レベル“0”ですが、最強です。

勇崎シュー

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二章ー止まない街ー

47 氷舞

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 階段上のガンゾルドを見上げると、奴は僅かに口元を歪ませて宣言した。

「我が名はガンゾルド・ホーツ・ブリッシュ。ディナーとして貴様の命を頂こう」
「……鹿羽琢真。勇者だ」

 ほぼ反射的にそんな言葉が出てきたところで奴と視線が交錯し、火花となって散った所で……。

 互いに地面を踏み切って、己が腕を振り被った。

「うるぁあああああッ!」
「……ふん」

 俺がガンゾルドに向かい黒刃を叩きつけるも、ノータイムで氷塊を撃ち放たれる。
 何とか氷をかち割り仰け反らずに済んだが、更に一発氷を放たれた。
 身を捩るも躱しきれず、横腹に攻撃を受け数メートル跳ばされる。

「ぐぅ……っ!」

 呻き立ち上がろうとした瞬間、自身の元に影が落ちていることに気がつく。
 冷や汗と共に察した俺は、直ぐに横に弾くように移動し灯りの元へと出た。
 すると、影となっていた所にダンプカー程の重量を持った氷塊が落ちて砕ける。

 危ね、と口にする暇もなくまたしても影が現れた。
 今度は立ち上がりつつ駆け抜け直撃を避けるも、またしても降りかかり今度も何とか躱す。
 まさか無限に続くのか? と肝の冷える考察もするも、幸いインターバルなのかすぐには落ちてこなかった。

「こんなろ……っ!」

 この隙を見逃さぬよう、俺は全力で床を蹴り奴の喉元目掛けて疾駆する。

「……ふむ」

 一息で三十段はある階段を昇ると、剣を振ろうとした所でガンゾルドとの間に氷壁が憚かった。

「くそ、またコレかよ!」

 悪態をついた瞬間、またしても足元の影が広がる。
 再びダッシュで避けていくと、またしても三発目で一旦攻撃は止んだ。
 この規則性、何かボス戦みたいだなと思いつつ、同一視して足元を掬われぬ様自身に言い聞かせる。

「どうした? 大見得を張ったにしては度し難い体たらくではないか」

 氷柱落とし三連チャンを避けつつ奴の発言に苛立ちを覚えるも、確かにこのままでは勝てないのも事実なのだと自覚した。
 どうする。遠くにいては永遠と氷の攻撃を喰らい、近くに寄れば氷壁でガードされてしまう。つまり、どうにかあの壁を潜り抜けなければ勝機はない。

「……ッ、なら、これでどうだ」

 俺は天を切り裂き浮かぶ氷の塊を呑み込ませる。
 これにより確りと踏ん張ることが可能となったので、ガンゾルド目掛けて刃を振るった。
 斬撃は床を通して氷壁へと届き、真っ二つに穿つ。
 空かさず地面を蹴り、滑空するよりに駆け抜け再び奴の元へ参る。
 今度こそ届け、という願いは虚しく、またしても剣を振るうタイミングで氷塊を出され防がれた。

「くそ……っ!」

 何度も同じ繰り返しで腹立たしい気持ちが湧き上がってきた時。
 奴も似たように感じたのだろう。次に繰り出される言葉は、部屋の温度を更に低下させた。

「ふむ。やはり、貴様の実力はその程度だったか。あの方の剣と戦えたのは光栄だったが、持ち主が未熟ではこの感動も半減だな」

 そして、奴は一度目を瞑った後。

「もういい。死ね」

 瞬間、俺の周りに無数の氷柱が形成された。

 同時に汗が吹き出し、回さねば行けない脳をジャミングする。
 流石に全方位を防ぐ術は持っていない。どうするどうすると自分に問いかけていくが、やはり頭を上手く働かせられない。

 これは、もう、本当に、無理なのか。
 いや、何かある筈だ。今までだって考えて考え抜いた先に光明を見出したのだ。

 だから今回も、諦めないーー。

「うおぉおおおおおおおぉおっ!」

 一か八か、回転斬りにより全方向に対抗する次元の裂け目を作ろうとしたが……。
 二つの影が、俺の左右に分け入った。

 そして、とてつもない轟音と共に、氷が霧となって消え去る。
 何が起きたのか、霧が晴れた頃に見やるとそこには。

「ごめんタクマ、お待たせ!」
「少々手間取ってな……すまない」

 ユズリとユフネさんが、俺を守るように構えていた。
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