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王家の秘密
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三人の姿が見えなくなった、と見張から報告を受け王宮に駆けつける。予想外の速さに追跡しきれなかったと、アーサーが慌てふためいているようだ。
「シーラ!スイたちの足取りが捉めなくなってしまった!!まさか、こんなに早く相手が接触してくるとは....辺境を通らねば出国はできないから、急いで金軍を辺境へ向かわせよう!!」
「落ち着け、カイルとスイがいるんだ、すぐに命が危険になることはない。慌てて動くとせっかく誘い出した黒幕に逃げられるだろう。なるべく少人数で辺境へ向かう」
「そうだな。慌ててはダメだよな。だけどスイが....怪我でもしたらと心配で、一刻も早く合流しなければ!」
「スイはそう簡単に怪我などしない」
「カイル一人でスイとシリルを守りぬくのは大変だろう。もし、敵が複数だったら?軍隊のような訓練された集団だったら?!ああ!!これだからスイが囮をするのは反対だったんだ!!」
アーサーは裏返しのままの上着に袖を通しながら、部屋中をパタパタと歩き回っている。
「アーサーはまだ知らないが....」
そこまで言いかけた時、窓の外に青い鳥が止まり、コンコンとガラスをつついた。
「サフィーだ。」
窓を開けてやると、パタパタと弱々しく羽ばたいて私の元まで飛んできた。相当無理をして飛んで来たのだろう。手を差し出すと、ポテッと安心したように着地して丸まった。
足に括り付けられている手紙を取ると、カイルからの報告が書いてあった。
「アーサー、三人は無事のようだ。今のところは相手は一人、無理やり連れ去られた訳ではない。とにかく、慎重に跡を追うぞ」
目立たないように私とアーサーの二人で一行の痕跡を探しながら辺境へ向かった。ところどころにスイの目印があったので追跡するのは簡単だった。
エルセの町に着くと、慌てて町の者たちが私たちに駆け寄ってきた。
「シーラ様!お久しぶりです、つい今しがたスイ様がいらしてました。いつもと違う様子でしたし、銀軍の兵士様ではない人たちと一緒でしたので、なにか....事情があるのかと声をかけず見送りました。ブライトン邸へ....関所へ向かっているようです」
エルセの町の人々はスイの顔を知っている。いつもと違う髪色や雰囲気におかしいと思ったようだが、覚えていてくれていたようだ。
「ありがとう、一緒にいた者は覚えているか?」
「ええ!綺麗な女性が二人、背の低い男性に連れられていました。あの男は最近よく出入りするようになった男で、以前、確か織物なんかを扱っていると言っていました」
「そうか。わかった。急いで追いかけよう」
関所に着くとちょうど責任者がほっとしたような顔をして私たちを迎え入れてくれた。
「シーラ副司令官!!来てくださりよかったです!!ちょうど私では太刀打ちできない通行手形を持った、怪しい馬車があるのです」
「すぐに案内して欲しい」
「はい!念の為馬車は国境前に停めてあります。取引相手はまだ入室させていないため大丈夫だと思いますが....」
「隊長!!例の黄色手形の者たちが勝手に合流したと報告が上がりました」
私とアーサーは慌ててその現場まで走る。扉を開くと、馬がこちら側を向いていた。三人が荷台の入り口のそばに立たされている足だけが見えた。
よく見ると相手は弓を構えている、私は馬車の荷台に飛び乗った。
相手は二十三名、先頭に黒い合わせの衣服を着た女。手を天に向けて挙げている。スイとカイルがシリルを守るように武器を構えていた、足元に折れた矢が散らばっているところを見ると二射目なのだろう。
私は遠慮なく荷台から飛び降り、三人の前に着地する。同時に黒い女が手を下げ、合図をしたことで矢が飛んできた。
愛刀を引き抜き、矢を打ち落とす。私を見てあちらの者たちが黒い女を守るように前に出て武器を構えた。
関所内で武器を構えるとは....あの女、もしかして....
