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2巻
2-1
しおりを挟む「単刀直入に言います。――カーティス様と別れてくれませんか?」
向かいのソファに座る聖女――カリーナ・オルフィーノは、たおやかな微笑を浮かべながらダリルに言った。その余裕は、まるで正妻が夫の浮気相手に別れを促すかのようだった。
ここはハウエル公爵邸の応接間で、ダリルこそこの屋敷の家主、カーティス・ハウエルの正当な配偶者に違いないのだが、彼女があまりにも堂々とした態度で不遜な申し出をするので、すぐに言葉を返せなかった。
そんなダリルに、カリーナはくすりと笑った。
「そんなに驚くことはないでしょう? カーティス様にとってどちらが必要な存在かは明らかですわ」
そんな簡単なことも分からないのか、と言わんばかりの嘲笑を含んで言われ、ダリルの腹の底にカッと怒りの熱が湧き上がる。
しかし彼女の言葉がまったくもって間違いではないので、反論できない。今、カーティスが彼女の力に頼らざるを得ない状況なのは紛れもない事実なのだ。
下唇を噛んで俯くダリルに、カリーナはわざとらしく溜め息をついた。
「まぁ、別れないならそれでも構いませんよ。……カーティス様の命より、ご自分の気持ちのほうが大事なのなら」
ダリルの葛藤を嘲弄するかのようにカリーナは意地悪く微笑む。悪魔のような言動にもかかわらず、窓から降り注ぐ日差しが彼女の美しい白銀の髪を撫でて、一層神聖な煌めきを醸し出している。
もし、事情を知らぬ第三者がこの場面だけを切り取って見たとしたら、多くがこう見なすだろう。
愛する者を自身の能力で救う健気な聖女と、愛する者の命よりも自分の欲を押し通す欲深い伴侶だと……
****
「ん……」
カーテンのわずかな隙間から朝の光が漏れ入り、ダリルはゆっくりと瞼を開けた。そしてすぐまた睡魔に負けて瞼を閉じかけたが、完全に目をつぶりきる寸前で、ハッと目を覚ました。
(いや、寝てる場合じゃない! 今日はカイルが帰ってくる日だ!)
寝ぼけた頭を叱咤して、ダリルは上半身を起こした。
妹が書いた小説『薔薇色の君』の世界に転生したダリルは、かつて物語に登場する悪役令息だった。
人を傷つける言動には強い抵抗があり、本来の展開を避けようと奔走した彼だが、物語に逆らうたびに時間を戻され、何度もやり直しを強いられていた。
そんな中、過去のやり直しで異母弟のネイトを死なせてしまったダリルは、ついに悪役としての責務を全うする覚悟を決め、徹底して悪役令息を演じきりついに断罪されたのだった。
婚約を破棄され、実家から勘当され、学園を追放されたダリルが行き着いたのは、ハウエル公爵家の別邸。
公爵夫人の全身に痣が広がり謎の死を遂げ、さらに二年後には息子にも同じ痣が現れたことから、人々はハウエル公爵家が呪われていると噂し忌避するようになっていた。
そこで使用人として働き始めたダリルは、顔に痣を持ち、心を閉ざしていた公爵令息カイルと出会う。少しずつ彼と心を通わせるうちに、カイルの実父であるカーティスとの親子関係を取り持つようになったが、ひょんなことからカイルが全寮制のアリシア学園に入るまでの一年間、カーティスと期間限定の結婚をすることになった。
三人で過ごすうちにカイルの痣は次第に薄れ、やがて完全に消えた。長年彼らを苦しめていたものがなくなり、ようやく心から笑い合える日常を手に入れたのだった。
カイルが無事にアリシア学園へ入学し、すべてが落ち着いたように思われた矢先、今度はカーティスから「伴侶として共に生きてほしい」とダリルは正式な求婚を受ける。
カーティスのことを恋愛的に見たことがなかったダリルは最初こそ戸惑っていたものの、その後カーティスと過ごすうちに彼の真摯な想いに心を動かされ、ついにその求婚を受け入れた。
こうしてダリルはカーティスの伴侶となり、共に新たな一歩を踏み出したのだった。
(三人一緒にこの屋敷で過ごすの、どのくらいぶりだろう)
ダリルは記憶をたぐりながら、頭の中でおおよその日にちを数える。
カイルがアリシア学園に入学して、十ヶ月が経った。アリシア学園の生徒は学生寮に入るのが基本だが、成績優秀者には学年末に一ヶ月半の長期休暇が与えられるのだ。
