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第一章 未だ見ぬ敵に備えて
魔獣で腕試し2
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草木を掻き分ける音がした。
刹那、既に赤目は目の前に迫っていた。
涎を垂らして凶悪な牙を見せ付けながら、喉元に迫ってくる!
けれどリーンもすぐさま半身を倒し、そのままバレエの選手のように、空を嚙んだ赤目の顎に鋭い蹴りを入れた。
ゴシャアだかグチャアだか、骨が砕けて肉が潰れる不快な音を鳴らし、赤目はそのまま動かなくなった。
余りにもあっけない決着。
でもリーンは臨戦態勢を崩さない。
「まずは一頭!」
仲間が殺された仇討ちか、新たに赤目が現れた。
これがリーンが敢えて赤目を選んだ訳、そしてプレイヤーから恐れられていた訳。
そう、赤目は群れる!
でも新たに現れた赤目も、さっきと同じように正面から突っ込んできた。
当然、同じように処理される。
「単調ですわね、これでは期待外れ・・・」
しかし何処からか現れた二頭目が、上がった足目掛けて飛びついてくる!
「成程!」
新たな赤目の攻撃は蹴りの勢いのまま、後転して回避。
・・・したはずだった。
「ぐぅ!?」
回避したその先に待ち構えていた三頭目が、背中から首目掛けて飛び込んできた!
すんでのところで振り返り、口腔目掛けて打撃を放ったリーンだけど、当たる前に腕を噛まれてしまった。
腕ごと叩きつけ、首を踏み千切って絶命こそさせたけど、噛まれた左腕はもう使えなさそうだった。
「大丈夫!?」
「これしき何ともありません!指は動くし感覚はあります、恐らく骨が折れただけ。お肉を食べて三日も寝れば治りますわ!」
「たまにリーンが人かどうか疑わしくなってくるよ・・・」
「ごめんあそばせ、次が来ました!」
リーンの言う通り、赤目は獲物の隙を逃さず追撃を仕掛けてきた。
だけど一頭一頭は分が悪いと踏んだのか、今度は三頭がかりで襲ってくる!
左右から四肢を狙って挟撃、それを躱すと更にもう一頭が首目掛けて突撃してくる。
「これは少しばかりきついかも知れませんわね・・・」
珍しく弱音を吐きつつも、両足と残った腕を獲物の頭に打ち込んで、リーンは一頭ずつ着実に処理していった。
初めの方こそ不覚を取った彼女だけれど、後続はスムーズに片付けていく。
どうやら五頭・六頭と相手をしてゆくうちに慣れてしまったらしい。
腕の負傷以後は無傷で赤目を処理し続け、気付くと辺りは二十頭ほどの赤目だった肉袋が散らばっていた。
「何とか生き残れましたけれど、中々の強敵でしたわ・・・」
「生態系変わってたらどうしよう。」
「せいたいけい?」
「そういう概念が無い世界の人だったね・・・」
ともあれ、リーンは赤目達に勝利した。
負傷は心配だけど、本人が大丈夫って言ってる以上は問題ないのだろう。
・・・次に入れ替わるのちょっと怖いけど。
「それにしても、今度はどう言い訳しましょうか。ただ折れたわけじゃないから転んだ、は・・・通じない?」
「無理があるでしょ。まあ何とかやってみるよ。」
「お願いしますね。」
森を出た頃には空は白み出していた。
ホントに、どう言い訳しようか・・・
サラブレッド並みの速さで走るリーンの中で、必死に言い訳を考える私であった。
刹那、既に赤目は目の前に迫っていた。
涎を垂らして凶悪な牙を見せ付けながら、喉元に迫ってくる!
けれどリーンもすぐさま半身を倒し、そのままバレエの選手のように、空を嚙んだ赤目の顎に鋭い蹴りを入れた。
ゴシャアだかグチャアだか、骨が砕けて肉が潰れる不快な音を鳴らし、赤目はそのまま動かなくなった。
余りにもあっけない決着。
でもリーンは臨戦態勢を崩さない。
「まずは一頭!」
仲間が殺された仇討ちか、新たに赤目が現れた。
これがリーンが敢えて赤目を選んだ訳、そしてプレイヤーから恐れられていた訳。
そう、赤目は群れる!
でも新たに現れた赤目も、さっきと同じように正面から突っ込んできた。
当然、同じように処理される。
「単調ですわね、これでは期待外れ・・・」
しかし何処からか現れた二頭目が、上がった足目掛けて飛びついてくる!
「成程!」
新たな赤目の攻撃は蹴りの勢いのまま、後転して回避。
・・・したはずだった。
「ぐぅ!?」
回避したその先に待ち構えていた三頭目が、背中から首目掛けて飛び込んできた!
すんでのところで振り返り、口腔目掛けて打撃を放ったリーンだけど、当たる前に腕を噛まれてしまった。
腕ごと叩きつけ、首を踏み千切って絶命こそさせたけど、噛まれた左腕はもう使えなさそうだった。
「大丈夫!?」
「これしき何ともありません!指は動くし感覚はあります、恐らく骨が折れただけ。お肉を食べて三日も寝れば治りますわ!」
「たまにリーンが人かどうか疑わしくなってくるよ・・・」
「ごめんあそばせ、次が来ました!」
リーンの言う通り、赤目は獲物の隙を逃さず追撃を仕掛けてきた。
だけど一頭一頭は分が悪いと踏んだのか、今度は三頭がかりで襲ってくる!
左右から四肢を狙って挟撃、それを躱すと更にもう一頭が首目掛けて突撃してくる。
「これは少しばかりきついかも知れませんわね・・・」
珍しく弱音を吐きつつも、両足と残った腕を獲物の頭に打ち込んで、リーンは一頭ずつ着実に処理していった。
初めの方こそ不覚を取った彼女だけれど、後続はスムーズに片付けていく。
どうやら五頭・六頭と相手をしてゆくうちに慣れてしまったらしい。
腕の負傷以後は無傷で赤目を処理し続け、気付くと辺りは二十頭ほどの赤目だった肉袋が散らばっていた。
「何とか生き残れましたけれど、中々の強敵でしたわ・・・」
「生態系変わってたらどうしよう。」
「せいたいけい?」
「そういう概念が無い世界の人だったね・・・」
ともあれ、リーンは赤目達に勝利した。
負傷は心配だけど、本人が大丈夫って言ってる以上は問題ないのだろう。
・・・次に入れ替わるのちょっと怖いけど。
「それにしても、今度はどう言い訳しましょうか。ただ折れたわけじゃないから転んだ、は・・・通じない?」
「無理があるでしょ。まあ何とかやってみるよ。」
「お願いしますね。」
森を出た頃には空は白み出していた。
ホントに、どう言い訳しようか・・・
サラブレッド並みの速さで走るリーンの中で、必死に言い訳を考える私であった。
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