私はそのまま地面を蹴って敵に向かって走る。なるべく傷つけないように、相手が持つ武器を狙って剣をぶつけて敵を吹き飛ばす。
「シーラ!!!」
「お姉様!」
「師匠!」
三人が安心したように私を呼ぶと、黒い女が驚いたように目を見開き私を睨みつけてきた。
「シーラ・ブライトン!何故?!辺境にいないはずでは!?」
「何者だ!名乗れ!!!」
私は女の前に集まった二十人の者たちを全員叩きのめして女に問いかけた。女は倒れた者たちを見捨てて、自身の馬車まで後退りしていく。
前にばかり気を取られていると、後ろから声がした。
「どうしてくれるのよ!!あんたたちのせいで!!!」
振り向くと、シリルのすぐ後ろにナイフを握った見慣れない女がいた。鬼のような恐ろしい顔をしている。
カイルが「しまった!」と叫んでシリルに向かって手を伸ばすが間に合わない。
シリルが少しでも急所を守ろうと、手を体の前でクロスさせる、あと少しで届く!というところでアーサーが間に合った。女の首元に手刀を入れ動きを止めた。女は床に崩れ落ちた。
「アレク!!」
スイが嬉しそうに叫んでアーサーに駆け寄った。アーサーも愛おしそうに微笑み、抱きしめた。
「スイ、待たせたな。無事か?カイル、良くぞ二人を守った」
アーサーが三人に声をかけた瞬間に、黒い女が喜んだように叫び声を上げた。
「あああああああ!!やっとかかった!ヒュー・アレキサンドライト・ユリアナ!会いたかったぞよ!!!!」
そう叫ぶと自分の近くにいる若い兵士の首元にナイフを突き付けた。
「シーラ・ブライトン、それ以上こちらに来るとこの者を殺す。たとえ敵だろうがこういうのは嫌いだろ。お主は」
「お前を守っている者を人質に取るとは、オトギリと同じで何と卑怯な」
「ほほほ、あんな出来損ないの弟と一緒にしてくれるな」
やはり、同じような雰囲気を感じて釜をかけてみたが、オトギリの姉妹だったか。
「シーラ!スイたちの足取りが捉めなくなってしまった!!まさか、こんなに早く相手が接触してくるとは....辺境を通らねば出国はできないから、急いで金軍を辺境へ向かわせよう!!」
「落ち着け、カイルとスイがいるんだ、すぐに命が危険になることはない。慌てて動くとせっかく誘い出した黒幕に逃げられるだろう。なるべく少人数で辺境へ向かう」
「そうだな。慌ててはダメだよな。だけどスイが....怪我でもしたらと心配で、一刻も早く合流しなければ!」
「スイはそう簡単に怪我などしない」
「カイル一人でスイとシリルを守りぬくのは大変だろう。もし、敵が複数だったら?軍隊のような訓練された集団だったら?!ああ!!これだからスイが囮をするのは反対だったんだ!!」
アーサーは裏返しのままの上着に袖を通しながら、部屋中をパタパタと歩き回っている。
「アーサーはまだ知らないが....」
そこまで言いかけた時、窓の外に青い鳥が止まり、コンコンとガラスをつついた。
「サフィーだ。」
窓を開けてやると、パタパタと弱々しく羽ばたいて私の元まで飛んできた。相当無理をして飛んで来たのだろう。手を差し出すと、ポテッと安心したように着地して丸まった。
足に括り付けられている手紙を取ると、カイルからの報告が書いてあった。
「アーサー、三人は無事のようだ。今のところは相手は一人、無理やり連れ去られた訳ではない。とにかく、慎重に跡を追うぞ」
目立たないように私とアーサーの二人で一行の痕跡を探しながら辺境へ向かった。ところどころにスイの目印があったので追跡するのは簡単だった。
エルセの町に着くと、慌てて町の者たちが私たちに駆け寄ってきた。