長期休暇という帰省する絶好のチャンスが手に入るのだ。カイルが張り切らないはずがなかった。聞くところによると、ダリルの弟であるネイトのところまで教わりに行くこともあったそうだ。
もともと優秀な上に努力をした結果。カイルは学年上位の成績を修め、無事、長期休暇を獲得したのだった。
相当に嬉しかったのだろう、そのことを報せるためにダリルを学園に呼び出したほどだ。胸を張って長期休暇許可証をダリルに見せるカイルのことを思い出すと、微笑ましさで心が温かくなる。
カイルが本邸に到着するのは、昼過ぎの予定だ。まだもうひと眠りしても十分間に合う時間だが、食後に手作りの焼き菓子を出そうと、昨日ダリルは材料を買っていた。
カイルが帰省するということで、厨房はいつにも増して忙しくなるだろう。そんな中、自分の勝手で厨房の一角を占拠するのは憚られる。だから、早めに下準備しておこうと思ったのだ。
もちろん、この屋敷の主であるカーティスの伴侶となったダリルがそのような気を遣う必要はない。だが、別邸で使用人として働いていた時期もあり、彼らの大変さもよく知っている。だから、なるべく仕事の邪魔になることはしたくなかった。
そういった気遣いが使用人たちの間では好評で、関係も良好だ。カイルに手作りの焼き菓子を作ろうと思っていると話した時など、料理長自らレシピをアレンジしてくれたほどだ。
(とりあえず、顔を洗って服を着替えよう)
早く身支度を済ませて厨房に行かねばと、ベッドから出ようとした時、隣から伸びてきた手に腕を優しく掴まれた。
その手の主が誰かは分かっている。ダリルは自分を掴んで止めるその腕の主を視線で辿って、微笑んだ。
「おはようございます、カーティス様」
「……ああ、おはよう」
眠りからまだ覚めきれていないカーティスが、気だるげに挨拶を返す。どこかあどけなくすらあるその表情が可愛らしくて、ダリルはくすりと笑みを漏らした。
カーティスは朝に弱い。以前、三人で別荘に泊まりに行った際、寝起きにカイルと間違えてダリルに抱きついたことがあるほどだ。その時に朝が弱いのは薄々感じていたが、ベッドを共にするようになってそれは確信に変わった。
いつも隙のないカーティスが見せる意外な一面。こんな表情を知っているのは恐らく世界で自分だけだろうと思うと、嬉しくて堪らなかった。
「もう、起きるのか……?」
問いながら、ダリルの腕を軽く引く。言外に、まだ一緒に寝ていようと言っているのだ。自分より年上でしっかりしているカーティスが滅多に見せない甘えるような仕草に、胸がときめく。
何もなければすぐにベッドに戻るところだが、生憎今日はそうはいかない。
ダリルはカーティスの手にそっと自身の手を重ねながら、優しく言った。
「今日はカイルが帰ってくる日ですから」
「帰ってくるのは昼だろう? まだ時間はある。もう一眠りしてもいいだろう」
食い下がるカーティスに、ダリルは苦笑を向ける。まるで子供のような頑なさが微笑ましい。
「カイルに焼き菓子を作ってあげようと思っているんです。だからそろそろ準備しないと」
「そうか……」
息子の名前が出ると、さすがにカーティスも手を引いた。しかし、その表情はどこか不満げだ。
「焼き菓子ができあがったら一番にカーティス様のところに持っていきますね。味見をお願いします」
拗ねる子供をなだめるように優しく言って、ダリルはベッドから腰を浮かす。しかし、カーティスが再び腕を伸ばしてきて、今度はダリルをベッドの中に引きこんだ。
驚いて顔を上げると、カーティスと目が合う。カーティスは一瞬、目を逸らしたが、すぐにダリルを真っ直ぐ見つめ、口を開いた。
「……その焼き菓子を作るのは、カイルが来てからではだめか?」
「え?」
思いがけない言葉に、目をパチパチと瞬かせる。カーティスは頬を赤く染めながら、恥じ入るように眉根を寄せて言葉を続けた。
「カイルが帰省している間、君はきっとカイルにつきっきりになる。もちろん、父親としてはカイルを可愛がってくれてありがたい限りだ。……ただ、君の夫としては、少し寂しい」
そう言うと、カーティスはダリルをぎゅっと抱きしめた。
「大人げない自覚はある。だが、君をもう少し独占させてくれないか」
