ライバル悪役令嬢に転生したハズがどうしてこうなった!?

だましだまし

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お兄様とシル様の方へ戻ると邸へ戻ろうかと話しているところだった。
危ない危ない。
さて、どう時間を稼ごうかなと視線を彷徨わせるとジグスさんが視界に入った。
彼は鮮やかな赤い髪をしているのでとても目立つ。
「シル様、そういえばジグスさんは花にも詳しいのですか?」
「え?えぇとどうかしら?」
急に今更花に興味を示したので若干不思議そうではあるがジグスさんを呼んでくれた。
「ジグス、花の事も分かる?」
「花は…薬効のあるものや食用のもの、毒があるものなどは分かりますが普通の花は分からないですね」
その返しにお兄様は不思議に思ったらしい。
「その何かしらの効果のあるものか調べる時に覚えたりしないのか?」
「あ、お兄様の言う通りね。確かに調べてたら他のも知ったりするわ」
シル様もお兄様の指摘で気付いたらしい。
「私はトロル族としては半人前なので普通の植物は分からないのです」

詳しく説明を聞くと妖精族というのは天空・大地・水・炎という四大精霊どれかの眷族になるらしい。
その中で妖精の一種であるトロル族は大地の精霊の眷族で植物の加護を受けているのだそうだ。

「なので純粋なトロル族はあらゆる植物の特性や名前などが分かるのですが私は混血の中でも濃いとは言えませんから特徴のある植物の特性しかわからないのです。例えば…こちらは生だと甘いが毒で乾燥すると苦みが出るが食べられる…、この花はサラダのように食べられるが沢山食べるのは良くない…などは分かるのですが名前は分からないのです」
「完全な力でなくともそんな細かい特性が分かるのか…トロル族とはすごいな…」
「味まで分かるんですねぇ…あ!だからあんなにお茶が美味しいんですか?」
「お気に召して頂けて嬉しいです」
にっこり微笑むジグスさん。
まぶしい!太陽!イケメン!

「ジグスはね、毒も見抜いてくれた事があるわ」
(セルディ以外の視点だと)ニコニコと微笑みながらシル様がとんでもない発言をした。
「シル様、毒を盛られたことがあるんですか?!」
「具体的に教えてもらえますか?」
お兄様まで被り気味に食いついたのはシル様も想定外だったのか驚いている。
「昔嫌がらせで時々あったの。死ぬようなものでなくお腹が痛くなるようなものだったり気持ち悪くなるようなものだったり…」
「もしかして…お茶会などでですか…?」
「そうね、外でが多かったわ。でもジグスが教えてくれるから飲んだことはないのよ」
恐らくいつも人形のように澄ましているように見えるシル様を困らせようと仕組んだのだろう。
体調を崩せば人形姫でいられないだろうと。
そして恥をかかせようと。完璧なシル様を妬んで…。
「外でが多かった…ということはご自宅でもあったと…?」
「妹が私の表情が変わる所を見たいからとたまにイタズラしてきたの」
シル様はこういうがジグスさんの苦虫を噛み殺した様な顔でそんな生易しい物で無かったことがうかがえる。
「ジグス殿は毒なら何でも見抜けるのか?」
「いえ、トロル族の得ている加護は植物の特性を知るの一点でございます。植物由来の毒ならば分かりますが…例えば植物を使っていても抽出液を他の薬品と組み合わせて作られた毒は植物成分が多ければ分かりますが薬品成分が強ければ分かりません」
「その薬品も植物の抽出液や加工されたものなら?」
「幾通り組み合わせても分かります」

確か薬品の中には鉱石を原料にしたものがあると前世で聞いたことがある。
食べ物が近いこの世界もきっとあるだろう。
ただ、この世界の薬は漢方のような植物由来がもの凄く多い。
なにせ魔法のある世界だ。貴族は自分が回復魔法を使えなくても治療魔法の使い手を呼べる。
病気や怪我で薬を使うのは圧倒的に庶民が多いので簡単な設備で作られる植物由来の薬の方が豊富なのだ。
そんな世界で植物由来ならば毒が見抜けるのはトロル族ってもの凄く重宝されるべき種族なのでは…。
お兄様も同じ考えなのだろう。
目が真剣で騎士モードになっている。
「その毒を見抜くのはトロル族なら誰でも出来るのか?」
「血の濃さが私以上ある者なら出来ると思います」
「そうか」

この時の会話が運命を変えるなんてこの時の私は思ってもいなかった。
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