「シーラ様!お久しぶりです、つい今しがたスイ様がいらしてました。いつもと違う様子でしたし、銀軍の兵士様ではない人たちと一緒でしたので、なにか....事情があるのかと声をかけず見送りました。ブライトン邸へ....関所へ向かっているようです」
エルセの町の人々はスイの顔を知っている。いつもと違う髪色や雰囲気におかしいと思ったようだが、覚えていてくれていたようだ。
「ありがとう、一緒にいた者は覚えているか?」
「ええ!綺麗な女性が二人、背の低い男性に連れられていました。あの男は最近よく出入りするようになった男で、以前、確か織物なんかを扱っていると言っていました」
「そうか。わかった。急いで追いかけよう」
関所に着くとちょうど責任者がほっとしたような顔をして私たちを迎え入れてくれた。
「シーラ副司令官!!来てくださりよかったです!!ちょうど私では太刀打ちできない通行手形を持った、怪しい馬車があるのです」
「すぐに案内して欲しい」
「はい!念の為馬車は国境前に停めてあります。取引相手はまだ入室させていないため大丈夫だと思いますが....」
「隊長!!例の黄色手形の者たちが勝手に合流したと報告が上がりました」
私とアーサーは慌ててその現場まで走る。扉を開くと、馬がこちら側を向いていた。三人が荷台の入り口のそばに立たされている足だけが見えた。
よく見ると相手は弓を構えている、私は馬車の荷台に飛び乗った。
相手は二十三名、先頭に黒い合わせの衣服を着た女。手を天に向けて挙げている。スイとカイルがシリルを守るように武器を構えていた、足元に折れた矢が散らばっているところを見ると二射目なのだろう。
私は遠慮なく荷台から飛び降り、三人の前に着地する。同時に黒い女が手を下げ、合図をしたことで矢が飛んできた。
愛刀を引き抜き、矢を打ち落とす。私を見てあちらの者たちが黒い女を守るように前に出て武器を構えた。
関所内で武器を構えるとは....あの女、もしかして....
私はそのまま地面を蹴って敵に向かって走る。なるべく傷つけないように、相手が持つ武器を狙って剣をぶつけて敵を吹き飛ばす。
「シーラ!!!」
「お姉様!」
「師匠!」
三人が安心したように私を呼ぶと、黒い女が驚いたように目を見開き私を睨みつけてきた。
「シーラ・ブライトン!何故?!辺境にいないはずでは!?」
「何者だ!名乗れ!!!」
私は女の前に集まった二十人の者たちを全員叩きのめして女に問いかけた。女は倒れた者たちを見捨てて、自身の馬車まで後退りしていく。
前にばかり気を取られていると、後ろから声がした。
「どうしてくれるのよ!!あんたたちのせいで!!!」
振り向くと、シリルのすぐ後ろにナイフを握った見慣れない女がいた。鬼のような恐ろしい顔をしている。
カイルが「しまった!」と叫んでシリルに向かって手を伸ばすが間に合わない。
シリルが少しでも急所を守ろうと、手を体の前でクロスさせる、あと少しで届く!というところでアーサーが間に合った。女の首元に手刀を入れ動きを止めた。女は床に崩れ落ちた。
「アレク!!」
スイが嬉しそうに叫んでアーサーに駆け寄った。アーサーも愛おしそうに微笑み、抱きしめた。
「スイ、待たせたな。無事か?カイル、良くぞ二人を守った」
アーサーが三人に声をかけた瞬間に、黒い女が喜んだように叫び声を上げた。
「あああああああ!!やっとかかった!ヒュー・アレキサンドライト・ユリアナ!会いたかったぞよ!!!!」
そう叫ぶと自分の近くにいる若い兵士の首元にナイフを突き付けた。
「シーラ・ブライトン、それ以上こちらに来るとこの者を殺す。たとえ敵だろうがこういうのは嫌いだろ。お主は」
「お前を守っている者を人質に取るとは、オトギリと同じで何と卑怯な」
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