【R18】「いのちだいじに」隠遁生活ー私は家に帰りたいー

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第四章:地味に平和が一番です

8.精霊の女神様(爆)、王子さまの逆襲ー裏? ※※

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「あぁんっ…あっあっ……やっ…」

 願っていた音色を耳にして、思った以上にイイ反応を返す感じやすい体を味わうこのひと時は、何にも代えがたく甘美な時間を与えてくれる…なんて、柄にもなく詩人の様な事を考える程、俺は浮ついているらしい。

 あれだけ欲していたその存在を手に入れて、思うさま自分の思いを遂げることができる僥倖を、誰に感謝すべきだろうか。
 神に対してか、精霊に対してか。
 その最たるものは、今、俺の腕の中で艶やかな黒髪を振り乱し、嬌声をあげて艶めかしく体をくねらせながら、その声で、その温もりで俺の欲望を煽り立てているというのに。
 俺の腕の中で乱れる彼女の媚態に声もなく嗤い、なだめるように生理的な涙をこぼすその目元に口づけて、流れ落ちる水滴を啜った。
 そんな訳はないのに、快楽に酔って流す涙すら甘いと思った。




 気絶するように眠りに落ちた彼女の目覚めを今か今かと待ちながら、数日後にようやく捉えることができたその姿は、俺が彼女のために仕立てさせたドレスを身に纏い、ハッと息を飲むほどに可憐だった。ー――状況が状況だったので、あまり褒めることができなかったのが悔やまれるが。

 そしてそのドレスの布地は、光を当てると金色に輝くという仕立て屋の触れ込みだったので、王家の色である深紅に染めさせてあつらえた特注品であるのだが…俺の色彩を纏わせる意味を、彼女は知っているだろうか? 
 その特殊な布地を使って彼女のドレスを仕立てさせた時、ジョアンナ女官長は俺の姿と見比べてニヤニヤ笑っていたが、姫が目覚める時に準備してくれていたのだろう。そのドレスを纏った彼女の姿を認めると、やっぱり女官長は頼りになると再確認したのだった。
 また、このドレスの優れたところはそれだけでなく、華奢な彼女の姿をより可憐に見せるラインも秀逸なのだが、特筆すべきは、腰回りを留めているホックを外して首元のリボンを解くと上半身全てが露わにできて、容易に脱がせることができる作りなのも、男の欲情をそそる感じでイイ。
 そんなことを考えながら、俺は彼女を後ろから押し倒して感じやすい小さな耳に舌を這わせ、その腰にクる甘い香りを鼻腔一杯に吸い込みつつ、心地よい欲情に身を任せる。そして、その胸を持ち上げる様にドレス越しに擦りながら

「ン…はぁン……ぁっ…」

 と、彼女のか細い喘ぎと、ビクビクと敏感に反応する手応えを楽しんでいた。

 後から圧し掛かり、しかし潰さないように注意しながら、すっぽりと俺の影に収まる彼女の小柄な体に覆いかぶさって、そのボディラインを確かめる様に、手のひらに収まる丁度いいサイズの胸からウエストを上下に撫で擦る。そして、時折主張し始めて来た乳首の形を露わにするよう、乳輪のあたりを刺激しながらクルクルと指を這わせて擽ると、焦れたようにゆらゆらと腰が浮き上がり、無意識に俺の性器を擦って刺激してくる動きがたまらない。

「…どうした? 物欲しそうに尻を擦りつけてきているぞ? もう欲しくて我慢できないか?」

 そんな風に、胸の敏感な部分を弄びながら、光沢のある艶やかな黒髪を一方の肩に流して首筋を露わにすると、後ろからピチャピチャと水音を響かせるように項や耳朶を舐め上げて耳元で囁いてやる。

「やぁんっ……レロレロしないで……みみ…ダメぇ…」

 と、顔も耳も真っ赤に染めてか細い声をあげ、体がビクビクと痙攣するように揺らめきながらも、逃げる様に体を離そうとするので、俺は華奢な首の後ろで結ばれたリボンを口に咥えると、その結び目をスィっと外してドレスの上衣を引きずり下ろした。すると、今までドレスで固定されていた柔い胸は、解放されてフルンと揺れるようにこぼれ出たので、直接それを掬い上げる様に鷲掴むと、ビクリと体を震わせた。