そう乞うように言って、片手でダリルの髪を掻き上げるようにしながら後頭部を包みこみ、耳元で切なげな吐息を落とす。
その湿った甘い吐息が、昨晩の情事の記憶を否応なく蘇らせて、頬が熱くなった。カーティスにここまで言われて、断れるはずがない。
それに、愛するカーティスの温もりを感じながら起き抜けの微睡みに身も委ねるのは、ダリルにとっても幸福で、かけがえのない時間なのだ。断る理由もない。
「……そうですね、焼き菓子はカイルが帰ってからでも作れますね。何なら一緒に作ってもいいかもしれません」
言いながら、カーティスの背中に腕を回す。胸に顔をうずめ、息を深く吸いこんでカーティスの匂いを堪能すると、再び顔を上げた。
甘やかに視線が絡んで、どちらともなく唇を重ねる。
確かにカイルが帰省している間、こうしてキスをする機会は減るだろう。そう思うと、カーティスの体温を感じている傍から恋しさが募って、一層口づけを深めた。
****
「お父様、ダリル!」
カイルは馬車から降りると、玄関前で出迎えるダリルとカーティスに満面の笑みを浮かべて駆け寄った。
「おかえり、カイル。見ない間に、少し背が伸びたんじゃないか」
頭を撫でながら、カーティスが少し驚いた顔をする。
ダリルは定期的に学園に面会に行っているが、ハウエル公爵家当主で多忙な身であるカーティスはそうもいかない。手紙のやり取りはあったようだが、会うのは保護者懇親会以来だ。驚くのも無理はない。それほどまでに子供の成長は早いものだ。
「ふふっ、今はクラスで三番目に大きいんですよ」
カイルは子供らしい無邪気さで、得意げにそう言った。身長は伸びたが、笑顔はまだ年相応のあどけなさがある。その笑みは、出会った時のものとまるで別人だった。
出会った当初、大人びていると言えば聞こえはいいが、すべてを諦めきっているようで、その姿がひどく胸を締めつけたのを、ダリルは覚えている。
もちろん、今でも大人びてはいるものの、ダリルやカーティスの前ではこうして子供らしい無邪気な表情を見せるようになった。そのことがダリルは嬉しく、カイルの笑みを見る度に、胸に温かな感情が満ちるのだった。
「もしかすると、本当にお父様の背を追い越してしまうかもしれませんね。でもまずは、ダリルが先かな。来年くらいには、追い抜いているかも」
悪戯っぽく笑いながら、カイルはダリルへ水を向ける。彼らしい冗談に、ダリルは小さく笑った。
「来年はさすがに早すぎだよ。でもこのままいくと、本当にすぐ追い抜かれそうだなぁ。背が伸びたかっこいいカイルも見たいけど、まだもうしばらくは可愛いカイルでいてよ」
そう言って頭を撫でると、カイルは途端に顔を赤らめた。しかし、すぐに赤くなった顔を隠すようにそっぽを向いて「ま、まぁ、しばらくは背を伸ばさないようにしてあげるよ」と答えた。
そのとっさに出たであろう素直でない、しかし同時に子供らしい反応に、ダリルとカーティスは顔を見合わせて微笑んだ。
その無言の会話にカイルが目ざとく気づく。
「あ、今、二人だけで、目で会話しましたね? まぁ、二人の仲がいいことは僕にとっても嬉しいことですけど――」
カイルは言葉を途中で切って、間に割りこむように二人の腕をぐいっと抱き寄せた。
「今日からは僕もいることを忘れないでくださいねっ」
語気を強めて言いながら、それぞれの顔を下から覗きこむ。むくれた表情をしつつも、目はまぶしいくらいに笑っていた。
「もちろん、忘れるはずない。ダリル君と二人でカイルの帰省をどれだけ楽しみにしていたことか」
「そうそう。いくら忘れっぽくても、カイルのこと忘れるなんてあり得ない」
「それならいいけど」
カイルは満足そうに言って、笑みを深めた。
「そういえばカイル、今何か欲しいものはあるか?」
「え? 欲しいものですか?」
唐突にカーティスから訊かれ、カイルは大きな目をパチパチと瞬かせた。カーティスはそんなカイルを穏やかな眼差しで見下ろしながら頷いた。
「ああ、勉強を頑張ったんだろう? だから何かご褒美を買ってあげようと話していたんだ」
「それでいろいろ二人で考えたんだけど、いい案が出なくて。だからもうこれは直接カイルに訊こうってことになったんだ。サプライズ感がなくて申し訳ないけど……」
