この程度かァ?」
俺と同じくフードを深く被っているため目元は見えないが、笑顔の奥にある鋭利な牙は確認出来た。
やはりこいつは……人間じゃない。けれど、モンスターにしては言葉が流暢過ぎる。一体何者だ。
その答えを探るべく、防がれた剣に力を込めつつ質す。
「お前は、一体……?」
「ケッ、テメーはそれを知らずに死ぬんだよォ!」
がら空きの右手から拳が飛んで来るが、ある程度予想していた俺は難なく躱す。
今度はこちらから五割程の力を込め右払いするが、これも受け止められる。
出来ることならば全開で撃ち込みたいが、あまりに大きい裂け目を作ってしまうと背後で戦っているユズリに影響を与えかねない。
いっそ身一つで突撃するか迷うが、つい最近まで死闘のない温い生活を送っていた高校生がそれをしても特攻にしかならないだろう。
そんな俺の思考に気づいてか……。
「こっちは終わったわ!」
早! と思うが、彼女の実力であれば納得出来る。
ユズリも俺の同じく多数相手では本領を発揮できないタチなのだが、逆に相手が単騎ならばその力を存分に出せるのだ。
それは、毎日訓練を受けている俺がよく分かっていた。
「どぅらぁあああああっ!」
彼女ばかりにいい格好させられない俺は、ここぞとばかりに剣を振るう。
敵は余裕で後方に下がり直撃を避けるが、直後目の前に一メートル程の次元の裂け目が現れた。
「ケッ、なんだこりゃ!?」
瞬間、引き付けられる敵。
俺は勝利を確信するが……。
「なっ……?」
突如、敵と裂け目との間に氷塊が撃ち放たれる。
そのせいで相手を別次元へ送る前に裂け目は閉じてしまった。
次の瞬間に氷はひび割れ、粉々に砕き辺りが点々と輝くが、その先に敵の姿は見えない。
まさか、と振り向くと、やはりユズリが相手していた男も身を消していた。
アイツらの奥の手か、それとも。
しかし、それ以上推察はさせないと言わんばかりの声が耳を突いた。
「こっちだ、行くぞー!」
これは、恐らく騎士の声。
折角変装したのに、見つかっては元も子も無い。それはユズリも分かっているので、二人でまたも路地を駆ける。
しかし、先程戦闘したばかりだからか一向に撒ききれない。
どこかへ一旦身を隠せないか辺りを見回すと……。
「こっちだ!」
少年めいた声が、俺たちを呼んだ。
「ユズリ、玄関の所でメモみたいなの拾ってたよな。今持ってる?」
一瞬身体を震わせたが、同じくメモの存在を思い出したらしくポケットを漁り始める。
「あった。でも、そんな都合よく手がかりになる事が書かれているかな?」
「まぁ、そこは神頼みだね。取り敢えず読んでみようよ」
頷く彼女がメモを広げ、俺も近づいて文字を確認した。
異世界の文字が書かれているが、何故かその意味が何となく分かる。どうにも気持ちの悪い感覚だが、これも恐らく転移者の特典だろう。
「このメモによると、ヴェルギさんは今日の夜誰かと会う予定だったみたいね」
「場所は……バーか。俺未成年だけど入れるかな」
と、同じく未成年であろう彼女に顔を向けると、背後から迫る影に気がつく。
そして、俺とユズリは同じタイミングで目を見開いて……。
「《剣招来》ッ!」
「危ないっ!」
二人で叫びつつ、己が剣で互いに迫られていた敵の魔の手を防ぐのだった。
「チィッ!」
「気づかれたかっ!」
同時に伸びのく何者かに剣を向けつつ、俺達は背中を合わせる。
「任せていい?」
「相手が一人なら負けないわ」
簡潔に話を済ませた俺達は、精神を研ぎ澄ませ、辺りの雨が制止するまで脳を加速させると……。
同じタイミングで、淀みを踏みしめ前へ出る。
「う、おぉッ!」
咆哮と共に全身を奮起させ、しかし四割程の力で袈裟斬りを打ち込む。
悪魔の様な姿をした敵は、鳥類を思わせる左手で攻撃を凌いだ。その為次元の裂け目も出現しない。
「ケッ、この程度かァ?」
俺と同じくフードを深く被っているため目元は見えないが、笑顔の奥にある鋭利な牙は確認出来た。
やはりこいつは……人間じゃない。けれど、モンスターにしては言葉が流暢過ぎる。一体何者だ。
その答えを探るべく、防がれた剣に力を込めつつ質す。
「お前は、一体……?」
「ケッ、テメーはそれを知らずに死ぬんだよォ!」
がら空きの右手から拳が飛んで来るが、ある程度予想していた俺は難なく躱す。
今度はこちらから五割程の力を込め右払いするが、これも受け止められる。
出来ることならば全開で撃ち込みたいが、あまりに大きい裂け目を作ってしまうと背後で戦っているユズリに影響を与えかねない。
いっそ身一つで突撃するか迷うが、つい最近まで死闘のない温い生活を送っていた高校生がそれをしても特攻にしかならないだろう。
そんな俺の思考に気づいてか……。
「こっちは終わったわ!」
早! と思うが、彼女の実力であれば納得出来る。
ユズリも俺の同じく多数相手では本領を発揮できないタチなのだが、逆に相手が単騎ならばその力を存分に出せるのだ。
それは、毎日訓練を受けている俺がよく分かっていた。
「どぅらぁあああああっ!」
彼女ばかりにいい格好させられない俺は、ここぞとばかりに剣を振るう。
敵は余裕で後方に下がり直撃を避けるが、直後目の前に一メートル程の次元の裂け目が現れた。
「ケッ、なんだこりゃ!?」
瞬間、引き付けられる敵。
俺は勝利を確信するが……。
「なっ……?」
突如、敵と裂け目との間に氷塊が撃ち放たれる。
そのせいで相手を別次元へ送る前に裂け目は閉じてしまった。
次の瞬間に氷はひび割れ、粉々に砕き辺りが点々と輝くが、その先に敵の姿は見えない。
まさか、と振り向くと、やはりユズリが相手していた男も身を消していた。
アイツらの奥の手か、それとも。
しかし、それ以上推察はさせないと言わんばかりの声が耳を突いた。
「こっちだ、行くぞー!」
これは、恐らく騎士の声。
折角変装したのに、見つかっては元も子も無い。それはユズリも分かっているので、二人でまたも路地を駆ける。
しかし、先程戦闘したばかりだからか一向に撒ききれない。
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「こっちだ!」
少年めいた声が、俺たちを呼んだ。
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