「やっ…なんで……ぁンっ……」

 そうやって、戸惑いながら上げる声が可愛らしく、庇護欲すらそそるものを感じるのだが、それ以上に啼かせてやりたいという嗜虐的な衝動に襲われて、

「くくっ……このドレス、俺が選んだと聞いていなかったのか? 男からドレスを送られる意味を知らない訳じゃないだろう?
 こうやって、女から脱がすために送るんだって…な」

 そう言って、笑みを浮かべて背後から彼女を見下ろし、クセになりそうなほど滑らかな肌触りの胸を揉み上げては固く尖った左右の乳首を指で弾いて転がすと、

「あぁンっ、やぁ…っあ………やらぁ…」

 と、彼女は普段よりも一際高い声を上げて鳴きだすので、ズンと下半身に思わぬ衝撃を感じて、下履きを押し上げる昂りを意識する。

 奥庭で会った時も思ったが、彼女の体はどこもかしこも柔らかくて感じやすいが、ちょっと触っただけで固く尖りだす乳首は一際反応がイイ。
 俺は露出された華奢な背中に覆いかぶさるように裸の肌を密着させ、ベロリと滑らかで肌触りの良い背中に舌を這わせながら、もう一つの性感帯である丸い耳元に直接響くように囁いた。

「随分あいつらに可愛がられてきたんだな。ちょっと弾いただけで、グズグズになってるじゃないか。 腰も物欲しそうに俺のモノを欲しがって、無意識に尻を擦り付けてきてるぞ……この淫乱め」

 覚えたての頃ならともかく、ここ最近になると、女を抱く時にはほとんど処理に近いものしか感じていなかったのだが、そんな風に悪ぶって、あえて女を泣かせてみたくなるほど身も心も昂っている自分がいたことにも驚く。だが、あえて腕の中の存在をいい様に仕込んできたであろう彼らの存在を引き合いにだして嫉妬しつつも興奮している自分に苦笑した。

 しかし、そんな慣れない嫉妬に塗れた言葉責めでも彼女は興奮してくれたのだろうか。耳元で囁かれた嘲りへの羞恥で、耳どころか背中や首筋まで真っ赤に染まった姿でイヤイヤと首を振りつつ、その指を噛んで声を堪えている。
 その一際艶めかしい姿に眩暈がしつつも、尚更激しく乳房を揉みしだき、片手で乳輪ごと乳首を引き絞りながら反対側の手で下着越しに隘路に指を這わせると、その下着は用を成さない程に愛液で濡れそぼっており、肘をついた両手で口を押さえて嬌声を堪えながらすすり泣く姿を目にすると、思わず獣の衝動を呼び起こされたのか、その細い項に歯を立てた。

「やぁぁんっ!!」

 興奮のあまりとは言え、あくまで甘噛み程度のつもりだったのだが、思った以上に噛む力が強かったのか、その大きな嬌声でハッと我に返って彼女の姿を上から捉えると、姫は「あっあっ…」と微かな声を漏らしつつビクビクと体を震わせて横たわっていた。

 その姿は痛みで泣いているような感じでもなく、むしろ達した後のような恍惚とした表情であったことにホッとすると、その反面、無防備な姿を晒す雌の姿に、またもや胸の奥からムラムラと言い知れない雄の衝動の様なものが湧きたってくる。

 俺はその衝動に任せるまま、しどけなく横たわり無抵抗になった彼女を仰向けにすると、襲い掛かる様にその唇に食らいついて、押し開いた足の間に猛り立った性器をヌルつく下着越しに擦り合わせながら、唇が腫れぼったく感じるほど長い間、貪るようにその唇を吸い尽くして蹂躙したのだった。




「あっ…あっ……そこっ…イイっ…」

 そうして、お互いの肌を求めあう様に着衣を脱ぎ捨てて全裸になると、寝台の上で座る俺の大腿に乗りあがる彼女を抱き留めて、その温もりを分け合うように抱き合ったのだが、固く敏感になった乳首に舌を這わせて吸い付き甘噛みすると、より強い力でその胸に俺の顔を押さえつける様に抱きしめられたので、ものすごく求められ、包み込まれている錯覚に陥ることができた。

