レベル“0”ですが、最強です。

勇崎シュー

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二章ー止まない街ー

36 隠れ家って憧れるよね。

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 俺と謎の氷使いの交戦中、突如何者かが乱入する。

「見つけたぞ、ガンゾルド! 今日こそ貴様を地獄へ送り返してやる……!」

 長身でハスキーボイスの女性が、俺に背を向け敵へと憤怒の視線を送り、手に持つナイフを向けた。

「……また貴様か。ふむ、この場で処するのは容易いが、それでは後のパーティーの盛り上がりが欠けてしまうな」
「アンタはまた、そうやって人を……!」

 あくまで愉しむ為に戦闘をするガンゾルドという名らしき人物と、底知れない怒りを滲ませる女性のナイフ使い。
 どこか対称的な二人の様子を観察し続けていると、不意に男が顔を僅かに歪めた。

「ふむ、勇者だけでも亡き者にしたかったが、まぁいい。今回は見逃がしてやる」
「なっ、逃げる気か!」

 女性が叫ぶと同時に、男は指を鳴らした。すると辺りがダイヤモンドダストの如く眩く輝き、男はいつの間にかその姿を消している。
 当然の様に耐水性フードを被っている女性は、その手のナイフをだらんと下げた。
 そして、溜息を吐いてからこちらに振り向く。

「……貴方達か、近頃この街を嗅ぎ回っている連中というのは」

 初めてその顔が見えるが、印象としてはやや窶れており、白に近い橙の肌、短く灰色の髪とヘーゼルの瞳が更にそれを助長させていた。
 見た目は人間のようだが、先程の発言を鑑みるとまだ味方だと断定は出来ない。

「そう固くならずとも……あぁ、そういえば名乗って無かったな」

 女性は軽く長いまつ毛を伏せ、再び顔を上げてから自らの立場を名乗った。

「私はユフネ。この街の……レジスタンスの隊長を任されている」
「……レジ、スタンス……?」

 直ぐに状況を呑み込めなかった俺たちは、互いの顔を見合わせた。








「この大男がバスターヴで、こっちの細っこくて陰気そうなのがセント。そして、この子がフーロだ」
「よ、よろしくお願いします」

 ここは、レジスタンスと名乗る団体の隠れ家。
 レアルの端っこら辺にある隠し扉を開ければ来れるこの場で、ユフネさん含めた合計四人のレジスタンスの人達と顔を合わせていた。
 薄暗い部屋の中央にある長机。八人座りなのだが、片方の真ん中ふたつに俺とユズリ、もう片側を端からバスターヴ、セント、フーロの順番で座って、ユフネさんは少し離れたところで壁に背を預けている。

「それにしても、勇者様が味方なんて百人力じゃねぇか! なぁ!」
「まぁ……その勇者様も今や指名手配犯だけどね……」
「セントぉ! そんな事いっちゃめ! でしょ」

 バスターヴ、セント、フーロの順で会話が紡がれていくが、俺は苦笑いくらいしか出来ることがなかった。

「ところで皆さんは、何の集まりなんですか?」

 ユズリが気になる所を聞いてくれるも、急にその場の雰囲気が重くなる。
 地雷でも踏み抜いてしまったのだろうか。
 しかし、この静寂は直ぐにユフネさんが切ってくれた。

「……私たちは、ガンゾルドとその手下達に……大切な人を奪われた。その集まりだ」

 彼女の言葉に、レジスタンス四人は顔を顰めたり寂しげな表情をしたり様々な反応を見せる。

「そう、でしたか……」

 またもその場に静寂が走るが、今度はバスターヴさんがばん、と机を叩いて立ち上がった。

「なぁ、お二人さん。頼む、力を貸してくれ……! 正直、俺達四人じゃガンゾルドのヤローを倒せる目処が立たねーんだ」

 筋骨隆々の男が、その巨体を曲げ頭を下げる。
 ここは即座にイエスと言いたい所だが、一旦端へと置いておく。

「え、えっと。その前に俺達、今の状況がよく分かってなくて……詳しく教えて貰ってもいいですか?」

 流石に全ての会話をユズリに任せるのも気が引けるので、自らこの話題を持ち込む。
 するとまたも場の雰囲気が落ち込むが、やがてユフネさんが頷き、ゆっくりと話し始めた。

「……分かった。まずは事の発端から話そう。あれは、一週間前……」

 俺とユズリは、彼女の話に静かに耳を傾けるのだった。
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