40 / 117
辺境騒乱編
時を越える者と使役されし竜姫1
「GYAAAAAA!!!!」
そこにいたのは骨と化した一匹の竜だった。
禍々しいオーラを放っていると予想していたが、世界の全てを呪うような、不死者特有の邪気は発していない。
長き時を越えて尚風化することが無い骨は、生前は頑強な鱗に覆われており、鋼を超える強度の筋肉がその巨体を動かしていたのだろう。
咆哮を上げはしたが、こちらを襲う気配も無く。微動だにしない骨の竜。
「これは......使役されている?竜を超えるような馬鹿げた力の持ち主が居るな」
「ご慧眼ですね。神の如き存在だとお見受けしましたが、中身は複雑な形をしていますのね」
目の前の壁と同時に崩れた天井、声は上から聞こえてきたが......見上げるとそこには一人の女性が浮遊していた。
神秘的な光を放つ銀髪は、まるで月の光を宿したかの様に儚げで美しく、その薄っすらとした光は全身へ伝わっている。淡雪と表現すれば良いだろうか、白過ぎるその肌は、真紅に輝く瞳をより際立たせている。
人成らざる者の美しさ、妖しげな魅力を全身が放っている為、心の弱い者はその意に抗う事は出来ないだろう。
神秘的な雰囲気をまとった彼女は、何かを思案する様に腕を組んで考え事を始めた。
何かに気が付いた表情を見せた彼女は、浮遊するのを止めて、地面へと降り立った。
「高い所から見下すなど、目覚めたばかりとはいえ失礼致しました。私はローゼンシア・リーンハルト・オブシディアンと申します。今が何年かは分からないですが、滅びた国の女王ですわ」
「オブシディアン?それって歴史書レベルじゃないかな?」
「ケイ様、彼女が言っている事が本当ならば、1億年程前に存在した吸血鬼が統治した国があったと伝えられている国の女王という事になります」
教えて!【百科事典】先生!
『解』【オブシディアン帝国】1億1211年前に建国されてから、滅亡する9536年前までの間、大陸全土を統治した。女帝ローゼンシア・リーンハルト・オブシディアンが建国してから滅亡まで王となり君臨する。
真祖であるローゼンシアから不老不死を賜ろうと、大陸で覇を唱えた王達が頭を垂れて従った為、無血での大陸統一を果たした唯一の国。
別名、【夜の国】と呼ばれたこの帝国は、ローゼンシアが自らが使徒として選んだ、四公爵を頂点に爵位持ちの貴族達が支配する吸血鬼の国だった。
少数ながらも圧倒的な武力を誇る貴族達と、使役される魔獣、不死者の軍勢が中核を成す帝国軍は、夜の支配者と呼ばれており、魔王や竜達でさえ容易に敵対する事は無かった。
黄昏の時と呼ばれた。四公爵の突然消滅による国家基盤の崩壊と女王の行方不明で、帝国は1月と持たず瓦解した。その後、自らを王と称する上級吸血鬼達が国を建国して領土を広げるが、悉く他国軍や竜達の襲撃にあって崩壊する。
この出来事で歴史の表舞台から吸血鬼は姿を消していった。
帝国滅亡には諸説あり、女王が自ら命を絶った為、直属の眷属であった四公爵が消滅した。女王自らが帝国を滅ぼすべく四公爵を消した。
何らかの理由で神の怒りに触れた帝国を神が裁いた。
どれも確証は無いが、それくらいでなければ説明が付かないと言われ、今でも歴史家の間では議論されている話題である。
との事だ。これは歴史的な瞬間に立ち会ってしまったのだろうか?何にせよ俺が取る行動は一つ。
「ならば話は簡単だ。ローゼンシア......お前が欲しい」
「......は?脈絡が無さ過ぎて理解が追いつかないのですが?」
呆気に取られた表情は、先ほどまでの神秘的な霧散しており、統治者や絶対者としての仮面が外れている。
「どんな理由でここに居るとか、何を背負ってここに来たとかどうでも良いから!帝国を長期に亘って統治したその卓越した手腕を是非貸して欲しいね」
「はぁ、貴方は私の素性を知っても、驚いたり傅いたりしないのですね」
「何で?そりゃ、魅力的で可愛い女性が居れば口説きたくなるけど、今は為政者としての判断で動くべきかな~って思ったんだけど?」
どうして眉毛の間を摘んで悩んでいるのかな?何か不味い事言ったかな?......分からん。
「ローゼンシア様、ケイ様をそこらの有象無象とご一緒にされては困ります。私の旦那様はやがて世界を統べるお方です。不老不死と引き換えに何かを差し出す様な愚か者達とは格が違います」