「もう…もう…はやく入れてぇ…おっぱいばっかりいじめないでぇ……」

 何度も達したために徐々に理性が薄れてきているのだろうか、その求めがどんどん直接的なものとなってくるのだが、敢えて挿入を避けて、胸ばかり責め続けては、焦らされた彼女が自分を求める声を聞いて溜飲を下げる。
 焦らしに焦らされた復讐をしているつもりはないのだが、自分を求めてすすり泣く姿をもっと見たいと思ってしまい、しつこい位にいじめ過ぎてしまっている自覚はあったのだが、やめられない。


 そしてそれ以上に、彼女を守るためにも最低限の理性を失うわけにはいかないことに、俺は気づいていたのだが、この部屋の濃密な空気を吸い込んでいるせいだろうか、思った以上に理性を奪われている気がする。

 彼女の体液の甘美な芳香は、魔力の低い只人には理性を失う猛毒と成り兼ねない。

 恐らく、直接只人が彼女の濃厚な体液を摂取すれば、過剰な魔力をその身に取り込み、魔力酔い状態となるだろうと予想はついていた。
 上位魔獣であるジェロームが、彼女の蜜を取り込んだだけであんなに満たされるほどの濃密な魔力。例え魔力に秀でた半人獣であろうと、一溜りもないのだろうと思うのだが……口づけで摂取できる程度の体液は、かなり欲情を煽られたものの理性を失う程ではないため、まだ大丈夫だと思う。
 しかし、それ以上に濃厚な蜜…愛液なんかを取り込んだら……溢れる蜜を啜ってしまったら、自分は一体どうなるのだろうか…?
 思わず研究者の端くれとして、試してみたい気持ちが無いと言ったら嘘になるだろう…
 それに、愛する相手の蜜を啜りたいと思うのは、雄としてのサガとも言える。
 だが、自分が理性を失ったら、彼女を傷つけるかもしれないと思うと、やはり躊躇してしまうのも確かだったのだ。



 そう葛藤していた俺は、すすり泣いて懇願する彼女の要求をあえてスルーして、尖らせた舌で固く尖った乳首をしつこく舐め転がし、その返事とばかりにチュルチュルと音を立てて乳輪ごと吸い上げた。しかし、胸の谷間に頭を抱えられているため、俺の耳にその甘やかな吐息が吹きかかり、時折耳の中を舐め辿られて甘噛みされるので、その都度思わずこちらもビクリと体を震わせてしまうではないか。

 敏感な耳を甘噛みされながら胸に顔を押し付けられるという、自業自得とも言うべき甘い責め苦に堪えながら、心行くまでその頬で温もりを感じ、彼女の滑らかな肌の感触と胸の柔さを堪能しつつ裸の背中に指を這わせて、尻の狭間に指を這わせた。そしてヌルつく隘路を撫でて主張を始めた突起を引っ掻くと

「あっあっあっあぁぁっ…!」

 と、一際大きな嬌声が耳を穿ち、ビクビクと痙攣する体が、彼女が達したことを教えてくれたのだったが…もう少し遅かったら、俺の股間に擦り付ける彼女の貪欲な腰の動きに負けて、グチュグチュと淫猥な音を立てながら責められていた俺の性器が放つ方が早かったかもしれない。…危ない所だった。

 しかし、段々と求める声がか細くなってきており、そろそろ頃合いかもしれないと感じたので、

「もう、グズグズに蕩けているじゃないか…そんなにコレが欲しいのか…?」

 そう言いながら、彼女の願いに応えるべくその隘路に猛りきった性器を這わせようと彼女を仰向けに寝かせて両膝を立てると、すでにその芳しい蜜でドロドロに蕩けた膣孔が目に入り……思わずクラリと眩暈がして…痛いほど張り詰めた性器に手を添えながら、吸い込まれるようにその蜜孔に舌を這わせて、甘美な蜜を啜っていた。

 彼女の体液は、どこもかしこも濃密な魔力を纏って理性を蕩かせる。

 そんなことは以前から分かっていたのに、理性が焼き切れたように夢中になってその蜜を啜ることをやめられなった。



「あぁんっ! やらっ…やぁンっ!」

 一際甲高くなった嬌声が、甘美な音楽となって耳を擽るので、もっともっとその音を聞きたくて、ジュルジュルと音を立てながら、膣孔の周りを舐めまわし、その上部で固くなった突起に吸い付くと、ビクビクと細い腰が跳ねあがる。

