【R18】僕はスマホ、君の谷間にカメラがずきゅん

音無威人

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僕はスマホ、君の谷間にカメラがずきゅん

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 僕はスマホ。ご主人様が僕を大事に扱ってくれるからいつの間にか意識が芽生えたんだ。でもご主人様は僕が意識を持っているなんて知らない。所詮僕はスマホ、意思を伝える術なんて持ってないんだ。
「はぁー、いいお風呂だった」
 ご主人様がお風呂から上がってきた。バスタオルを体に巻き付けてる。ほんのりと覗く胸が色っぽい。お世辞にも大きいとは言えないけど、だからこそ可愛い。
「うっし、今日もやるぞ」
 ご主人様が僕を手に取った。動画モードに切り替える。バストアップマッサージの様子を撮影するのがご主人様、ひいては僕の日課だ。
「早くおっきくなんないかなぁ」
 胸の小ささを気にするご主人様は可愛い。検索履歴はバストアップの方法ばかりだ。フォルダにもたくさんの日課が記録されている。この動画は僕の大切なコレクションだ。
「う、ん」
 ご主人様の口から淡い息が漏れる。こっそりと録音モードを起動した。どんな声も聞き逃したくない。後でまたゆっくりと聞こう。
「おっきくなーれ、おっきくなーれ」
 真剣な表情で胸をマッサージしている。そんなに大きい胸がいいのかな? 僕にはよく分からない。ご主人様は今のままでも十分素敵なのに。
「あっ」
 ズーム! ズーム! ズーム! ズーム! はらりと落ちるタオル。あらわになる胸。顔を赤くするご主人様。これは……いい! すごくいい。連射しよう。
「うぅ」
 あぁ、もったいない。もう隠すなんて。一人暮らしなんだから気にしなくていいのに。でも誰も見ていないのに胸を隠すところがご主人様の可愛いところだ。
 まぁ、僕は見てるけど。あられもない姿を見れるのは僕だけの特権だ。今日は良い光景を見れた。運命のいたずらに感謝しなきゃ。
「もう」
 恥ずかしそうにしながら僕を手に取る。動画モード終了。今日の撮影は終わりみたいだ。残念。ご主人様が揉み揉みする姿をもっと見たかったのに。
「ふぅ」
 ご主人様はベッドでうつぶせになった。ピコピコと僕を操作する。寝る前にパズルゲームをプレイする。それがもう一つの日課だ。
 滑らかな指が画面を滑る。さらさらとした手触りが心地いい。僕のほうがご主人様にマッサージされてる気分になってくる。
「アツッ!」
 指で触られるのが気持ちよすぎて火照ってしまった。繊細な僕の体に熱は厳禁だというのに。でもこれは仕方ない。愛しいご主人様に触られたら興奮するに決まってる。
「冷まさなきゃ!」
 おっふ。ご主人様が僕を抱きしめた。正確に言えば、胸の谷間に僕を挟んだ。小っちゃくてもふわふわしてる。この感触は堪らない。
「ん?!」
 ブルブルブル。ダメだ。止まらない。ご主人様、ご主人様、ご主人様、はぁ、はぁ。
「あれ? 着信もメールも来てない」
 あぁ、もっと挟まれていたかったのに。ご主人様は不思議そうな目で僕をじっと見ている。きょとんとした表情も素敵だ。
「変だなぁ」
 こてんと寝ころび、『バイブ音鳴ったのに着信なし』と検索し始めた。
「スマホが振動したように錯覚する現象? へぇ、そんなのあるんだぁ」
 ファントム・バイブレーション・シンドロームという記事にたどり着いたご主人様はへぇと関心している。
「じゃあさっきのは錯覚だったのかな」
 さっきのバイブ音は気のせいだったと考えたみたい。僕は本当に振動してたけど、勘違いだったと考えるご主人様は可愛い。
「ふわぁ」
 もう夜も遅い。眠たくなってきたようだ。うつらうつらとしている。その体の揺れで、またタオルがずり落ちてきた。連射した。
 ぱちんと電気を消して、ご主人様はあおむけになって眠る。僕はカメラを谷間に向けた。いい、すごくいい。この時間が一番幸せだ。
 あどけない寝顔ですやすやと眠るご主人様。口元からちらりと覗く真っ赤な舌。身じろぐたびにふよふよと形を変える胸。撮り甲斐のある姿だ。



「何この写真……」
 イタッ。ご主人様が僕を落とすのは初めてだ。どうしたんだろう?
 何かに怯えた表情をしている。珍しい表情だ。撮影しなきゃ。パシャッ。
「ひっ、なんで?」
 ひきつった表情もいい。ご主人様はやっぱり可愛いな。撮らなきゃ、撮らなきゃ。
 パシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャ。
「きゃあああああ!」
 あれ? どこへ行くんだろう。僕を置いて出かけるなんて。今日は珍しいこと尽くしだ。どこか調子でも悪いのかな。



 ご主人様帰ってこない。充電切れる。早く帰ってきて……。
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