レベル“0”ですが、最強です。

勇崎シュー

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二章ー止まない街ー

35 雨下の攻防

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「くっ……!」

 バーに彼女が居ないことを確認した俺は、バネの如く店から飛び出した。
 どこへ行った。まさか、騎士達に連行された? それとも、魔王軍に拉致されたのか?
 悪いイメージばかりが脳を往来し、耐えきれなくなった俺は雨の中再び駆けた。

 全力で彼女の名を叫びたかったが、それだと騎士団に見つかってしまう。
 俺は歯痒い気持ちを噛み締めつつ彼女の影を追った。

「どこだ……どこだよっ……!」

 焦燥感に胸が焼かれそうになったその時。
 不意に、俺の肩が叩かれた。
 騎士に見つかったか? という懸念に汗が噴き出しそうになりつつ振り返る。

「ごめん。私を探してたんだよね」
「……っ、ユズリ!」

 ごく小さい声で彼女の名を叫び、安堵した。

「貴方を待っている間、メモに書いてある通りの服装の人が来たの。ヴェルギさんが居なかったからか、直ぐに店を出ていったけど……怪しかったから、付けてみたんだ」
「ちょ、接触はするなって……」
「勿論、何かあっても手を出すつもりは無かったわ。ただ、何かしら情報を掴めると思ったの」

 本気で心配していた身としては煮え切らないものがあるが、うだうだ言っても仕方がないので今回は呑み込む。

「それで、どうだった?」
「今回の事件には関係無い人だったみたい」

 そうか、と肩を落としかけるも、まだ希望が残されている事を思い出す。

「実は、俺が追いかけた人の様子が変でさ、きっと何かしらの情報を持ってるんだ。今から戻ろう」

 頷く彼女と共に先程の裏路地に入って行く。
 記憶を頼りに雨を切って進み、最後の角を曲がると……。

 そこには、高貴そうかつ雅な黒い礼服を来た青髪白肌の高身長な男が立っていた。
 更に男の足元には、俺が戦った男が、大量の血を流しているのだった。

「な、お、お前……!?」

 それだけどうにか口にすると、男は慇懃に振り向いてくる。
 青く長い髪をたなびかせ、こちらに一瞥くれると小さく息を吐いた。

「成程……貴様が勇者か。やはり少々面倒な者が舞い込んできたようだな」

 今までの敵と違い、落ち着いた雰囲気を醸し出す相手に脈が早くなる。

「それよりあんた、その人……!」

 俺は凍てつく空気感に負けないよう踏ん張り、腹に巨大な穴を開けられた男性に目を繰べた。

「あぁ、コレは力に順応したものの、頭の方は不出来だったようでな。使えなさそうだったので、処分した」

 その言葉で、察する。
 こいつは、人間の事を物扱い……又はそれ以下として扱っているのだと。
 同じく人間である俺としては、身の毛もよだつ程の感情が浮かび上がる。

「……どうやらあんたを放っておくと、ヤバいらしいな」
「それは……こちらとて同じだ」

 俺はユズリに下がるよう言ってから、いつでも剣を呼べるよう構えた。
 敵も青い髪をたなびかせながら、いつでも魔法を放てるよう構える。
 お互いが出方を窺い、その一挙手一投足に視線を送り合うと、その場の体感温度がみるみる下がっていく。
 そして、奴の右手が僅かに動いたところで。

「ふッ!」
「《剣招来ブレイドコール》ッ!」

 別次元から召喚した黒剣で空間を切り裂き、敵から放たれた氷塊を呑み込ませる。
 敵は更に追撃をしようとするも……。

「……っ! な、何故貴様が、あの方の剣を持っている!?」

 男は白い肌をさらに青ざめさせ、俺の剣を凝視する。

「……? あんた、この剣について何か知ってるのか?」
「な、知っているも何も……」

 男が何かを喋りかけたところで、不意に顔を上へと向けた。
 そして目の前の敵が後方へ跳躍すると、何かがその場へ振り下ろされ、劈く金属音が地面を抉る。
 一体誰が、何を。

「見つけたぞ、ガンゾルド! 今日こそ貴様を地獄へ送り返してやる……!」

 長身でハスキーボイスの女性が、俺に背を向け敵へと憤怒の視線を送った。
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