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三章ー鋼鉄の王国ー
60 主人公交代の危機
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「終わりだ。《ライトニング・ボルト》」
瞬間、背後から焼き付くような痛みが全身に広がった。
「ぬぐっ……!?」
膝から落ち完全に伏しそうになったところで、地面を踏ん張って転倒を防ぐ。
しかしこのままでは追撃も免れないので、振り向くと同時に空間を斬り裂いた。
裂け目を壁にして距離を取り、呼吸を整える。
一体、何が起きた。
頭の中で自問し、その解答を探る。
ひとつ考えられるのは、崖の上に移動した後にもう一度転移魔法を使用した可能性。
転移するのに躊躇っているように感じていた俺は、かなり魔力を消費するからではと考察していたがはたして事実はどうなのか。
ここまで考えたところで、青年の声が響く。
「わるい。こーゆーのもう効かねぇんだわ」
すると、目の前の裂け目が突如斬られ、空気に溶け込むように霧散した。
「んなっ……?」
見据えるのは、剣を振り抜いた姿の男。
「俺のエクスケインは、あらゆるものを断ち斬る剣でね。変な裂け目だろうがゴーストだろうがこの通りよ」
反則だろ。
こんな言葉が脳裏に浮かんでしまうが、正直無理もないと言える。何せこいつはボックスだのゲートだの便利スキルを持っている上に全属性の魔法まで使えるのだ。
その上さらに最強とも取れる大剣を手にしているとは……。というか最初からそれ使えよ。
「ふ、ふぐっ……ふぷぷぷぷっ。いい顔するなァタクマちゃぁーん。さて、本番はこれからだぜ」
青年はそう言うと、己が剣を振りかざし高らかに叫び出した。
「さぁさ読者の皆さんお待たせしました! これより主人公であるこの俺、五月女十夜が転移者であるタクマ相手に無双するぜぇええええ!」
「ぐ、このやろっ……!」
明らかに調子に乗り出したトオヤという名前らしい青年に対し、俺は苛立ちを覚えつつ剣を支えにして立ち上がる。
だがどうする。次元を斬ったところで、また斬り返されるだけだ。
それだけじゃない。先程の魔法をモロにくらってしまったおかげで、身体もボロボロだ。一撃でこの威力とは、やはり恐ろしい。
「おい、考え事何かしてっと一撃でオチるぞ」
冷えた奴の声が耳に届く頃には。
エクスケインの切っ先が、もうすぐそこまで迫っていた。
これはもう……
死……………………
「させない」
強く、美しい声が聴こえると共に、俺の前に現れた。
「……ゆ、ユズ、リ……っ!」
口すら痺れて流暢に喋れないが、どうにかそれだけ呼びかける。
俺の言葉に反応する前に、彼女はエクスケインに対しだいぶ華奢な刃でトオヤを押し返した。
その後、一言。
「ごめんね……お待たせ」
今の俺の姿を見て、彼女は悲痛な表情を浮かべた。
「い、や……あ、ありがと」
少し痺れが治ってきたところで、気合いを入れ直して立ち上がる。
「大丈夫なの?」
「大丈夫じゃなかったけど、ユズリが来てくれたから元気出た」
復活した滑舌で素直にそう伝えると、ユズリは僅かに頬を赤らめた。
「おいおい。何イチャついてんだ。異世界来てもハーレム出来なかった俺への当てつけか?」
俺とユズリは、同時に奴へ向き直る。
「こっから二対一になるけど。そこはまぁ、仲間に恵まれなかった自分を恨んでくれ」
トオヤに言われた事を言い返してやると、やはり奴は怒りのオーラを滲ませた。
「ふん。言ってくれるじゃんか。《鑑定》」
青年は油断せずに新たに立ち塞がるユズリの能力をチェックしだす。
「気をつけて。アイツにはスキルとか全部筒抜けだから」
「うん。ここに来る前にいくつかショーゴから聞いてるから、大丈夫」
頼もしい。自然とそう思えた。
どんなに強い相手でも、彼女が隣で戦ってくれれるだけで、孤独じゃないだけで立ち向かっていける。
そんな気がした。
「行こうユズリ。独りじゃなくても……」