ダリルは苦笑しながら頭を掻く。
カイルの帰省が決まった日から今日まで、二人で何度か街に足を運び、カイルへのプレゼントを見て回ったのだが、なかなかピンとくるものが見つからなかった。最終的に、ご褒美ということであればカイルが確実に喜ぶものがいいだろうということになり、直接本人に訊くことにしたのだ。
「ご褒美かぁ……。うーん、特に今これといって欲しいものは――、あ!」
顎に手を当て考えるカイルだったが、突然、小さく声を上げた。
「ちなみにご褒美って、物じゃなくてもいいんですか?」
「ああ、もちろんだ」
カーティスが頷くと、カイルは言質を取ったとばかりに、にやりと目を細めた。
「それじゃあひとつ、お願いがあります」
含みのある言い方で前置きをして、カイルは〝お願い〟を口にした。
****
カイルが帰省してから三日後、一台の馬車が屋敷の前に止まった。
馬車から降りてきた青年の、相変わらず美しいその黒髪に、思わずダリルは目尻を下げた。
「いらっしゃい、ネイト。久しぶりだね」
「……っ、兄さん!」
ダリルの姿を認めた途端、ネイトの瞳がパッと輝く。そして次の瞬間には、その胸に飛びこまんばかりの勢いでダリルに抱きついた。
隣に立つカイルがやれやれと肩をすくめる。
「ちょ、ちょっと苦しい、苦しいよ」
「ごめんごめん。久しぶりに兄さんに会えた喜びが溢れ出てつい」
ダリルがぽんぽんとネイトの腕を叩くと、彼は謝りながら腕の力を緩めたが、体を離す気配はなかった。
「いやぁ、それにしてもこれからしばらく兄さんと生活できるなんて夢のようだよ。これも全部カイル君のおかげだ、ありがとう」
ネイトが上機嫌で礼を言うと、カイルは小さく溜め息をついた。
「約束しましたからね。僕の勉強を見てくれる代わりに、帰省できることになったらお礼にネイトさんを屋敷に招くって」
「ああ、だからカイル君が成績上位者になれなかったら、絶対に許さなかったよ。死ぬまで一生恨むつもりでいたからね」
にこやかにとんでもないことを言うネイトだが、恐らく冗談ではないだろう。
カイルがネイトに勉強を教わっていると聞いた時は、きっと歳の離れた兄弟のように仲良くしているのだろうと微笑ましく思っていたが、実情はなかなかにシビアな利害関係だったようだ。
「成績発表日に初等部ホールまで成績順位表を見に来たネイトさんを見た時は、自分の目を疑いましたよ……。ところで、ダリルにくっつきすぎじゃありませんか? そろそろ離れてください」
ダリルの手を引っ張り、カイルが二人を引き離そうとすると、ネイトがムッと眉根を寄せる。
「いいじゃないか、久しぶりの再会だ。カイル君は僕より三日早く兄さんに会って十分甘えただろう。次は僕が甘える番だ」
「あなたは一体自分を何歳だと思っているんですか」
「歳なんて関係ない。僕はたとえ百の老人になっても兄さんに全力で甘える」
女性なら誰もがときめきそうなキリッとした表情でネイトが言い切ると、カイルは大きく溜め息をついた。
「ダリルのことが絡むと本当に別人になりますね。学園じゃ下級生の憧れの的なのに……。残念な人だ」
「残念で結構。兄さん以外の人間に好かれたところで何も嬉しくないからね」
「……ダリル、一体どんな育て方したらこんな風になるの?」
「ははははは……」
呆れ返った視線を投げられ、ダリルは苦笑いするしかなかった。
「――すまない。出迎えが遅くなってしまった」
不意に後方から声が聞こえ、三人でそちらを振り返る。
カーティスが玄関からこちらへ向かってきていた。
ネイトの目がかすかに剣呑さを帯びる。しかしそれも一瞬のことで、すぐに品のある秀麗な笑みを浮かべた。そしてダリルから体を離すと、スッと姿勢を正した。
「とんでもございません。この度はお招きいただき誠にありがとうございます。お初にお目にかかります。私、ネイト・コッドと申します。以後お見知りおきを」
胸に手を当て礼儀正しく挨拶するネイトを見て、ダリルはホッと胸を撫で下ろした。
ダリルがカーティスの求婚を正式に受けると報告した際、ネイトは余命宣告でもされたかのように絶望的な表情を見せ、カーティスに対する憎悪と敵意を剥き出しにしていたので、実は少し心配していたのだ。