「それにケイはそんなレベルなんかとっくの昔に卒業してるんだから!」
嫁達が俺自慢を始めだした。いかん、このままでは夜を徹してのマシンガントークへ移行するのが見えている。俺が止めなければ!と思ったんだが、ここで思わぬ所から声が掛かる。
「ローゼ、どうやら彼等は本当に奴等とは関係無いようだ。それに、おそらくその少年は神格位所持者であろう。我々が如何に足掻いても、逃げる事も倒す事も叶うまいよ」
「セレス!黙っていなさいと命じたでしょう?ああ......偽装も無駄になったわね」
セレスと呼ばれた骨の竜は、輪郭がぼやけて変化し始めた。
細工をしているのは分かっていたが、こちらが見破っている事を手札として切る前に、自分から晒す所を見るに、彼女は駆け引きにも長けているようだ......ふふふ、逸材だぞ!これは楽しみだ。
「姿を偽って居た事を詫びましょう。彼女はセレスタイト、今の時代に存在しているか分からないけれど、水晶竜でも上位の力を持つ個体よ」
「挨拶もせずに口を挟んでしまった事をお詫びしましょう。私の名はセレスタイトと申します」
頭を垂れる竜は、先ほどまでの骨の体では無く、水晶のように透き通った鱗を身に纏った、美しいドラゴンだった。洞窟の中で明かりは光魔法だけだというのに、まるで動く宝石がそこに存在するかのようだ。
生きた芸術品と言っても過言では無かろう。光の加減で虹色に見える体表はキラキラと輝く天の川みたいだ。
「あまり見つめられると照れるのですが......ケイ様?」
「むう、夜空に流れる星の川の様だと思ってね。不躾ですまないな」
「あう、その様に譬えられたのは初めてです」
シュルシュルと縮んだセレスタイトは、ポンッ!と人間型へと変化した。
青色の透き通った髪は水晶のように煌きを湛え、サファイアの様な蒼い瞳と相まって彼女の魅力を最大限に引き出している。
身に纏った衣装は、鱗が変化しているのか水晶の様な光沢を放つローブへ変化していた。
「もう、勝手に人型に変わって。何でそんなにシャイなのよ」
「ですが、あのような熱い視線を殿方から向けられるなど、私の竜生において数えるほどしかなく......」
ゴニョゴニョと言い訳を述べるセレスタイトと呆れた様に言葉を聴くローゼンシアは姉妹のようだった。
「貴方に協力しても良いけど、聞きたい事があるの。もし、貴方が力を持っているならその力を貸して欲しいのだけれど」
そう言った彼女は条件を語りだした。
そこにいたのは骨と化した一匹の竜だった。
禍々しいオーラを放っていると予想していたが、世界の全てを呪うような、不死者特有の邪気は発していない。
長き時を越えて尚風化することが無い骨は、生前は頑強な鱗に覆われており、鋼を超える強度の筋肉がその巨体を動かしていたのだろう。
咆哮を上げはしたが、こちらを襲う気配も無く。微動だにしない骨の竜。
「これは......使役されている?竜を超えるような馬鹿げた力の持ち主が居るな」
「ご慧眼ですね。神の如き存在だとお見受けしましたが、中身は複雑な形をしていますのね」
目の前の壁と同時に崩れた天井、声は上から聞こえてきたが......見上げるとそこには一人の女性が浮遊していた。
神秘的な光を放つ銀髪は、まるで月の光を宿したかの様に儚げで美しく、その薄っすらとした光は全身へ伝わっている。淡雪と表現すれば良いだろうか、白過ぎるその肌は、真紅に輝く瞳をより際立たせている。
人成らざる者の美しさ、妖しげな魅力を全身が放っている為、心の弱い者はその意に抗う事は出来ないだろう。
神秘的な雰囲気をまとった彼女は、何かを思案する様に腕を組んで考え事を始めた。
何かに気が付いた表情を見せた彼女は、浮遊するのを止めて、地面へと降り立った。
「高い所から見下すなど、目覚めたばかりとはいえ失礼致しました。私はローゼンシア・リーンハルト・オブシディアンと申します。今が何年かは分からないですが、滅びた国の女王ですわ」
「オブシディアン?それって歴史書レベルじゃないかな?」
「ケイ様、彼女が言っている事が本当ならば、1億年程前に存在した吸血鬼が統治した国があったと伝えられている国の女王という事になります」
教えて!【百科事典】先生!
