38 / 40
お互いの我儘
38話
しおりを挟む
私は一度だけ歩夢ちゃんとの通話を切り、リビングに居る悠斗くんの元へ向かった。
ほ、本当に行かないとダメなのかな……
「ゆ、悠斗くん」
私はリビングのドアをゆっくりと開ける。
「どうかしたの?」
悠斗くんはソファーに座りくつろいでいた。
「あ、あのね。今からちょっとコンビニに行って来ても良いかな?」
「え? い、今から?」
悠斗くんは壁に掛けられている時計を見て時刻を確認する。
「え? 一人で?」
「う、うん。一人で」
「だ、ダメだよ。もう外暗いし。街灯もそんなにないんだから。行くなら俺も一緒に行くから」
「で、でも今日じゃなくても大丈夫だから。明日にしとくね」
「そ、それならいいんだけど。本当に良いの?」
「うん。大丈夫だよ」
そう言って私はもう一度部屋に戻り、歩夢ちゃんに電話をかけた。
『もしもーし』
「もしもし歩夢ちゃん。お父さんがね。もう外暗いからダメだって」
『そっかー。じゃあ今からこっそり抜け出しちゃおうよ。彼氏にも内緒でサプライズ的な?』
「だ、ダメだよそんなことしちゃ」
『じゃあまた今度になっちゃうね。じゃあ私お風呂入って来るから。またね』
「うん。ありがとう歩夢ちゃん」
そう言って私は通話を切った。
「どうしよう。やっぱり自分で考えないとダメだよね」
私は悠斗くんにされて嬉しい事を考えることにした。
よく聞くもんね。自分がされて嫌な事はするなって。なら自分がされて良い事はしなさいって意味にもなるもんね。
「えーっと」
まず名前を呼ばれるだけでも嬉しい。話してくれるだけでも嬉しい。触れているだけで嬉しい。同じ場所に居るだけで嬉しい。ハグされると嬉しい。
「何されても嬉しいよ……」
これって私が単純なだけなのかな。
するとドアをノックする音が聞こえた。
「小春。ちょっと良い?」
「え? う、うん! 良いよ」
私がそう言うと悠斗くんはゆっくりと私のお部屋に入って来た。
「ど、どうかしたの? 悠斗くん」
「これどうかな?」
悠斗くんは持っているスマホの画面を私に見せてきた。
スマホの画面には可愛らしい服が映っていた。
「これって、服の事?」
「うん。さっきテレビで春服についてやっていてね。小春に似合う春服無いかなぁ~って思ってネットを見てみたら小春に似合いそうな服があって。買おうかなって」
「ちょ、ちょっと待って悠斗くん。私今日も服買ってもらったよ?」
今日行ったショッピングモールで悠斗くんに選んでもらった服を買ってもらったばかりなのに、悠斗くんはまた直ぐに新しい服を私に買うつもりなの?
そんなの……ダメだよ…………
「え? ダメだった?」
「だ、ダメだよ。今日買ってもらったばかりなのに、また新しい服を買ってもらうなんて悪いよ」
「そ、そうかな。俺は小春が喜んでくれるなら別に何とも思わないけどな」
「嬉しいけど……私悠斗くんにお礼できないよ…………」
「お礼?」
今でさえ悠斗くんにお礼ができないほどの恩があるのに更に増えるともうどうしようもなくなっちゃう。
「うん。私悠斗くんに沢山嬉しい事してもらってるのに、私は何もできてないの」
「別に俺は小春に何かお礼をしてほしいなんて思ってないよ」
「違うの。悠斗くんがそう言ってくれるのは嬉しいけど、悠斗くんにお礼がしたいのは私の我儘なの。私、我儘だから……」
悠斗くんがお礼はいらないと言っているのにお礼をしたがるのはただの我儘。私の我儘。
「そっか。じゃあ俺は小春の我儘を聞くことにするね」
「い、良いの?」
「うん。小春のお願いはなるべく聞くって決めてるから」
「じゃ、じゃあ――」
私は椅子から立ち上がり、悠斗くんに抱き着いた。
「私の事好きにしていいよ。悠斗くんの好きにして」
ほ、本当に行かないとダメなのかな……
「ゆ、悠斗くん」
私はリビングのドアをゆっくりと開ける。
「どうかしたの?」
悠斗くんはソファーに座りくつろいでいた。
「あ、あのね。今からちょっとコンビニに行って来ても良いかな?」
「え? い、今から?」
悠斗くんは壁に掛けられている時計を見て時刻を確認する。
「え? 一人で?」
「う、うん。一人で」
「だ、ダメだよ。もう外暗いし。街灯もそんなにないんだから。行くなら俺も一緒に行くから」
「で、でも今日じゃなくても大丈夫だから。明日にしとくね」
「そ、それならいいんだけど。本当に良いの?」