「そこ…っ…だめぇっ! 先っぽだめなのぉっ!!」

 と、頭を左右に振り乱しながら、普段よりも高い声が制止を訴えてはくるのだが、もっともっとと聞こえている気がして、その蜜を更に啜りたくて、左右に花弁を押し開き、ベロリと隘路を舐めまわした。

 思った以上に小さな蜜孔からあふれ出す蜜は、指を入れてかき混ぜたらもっと孔が広がって、溢れる様に出てくるだろうか。

 そんな普段だったら冷笑するような妄想に支配されて、俺は上部の固く立ち上がった突起を舐め転がしてチュルチュルと吸い上げながら、3本の指を容易く飲み込んだ蜜穴をかき混ぜる。そして、バラバラに動かしながら腹側のザラりとした感触をしつこく擦って行くと、

「あっあっあぁっ! そこ…イクぅっ!!」

 と、彼女が辛そうな…それでいて嬉しそうな声をあげながら腰を突き上げたので、もっともっとと求める様に奥の方まで舌を差し込んで、膣孔の浅い所をかき混ぜる様にあふれる蜜を啜り上げたのだが……ハァハァと息を切らせて指に歯を立てながら横たわる彼女のしどけない様子を目に入れると、目の前が真っ赤に染まり、ダラダラと蜜を溢している小さな孔に、自分の猛りきった性器を納めて思う様揺さぶりたい衝動にかられた。

「はぁ…はぁ…はぁ…もう、入るだろう…。行くぞ…」

 彼女の太ももを広げて、その隘路に固く反り返った性器を添えると、少しだけ膣孔が緊張するように収縮したが、俺はそれを気遣う余裕もなくなって、微かな囁きと共に彼女の反応も待たず、半ば強引にその膣孔に押し入った。

「あぁんっ!」

 ズズっと性器を侵入させ、そのカサの部分を納めた瞬間、彼女の悲鳴のような喘ぎ声が聞こえたが、その直後にビクビクと引き絞られる様な痙攣が、俺の性器を責めたてて、思わずそれ以上腰を進めることができずに、

「うっ……」

 と、呻き声をあげながらも、腰に力を入れて放つのを堪えた。先っぽを入れただけで達しそうになるなんて、何十年ぶりだろうか。
 しかし、そんな情けない様子を悟られたくはなかったので、余裕があるような笑みを浮かべて

「おいおい、先を入れただけで達したのか? どれだけ欲しかったんだよ」

 と、生理的な涙を浮かべる黒い瞳を下から見上げて笑って見せたのは、年上男の意地だろう。
 そして、膣孔の上部を弄びながらビクビクと震える彼女の痴態を眺める振りをし、暴発しそうな衝動をやり過ごすと、「あぁん…」と喘ぐ声に嗤いながら、ゆっくりと全体を納めていき、

「そろそろ動くぞ…」

 と、短い声を掛け、腰を揺らして更なる快感を求める様に徐々に勢いをつけながら、ガツガツと貪った。


「あっあっあっ…ハァんっ!」

 俺の動きに合わせて上げる嬌声が心地よく情欲をそそり、思った以上に狭くて搾り取るように纏わりつく膣孔の蠢きに、思った以上に持たないと感じながら、途中で彼女が甲高い嬌声をあげながら何度目かに達した時には、思わず「うっ」と情けない声をもらして、堪え切れずに一緒にイくと、その中に放つ余韻の心地よさに腰が蕩けそうになってしまった。

 しかし、あまりに具合が良すぎたのか、一度放った後もその猛りは全く衰える気配がみえず、膣孔の収縮に苛まれながらもナカで放った白濁の滑りがグチュグチュと卑猥な水音をたてながら、更にその動きを助長させ、

「やぁんっ! ちょっと、待って!奥ばっかり…だめぇっ……っ…! イッちゃう……またイッちゃうから……アぁンっ!!」

 と、訴える声も耳に入らず、「ふっふっ」と規則的な呼吸を繰り返しながら、ひたすら彼女の腰を掴んで無心に穿ち続けたのだった。



 ……それにしても、俺はこんなに絶倫だっただろうか…?

