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二章ー止まない街ー
42 侵入
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一年中雲に覆われ続けるこの街の夜は、果てしなく暗い。
ストリートに面する街灯が仄かに照らしているものの、やはり月夜に比べれば効果は薄かった。
しかし、今夜はこの暗闇が助けになってくれるだろう。
そう願いつつ俺は、とある人物と話した後に領主邸付近の路地へ向かった。
誰にも見つからぬよう注意しつつ急ぐも、外には人っ子一人居ない。無理もないだろう。ただでさえ暗い上に、今は殺人鬼が跋扈しているのかもしれない状況なのだ。
思えば今までも人通りが少なかったのも、単純に雨が降っていたというだけではない可能性がある。
「来たか。少し遅かったようだが、どうした?」
そうこう思考している内にたどり着くと、ユフネさんにそう質された。
「ちょっと準備してまして、すみません」
「ま、予定時間内だからこれ以上咎めはしないさ」
彼女の言葉に耳を傾けつつ辺りを軽く見ると、どうやら既に全員揃っているようだ。セントさんはアジトにて療養中だが。
「よし、ほんじゃ行くか。俺とユフネ。タクマとユズリの二手に分けるんだよな?」
バスターヴさんが確認を取ると、その場の全員が頷いた。
今回は作戦の成功率を高めるための布陣だ。
「よし、絶対にフーロを助け出すぞ」
ユフネさんの宣言に四人で無音の唱和をして、俺たちはフーロちゃん奪還作戦を決行した。
俺達は西側、ユフネさん達は東側から攻める手筈となっている。
どちらかが救出したらそのグループはすぐ様離脱し、一方はフーロちゃんと共に安全な場所へ、もう一方は屋敷に攻撃をし騒ぎを起こす。その最中にもう片方のグループも脱出するという作戦だ。
正直どこを取ってもリスクは高いが、直ぐに実行でき、確実性も高い作戦でもある。
今はただ、レジスタンスの仲間達を信じて突き進むのだ。
「いくよ」
至近距離に居るユズリにぎりぎり聞こえる程度の音量で合図し、俺は小型ハンマーを取り出す。
コイツで少しずつ硝子を削るように壊し、人ひとり分まで空間が空いたところで侵入しようという魂胆だ。
早速作業に取り掛かるも、ちまちまちまちまやるしか無いのでかなり面倒くさい。
それでも気合を入れて十分ほどかけて何とか侵入口を作った。
このまま潜入してもいいが、割ったガラスが危険だ。ユズリの為にもどうにか出来ないかと一瞬思考し、とある案を閃く
「《剣招来》」
小声で黒剣を招来させ、ちょっと次元を斬る。
すると掃除機のようにガラスは別次元へ吸い込まれていった。
「さ、行こう」
コクリと頷くユズリと共に、遂に俺たちは潜入に成功する。
ここからも地道にフーロちゃんを探しに行こうと手元の剣を握り直した矢先……。
突如、部屋の照明が煌々と輝き出した。
「な、何!?」
囁くように驚くユズリ。
俺も動揺が隠しきれないが、念の為潜入した窓付近まで彼女と共に寄っておく。
誰かが起きてしまったのかという不安の種は、最悪の状態で芽吹いた。
「レディース&ジェントルメン! 今宵は我がホーツ家主催のパーティーに参加していただき、誠に感謝する!」
室内に流れ込んできたのは、ホーツ家と名乗ってはいるものの完全にガンゾルドのものだった。
パーティーは明日のはずだが……と思ったが、どうやら時刻は既に深夜を過ぎ、開催予定日となっていたようだ。
「嵌められた……一旦引くぞ!」
有無を言わせず彼女の手を引くも、脱出する寸前の所で目の前が氷壁に覆われる。
「くっ……!」
悪い出来事は続き、どこかから殺気のようなものを感じ背筋が冷えた。
硬直しそうな身体を無理やり動かし、俺はその方向に剣を構える。
すると、ガツン! という金属音が辺りに鳴り響いた。
「ほう。凌ぎますか。流石勇者様」
そこに居たのは、レイピア……というよりエストックのような細剣を振るう、俺達に招待状を送った執事っぽい爺さんだった。
白髪に、垂れた眼は濁りつつも鮮烈な赤。どこか威厳のある立ち振る舞いに、思わず身震いしそうになる。
「お世辞はいいよじーさん。所で、パーティーならパーティーらしく、俺たちを持て成したらどうだ?」
「しているではありませんか。我々の最高のやり方で」
最低のもてなし方をされ、どうやら俺たちはとんでもないパーティーに誘われたのだと悟る。
「ユズリ、俺から離れないでね。交代しつつ戦っていこう」
「分かったわ」
戦い方を口頭で決めたところで、執事風の男性がにやりと嗤う。
「それは……旦那様が許しませぬ」
瞬間、床から氷の壁が生え始める。
これはマズいと察した俺は、ユズリに向かって手を伸ばした。
「ユズリーッ!」
