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水面下の陰謀編
第六十八話 新たな事実
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最終的にエレナがニーナの話をまとめた。
「つまり、あなたの話をまとめると、ヨハンさんの父アトムは冒険者活動時代に知り合ったニーナの父と意気投合した」
「はい」
「そのしばらく後にヨハンさんが生まれ、一年後にはニーナさん、あなたが生まれた」
「ええ、その通りです」
「お母さんはニーナさんが幼い頃に亡くなっており、父も自分に何かあれば昔馴染みのアトムのところに行くように日々言付けていた。そしてその際は娘同様に扱ってもらえることにも内諾していたのですわね?」
「はい」
「(ヨハンさんのお父様って一体どういう方なのかしら?)」
エレナは額を押さえて首を振る。
これはあくまでもニーナの談によるものだが現時点で何かはっきりとした結論をだせるわけではない。
「(母さん、この話知っているのかな?知らなかったら怒ってるだろうなー)」
その話の信憑性はともかく、果たしてヨハンの母、エリザの知り得るところなのかどうかは不明であり、知らなかったことを想像すると思わず身震いした。
「それで、どうして僕がここにいるってわかったの?父さんたちに聞いたの?」
「いえそれが、あたしのお父さんがいなくなった後、十二歳になった時にヨハンさんに会いにイリナ村に行ったのですけど、ヨハンさんはおろかご両親も不在でしたから村の人に教えてもらいました。ですのでこちらに会いに来たんです。もう探し疲れましたよ。それで、せっかくですから私も王都で生活してみようかと思いまして」
「ああ、父さんも母さんもよく猟に出かけるから家にいないこともあるよね」
「え?ヨハンさんのご両親はそもそも村から出てしばらく帰っていないって言ってましたよ?息子が冒険者学校の寮に入ったから久しぶりに旅に出るって言っていたとかなんとか村の人には言付けてみたいで…………」
思わず耳を疑う。
初耳だった。
「え!?」
出した手紙の返事がないとは思っていたが、手紙の数も一年足らずではしれていたし、大きな休みにでもなれば一度帰るつもりだったから気にも留めていなかった。
「(んー、まぁ父さんなら母さんを連れてどっかいくこともあるかもね)」
まぁあの両親ならそういうこともあるかと、深く考えることをやめる。
「あれ?知らなかったみたいですね。まぁつまりそういうことですのであたしはどこにもいくあてがないのです」
「そっか、なら仕方ないよね」
ニーナの事情を聞く限り、確かに同情する部分はあった。
「そういうことですので、これからはお兄ちゃんとして接することにします」
「そ、そう?」
とは言うものの、どうしたらいいのかわからないままニーナはヨハンに笑いかけたのでヨハンはどうしたらいいのかわからず苦笑いも込めて笑い返す。
「じゃあこれからよろしくね!ヨハンお兄ちゃん!」
ニーナは唐突にヨハンをお兄ちゃんと呼んだ。
そこでモニカの怒りは振り切れる。
「フフフ、つまり、今の話を証明できることは何ひとつないわけね」
俯きながらも薄く笑うその迫力は周囲に伝わるぐらいに。
「それはまぁ、そうなりますかね?」
目を上向かせ考えながら答えるニーナ。
「だからそれが証明できるまでヨハンに引っ付くのはなし!それにお兄ちゃんって呼ぶのもやめなさい!ほらヨハンも困っているわ!ね!?」
「まぁ確かにあんまり引っ付かれるのはちょっと困る、かな。けど、お兄ちゃんは別にいいよ?だって頼る人がいない中こうして僕を追いかけてこんなところまで来たのに、無碍にはできないよ」
「なッ!?」
ヨハンが前向きに捉えていることに驚愕する。
「やった!ありがとお兄ちゃん!」
「あっ、でもくっつくのはなしね」
「むぅー、お兄ちゃんがそこまで言うなら仕方ないわね。わかりました。ではお兄ちゃんと呼ぶ承諾は頂いたということでいいですよね?」
「…………」
頭を押さえるモニカ。
これまで無言のレインは、今は何も言うまいとその口を固く閉じている。
「(それにしても気になりますわね、校長の長期に渡る不在とヨハンさんの両親、つまり、わたくしたちが知っているスフィンクスの全員の所在が掴めないという事はとても無関係とは思えませんわ)」
エレナはニーナが話していた途中から別のことを、顎に手を当てなんらかの要因が絡んでいるのではと深く考え込んでいた。
「じゃ、じゃあ!」
そこでモニカが慌てて声を発する。
視線はモニカに集まった。
「あとはあなたが私たちより強いかどうかってことね」
「えっ?本当ですよ?」
「ふーん」
笑顔のまま青筋を立てるモニカ。
「(あれ?これここで終わんねぇの!?)」
モニカはニーナをヨハンとの身体的距離を取ることには成功したのだが、もう一つ見過ごせないことがある。
「(まだ続くのかよこれ…………)」
傍観者と化していたレインはまた冷や汗をかきながらその動向を見守っていた。
そして翌日の早朝。
ヨハンとレインとエレナの視線は二人に集まっている。