(そうだよな、いくらネイトでもカーティス様に噛みつくような真似はしないよな)
表面上は取り繕ってくれていることに、ひとまず安心した。
「こちらこそよろしく。学園では勉強を見てくれたり、相談に乗ってもらったり、いろいろとカイルを気にかけてくれているようで、感謝しているよ。ありがとう」
柔和な物言いで丁寧に礼を言われ、ネイトは少し面食らったような顔をした。冷徹だという世間の噂から受けるイメージと随分違うためだろう。
しかしすぐに「いえ、とんでもございません」と微笑んで返す。
「むしろ、私のほうこそハウエル公爵には感謝しております。勘当され、後ろ盾のない兄のことが心配でしたが、学生の身である私にはどうすることもできませんでしたから……」
目を伏せ、うっすらと自嘲めいたものを口元に浮かべながらそう続けた。
その殊勝な態度で口にする感謝がどこまで本気かは分からないが、ダリルを心配していたことは確かだろう。そう思うと、改めてネイトにはいらぬ気苦労をかけてしまったと、ダリルは申し訳ない気持ちになった。
「ですから、兄に何不自由のない生活を送らせていただき、本当に感謝の気持ちしかありません」
にわかに湧いた湿っぽさを散らすように、ネイトは朗らかに言った。そんな彼の様子を見て、ダリルだけでなくカーティスもホッと頬を緩めた。
「そう言ってもらえてよかった。直接の挨拶もなしに君の大事なお兄さんをもらい受けて、恨まれているんじゃないかと心配していたんだ」
「滅相もございません。兄からハウエル公爵のご多忙さは聞き及んでおります。私に会うためだけに時間を割いていただくなど、かえって恐縮してしまいます」
軽くおどけて肩をすくめるネイトを見て、ダリルは驚きつつも、弟の成長ぶりに密かに感動していた。
(すっかり紳士になったなぁ)
感慨深い気持ちでネイトの横顔を見つめていると、カーティスがくすりと小さく笑った。
「兄弟水入らずで話したいこともあるだろう。滞在はいつまででも構わない。せっかくだから、食事の時間まで二人でゆっくり話すといい。カイル、こっちへ来なさい」
カーティスが視線でカイルを手招く。
ダリルと離れるのが嫌なのか、一瞬返事に詰まったが、すぐに「はい、わかりました」と言ってカイルはダリルの手を離す。そして、ネイトに厳しい表情を向けた。
「ネイトさん、言っておきますけど、三日早く帰ったとは言っても、まだまだ僕も甘え足りていませんから。独り占めのしすぎはだめですからねっ」
釘を刺すように強めに言うカイルを、ネイトもダリルも目を丸くして見ていたが、その可愛らしい念押しに笑みが零れた。
「分かっているよ。カイル君は僕をここに招いてくれた恩があるからね。積もる話を少ししたらすぐにカイル君の部屋に行くよ」
「絶対ですよ」
カイルはそう言うと、名残惜しそうに一度ダリルに視線を向けてから、カーティスと共に屋敷の中に入っていった。
「――まったく、カイル君も人のこと言えないじゃないか。兄さんのことが絡むと別人になるのはお互い様だ。学園のみんなにも見せてあげたいくらいだよ」
ネイトが苦笑交じりに溜め息をつく。つられてダリルも苦笑した。
(きっと大人びた態度で周りもたじたじなんだろうな)
ネイトの口ぶりに、カイルの学園での様子が容易に想像できた。もともとの性格もあるだろうが、ハウエル公爵家の人間として気を張っている部分があるのかもしれない。
(帰省中は存分に甘えさせよう)
ダリルは胸の内で柔らかに呟いてから、ネイトを屋敷の中へ迎え入れた。
屋敷を案内した後は、カーティスの厚意に甘え、ダリルとネイトは応接間でしばらく歓談して過ごすことにした。
互いに一通り近況を話し終え、どちらともなく紅茶を口に運び一息入れる。
「それにしても、ネイトも丸くなったね」
しみじみとダリルが言うと、ネイトはきょとんとした表情になった。
「急にどうしたの?」
「いや、だって正式に婚姻関係を結ぶって報告した時は、カーティス様に対して敵意剥き出しだったじゃない。だから、カーティス様と対面した時は内心ひやひやしてたんだ」
「当然だよ。本音をさらけ出して追い返されたら意味がない。……今回ここに来たのは、兄さんに会うためだけじゃないからね」
「え?」
