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勇崎シュー

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三章ー鋼鉄の王国ー

55 お見舞い

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 止まない街レアルから出発する日。
 馬車の停留所近くで、俺達とレジスタンスは別れを惜しんでいた。

「改めて言わせて欲しい。二人とも、本当にありがとう。レアルが平和になったのも、タクマとユズリが居てくれたのが大きい」

 もう何度目か分からない礼を受け、じんと胸が熱くなる。

「俺からもありがとう。レジスタンスが居なくちゃ、ずっと指名手配されっぱなしだったからさ」

 俺の発言により、その場に微笑が生まれた。

「ほら、二人の分の報奨金だ。受け取れ」

 ユフネがくれたのは、どうやら懸賞金がかけられていたガンゾルドの討伐報酬らしい。
 奇形カースベルグの時得た金も底が見え始めていたので、正直これはかなり嬉しい。
 彼女から硬貨の入った袋を受け取ると、ユズリが一歩前に出た。

「ユフネさん、バスターヴさん、セントさん、それに……フーロちゃん。皆……またね!」

 瞬間、全員に笑顔が宿る。
 最後にユフネさん達と堅い握手を交わした後に、俺達は依頼を受けていた馬車に乗った。
 そして、お互いの姿が見えなくなるまで、手を振り続けるのだった。








 馬車に揺られ、まる三日。
 俺達は遂に、ショーゴが療養しているという王国に着いた。
 大仰な鉄の門を抜け、この国の停留所で馬車を降りる。
 お礼を言ってからその場を離れ、開けた街道へと繰り出た。

「すっげ……」

 そして、その光景に言葉を失う。
 目の前に広がるのは、産業革命後を思わせる様な近代的な街並みで、至る所に工場が立ち並び蒸気のようなものを吹かしている。
 辺りでは家や壁に付いている歯車や装置が忙しなく稼動し、道行く人々も近代的な服装を着して歩いていた。

「ここが“鋼鉄の王国”の異名を持つ国の城下町なのね。すごい……」

 そう、ここモルジアは、鋼鉄の王国と呼ばれるほど工業が盛んに行われているらしい。
 鉱山が多く発見され、鉱石が豊富に手に入る事から発展していったようだが、今はこの街が将来二酸化炭素出しすぎ問題とかで困る未来を心配している暇はない。

「えっと……ショーゴが入院してるとこは……」

 事前に入手しておいた地図を広げるも、この街は今までー俺が居た世界含めてー過ごした街の中で最も入り組んでいるため分かりづらかった。
 それでも唸って、記された道という道を目で追っていると、肩をちょんちょんつつかれる。

「ん? どしたのユズリ」
「さっきこの街の人に道を聞いたの。こっちだって」

 あざす! と軽く頭を下げ、彼女の案内に従う。
 その後も何人かの現地人に訪ねながら、ようやっとショーゴの居るらしいとある宿に辿り着いた。

「ここか……凄いな。こんな立派なとこに泊まってんのか」

 そこは宿屋の様だったが、綺麗な外装に加えそもそも建物自体が大きく、見るからに家賃もお高そうだ。

「まぁ、上手くやれればお金も稼ぎ放題だろうからね。さ、行きましょ」

 彼女らしからぬ発言だなぁと思いつつ、そうだなと首肯して扉を開ける。
 宿主さんに事情を話し部屋の場所を教えてもらうと、俺達は直ぐに彼の部屋に向かった。

 構造上一度廊下に出る必要がある為そこに移ると、とある一室の前に二人組の男が椅子に腰掛けていた。
 よく見るとショーゴの部屋の前だったので、何かめんどくさい事にならなきゃいいなぁと考えながら近づく。

「あ、あのー。そこを通してほしいんですけど……」

 おずおずと話しかけると、男二人は鋭い目付きでこちらを見てきた。

「何の用だ」

 無機質に問われ、お前らこそ何なんだよと問い返したかったが抑えて答える。

「普通にお見舞いです」

 正直に答えると、二人のうち一人の男性が、細い眼から再度こちらを凝視した。

「……申し訳ないが、帰ってくれ。今は誰も居れたくないんだ」

 ぶっきらぼうに言われ、流石にむっと来た俺は言い返す。

「な、なんでだよ。話くらいさせてくれよ」
「大体、お前は勇者様とどんな関係なんだ」
「友達だよ。信用出来ないなら今すぐショーゴに聞いて来いよ。タクマが会いに来たってな」

 こちらも横柄な態度を示すと、男は眉間に皺を寄せつつも怒鳴り込んでは来なかった。

「悪いが信用出来ない。帰ってくれ」

 だが相変わらず雑な対応をされ、そろそろ手が出そうになった時、不意に扉が開く。
 そして、そこから久しぶりな顔が現れた。

「タクマ、久しぶりだなー。ターブ、テンドル、この二人は友達だ。通してやってくれ」
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