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第2章 異世界でももふもふは正義!?
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番? 子を産む? へ? 誰が?
問いと答えがまるで結びつかず、……いや結びつけたくなく、理解を拒む心の前で質問がぐるぐると行き場なく彷徨う。
「……えっとさ、一応確認するけど、俺が男だってことは分かってるか?」
「もちろんだ」
「へー、そっかそっかー……」
力強く頷かれ、ますます窮地に追い込まれていくような心地になった。
「えっと、クロも男だよな? あ、もしかして女になれるとか?」
もしこの目の前の男が女になったらかなりの美女になるだろうと少し期待を込めて訊いてみたが、クロはまるで俺がおかしなことを言ったみたいに笑って首を振った。
「私は雄だ。雌にはなれない。だが、ソウシの体を雌にすることはできる」
「……っ」
不意に服の裾から入ってきた手に、そのまま下腹部を指先で、つつ……、と触れられひっと喉が引きつった。
「人狼は真に愛する者にしか子種を宿らせることができない。だから愛した相手が同性でも子を宿せるよう懐胎の呪術があるのだ」
くるり、とヘソの周りで指先をはね返され、知らず肌が淡くさざめいた。
「まずは心身共に蕩けさせなければこの懐胎の呪術は使えない」
口の端をほのかに艶めかして言うクロにいよいよ雲行きが怪しくなり、俺は焦った。
「え、えっと、体的に問題ないことは分かった。でもそれはそれとして、一番大事な気持ちが追いついてないかなぁ~と……」
今まで癒やしの愛犬ポジションにいたクロに求愛されていることにも戸惑っている上に、子を身籠もってくれとまで迫られ俺はひどく困惑していた。
確かにケツは掘られてしまったが、心は生粋の男だ。
自分の体に子どもを宿すなんか考えたこともないし、考えるだけでゾッとする。
本当は全力で拒否したいところだが、相手はあの可愛いクロなのだ。
しかもあんな壮絶な重い過去を聞いた後だ。容赦なく拒絶することは躊躇われた。俺もそこまで鬼じゃない。
それにクロならアーロンたちと違い聞き分けのいい子だ。きっと分かってくれるだろう。――……そう思っていた俺は甘かった。
「大丈夫だ、気持ちは交わる間に追いつけばよい」
甘く微笑んでクロは柔らかな所作で俺をするりと花畑に押し倒した。
覆い被さるクロの瞳は、欲情した雄の昂ぶりを孕んでいた。それはアーロンやドゥーガルドのせいでよく見慣れたものだった。
「……え? ちょ、ちょっと待って! 全然大丈夫じゃないですけど!?」
気持ちが追いつかないどころではない。もう置いてけぼりだ。その開きは恐らく全力疾走しても現世中にだって縮まらないだろう。
というか、なんで俺の上に覆い被さってくる奴はどいつもこいつも話を聞かないんだ!? 下を向くと耳が遠くなるのか!? つーか、この世界には相手の同意の上でのセックスって観念ちゃんとある!?
目の前の人物から世界観にまで不満を心の中で爆発させていると、クロが唐突に唇を重ねてきた。
「……っ、ン」
薄く開いた唇の隙間からするりと舌を滑り込ませ、俺の舌を器用に絡め取る。
暴れる獣を宥める調教師のように舌先で口内の弱い部分を撫で上げ、抗う舌を従順に手なずけていった。
問いと答えがまるで結びつかず、……いや結びつけたくなく、理解を拒む心の前で質問がぐるぐると行き場なく彷徨う。
「……えっとさ、一応確認するけど、俺が男だってことは分かってるか?」
「もちろんだ」
「へー、そっかそっかー……」
力強く頷かれ、ますます窮地に追い込まれていくような心地になった。
「えっと、クロも男だよな? あ、もしかして女になれるとか?」
もしこの目の前の男が女になったらかなりの美女になるだろうと少し期待を込めて訊いてみたが、クロはまるで俺がおかしなことを言ったみたいに笑って首を振った。
「私は雄だ。雌にはなれない。だが、ソウシの体を雌にすることはできる」
「……っ」
不意に服の裾から入ってきた手に、そのまま下腹部を指先で、つつ……、と触れられひっと喉が引きつった。
「人狼は真に愛する者にしか子種を宿らせることができない。だから愛した相手が同性でも子を宿せるよう懐胎の呪術があるのだ」
くるり、とヘソの周りで指先をはね返され、知らず肌が淡くさざめいた。
「まずは心身共に蕩けさせなければこの懐胎の呪術は使えない」
口の端をほのかに艶めかして言うクロにいよいよ雲行きが怪しくなり、俺は焦った。
「え、えっと、体的に問題ないことは分かった。でもそれはそれとして、一番大事な気持ちが追いついてないかなぁ~と……」
今まで癒やしの愛犬ポジションにいたクロに求愛されていることにも戸惑っている上に、子を身籠もってくれとまで迫られ俺はひどく困惑していた。
確かにケツは掘られてしまったが、心は生粋の男だ。
自分の体に子どもを宿すなんか考えたこともないし、考えるだけでゾッとする。
本当は全力で拒否したいところだが、相手はあの可愛いクロなのだ。
しかもあんな壮絶な重い過去を聞いた後だ。容赦なく拒絶することは躊躇われた。俺もそこまで鬼じゃない。
それにクロならアーロンたちと違い聞き分けのいい子だ。きっと分かってくれるだろう。――……そう思っていた俺は甘かった。
「大丈夫だ、気持ちは交わる間に追いつけばよい」
甘く微笑んでクロは柔らかな所作で俺をするりと花畑に押し倒した。
覆い被さるクロの瞳は、欲情した雄の昂ぶりを孕んでいた。それはアーロンやドゥーガルドのせいでよく見慣れたものだった。
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「……っ、ン」
薄く開いた唇の隙間からするりと舌を滑り込ませ、俺の舌を器用に絡め取る。
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