ネイトが唇の端をにやりと意味深に持ち上げたので、ダリルは目を瞠った。
「えっと、それはどういう意味?」
「決まっているだろ。今回の滞在中に、ハウエル公爵が兄さんにふさわしい人物か、この目で確かめるんだよ」
「ええっ!」
胸を張ってとんでもないことを言うネイトに、思わず大きな声が出た。
「な、何言ってるんだよ、ネイト。そもそも俺にふさわしいかだなんて、おこがましいよ」
むしろ家柄的に考えて、ふさわしいかどうか品定めされるのは自分のほうだ。しかし、兄に心酔しているネイトに、そんな一般論は通じない。
「兄さんこそ何を言ってるんだよ。兄さんほどの人物の隣に生涯伴侶として立ち続けるんだ。この目で見定めるのは当然だろう」
「……頼むから俺以外の前でそういうことは言わないでくれよ?」
身内贔屓がすぎる過大評価に、ダリルは頭を抱えてしまう。
「まったく、兄さんは謙虚なんだから」
「いや、謙虚とかじゃなくて。よっぽど自分に自信がない限り、みんな同じこと言うと思うけど……」
「兄さんの慎ましい性格は美徳だけど、時にそれは人を見る目を曇らせる。特に恋愛においてはね」
ビシッとダリルを指さし、ネイトはやや語気を強めて言った。そこまで恋愛にのぼせ上がっているつもりはないが、その妙な迫力に思わず怯む。
「恋は盲目とも言うだろう。だからこそ、第三者の僕がハウエル公爵を見定める必要がある」
指を下ろして、ネイトは再び紅茶を口に運んだ。その表情には、持論をすべて語り尽くしたかのような清々しさがあった。
「……それに、ちょっと気になる噂も耳にしたからね」
「噂?」
ダリルが聞き返すと、ネイトはちらりとダリルの表情を窺うように視線を遣って、紅茶をテーブルに戻す。
そしていつになく真面目な表情で「あくまで噂だけど」と前置きしてから声を潜めて話し始めた。
「ハウエル公爵がとてつもない美女と密会しているっていう話を聞いたんだ」
「え?」
深刻な雰囲気で明かされた話に、ダリルはポカンと口を開けた。
普通、伴侶の不義を仄めかす噂を聞けば、多少なりとも胸がざわついたり不安になったりするものだろう。しかしダリルにそんな感情は少しも湧き上がってこなかった。それどころか、荒唐無稽な話を聞いたかのように小さく噴き出してしまった。
「ははっ、そんな噂があるんだ」
「笑い事じゃないよ、兄さん。確かにハウエル公爵は真面目そうだけど、真面目だから浮気しないとは限らないんだからね。それに火のない所に煙は立たないって言うし」
危機感に欠けるダリルを咎めるように、ネイトは眉根を寄せてそう言う。
確かにネイトが言うことはもっともだ。しかし、ダリルにはどう頑張っても、美しい愛人と密会するカーティスの姿を想像できなかった。
それは決してカーティスが自分にベタ惚れだと自惚れているわけではなく、ただ単純に、彼にそのような不誠実な器用さがないことを知っているからだ。
それにハウエル公爵家当主であるカーティスは常に多忙だ。仕事内容は多岐にわたり、領地台帳や王室への報告書などの書類作成はもちろん、領地の視察や役人との会談など、挙げればきりがない。ダリルもローマンに教わりながら書類作成を手伝っているが、大きな助けになっているとは言いがたい。
(情けない話だけど……)
ダリルは自身の至らなさを恥じ入りながら自嘲した。
とにもかくにも、多忙を極めるカーティスに、愛人と密会する暇などあるはずがないのだ。
「確かに火のない所に煙は立たないとはいうけど、カーティス様の忙しさを目の当たりにしたらそんなこと言えないと思うよ」
しかも真面目な性格ゆえに、決して手を抜くことがない。見ていて心配になるほどだ。
だが、疑念を湛えたネイトの眉間の皺が消える気配はない。それどころか、楽観的なダリルに不満げですらある。
「でも仕事柄、屋敷にいないことも多いだろう? その時に噂の愛人と……ってこともあるかもしれないじゃないか」
ダリルに危機感を持たせようとしているのか、不安を煽るように声に抑揚をつける。
それでもやはり、ダリルにはいまいちピンとこない。むしろこんな話題が上がっていることが、せっかくネイトと話す時間をくれたカーティスに、申し訳ない気がした。