 様々な体位で彼女のイイ所を探りつつ貪りながら、何度目かに放った後。少し自分を顧みる余裕が出て来たのだろうか。

 どう考えても、おかしいと思える位の回数を、彼女に繰り返し放っている。
 …そう思っているのに、狂ったように腰が止まらないと言うのも、常軌を逸している気がするのだが……。

 それに、これだけ抱き続けているのに、身体の疲労はともかく…、魔力の欠乏が襲ってこない。むしろ過剰なくらいに摂取している感覚が、ようやく戻って来たと言うべきか。
 人間の体液には、魔力が多分に含まれているので、これだけ体液を消失するような行為を繰り返しているのに、むしろ酩酊するほど満たされている。

 そう思いながら、現在、対面座位で互いに一つに溶け合ったように抱き合いながら揺さぶり続け、腰の接合部から絶え間なく奏でる水音が、グチュグチュと静かな寝室に響いており、時折

「ん……もっと、キスして…」

 と、欲情に染まる黒い瞳で、頬を染めてトロリと蕩けたような表情で微笑みながら唇を啄んでくる、愛しい存在に抗えるわけもなく…請われるままに上も下も溶けあうような交わりを楽しむと、夢とも現実とも知れない甘美なひと時が永遠に続いているような錯覚に襲われ………グラリと後ろに重力がかかって行ったかと思うと……


突然意識が暗転した。





 ………夢を、見ていたのだろうか?

 随分いい夢を見ていた様な気がするのだが、身体の節々がやたらと痛い。
 特に、腰や股関節のあたりなんか、身を捩るだけで悲鳴を上げそうな位に痛み、ギシギシと軋む音がする。そして、全裸になって横たわる全身がヌメヌメとしていて気持ちが悪かったので、クリーンで簡易的にサッパリしたのだが、現代日本人としては是非ともお風呂に入りたい。

 身動きするとトプトプと白い液体が漏れ出てヌルつく股間やら、あちらこちらにマーキングされたように肌に浮かぶ赤黒い斑点に覚えがない訳ではないのだが、私はかろうじて身に着けていたストレージの指輪からポーションを出して、最小限の動きでその中身を煽ると、程よい疲労感だけを残して、伝染病でも患ったような夥しい数のキスマークや、関節を苛んでいた苦痛症状が去って行ったのを感じる。
 そうして、微かに身体に触れる、程よい温もりに気づいて目をやると、私の横で全裸のクリスティアン王子が気絶したように白目をむいて倒れているではないか。

 私は案外冷静にその姿をマジマジと見つめると、昨夜の出来事を思い出して、叫び声を上げそうになった。…のだが、かろうじて飲み込んで、ムクリと上体を起こして、頭を抱えて唸り声をあげる。

「ああ………やっちまった………」

 色々な想いを込めた“やっちまった”なのだが、さすがに気絶している人間を放って置くわけにもいかないだろう。
 私は取り合えずお互いの体液でドロドロにしてしまった、一級品のベッドや、王子の体に何度もクリーンを重ね掛け、仕上げとばかりに王子にポーションを振りかける。そうすると、白目をむいた残念なイケメンが、眠れる絶世の美青年に戻り、何事もなかったかのようにスヤスヤと寝息をたてる姿に少し見惚れてしまった。

 マジマジとそのきれいな寝顔を見ていると、……ちょっと口移しとか、色っぽかったかも…と思わなくもなかったが、あれだけやりたい放題にやった後だし、何だか今更な感じが気恥ずかしい気がして、自重した。

 はい、賢者モードも到来しておりますよ。

 その後しばらく上からぼんやりと見下ろしていたのだが、フルリと震えが襲ってきたので、暖をとるようにその腕で上半身を抱きしめた。裸で布団から出るとちょっと肌寒い季節にもなって来ていたので、私はゴソゴソと布団に戻って包まると、少しだけ王子の側に寄って行って、その温もりを分けてもらい、その静かな寝息を聞きながら、目を閉じた。

 何時か知らないけれど、まだ外は薄暗いのだ。

 そのうち誰かが起こしに来ると思うので、もう少し寝かせてもらいたい。




 そうして、ほのかな温もりに包まれながら、私はいつも通り数秒で深い眠りに落ちていったのだった。





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