「分かってる……やろう。二人で!」
俺たちは頷き合ってから、トオヤに向かって同時に剣を振りかぶった。
瞬間、背後から焼き付くような痛みが全身に広がった。
「ぬぐっ……!?」
膝から落ち完全に伏しそうになったところで、地面を踏ん張って転倒を防ぐ。
しかしこのままでは追撃も免れないので、振り向くと同時に空間を斬り裂いた。
裂け目を壁にして距離を取り、呼吸を整える。
一体、何が起きた。
頭の中で自問し、その解答を探る。
ひとつ考えられるのは、崖の上に移動した後にもう一度転移魔法を使用した可能性。
転移するのに躊躇っているように感じていた俺は、かなり魔力を消費するからではと考察していたがはたして事実はどうなのか。
ここまで考えたところで、青年の声が響く。
「わるい。こーゆーのもう効かねぇんだわ」
すると、目の前の裂け目が突如斬られ、空気に溶け込むように霧散した。
「んなっ……?」
見据えるのは、剣を振り抜いた姿の男。
「俺のエクスケインは、あらゆるものを断ち斬る剣でね。変な裂け目だろうがゴーストだろうがこの通りよ」
反則だろ。
こんな言葉が脳裏に浮かんでしまうが、正直無理もないと言える。何せこいつはボックスだのゲートだの便利スキルを持っている上に全属性の魔法まで使えるのだ。
その上さらに最強とも取れる大剣を手にしているとは……。というか最初からそれ使えよ。
「ふ、ふぐっ……ふぷぷぷぷっ。いい顔するなァタクマちゃぁーん。さて、本番はこれからだぜ」
青年はそう言うと、己が剣を振りかざし高らかに叫び出した。
「さぁさ読者の皆さんお待たせしました! これより主人公であるこの俺、五月女十夜が転移者であるタクマ相手に無双するぜぇええええ!」
「ぐ、このやろっ……!」
明らかに調子に乗り出したトオヤという名前らしい青年に対し、俺は苛立ちを覚えつつ剣を支えにして立ち上がる。
だがどうする。次元を斬ったところで、また斬り返されるだけだ。
それだけじゃない。先程の魔法をモロにくらってしまったおかげで、身体もボロボロだ。一撃でこの威力とは、やはり恐ろしい。
「おい、考え事何かしてっと一撃でオチるぞ」
冷えた奴の声が耳に届く頃には。
エクスケインの切っ先が、もうすぐそこまで迫っていた。
これはもう……
死……………………
「させない」
強く、美しい声が聴こえると共に、俺の前に現れた。
「……ゆ、ユズ、リ……っ!」
口すら痺れて流暢に喋れないが、どうにかそれだけ呼びかける。
俺の言葉に反応する前に、彼女はエクスケインに対しだいぶ華奢な刃でトオヤを押し返した。
その後、一言。
「ごめんね……お待たせ」
今の俺の姿を見て、彼女は悲痛な表情を浮かべた。
「い、や……あ、ありがと」
少し痺れが治ってきたところで、気合いを入れ直して立ち上がる。
「大丈夫なの?」
「大丈夫じゃなかったけど、ユズリが来てくれたから元気出た」
復活した滑舌で素直にそう伝えると、ユズリは僅かに頬を赤らめた。
「おいおい。何イチャついてんだ。異世界来てもハーレム出来なかった俺への当てつけか?」
俺とユズリは、同時に奴へ向き直る。
「こっから二対一になるけど。そこはまぁ、仲間に恵まれなかった自分を恨んでくれ」
トオヤに言われた事を言い返してやると、やはり奴は怒りのオーラを滲ませた。
「ふん。言ってくれるじゃんか。《鑑定》」
青年は油断せずに新たに立ち塞がるユズリの能力をチェックしだす。
「気をつけて。アイツにはスキルとか全部筒抜けだから」
「うん。ここに来る前にいくつかショーゴから聞いてるから、大丈夫」
頼もしい。自然とそう思えた。
どんなに強い相手でも、彼女が隣で戦ってくれれるだけで、孤独じゃないだけで立ち向かっていける。
そんな気がした。
「行こうユズリ。独りじゃなくても……」
「分かってる……やろう。二人で!」
俺たちは頷き合ってから、トオヤに向かって同時に剣を振りかぶった。
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