「うん。大丈夫だよ」
そう言って私はもう一度部屋に戻り、歩夢ちゃんに電話をかけた。
『もしもーし』
「もしもし歩夢ちゃん。お父さんがね。もう外暗いからダメだって」
『そっかー。じゃあ今からこっそり抜け出しちゃおうよ。彼氏にも内緒でサプライズ的な?』
「だ、ダメだよそんなことしちゃ」
『じゃあまた今度になっちゃうね。じゃあ私お風呂入って来るから。またね』
「うん。ありがとう歩夢ちゃん」
そう言って私は通話を切った。
「どうしよう。やっぱり自分で考えないとダメだよね」
私は悠斗くんにされて嬉しい事を考えることにした。
よく聞くもんね。自分がされて嫌な事はするなって。なら自分がされて良い事はしなさいって意味にもなるもんね。
「えーっと」
まず名前を呼ばれるだけでも嬉しい。話してくれるだけでも嬉しい。触れているだけで嬉しい。同じ場所に居るだけで嬉しい。ハグされると嬉しい。
「何されても嬉しいよ……」
これって私が単純なだけなのかな。
するとドアをノックする音が聞こえた。
「小春。ちょっと良い?」
「え? う、うん! 良いよ」
私がそう言うと悠斗くんはゆっくりと私のお部屋に入って来た。
「ど、どうかしたの? 悠斗くん」
「これどうかな?」
悠斗くんは持っているスマホの画面を私に見せてきた。
スマホの画面には可愛らしい服が映っていた。
「これって、服の事?」
「うん。さっきテレビで春服についてやっていてね。小春に似合う春服無いかなぁ~って思ってネットを見てみたら小春に似合いそうな服があって。買おうかなって」
「ちょ、ちょっと待って悠斗くん。私今日も服買ってもらったよ?」
今日行ったショッピングモールで悠斗くんに選んでもらった服を買ってもらったばかりなのに、悠斗くんはまた直ぐに新しい服を私に買うつもりなの?
そんなの……ダメだよ…………
「え? ダメだった?」
「だ、ダメだよ。今日買ってもらったばかりなのに、また新しい服を買ってもらうなんて悪いよ」
「そ、そうかな。俺は小春が喜んでくれるなら別に何とも思わないけどな」
「嬉しいけど……私悠斗くんにお礼できないよ…………」
「お礼?」
今でさえ悠斗くんにお礼ができないほどの恩があるのに更に増えるともうどうしようもなくなっちゃう。
「うん。私悠斗くんに沢山嬉しい事してもらってるのに、私は何もできてないの」
「別に俺は小春に何かお礼をしてほしいなんて思ってないよ」
「違うの。悠斗くんがそう言ってくれるのは嬉しいけど、悠斗くんにお礼がしたいのは私の我儘なの。私、我儘だから……」
悠斗くんがお礼はいらないと言っているのにお礼をしたがるのはただの我儘。私の我儘。
「そっか。じゃあ俺は小春の我儘を聞くことにするね」
「い、良いの?」
「うん。小春のお願いはなるべく聞くって決めてるから」
「じゃ、じゃあ――」
私は椅子から立ち上がり、悠斗くんに抱き着いた。
「私の事好きにしていいよ。悠斗くんの好きにして」
0
あなたにおすすめの小説
隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする
夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】
主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。
そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。
「え?私たち、付き合ってますよね?」
なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。
「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
フラレたばかりのダメヒロインを応援したら修羅場が発生してしまった件
遊馬友仁
青春
校内ぼっちの立花宗重は、クラス委員の上坂部葉月が幼馴染にフラれる場面を目撃してしまう。さらに、葉月の恋敵である転校生・名和リッカの思惑を知った宗重は、葉月に想いを諦めるな、と助言し、叔母のワカ姉やクラスメートの大島睦月たちの協力を得ながら、葉月と幼馴染との仲を取りもつべく行動しはじめる。
一方、宗重と葉月の行動に気付いたリッカは、「私から彼を奪えるもの奪ってみれば?」と、挑発してきた!