困って曖昧に微笑むダリルを見て何かしら察したのか、ネイトは場の雰囲気を変えるように大げさに肩をすくめた。
「まぁ、僕が屋敷にいる間にしっかり見極めるから、兄さんは何も心配しなくていいよ」
「いや、その発言がすでに心配でしかないんだけど……」
口調に冗談めいた軽やかさは戻ってきているものの、噂の真偽を見極めるつもりでいるのは確かだろう。ダリルに関することになると途端に思考を暴走させてしまうネイトが、カーティスに無礼なことをしでかさないか、ダリルは気が気でなかった。
****
カイルが帰省して一週間が過ぎた頃、ダリルとカーティス、カイル、ネイトの四人は、ハウエル公爵家と古くから付き合いのあるクレア侯爵家の夜会に出席することとなった。侯爵夫人の誕生日祝いとのことだ。
幸いにもネイトも今のところカーティスに不躾な詮索をすることなく大人しく過ごしており、夜会にも一緒に行くことになった。
「ふう……」
夜会に向けて身支度を調えながら、ダリルは小さく溜め息を漏らす。
家族三人揃って夜会に参加するのは初めてのことだ。加えて、今日はその夜会でとある人物に会うことになっている。ダリルの緊張もひとしおだった。
鏡の前でネクタイを結び直していると、カイルが横からひょこりと覗きこんできた。
「やけに気合いが入ってるね。……もしかして、アドレイド大叔母様とレイラ叔母様に会うの、緊張してる?」
カイルが口にした二人の名前にダリルはドキッと肩を震わせた。
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両親が早くに他界したカーティスにとってこの二人は最も近い身内であるが、ダリルはまだ顔を合わせたことがなかった。
法律上では婚姻関係を結んでいるダリルたちだが、式は挙げていない。もともと、期間限定の婚姻関係だったので、ダリルの今後になるべく影響を与えないように、カーティスが配慮してくれたのだ。それと同じ理由で、身内への紹介も控えてくれていた。
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花園からの帰り道、噴水で泣いている少年に遭遇。目の下に酷いクマのある少年を慰めたルカは、もらったばかりの花びらを男の子に渡して立ち去った。
十二歳になり、ルカは寄宿学校に入学する。
寮の同室になった子は、まさかのその時の男の子、アルフレート(アリ)・ユーネル侯爵令息だった。
見目麗しく文武両道のアリ。だが二年前と変わらず睡眠障害を抱えていて、目の下のクマは健在。
宮廷庭師と親交を続けていたルカには、『ネムリバナ』を第三王子の為に学校の温室で育てる役割を与えられていた。アリは花びらを王子の元まで運ぶ役目を負っている。育てる見返りに少量の花びらを入手できるようになったルカは、早速アリに使ってみることに。
やがて問題なく眠れるようになったアリはめきめきと頭角を表し、しがない男爵令息にすぎない平凡なルカには手の届かない存在になっていく。
次第にアリに対する恋心に気づくルカ。だが、男の自分はアリとは不釣り合いだと、卒業を機に離れることを決意する。
アリを見ない為に地方に移ったルカ。実はここは、アリの叔父が経営する領地。そこでたった半年の間に朗らかで輝いていたアリの変わり果てた姿を見てしまい――。
ハイスペ不眠攻めxお人好し平凡受けのファンタジーBLです。ハピエン。
余命僅かの悪役令息に転生したけど、攻略対象者達が何やら離してくれない
上総啓
BL
ある日トラックに轢かれて死んだ成瀬は、前世のめり込んでいたBLゲームの悪役令息フェリアルに転生した。
フェリアルはゲーム内の悪役として15歳で断罪される運命。
前世で周囲からの愛情に恵まれなかった成瀬は、今世でも誰にも愛されない事実に絶望し、転生直後にゲーム通りの人生を受け入れようと諦観する。
声すら発さず、家族に対しても無反応を貫き人形のように接するフェリアル。そんなフェリアルに周囲の過保護と溺愛は予想外に増していき、いつの間にかゲームのシナリオとズレた展開が巻き起こっていく。
気付けば兄達は勿論、妖艶な魔塔主や最恐の暗殺者、次期大公に皇太子…ゲームの攻略対象者達がフェリアルに執着するようになり…――?
