レベル“0”ですが、最強です。

勇崎シュー

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二章ー止まない街ー

45 四方陣

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 タクマがリリバーという執事を討つ少し前。
 領主邸東側にて、レジスタンスは似たような事態に陥っていた。



「くっ……」

 侵入した途端にライトアップした室内。突如現れバスターヴと分断させられた氷壁。想定外ばかり起こる現状に、彼女は奥歯を噛み締めた。
 もっと辺りに注意を行っていればこの事態を防げていたかもしれない。そんな悔悟が彼女の胸を締め付けていく。

 しかし、暗い感情にばかり気を取られては行けないと悟ったユフネは、短く深呼吸し顔を引き締める。
 よしと呟き、唯一ある扉へ向かおうと一歩踏み出した瞬間。
 その扉が、ゆっくりと開けられた。
 入室してきたのは、黒いローブを目深く被った男。
 どう考えても敵であることは明白なので、腰に備えてあるナイフを取り出し刃を向ける。

「悪いが、そこは通して貰うぞ」

 男にそう宣すると、奴は口元を軽く歪めた後にフードを払った。

「な……? う、うそ、だろう……?」

 フードの奥に隠されていたのは……。

「久しぶり。ねーさん♪」

 死んだはずの、実の弟だった。

「……私の弟、ヨクソウは死んだ。お前は、何者だ」
「何者も何も、俺がそのヨクソウだよ! 十年以上一緒に暮らしてたのに、顔も忘れちゃったの?」

 確かに、顔も背丈も全く同じだ。
 しかし、彼と全く違う点が二つある。
 ひとつは、以前と違い赤みを帯びた瞳。
 もうひとつは、前より遥かに軽い言動だ。

「ねーさんってば、俺が死んだと思い込んで土葬しちゃうんだもんなぁ。埋まってる状態から這い出るの、大変だったんだよ?」

 彼と同じ声質で放たれる発言に、ユフネは覚悟を決めた。

「そうか……もう」

 彼女は、僅かに切っ先を落とした後に、その目付きを鋭くさせる。

「もう、お前を救うには……殺すしかないんだな」

 悲しい声色が、部屋に響いた。






 同刻、バスターヴは。

「弱い、弱いなぁ」

 以前タクマと街へ繰り出た時に足止めしてきた、金髪赤目の男と戦闘していた。

「ぐ、くそぉお!」

 鋼鉄のナックルを嵌め拳を振るうが、その攻撃が当たる気配は無い。

「ちぇー。こりゃ完全にはハズレだなぁ。どうしよ、もっと遊ぶか、さっさとケリつけて他んとこ行ってみよっかなー」

 そんな事をほざきながら、名をズブロと言うらしい男は反撃する素振りも見せず躱していく。

「てめぇ……!」

 完全に舐められている現状に憤怒を表していると、ズブロはにやりと嗤った後に此方に向かって跳躍して来た。
 チャンスと思い強烈な一撃を撃とうとするも……。
 それより遥かに速い蹴りを見舞われ、遥か後方に飛ばされ氷壁に激突する。
 周りに氷片が光を反射しながら舞いつつ、バスターヴは座るように腰から倒れた。

「うぐ、ぶっ……」

 口内を切ったようで、口端から血が滴る。
 全身が痛むも己を奮い立たせ立ち上がろうとすると、目の前に現れズブロが感情の薄い眼で見つめてきた。

「ほんと弱いなー。あ、そうだ。一個面白い事教えてやるよ」

 目は虚ろのままにやにやと笑みを浮かべながら、彼は衝撃の事実を口走る。

「ガンゾルド様は、俺の十倍は強いぞ」

 その言葉によりバスターヴは、握力を僅かに失った。








 時刻と場所は戻り……タクマは。

「ガンゾルド……フーロちゃんはどこだ」

「ふむ……まぁそう急くな、勇者よ」

 大広間にて、階段上のガンゾルドをエントランスより見上げていた。
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