モニカとニーナは学内の鍛錬場にてお互いに木剣を持って向かい合っていた。
「つまり、あなたの話をまとめると、ヨハンさんの父アトムは冒険者活動時代に知り合ったニーナの父と意気投合した」
「はい」
「そのしばらく後にヨハンさんが生まれ、一年後にはニーナさん、あなたが生まれた」
「ええ、その通りです」
「お母さんはニーナさんが幼い頃に亡くなっており、父も自分に何かあれば昔馴染みのアトムのところに行くように日々言付けていた。そしてその際は娘同様に扱ってもらえることにも内諾していたのですわね?」
「はい」
「(ヨハンさんのお父様って一体どういう方なのかしら?)」
エレナは額を押さえて首を振る。
これはあくまでもニーナの談によるものだが現時点で何かはっきりとした結論をだせるわけではない。
「(母さん、この話知っているのかな?知らなかったら怒ってるだろうなー)」
その話の信憑性はともかく、果たしてヨハンの母、エリザの知り得るところなのかどうかは不明であり、知らなかったことを想像すると思わず身震いした。
「それで、どうして僕がここにいるってわかったの?父さんたちに聞いたの?」
「いえそれが、あたしのお父さんがいなくなった後、十二歳になった時にヨハンさんに会いにイリナ村に行ったのですけど、ヨハンさんはおろかご両親も不在でしたから村の人に教えてもらいました。ですのでこちらに会いに来たんです。もう探し疲れましたよ。それで、せっかくですから私も王都で生活してみようかと思いまして」
「ああ、父さんも母さんもよく猟に出かけるから家にいないこともあるよね」
「え?ヨハンさんのご両親はそもそも村から出てしばらく帰っていないって言ってましたよ?息子が冒険者学校の寮に入ったから久しぶりに旅に出るって言っていたとかなんとか村の人には言付けてみたいで…………」
思わず耳を疑う。
初耳だった。
「え!?」
出した手紙の返事がないとは思っていたが、手紙の数も一年足らずではしれていたし、大きな休みにでもなれば一度帰るつもりだったから気にも留めていなかった。
「(んー、まぁ父さんなら母さんを連れてどっかいくこともあるかもね)」
まぁあの両親ならそういうこともあるかと、深く考えることをやめる。
「あれ?知らなかったみたいですね。まぁつまりそういうことですのであたしはどこにもいくあてがないのです」
「そっか、なら仕方ないよね」
ニーナの事情を聞く限り、確かに同情する部分はあった。
「そういうことですので、これからはお兄ちゃんとして接することにします」
「そ、そう?」
とは言うものの、どうしたらいいのかわからないままニーナはヨハンに笑いかけたのでヨハンはどうしたらいいのかわからず苦笑いも込めて笑い返す。
「じゃあこれからよろしくね!ヨハンお兄ちゃん!」
ニーナは唐突にヨハンをお兄ちゃんと呼んだ。
そこでモニカの怒りは振り切れる。
「フフフ、つまり、今の話を証明できることは何ひとつないわけね」
俯きながらも薄く笑うその迫力は周囲に伝わるぐらいに。
「それはまぁ、そうなりますかね?」
目を上向かせ考えながら答えるニーナ。
「だからそれが証明できるまでヨハンに引っ付くのはなし!それにお兄ちゃんって呼ぶのもやめなさい!ほらヨハンも困っているわ!ね!?」
「まぁ確かにあんまり引っ付かれるのはちょっと困る、かな。けど、お兄ちゃんは別にいいよ?だって頼る人がいない中こうして僕を追いかけてこんなところまで来たのに、無碍にはできないよ」
「なッ!?」
ヨハンが前向きに捉えていることに驚愕する。
「やった!ありがとお兄ちゃん!」
「あっ、でもくっつくのはなしね」
「むぅー、お兄ちゃんがそこまで言うなら仕方ないわね。わかりました。ではお兄ちゃんと呼ぶ承諾は頂いたということでいいですよね?」
「…………」
頭を押さえるモニカ。
これまで無言のレインは、今は何も言うまいとその口を固く閉じている。
「(それにしても気になりますわね、校長の長期に渡る不在とヨハンさんの両親、つまり、わたくしたちが知っているスフィンクスの全員の所在が掴めないという事はとても無関係とは思えませんわ)」
エレナはニーナが話していた途中から別のことを、顎に手を当てなんらかの要因が絡んでいるのではと深く考え込んでいた。
「じゃ、じゃあ!」
そこでモニカが慌てて声を発する。
視線はモニカに集まった。
「あとはあなたが私たちより強いかどうかってことね」
「えっ?本当ですよ?」
「ふーん」
笑顔のまま青筋を立てるモニカ。
「(あれ?これここで終わんねぇの!?)」
モニカはニーナをヨハンとの身体的距離を取ることには成功したのだが、もう一つ見過ごせないことがある。
「(まだ続くのかよこれ…………)」
傍観者と化していたレインはまた冷や汗をかきながらその動向を見守っていた。
そして翌日の早朝。
ヨハンとレインとエレナの視線は二人に集まっている。
モニカとニーナは学内の鍛錬場にてお互いに木剣を持って向かい合っていた。
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