『解』【オブシディアン帝国】1億1211年前に建国されてから、滅亡する9536年前までの間、大陸全土を統治した。女帝ローゼンシア・リーンハルト・オブシディアンが建国してから滅亡まで王となり君臨する。
真祖であるローゼンシアから不老不死を賜ろうと、大陸で覇を唱えた王達が頭を垂れて従った為、無血での大陸統一を果たした唯一の国。
別名、【夜の国】と呼ばれたこの帝国は、ローゼンシアが自らが使徒として選んだ、四公爵を頂点に爵位持ちの貴族達が支配する吸血鬼の国だった。
少数ながらも圧倒的な武力を誇る貴族達と、使役される魔獣、不死者の軍勢が中核を成す帝国軍は、夜の支配者と呼ばれており、魔王や竜達でさえ容易に敵対する事は無かった。
黄昏の時と呼ばれた。四公爵の突然消滅による国家基盤の崩壊と女王の行方不明で、帝国は1月と持たず瓦解した。その後、自らを王と称する上級吸血鬼達が国を建国して領土を広げるが、悉く他国軍や竜達の襲撃にあって崩壊する。
この出来事で歴史の表舞台から吸血鬼は姿を消していった。
帝国滅亡には諸説あり、女王が自ら命を絶った為、直属の眷属であった四公爵が消滅した。女王自らが帝国を滅ぼすべく四公爵を消した。
何らかの理由で神の怒りに触れた帝国を神が裁いた。
どれも確証は無いが、それくらいでなければ説明が付かないと言われ、今でも歴史家の間では議論されている話題である。
との事だ。これは歴史的な瞬間に立ち会ってしまったのだろうか?何にせよ俺が取る行動は一つ。
「ならば話は簡単だ。ローゼンシア......お前が欲しい」
「......は?脈絡が無さ過ぎて理解が追いつかないのですが?」
呆気に取られた表情は、先ほどまでの神秘的な霧散しており、統治者や絶対者としての仮面が外れている。
「どんな理由でここに居るとか、何を背負ってここに来たとかどうでも良いから!帝国を長期に亘って統治したその卓越した手腕を是非貸して欲しいね」
「はぁ、貴方は私の素性を知っても、驚いたり傅いたりしないのですね」
「何で?そりゃ、魅力的で可愛い女性が居れば口説きたくなるけど、今は為政者としての判断で動くべきかな~って思ったんだけど?」
どうして眉毛の間を摘んで悩んでいるのかな?何か不味い事言ったかな?......分からん。
「ローゼンシア様、ケイ様をそこらの有象無象とご一緒にされては困ります。私の旦那様はやがて世界を統べるお方です。不老不死と引き換えに何かを差し出す様な愚か者達とは格が違います」
「それにケイはそんなレベルなんかとっくの昔に卒業してるんだから!」
嫁達が俺自慢を始めだした。いかん、このままでは夜を徹してのマシンガントークへ移行するのが見えている。俺が止めなければ!と思ったんだが、ここで思わぬ所から声が掛かる。
「ローゼ、どうやら彼等は本当に奴等とは関係無いようだ。それに、おそらくその少年は神格位所持者であろう。我々が如何に足掻いても、逃げる事も倒す事も叶うまいよ」
「セレス!黙っていなさいと命じたでしょう?ああ......偽装も無駄になったわね」
セレスと呼ばれた骨の竜は、輪郭がぼやけて変化し始めた。
細工をしているのは分かっていたが、こちらが見破っている事を手札として切る前に、自分から晒す所を見るに、彼女は駆け引きにも長けているようだ......ふふふ、逸材だぞ!これは楽しみだ。
「姿を偽って居た事を詫びましょう。彼女はセレスタイト、今の時代に存在しているか分からないけれど、水晶竜でも上位の力を持つ個体よ」
「挨拶もせずに口を挟んでしまった事をお詫びしましょう。私の名はセレスタイトと申します」
頭を垂れる竜は、先ほどまでの骨の体では無く、水晶のように透き通った鱗を身に纏った、美しいドラゴンだった。洞窟の中で明かりは光魔法だけだというのに、まるで動く宝石がそこに存在するかのようだ。
生きた芸術品と言っても過言では無かろう。光の加減で虹色に見える体表はキラキラと輝く天の川みたいだ。
「あまり見つめられると照れるのですが......ケイ様?」
「むう、夜空に流れる星の川の様だと思ってね。不躾ですまないな」
「あう、その様に譬えられたのは初めてです」
シュルシュルと縮んだセレスタイトは、ポンッ!と人間型へと変化した。
青色の透き通った髪は水晶のように煌きを湛え、サファイアの様な蒼い瞳と相まって彼女の魅力を最大限に引き出している。
身に纏った衣装は、鱗が変化しているのか水晶の様な光沢を放つローブへ変化していた。
「もう、勝手に人型に変わって。何でそんなにシャイなのよ」
