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第6章 35歳にして、初めてのメイド喫茶!
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「ほんとキモいよね~。聖夜は優しすぎだよ。あんなキモいおじさんにつき合ってあげるなんか」
腕にすり寄る愛良さんを連れ階段をのぼっていた聖夜さんの足が不意に止まった。
「……聖夜? どうしたの?」
愛良さんが訝しげに顔をのぞき込んだ。
「……うるせぇ」
「え?」
聖夜さんが発した低い声に、愛良さんは困惑気味に聞き返した。
聖夜さんは彼女にまっすぐ向き直った。
その顔にいつもの王子様スマイルはなかった。
「うるせぇって言ったんだよ。キモい趣味で悪かったな。人の趣味に口出しすんな」
「せ、聖夜?」
突然口調も何もかも豹変した聖夜さんに困惑しきっている愛良さんを置いて、彼は階段を下りて僕のところまでやってきた。
そして眉間に皺を寄せてじっと僕を見下ろした。
思いもよらない展開に、僕はただただ口を開けてぽかんとしていた。
「……おい」
「え? あ、はい! なんでしょう?」
聖夜さんの声に我に返った。
「さっきのはもしかして紅葉たんのポーズを真似したのか?」
「あ、はい、そうです……」
思い出して恥ずかしくなり、声が自然と小さくなった。
「……違う」
「え?」
「あれは紅葉たんのポーズじゃねぇ! 右左逆だ! アンタがやったのはししのんの方だ! 半端な気持ちでやるんじゃねぇ!」
「す、すみません!」
怒鳴られ僕は慌てて頭を下げた。
一連の様子を、愛良さんや他のお客さんたちが唖然とした表情で見ていた。
「……せ、聖夜、どういうこと?」
信じられないといった様子で顔を強ばらせる愛良さんに、聖夜さんはハッと鼻で笑って返した。
「見ての通り、俺の方がキモいオタクってことだよ」
吐き捨てるように言うと、聖夜さんは僕らに背を向けて階段をスタスタと降りていった。
その足はホールへ向かい、やがてある人物が座るテーブルの前で歩みを止めた。
「おい。何セコい真似してんだよ、竜鬼」
名指しされた竜鬼さんは、表情を固まらせて聖夜さんを見上げた。
その顔は、今まで見たことのない聖夜さんの姿に驚いているようでもあったし、予想だにしていなかった展開に戸惑っているようでもあった。
「……ハ、ハァ? な、なに言ってんだよ」
やっと口を開いた竜鬼さんから出てきた言葉は、あまりに動揺を隠せていなかった。
聖夜さんは苛立たしげに溜め息を吐いた。
「こんなバカなことするのお前ぐらいしかいねぇだろ」
「ハァ!? ふざけんな!」
竜鬼さんが立ち上がり、聖夜さんの胸倉を掴んだ。
腕にすり寄る愛良さんを連れ階段をのぼっていた聖夜さんの足が不意に止まった。
「……聖夜? どうしたの?」
愛良さんが訝しげに顔をのぞき込んだ。
「……うるせぇ」
「え?」
聖夜さんが発した低い声に、愛良さんは困惑気味に聞き返した。
聖夜さんは彼女にまっすぐ向き直った。
その顔にいつもの王子様スマイルはなかった。
「うるせぇって言ったんだよ。キモい趣味で悪かったな。人の趣味に口出しすんな」
「せ、聖夜?」
突然口調も何もかも豹変した聖夜さんに困惑しきっている愛良さんを置いて、彼は階段を下りて僕のところまでやってきた。
そして眉間に皺を寄せてじっと僕を見下ろした。
思いもよらない展開に、僕はただただ口を開けてぽかんとしていた。
「……おい」
「え? あ、はい! なんでしょう?」
聖夜さんの声に我に返った。
「さっきのはもしかして紅葉たんのポーズを真似したのか?」
「あ、はい、そうです……」
思い出して恥ずかしくなり、声が自然と小さくなった。
「……違う」
「え?」
「あれは紅葉たんのポーズじゃねぇ! 右左逆だ! アンタがやったのはししのんの方だ! 半端な気持ちでやるんじゃねぇ!」
「す、すみません!」
怒鳴られ僕は慌てて頭を下げた。
一連の様子を、愛良さんや他のお客さんたちが唖然とした表情で見ていた。
「……せ、聖夜、どういうこと?」
信じられないといった様子で顔を強ばらせる愛良さんに、聖夜さんはハッと鼻で笑って返した。
「見ての通り、俺の方がキモいオタクってことだよ」
吐き捨てるように言うと、聖夜さんは僕らに背を向けて階段をスタスタと降りていった。
その足はホールへ向かい、やがてある人物が座るテーブルの前で歩みを止めた。
「おい。何セコい真似してんだよ、竜鬼」
名指しされた竜鬼さんは、表情を固まらせて聖夜さんを見上げた。
その顔は、今まで見たことのない聖夜さんの姿に驚いているようでもあったし、予想だにしていなかった展開に戸惑っているようでもあった。
「……ハ、ハァ? な、なに言ってんだよ」
やっと口を開いた竜鬼さんから出てきた言葉は、あまりに動揺を隠せていなかった。
聖夜さんは苛立たしげに溜め息を吐いた。
「こんなバカなことするのお前ぐらいしかいねぇだろ」
「ハァ!? ふざけんな!」
竜鬼さんが立ち上がり、聖夜さんの胸倉を掴んだ。
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