周囲の愛に疎い悪役令息の無自覚総愛されライフ。
※最終的に固定カプ
だから、悪役令息の腰巾着! 忌み嫌われた悪役は不器用に僕を囲い込み溺愛する
モト
BL
2024.12.11~2巻がアンダルシュノベルズ様より書籍化されます。皆様のおかげです。誠にありがとうございます。
番外編などは書籍に含まれませんので是非、楽しんで頂けますと嬉しいです。
他の番外編も少しずつアップしたいと思っております。
◇ストーリー◇
孤高の悪役令息×BL漫画の総受け主人公に転生した美人
姉が書いたBL漫画の総モテ主人公に転生したフランは、総モテフラグを折る為に、悪役令息サモンに取り入ろうとする。しかしサモンは誰にも心を許さない一匹狼。周囲の人から怖がられ悪鬼と呼ばれる存在。
そんなサモンに寄り添い、フランはサモンの悪役フラグも折ろうと決意する──。
互いに信頼関係を築いて、サモンの腰巾着となったフランだが、ある変化が……。どんどんサモンが過保護になって──!?
・書籍化部分では、web未公開その後の番外編*がございます。
総受け設定のキャラだというだけで、総受けではありません。CPは固定。
自分好みに育っちゃった悪役とのラブコメになります。
冷酷無慈悲なラスボス王子はモブの従者を逃がさない
北川晶
BL
冷徹王子に殺されるモブ従者の子供時代に転生したので、死亡回避に奔走するけど、なんでか婚約者になって執着溺愛王子から逃げられない話。
ノワールは四歳のときに乙女ゲーム『花びらを恋の数だけ抱きしめて』の世界に転生したと気づいた。自分の役どころは冷酷無慈悲なラスボス王子ネロディアスの従者。従者になってしまうと十八歳でラスボス王子に殺される運命だ。
四歳である今はまだ従者ではない。
死亡回避のためネロディアスにみつからぬようにしていたが、なぜかうまくいかないし、その上婚約することにもなってしまった??
十八歳で死にたくないので、婚約も従者もごめんです。だけど家の事情で断れない。
こうなったら婚約も従者契約も撤回するよう王子を説得しよう!
そう思ったノワールはなんとか策を練るのだが、ネロディアスは撤回どころかもっと執着してきてーー!?
クールで理論派、ラスボスからなんとか逃げたいモブ従者のノワールと、そんな従者を絶対逃がさない冷酷無慈悲?なラスボス王子ネロディアスの恋愛頭脳戦。
【完結】悪役令息の伴侶(予定)に転生しました
* ゆるゆ
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、反省しました。
BLゲームの世界で、推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑)
本編完結、恋愛ルート、トマといっしょに里帰り編、完結しました!
おまけのお話を時々更新しています。
きーちゃんと皆の動画をつくりました!
もしよかったら、お話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。
インスタ @yuruyu0 絵もあがります
Youtube @BL小説動画
プロフのwebサイトから両方に飛べるので、もしよかったら!
本編以降のお話、恋愛ルートも、おまけのお話の更新も、アルファポリスさまだけですー!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
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