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エピローグ
しおりを挟む「ギルバート。そこが汚れていてよ」
「……さっそく小姑ごっこか、サリー」
「あら? なんのことかしら? 我が家に婿入りするつもりがあるなら、我が家の慣習くらい覚えていて欲しいわね。立って居る者はお邪魔虫……間違えた、妹婿候補でも使われることになっているのよギルバート」
昔は楽しいだけだったお茶の時間が、最近では少し様子がかわってきている。
母と姉と自分と、そして幼馴染のギルバートでテーブルを囲むのは変わっていないけれども、前よりもずっと近い位置にサファイアが座り、ほとんど横から腰を引き寄せるようにして、ルビーに身体をぴっとりとくっつけてくる。
そして、その様子を苦虫を噛みしめたような眼差しで見つめてくるギルバートに、サファイアが軽く意地悪を言うのがお決まりになってきた。
すべては、ギルバートがルビーに指輪を贈り、そしてルビーが受け取った日から始まったのである
「いい加減、妹離れしたらどうだサリー?」
「おあいにく様。私の辞書に、そんな不道徳な言葉はないわ!」
「……妹離れは不道徳じゃないぞ」
ギルバートが半眼で突っ込むが、サファイアはつーんと横を向き、向いた先にあるルビーの顔を、とろけそうな眼差しで見つめる。
「ああ、かわいいルビー……食べてしまいたい」
我慢できないように、ぎゅーぎゅーと抱きしめられてルビーは頬を赤く染める。
もう大人の仲間入りするような年齢になってきたと言うのに、まるで子供の頃と同じような扱いに、身を小さくする。
「ね、姉さま……恥ずかしい」
「ダメよルビー。私、気づいたの。ルビーに対する愛情表現が全然足りなかったって」
彼女は彼女で、ルビー失踪事件以後、色々と考えることがあったらしく、スキンシップが以前の二倍くらい激しくなった。
「……サリー。俺はお前が男でないことが、心底憎らしい。野郎なら、拳で決着をつけられるというのに」
「ふふふ。私の目に入れても痛くない、かわいいかわいいルビーを花嫁にするというのならば、この程度の苦痛は耐えてもらわないとね?」
そう言って、サファイアはルビーの髪に天使の羽のような口づけを落した。
途端。
チカリと、ギルバートの目に危険な光が宿り……――
「そろそろ、きっちり決着をつけようかサリー」
「あら。そっちがその気なら、受けて立ってよ」
二人はお互いを睨みつけ。
「どっちが」
「どれだけ」
「俺の大事なルビーを」
「私のかわいいルビーを」
「「愛しているか勝負だ!」」
などと、勝負を繰り返すのが、ここ最近の日課となりつつあった。
「あらあらまあまあ」
のほほんと笑う母親と、オロオロして二人を見比べるルビー。
その指には、赤い石が美しい光を放ち続けていた。
END
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みんなの感想(10件)
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タイトルに興味がありまして読ませていただきました。少し前までXフォローさせて頂いてたのですが少しいろいろとあったのでしばらくやめてるのでまた落ち着いたらその際はフォローさせていただきます。
アルファポリス関連の作品は100作品近く持ってますが桃花先生の作品はものすごく大好きです。
『お嬢、メイドになる!』と『ホテルラフレシア』の文庫本を買いました!これからも作品楽しみにしてます。
ルビーが幸せになって良かったです!
カミコがいったい何だったのかが気になるけど…。
でも、ラスト2話でサファイアのイメージが一気に崩れたなぁ(笑)
小姑に負けるな??
ギルバート、ふぁいとーp(^_^)q
ルビー、幸せになれました(о´∀`о)
サリーについては、最後まで読んでまた最初から読み返すと印象も違うと思います(笑)
あくまでも、ルビー視点で動いているので、きっと違う視点から見るとサリーやギルバードの印象もかわるのではないかと……
おつきあいありがとうございました(*´∀`)ノ
真っ赤ないの指輪...でトマトの指輪なんですね?
ルビーは幸せになったんですね?
良かった。
素敵なお話、ありがとうございました。
また素敵なお話、待ってます。
はい、真っ赤なトマト色の指輪です(笑)
ルビーの人生は山あり谷ありでしょうが、大好きな人たちに囲まれて幸せであると、信じています。最後までおつきあいありがとうございましたヽ(・∀・)ノ
次の機会にまた、お会いできますように(´∀`*)ε` )デュフフフ