「タクマっ!」
彼女も手を伸ばすが……。
俺達を隔てるように、巨大な氷が俺達を分断させた。
ストリートに面する街灯が仄かに照らしているものの、やはり月夜に比べれば効果は薄かった。
しかし、今夜はこの暗闇が助けになってくれるだろう。
そう願いつつ俺は、とある人物と話した後に領主邸付近の路地へ向かった。
誰にも見つからぬよう注意しつつ急ぐも、外には人っ子一人居ない。無理もないだろう。ただでさえ暗い上に、今は殺人鬼が跋扈しているのかもしれない状況なのだ。
思えば今までも人通りが少なかったのも、単純に雨が降っていたというだけではない可能性がある。
「来たか。少し遅かったようだが、どうした?」
そうこう思考している内にたどり着くと、ユフネさんにそう質された。
「ちょっと準備してまして、すみません」
「ま、予定時間内だからこれ以上咎めはしないさ」
彼女の言葉に耳を傾けつつ辺りを軽く見ると、どうやら既に全員揃っているようだ。セントさんはアジトにて療養中だが。
「よし、ほんじゃ行くか。俺とユフネ。タクマとユズリの二手に分けるんだよな?」
バスターヴさんが確認を取ると、その場の全員が頷いた。
今回は作戦の成功率を高めるための布陣だ。
「よし、絶対にフーロを助け出すぞ」
ユフネさんの宣言に四人で無音の唱和をして、俺たちはフーロちゃん奪還作戦を決行した。
俺達は西側、ユフネさん達は東側から攻める手筈となっている。
どちらかが救出したらそのグループはすぐ様離脱し、一方はフーロちゃんと共に安全な場所へ、もう一方は屋敷に攻撃をし騒ぎを起こす。その最中にもう片方のグループも脱出するという作戦だ。
正直どこを取ってもリスクは高いが、直ぐに実行でき、確実性も高い作戦でもある。
今はただ、レジスタンスの仲間達を信じて突き進むのだ。
「いくよ」
至近距離に居るユズリにぎりぎり聞こえる程度の音量で合図し、俺は小型ハンマーを取り出す。
コイツで少しずつ硝子を削るように壊し、人ひとり分まで空間が空いたところで侵入しようという魂胆だ。
早速作業に取り掛かるも、ちまちまちまちまやるしか無いのでかなり面倒くさい。
それでも気合を入れて十分ほどかけて何とか侵入口を作った。
このまま潜入してもいいが、割ったガラスが危険だ。ユズリの為にもどうにか出来ないかと一瞬思考し、とある案を閃く
「《剣招来》」
小声で黒剣を招来させ、ちょっと次元を斬る。
すると掃除機のようにガラスは別次元へ吸い込まれていった。
「さ、行こう」
コクリと頷くユズリと共に、遂に俺たちは潜入に成功する。
ここからも地道にフーロちゃんを探しに行こうと手元の剣を握り直した矢先……。
突如、部屋の照明が煌々と輝き出した。
「な、何!?」
囁くように驚くユズリ。
俺も動揺が隠しきれないが、念の為潜入した窓付近まで彼女と共に寄っておく。
誰かが起きてしまったのかという不安の種は、最悪の状態で芽吹いた。
「レディース&ジェントルメン! 今宵は我がホーツ家主催のパーティーに参加していただき、誠に感謝する!」
室内に流れ込んできたのは、ホーツ家と名乗ってはいるものの完全にガンゾルドのものだった。
パーティーは明日のはずだが……と思ったが、どうやら時刻は既に深夜を過ぎ、開催予定日となっていたようだ。
「嵌められた……一旦引くぞ!」
有無を言わせず彼女の手を引くも、脱出する寸前の所で目の前が氷壁に覆われる。
「くっ……!」
悪い出来事は続き、どこかから殺気のようなものを感じ背筋が冷えた。
硬直しそうな身体を無理やり動かし、俺はその方向に剣を構える。
すると、ガツン! という金属音が辺りに鳴り響いた。
「ほう。凌ぎますか。流石勇者様」
そこに居たのは、レイピア……というよりエストックのような細剣を振るう、俺達に招待状を送った執事っぽい爺さんだった。
白髪に、垂れた眼は濁りつつも鮮烈な赤。どこか威厳のある立ち振る舞いに、思わず身震いしそうになる。
「お世辞はいいよじーさん。所で、パーティーならパーティーらしく、俺たちを持て成したらどうだ?」
「しているではありませんか。我々の最高のやり方で」
最低のもてなし方をされ、どうやら俺たちはとんでもないパーティーに誘われたのだと悟る。
「ユズリ、俺から離れないでね。交代しつつ戦っていこう」
「分かったわ」
戦い方を口頭で決めたところで、執事風の男性がにやりと嗤う。
「それは……旦那様が許しませぬ」
瞬間、床から氷の壁が生え始める。
これはマズいと察した俺は、ユズリに向かって手を伸ばした。
「ユズリーッ!」
「タクマっ!」
彼女も手を伸ばすが……。
俺達を隔てるように、巨大な氷が俺達を分断させた。
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