【完結済】ラスボスの使い魔に転生したので世界を守るため全力でペットセラピーしてみたら……【溺愛こじらせドS攻め】

綺沙きさき(きさきさき)

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 ふふふ、と含みのある笑みをこちらに向けるギディオンに首を傾げる。

「なんだ?」
「なんと今日、あの王国大魔術師の名を授かったよ!」
「ああ、そういえば、そう言ってたな。すごいじゃん! おめでとう!」

 ついさっきコゼットに聞いたばかりなので驚きはないが、すごいという感嘆の気持ちは紛れもなく本心だった。
 しかし、

「……は? そう言ってたって、誰から聞いたの?」

 聞く者の心を一瞬にして凍らせるような冷たく低い声に、心臓が跳ね上がる。

「まさか、僕がいない間に誰かこの家に入れたんじゃないだろうね……?」
「そ、そんなわけないだろ! コ、コゼットだよ! コゼットが教えてくれたんだよ」

 やましいことなど一切ないのに、少しの誤魔化しも許さないというような厳しい追及の姿勢に思わず声が震えた。
 シリルの答えを聞いて、ギディオンの表情から少しだけ剣呑さが引いた。

「ああ、あのおしゃべりカラスか」
「そうそう。俺のご主人様の出世だからって急いで教えに来てくれたんだよ」

 本当はただ仕入れたばかりの情報を披露したかっただけだろうが、数少ない友であるコゼットの身の安全のためにもそういうことにしておく。

「まぁ、そういうことなら許そう。それにカラスの肉は臭くてまずいらしいから祝いの食事には不適切だしね」
「え? 俺の友達、今日の夕飯にする予定だったの?」
「ふふふ、冗談だよ。ちゃんと今日の夕食用の肉は別に買ってきてるから安心して。僕の可愛いシリルに粗悪な肉なんて食べさせられないからね」
「何か微妙に論点ズレてるような……」
「まぁまぁ、いいじゃない。それより今日は特別な日だ。腕によりをかけてごちそうを作るよ」

 腕まくりをしながらキッチンへ向かうギディオン。
 祝われる人間がごちそうを作るって……とツッコみたい気持ちはあったが、ギディオンの料理は絶品なので黙って食事ができるのを待つことにした。

 ****

 まだ微弱な魔力しかない子猫の頃、異様に顔立ちの整った少年がシリルを抱き上げて、こう言った。

『僕はギディオン・モーラン。君は今日から僕の使い魔だ』

 少年が名前を名乗ったその瞬間に、この世界が前世でプレイしていたゲーム『グランド・マギ』の中であることを思い出した。
 ギディオン・モーラン――、類まれなる強大な魔力を持つ、モーラン公爵家の次男。それが世間の認識だ。
 しかし、実際は不貞を働いた公爵夫人と使用人の間に生まれた子である。モーラン公爵家当主は世間体を気にして、仕方なくギディオンをモーラン家の次男とした。
 だが、当然ながらモーラン公爵からの当たりはきつく、実母である公爵夫人も後ろめたさからギディオンを避けていた。
 持って生まれた類まれなる強大な魔力も、長兄の立場を脅かすものでしかなく、兄からは毎日のように陰湿な嫌がらせを受けていた。
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