ライバル悪役令嬢に転生したハズがどうしてこうなった!?

だましだまし

文字の大きさ
26 / 35

26

しおりを挟む
摘んだ葉は庭師が洗ってお茶になるよう乾してくれると言うので預けて邸に戻った。
30分を余裕で過ぎてしまったが大丈夫のはず、多分。

護衛さんに扉を開けてもらい玄関ホールに入ると、私たちが外にいる時はいつ戻っても良いようにいつも数人の使用人が待っていてくれるのに1人しかいなかった。
なんとシグルス様がシル様に付けた侍女だけでメイドたちも居ない。

(遅すぎたかしら…)

もの凄く不安になって焦ってキョロキョロしてしまったが3人もいつもと違って寂しい玄関ホールに戸惑っている。セーフ!私、不自然じゃない!

「リュシルファお嬢様、皆様、奥の部屋へお越しください」

そう声を掛けられ案内されたのは日頃皆で寛いでいる部屋と違う場所だった。
大きめの両開きの扉から推測するにパーティや大きめの茶会が出来る場所なのだろう。
え?シグルス様、パーティでもするの?
魔力訓練してたし私もシル様も比較的シンプルな動きやすいワンピースドレスなんですけど?
その準備の時間稼ぎ…にしては短いか。

侍女が扉を叩き私たちのを訪れを告げると扉が大きく開かれた。
目に入ったのは彩り豊かなポピーやヒナゲシの花々。
本物よりも大振りなのもあるし良く出来た造花だろう。
バラやガーベラなどもあり、まるで花の国に迷い込んだように飾り立てられていた。

「リュシルファ、こちらへ…」
部屋の真ん中でシグルス様が微笑み手を差し伸べている。
いつもの愛称呼びでない事が少々気になったようだがおずおずとシル様が近付いていった。
そして手を重ねると同時に王子が跪く。
「リュシルファ・ツィルフェール公爵令嬢、私と貴女の間にあった障壁は取り除かれました。どうか私の妃として共に歩んでもらえませんか?」

プロポーズだぁぁああ!!!!
本物の王子様による王子様っぽいシチュエーションのプロポーズ!!!
こちらが声を上げそうになり手で口を塞ぐ。
横を見るとお兄様が同じポーズで口を抑えていて吹き出しそうになった。
ジグスさんは手を胸の前で組み合わせ祈るように2人を見つめている。

驚いたのか僅かに目を見開き、数回瞬きを繰り返したシル様の大きな美しい瞳からポロポロと涙が零れ落ちた。
そして、誰の目からでも分かるほど美しくフワリと微笑んだのだ。
シグルス様が思わず息を飲んだのが分かった。
「喜んで…シグルス様…」
幸せそうに微笑む2人が抱き合うと「おめでとうございます!」と祝福の声や拍手が沸き起こる。
どうやら使用人一同は装飾や机の陰に潜み見守っていたらしい。
私たちも幸せな気持ちで手を叩く。
ジグス様に至っては「良かった…良かった…」と呟きながら涙を流し喜んでいた。
「俺が絵師ならあの美しい笑顔と幸せな涙を描き残せたのに」とか言ってるのはお兄様だ。
ちなみにお兄様の画力は5歳児並だと思う。

実は部屋の装飾は私達が来た頃には施されていたらしい。
そして、婚約が認められたら改めてプロポーズをし祝う予定だったそうだ。
何やらシル様への虐待容疑で公爵を脅して婚約をもぎ取ろうとしていたが婚約を推している妹様に想い人が出来たため本人が強く拒否しあっさり承諾書が手に入ったのだと上機嫌のシグルス様の側近が話しているのを聞いたのはここだけの話し。
告げられた30分は生花を飾り、菓子類に飲み物などを用意する時間だったらしい。
お陰で軽食も間に合ったとこっそりお褒め頂いた。

使用人たちも無礼講の茶和会が始まり和やかな時間が過ぎていく。
夕方には楽団も到着し、このまま夜にはお祝いのパーティになるらしい。
最高の料理を!と、料理人たちも張り切っている。
本当に幸せそうなシル様。
そして嬉しそうなシグルス様。
使用人たちも喜びに笑顔溢れていて、私達兄妹はこの素敵な時間に立ち会え、共に過ごせている幸福を嚙みしめていた。

そんな時だった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

傍観している方が面白いのになぁ。

志位斗 茂家波
ファンタジー
「エデワール・ミッシャ令嬢!貴方にはさまざな罪があり、この場での婚約破棄と国外追放を言い渡す!」 とある夜会の中で引き起こされた婚約破棄。 その彼らの様子はまるで…… 「茶番というか、喜劇ですね兄さま」 「うん、周囲が皆呆れたような目で見ているからな」  思わず漏らしたその感想は、周囲も一致しているようであった。 これは、そんな馬鹿馬鹿しい婚約破棄現場での、傍観者的な立場で見ていた者たちの語りである。 「帰らずの森のある騒動記」という連載作品に乗っている兄妹でもあります。

悪役令嬢らしいのですが、務まらないので途中退場を望みます

水姫
ファンタジー
ある日突然、「悪役令嬢!」って言われたらどうしますか? 私は、逃げます! えっ?途中退場はなし? 無理です!私には務まりません! 悪役令嬢と言われた少女は虚弱過ぎて途中退場をお望みのようです。 一話一話は短めにして、毎日投稿を目指します。お付き合い頂けると嬉しいです。

悪役令嬢に仕立て上げたいなら、ご注意を。

潮海璃月
ファンタジー
幼くして辺境伯の地位を継いだレナータは、女性であるがゆえに舐められがちであった。そんな折、社交場で伯爵令嬢にいわれのない罪を着せられてしまう。そんな彼女に隣国皇子カールハインツが手を差し伸べた──かと思いきや、ほとんど初対面で婚姻を申し込み、暇さえあれば口説き、しかもやたらレナータのことを知っている。怪しいほど親切なカールハインツと共に、レナータは事態の収拾方法を模索し、やがて伯爵一家への復讐を決意する。

悪役令嬢に転生したけど、破滅エンドは王子たちに押し付けました

タマ マコト
ファンタジー
27歳の社畜OL・藤咲真帆は、仕事でも恋でも“都合のいい人”として生きてきた。 ある夜、交通事故に遭った瞬間、心の底から叫んだーー「もう我慢なんてしたくない!」 目を覚ますと、乙女ゲームの“悪役令嬢レティシア”に転生していた。 破滅が約束された物語の中で、彼女は決意する。 今度こそ、泣くのは私じゃない。 破滅は“彼ら”に押し付けて、私の人生を取り戻してみせる。

乙女ゲームのヒロインに転生、科学を駆使して剣と魔法の世界を生きる

アミ100
ファンタジー
国立大学に通っていた理系大学生カナは、あることがきっかけで乙女ゲーム「Amour Tale(アムール テイル)」のヒロインとして転生する。 自由に生きようと決めたカナは、あえて本来のゲームのシナリオを無視し、実践的な魔法や剣が学べる魔術学院への入学を決意する。 魔術学院には、騎士団長の息子ジーク、王国の第2王子ラクア、クラスメイト唯一の女子マリー、剣術道場の息子アランなど、個性的な面々が在籍しており、楽しい日々を送っていた。 しかしそんな中、カナや友人たちの周りで不穏な事件が起こるようになる。 前世から持つ頭脳や科学の知識と、今世で手にした水属性・極闇傾向の魔法適性を駆使し、自身の過去と向き合うため、そして友人の未来を守るために奮闘する。 「今世では、自分の思うように生きよう。前世の二の舞にならないように。」

追放された悪役令嬢は、辺境の谷で魔法農業始めました~気づけば作物が育ちすぎ、国までできてしまったので、今更後悔されても知りません~

黒崎隼人
ファンタジー
公爵令嬢リーゼリット・フォン・アウグストは、婚約者であるエドワード王子と、彼に媚びるヒロイン・リリアーナの策略により、無実の罪で断罪される。「君を辺境の地『緑の谷』へ追放する!」――全てを失い、絶望の淵に立たされたリーゼリット。しかし、荒れ果てたその土地は、彼女に眠る真の力を目覚めさせる場所だった。 幼い頃から得意だった土と水の魔法を農業に応用し、無口で優しい猟師カイルや、谷の仲間たちと共に、荒れ地を豊かな楽園へと変えていく。やがて、その成功は私欲にまみれた王国を揺るがすほどの大きなうねりとなり……。 これは、絶望から立ち上がり、農業で成り上がり、やがては一国を築き上げるに至る、一人の令嬢の壮大な逆転物語。爽快なざまぁと、心温まるスローライフ、そして運命の恋の行方は――?

乙女ゲームの悪役令嬢、ですか

碧井 汐桜香
ファンタジー
王子様って、本当に平民のヒロインに惚れるのだろうか?

【完結】断罪された悪役令嬢は、本気で生きることにした

きゅちゃん
ファンタジー
帝国随一の名門、ロゼンクロイツ家の令嬢ベルティア・フォン・ロゼンクロイツは、突如として公の場で婚約者であるクレイン王太子から一方的に婚約破棄を宣告される。その理由は、彼女が平民出身の少女エリーゼをいじめていたという濡れ衣。真実はエリーゼこそが王太子の心を奪うために画策した罠だったにも関わらず、ベルティアは悪役令嬢として断罪され、社交界からの追放と学院退学の処分を受ける。 全てを失ったベルティアだが、彼女は諦めない。これまで家の期待に応えるため「完璧な令嬢」として生きてきた彼女だが、今度は自分自身のために生きると決意する。軍事貴族の嫡男ヴァルター・フォン・クリムゾンをはじめとする協力者たちと共に、彼女は自らの名誉回復と真実の解明に挑む。 その過程で、ベルティアは王太子の裏の顔や、エリーゼの正体、そして帝国に忍び寄る陰謀に気づいていく。かつては社交界のスキルだけを磨いてきた彼女だが、今度は魔法や剣術など実戦的な力も身につけながら、自らの道を切り開いていく。 失われた名誉、隠された真実、そして予期せぬ恋。断罪された「悪役令嬢」が、自分の物語を自らの手で紡いでいく、爽快復讐ファンタジー。

処理中です...