異世界転生したけど殺されました

勇崎シュー

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傀儡子の館編

31話 エンカウント

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 王都へ向かう道中、草原にて。

「グルァァァァァッ!」

 熊のような体躯に、馬と羊を混ぜたような頭顱、腰には布切れを巻き付けており、ここに来たばかりの俺を思い出す。
 オークのような姿だが、それとはまた別種であるようだ。
 二足歩行の獣人、ホプシス。
 そんな名前のモンスターは今まで聞いたことも無かったが、まぁ、いるのだからしょうがない。
 全身茶色の体毛で覆われたそれは、雄叫びを上げ俺達に威嚇する。

「殺るぞ、エリュ」

 俺は背にある愛剣を抜刀した。
 エリュも杖を構え、数歩下がる。
 基本的な俺達の戦闘スタイルは、俺が全線で剣を振るい、エリュが後ろから援護だ。
 因みにラックは傍観しているのみだ。俺との連携が上手くいくとは思えないからな。
 正直逃げられなくは無いが、王都に着く前に、エリュとの連携を確認しておきたかった。

「ふーっ......」

 俺は息を吐き、目の前の敵に集中する。
 向こうも様子見をしているらしく、未だ動こうとしない。
 俺は先制攻撃を仕掛けることにした。

「せいッ!」

 俺は牽制も込めて斬りつける。
 すると、ホプシスは左手で剣を掴もうとするが、その手は俺の剣によって切断する。

「グルァッ!?」

 それが予想外だったのか、ホプシスは一瞬動きを止める。
 その瞬間、左方向からフォトンパージが飛来し、敵に直撃する。
 もしかしなくてもエリュだろう。正しく完璧なタイミングだ。
 しかし、命を奪うまでにはいかず、俺は怯んでいるホプシスの首を切り裂いた。

「ふぅ。エリュ、ナイス!マジで完璧だったぜ今の」

 俺が振り向きエリュに駆け寄ると。

「バウッ!」
「おわっ!」

 ラックが俺に向かい突進し、思わず尻餅を着いてしまう。
 そんな俺をラックは飛び越え、その先の俺に襲い掛かろうとしていた首なしのホプシスを迎撃した。

「わっ、なんだこいつまだ生きてたのか!」

「生命力が強いとは聞いていたけど、ここまでとはね。流石にもう動かないみたいだけれど」

「バウッ!」

 ラックは自慢げに吠えた。

「助かったよラック」

 俺はそう感謝しながらラックを撫でた。
 やはり、初対面の時よりだいぶなついてくれたな。
 それにしても、ラックがいなければ俺は首なしホプシスに殺られてたな。
 
「あ、首なしと言えば、結局俺達を襲った首の無い黒騎士、何者だったんだろ」

「疑問に思うのが遅すぎるわよ。ギルドの人が調べても、何も判らなかったみたいね。まぁ現世に強烈な未練をもったものが死んでアンデッドになるケースも無いことも無いから、その類いじゃない?」

 成る程。
 でも、理由は無いけど只のアンデッドには見えなかったんだよな。
 本当になんとなく、そう思っただけだけど。

「さ、今日中にはこの森を抜けるわよ」
「あぁ」

 今まで快晴だった空に、雲が架かり始めた。
 こういうときに、雲行きが怪しいと表現するのは、間違っているだろうか。
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