「ですが、あのような熱い視線を殿方から向けられるなど、私の竜生において数えるほどしかなく......」
ゴニョゴニョと言い訳を述べるセレスタイトと呆れた様に言葉を聴くローゼンシアは姉妹のようだった。
「貴方に協力しても良いけど、聞きたい事があるの。もし、貴方が力を持っているならその力を貸して欲しいのだけれど」
そう言った彼女は条件を語りだした。
あなたにおすすめの小説
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
外れ伯爵家の三女、領地で無双する
森のカフェしっぽっぽ
ファンタジー
十三歳の少女アイリス・アルベールは、人生を決める「祝福の儀」で“ゴミスキル”と蔑まれる《アイテムボックス》を授かってしまう。戦えず、稼げず、価値もない――そう断じた家族は、彼女を役立たずとして家から追放する。さらに、優秀なスキルであれば貴族に売り渡すつもりだったという冷酷な真実まで明かされ、アイリスはすべてを失う。
だが絶望の中、彼女は気付く。この世界が、自分がかつてやり込んだVRMMORPG『メデア』そのものであることに。
そして思い出す――
《アイテムボックス》には、ある“致命的なバグ”が存在することを。
市場で偶然を装いながらアイテムを出し入れし、タイミングをずらすことで発生する“複製バグ”。それは、あらゆる物資を無限に増やす禁断の裏技だった。
食料も、装備も、資金も――すべてが無限。
最底辺から一転、誰にも真似できないチートを手にしたアイリスは、冒険者として歩み始める。だがその力はやがて、経済を歪め、権力者の目に留まり、そして世界の“仕様そのもの”に干渉していくことになる。
これは――
ゴミと呼ばれた少女が、“世界の裏側”を掌握する物語。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
俺、何しに異世界に来たんだっけ?
右足の指
ファンタジー
「目的?チートスキル?…なんだっけ。」
主人公は、転生の儀に見事に失敗し、爆散した。
気づいた時には見知らぬ部屋、見知らぬ空間。その中で佇む、美しい自称女神の女の子…。
「あなたに、お願いがあります。どうか…」
そして体は宙に浮き、見知らぬ方陣へと消え去っていく…かに思えたその瞬間、空間内をとてつもない警報音が鳴り響く。周りにいた羽の生えた天使さんが騒ぎたて、なんだかポカーンとしている自称女神、その中で突然と身体がグチャグチャになりながらゆっくり方陣に吸い込まれていく主人公…そして女神は確信し、呟いた。
「やべ…失敗した。」
女神から託された壮大な目的、授けられたチートスキルの数々…その全てを忘れた主人公の壮大な冒険(?)が今始まる…!
充実した人生の送り方 ~妹よ、俺は今異世界に居ます~
中畑 道
ファンタジー
「充実した人生を送ってください。私が創造した剣と魔法の世界で」
唯一の肉親だった妹の葬儀を終えた帰り道、不慮の事故で命を落とした世良登希雄は異世界の創造神に召喚される。弟子である第一女神の願いを叶えるために。
人類未開の地、魔獣の大森林最奥地で異世界の常識や習慣、魔法やスキル、身の守り方や戦い方を学んだトキオ セラは、女神から遣わされた御供のコタローと街へ向かう。
目的は一つ。充実した人生を送ること。
英雄将軍の隠し子は、軍学校で『普通』に暮らしたい。~でも前世の戦術知識がチートすぎて、気付けば帝国の影の支配者になっていました~
ヒミヤデリュージョン
ファンタジー
帝国辺境でただ静かに生き延びたいだけの少年・ヴァン。
彼に正義感はない。あるのは、母が遺したノートに記された、物理法則を応用した「高圧魔力」の理論と、徹底した費用対効果至上主義だけだ。
敵国三千の精鋭が灰燼城に迫る絶望的状況。ヴァンは剣を振るわず、心理戦と補給線攪乱だけで、たった三日で敵軍を撤退させる。
この効率的すぎる勝利は帝国の中枢に届き、彼は最高峰の帝国軍事学院への招待状を手に入れる。
「英雄になりたいわけじゃない。ただ、母の死の真相と父の秘密を知るため、生き残らなきゃならないだけだ」
無口最強の仮面メイド・シンカク、命を取引に差し出した狼耳少女・アイリ。彼は常にコスパの高い道を選び、母の遺したノートの謎、そして生まれて一度も会ったことのない父・帝国大元帥のいる帝都の闇へと踏み込んでいく。
正義も英雄も、損をするなら意味がない。合理主義が英雄譚を侵食していく、反英雄ミリタリー学園ファンタジー。