宗重の前では、態度を豹変させる転校生の真意は、はたして―――!?
※本作は、2024年に投稿した『負けヒロインに花束を』を大幅にリニューアルした作品です。
昔義妹だった女の子が通い妻になって矯正してくる件
マサタカ
青春
俺には昔、義妹がいた。仲が良くて、目に入れても痛くないくらいのかわいい女の子だった。
あれから数年経って大学生になった俺は友人・先輩と楽しく過ごし、それなりに充実した日々を送ってる。
そんなある日、偶然元義妹と再会してしまう。
「久しぶりですね、兄さん」
義妹は見た目や性格、何より俺への態度。全てが変わってしまっていた。そして、俺の生活が爛れてるって言って押しかけて来るようになってしまい・・・・・・。
ただでさえ再会したことと変わってしまったこと、そして過去にあったことで接し方に困っているのに成長した元義妹にドギマギさせられてるのに。
「矯正します」
「それがなにか関係あります? 今のあなたと」
冷たい視線は俺の過去を思い出させて、罪悪感を募らせていく。それでも、義妹とまた会えて嬉しくて。
今の俺たちの関係って義兄弟? それとも元家族? 赤の他人?
ノベルアッププラスでも公開。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
隣の家の幼馴染と転校生が可愛すぎるんだが
akua034
恋愛
隣に住む幼馴染・水瀬美羽。
毎朝、元気いっぱいに晴を起こしに来るのは、もう当たり前の光景だった。
そんな彼女と同じ高校に進学した――はずだったのに。
数ヶ月後、晴のクラスに転校してきたのは、まさかの“全国で人気の高校生アイドル”黒瀬紗耶。
平凡な高校生活を過ごしたいだけの晴の願いとは裏腹に、
幼馴染とアイドル、二人の存在が彼の日常をどんどんかき回していく。
笑って、悩んで、ちょっとドキドキ。
気づけば心を奪われる――
幼馴染 vs 転校生、青春ラブコメの火蓋がいま切られる!
学園のアイドルに、俺の部屋のギャル地縛霊がちょっかいを出すから話がややこしくなる。
たかなしポン太
青春
【第1回ノベルピアWEB小説コンテスト中間選考通過作品】
『み、見えるの?』
「見えるかと言われると……ギリ見えない……」
『ふぇっ? ちょっ、ちょっと! どこ見てんのよ!』
◆◆◆
仏教系学園の高校に通う霊能者、尚也。
劣悪な環境での寮生活を1年間終えたあと、2年生から念願のアパート暮らしを始めることになった。
ところが入居予定のアパートの部屋に行ってみると……そこにはセーラー服を着たギャル地縛霊、りんが住み着いていた。
後悔の念が強すぎて、この世に魂が残ってしまったりん。
尚也はそんなりんを無事に成仏させるため、りんと共同生活をすることを決意する。
また新学期の学校では、尚也は学園のアイドルこと花宮琴葉と同じクラスで席も近くなった。
尚也は1年生の時、たまたま琴葉が困っていた時に助けてあげたことがあるのだが……
霊能者の尚也、ギャル地縛霊のりん、学園のアイドル琴葉。
3人とその仲間たちが繰り広げる、ちょっと不思議な日常。
愉快で甘くて、ちょっと切ない、ライトファンタジーなラブコメディー!
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
幼馴染が家出したので、僕と同居生活することになったのだが。
四乃森ゆいな
青春
とある事情で一人暮らしをしている僕──和泉湊はある日、幼馴染でクラスメイト、更には『女神様』と崇められている美少女、真城美桜を拾うことに……?
どうやら何か事情があるらしく、頑なに喋ろうとしない美桜。普段は無愛想で、人との距離感が異常に遠い彼女だが、何故か僕にだけは世話焼きになり……挙句には、
「私と同棲してください!」
「要求が増えてますよ!」
意味のわからない同棲宣言をされてしまう。
とりあえず同居するという形で、居候することになった美桜は、家事から僕の宿題を見たりと、高校生らしい生活をしていくこととなる。
中学生の頃から疎遠気味だったために、空いていた互いの時間が徐々に埋まっていき、お互いに知らない自分を曝け出していく中──女神様は何でもない『日常』を、僕の隣で歩んでいく。
無愛想だけど僕にだけ本性をみせる女神様 × ワケあり陰キャぼっちの幼馴染が送る、半同棲な同居生活ラブコメ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる