異世界転生したけど殺されました

勇崎シュー

文字の大きさ
37 / 38
傀儡子の館編

37話 名探偵エリュ

しおりを挟む
「丁度いい所って、ここかよ......」

 俺は石畳の冷たく固い感触に訝しげながら、そうぼやいた。
 辺りを見回しても暗く、荒く加工された石材が壁や天井を埋めていることしかわからない。いや、あとはこの目の前の鉄格子も、か。
 湿っぽい空気は吸えば病気にでもなってしまいそうなほど不潔な印象を受け取りざる得ない。

 つまり、ここは牢屋である。

 こんなところにいても暇なのだが、鎖が繋がれなかっただけマシと考えることにしよう。

「エリュ、本当に大丈夫か? 真犯人探しなんて」

 気づけば俺は、今の自分の状況よりエリュの心配をしていた。

━━━━━━━━━━━━━

「ではまずルファーさん。死体を見つけたときの状況と、それまでに何をしていたのか教えてください」

 私は元々喋ることが得意では無いので、噛まないように慎重にアリバイを聞いた。
 ここはあの事件のおきてしまった部屋のすぐ上に位置している。
 今日来ている冒険者は全員二階の部屋に泊まっているので、空き部屋であるここを使っているのだ。

「えっと、聞かれた順の逆に話した方が分かりやすいからそうするけど、俺とリーチャは、特にすることもなくて暇だから、この屋敷を探索することにしたんだ。その時地下の牢屋を見つけて、ちょっと覗いてみたらリーチャが気味悪いから先戻ってるって言って、一旦別れたんだ。俺はもう少し牢屋のあった地下を探索して、結局何もなくて部屋に帰ったら、リーチャが......!」

 ルファーさんの声が段々と震えてきたので、もう大丈夫と聴取を遮ることにした。

「では次、赤髪の女性を呼んできてください」
「ミーナのこと? 分かりました」

 ルファーさんは少し疑問を持った様だが、直ぐに了承し、部屋を後にした。
 私は真ん中に移動させていたテーブルに手をおき、ふう、と息を吐いた。
 やはり人と話すのは馴れないが、このままではコウキがいわゆる〝処刑〟をされてしまうかもしれない。
 すると、こんこんと扉がノックされた。

「失礼。それで、話とは?」

 私は入室してきたミーナさんに、向かいの席へ座るよう促す。
 妙に落ち着いているのが気がかりだったが、先ずは話を聞いてみることにした。

「単刀直入にお聞きします。リーチャさんはどんな人でしたか?」

 この時私がした質問の真意は、リーチャさんの人間性・・・について確かめることだった。

「リーチャは、私達のパーティで一番明るくて......リーダーのルファーとも仲が良くて......リーダーが無茶しそうになると、おいおいそれは危ないんじゃないかって、リーダーのブレーキ役で......馬鹿な冗談ばかり言ってたまに皆を困らせたりする............何で......リーチャが............!」

 ミーナさんはぽたぽたと涙を垂らした。
 どうやらリーチャさんは悪い人ではなかったようだ。いや、まだ断定はできないけど。

「ありがとうございました。もう大丈夫です。次は茶髪の女の子を呼んできて頂けますか?」

「いや、あの子は勘弁してあげて。あの子、ニコロは、リーチャのこと、特別だったの」

「......なるほど」

 話を聞けば聞くほど、犯人の罪の重さが理解出来てきている気がした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

魔力0の貴族次男に転生しましたが、気功スキルで補った魔力で強い魔法を使い無双します

burazu
ファンタジー
事故で命を落とした青年はジュン・ラオールという貴族の次男として生まれ変わるが魔力0という鑑定を受け次男であるにもかかわらず継承権最下位へと降格してしまう。事実上継承権を失ったジュンは騎士団長メイルより剣の指導を受け、剣に気を込める気功スキルを学ぶ。 その気功スキルの才能が開花し、自然界より魔力を吸収し強力な魔法のような力を次から次へと使用し父達を驚愕させる。

異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。

久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。 事故は、予想外に起こる。 そして、異世界転移? 転生も。 気がつけば、見たことのない森。 「おーい」 と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。 その時どう行動するのか。 また、その先は……。 初期は、サバイバル。 その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。 有名になって、王都へ。 日本人の常識で突き進む。 そんな感じで、進みます。 ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。 異世界側では、少し非常識かもしれない。 面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

転生したおばあちゃんはチートが欲しい ~この世界が乙女ゲームなのは誰も知らない~

ピエール
ファンタジー
おばあちゃん。 異世界転生しちゃいました。 そういえば、孫が「転生するとチートが貰えるんだよ!」と言ってたけど チート無いみたいだけど? おばあちゃんよく分かんないわぁ。 頭は老人 体は子供 乙女ゲームの世界に紛れ込んだ おばあちゃん。 当然、おばあちゃんはここが乙女ゲームの世界だなんて知りません。 訳が分からないながら、一生懸命歩んで行きます。 おばあちゃん奮闘記です。 果たして、おばあちゃんは断罪イベントを回避できるか? [第1章おばあちゃん編]は文章が拙い為読みづらいかもしれません。 第二章 学園編 始まりました。 いよいよゲームスタートです! [1章]はおばあちゃんの語りと生い立ちが多く、あまり話に動きがありません。 話が動き出す[2章]から読んでも意味が分かると思います。 おばあちゃんの転生後の生活に興味が出てきたら一章を読んでみて下さい。(伏線がありますので) 初投稿です 不慣れですが宜しくお願いします。 最初の頃、不慣れで長文が書けませんでした。 申し訳ございません。 少しづつ修正して纏めていこうと思います。

辺境貴族ののんびり三男は魔道具作って自由に暮らします

雪月夜狐
ファンタジー
書籍化決定しました! (書籍化にあわせて、タイトルが変更になりました。旧題は『辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~』です) 壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。

幸福の魔法使い〜ただの転生者が史上最高の魔法使いになるまで〜

霊鬼
ファンタジー
生まれつき魔力が見えるという特異体質を持つ現代日本の会社員、草薙真はある日死んでしまう。しかし何故か目を覚ませば自分が幼い子供に戻っていて……? 生まれ直した彼の目的は、ずっと憧れていた魔法を極めること。様々な地へ訪れ、様々な人と会い、平凡な彼はやがて英雄へと成り上がっていく。 これは、ただの転生者が、やがて史上最高の魔法使いになるまでの物語である。 (小説家になろう様、カクヨム様にも掲載をしています。)

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

処理中です...