愛のない結婚を後悔しても遅い 離縁を望まれたスパダリ令嬢、溺愛の限りを尽くしたら孤独な公爵令息に懐かれすぎています

空橋彩

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68.5.幼い少女の小さな騎士の記憶

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本日2話更新しています。どうぞ、ご注意ください。

こちらは過去編になりますので、68話を先にお読みいただきます様お願い申し上げます。


















「おかぁさまとおとおさまにはわたしなんかいらないんだ!」


小さな体で精一杯叫んで、私は家を飛び出した。
兄3人ばかり可愛がり、私にはお料理やお絵描きをさせる。刺繍の為の綺麗な糸やかわいいぬいぐるみを与えるだけ。

私は兄たちの様に、家のやっている商店に行きたかった。
仕入業者の人たちが集まるところに行ってワクワクしたかった。それなのに、みんな私に「ラブリはいいのよ」と言ってのけ者にした。

齢6歳にして私はいえでをした。


泣き腫らした目でどこを走っているのかもわからず、メチャクチャに走り回った。
気がつくと、薄暗かなった空の下でひとりぼっちで川辺に立っていた。

水が流れる音が、耳に響いて少し寒い。
ガサガサと草が風に揺れる音で心がブルリと震えた。


怖い。

と思ったら一気に怖さが襲ってきた。



「うっ、ううっ!おかあさまあああああ」


誰かに見つけて欲しくて大きく泣いたが、誰にも届かずついに夜になってしまった。
やっと見つけた腰をかけられそうな岩に座ってシクシクと泣いていると、ガラリと足を蹴る音がした。

恐ろしくなって声を殺した。数人の大人がそこにいる様だった。


ガタガタと震えていると、急に背中に温もりを感じて驚いて立ちあがろうとすると、その温もりがギュッと私を抱えた。



「しっ!みつかるよ黙って、うごかないで」

その温もりは小さな声でそう囁くとギューっと私を抱きしめ続けた。しばらくすると大人たちはどこか別の場所に去っていった。


私は恐る恐る振り返る。そこにいたのは、グレイの髪をした男の子。その瞳は濃い紺色でまるで夜空だった。
よく見るとその子もカタカタと震えていた。


「ねぇ、君夕方くらいに大きな声で泣いていた?この辺を通った時に、声が聞こえた気がして。だから気になってこっそり探しにきたんだ。」

「う、うん。迷子に、なって、それで…」

「そっか!見つけられてよかった。僕はカイルお母さんと一緒にそこの小屋に住んでる!君は?」


「私は、ラブリ・ハイネ」


「ハイネ?ハイネ商店?それならそんなに遠くないよ。一緒に帰ろう!」


「う、うん。ありがとう」

すっと差し出された手は震えているけど、とても暖かく、頼もしかった。


家に帰る途中カイル少年に礼を言うと


「僕はお母さんを守る騎士になるんだ!だから、これくらいの人助け、へっちゃらさ!ラブリも困ったらいつでも俺に言えよ!」

と言って笑った。
商店に着くとおかあさまやおとうさまが大慌てで私を探していた。二人を見た瞬間に大泣きしてしまい、カイルとどう別れたのか覚えていない。

その後、あの川沿いの小屋から母子がガードナー伯爵により連れ去られ、母親は儚くなったと聞いた。
息子は伯爵に育てられ、あの騎士の様な少年は見る影も無くなってしまった。

いつか、またあの少年に会えるだろうか。
心根は良いはずだ。


だれか、あの少年を、心の中の川辺で泣いている少年を助けてあげてと、ずっと祈っていた。


そして、彼も私もシーラ様に出会い、救われた。
いつかの思い出がまた、押し込めた胸の奥底からひょっこりと顔を出して笑った。
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