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夜明けの鏡
夜明けの鏡
しおりを挟むいよいよ引っ越しの日が来た。私は前日、施設長さんや職員のみなさんにご挨拶に行った。
みなさん、寂しそうで、何かあればいつでも帰っておいでと言ってくれた。
本当に素敵な人達に囲まれて私は幸せだと思った。
「かの子!」
真希と静佳だ。2人とも来てくれたんだ。
「かの子、さみしくなるね。でも必ず遊びに行くから。かの子も時々来て。絶対だよ」
真希は泣きながらそういった。私は笑顔でうなずいた。
「バカ!真希!かの子は病気なんだから、こっちから行かないといけないでしょ!かの子、遊びに行くからね。また仲良く遊ぼうね」
静佳も泣きながらそう言った。私は静佳にも笑顔でうなずいた。
「私こそ、ありがとう。私みたいな内気な暗い子の友達になってくれて。みんなまた会いましょうね」
私がそういうと静佳が私の頭を小突いた。
「バカ!あんたは内気じゃなくておとなしいだけ。自分で暗いなんて言うなよ」
静佳はそう言って笑った。真希も笑っている。
「かの子さん!」
久米さんだ。久米さんまでお見送りに来てくれたんだ。
「かの子さんと出会ったのも何かの縁です。尚輝さんが私の武術を習いたいと言ってました。向こうに私の支部がありますから、支部長と門下生をどうか可愛がってやってください」
久米さんはあいかわらず優しく笑っている。
「えっ!尚輝が武術?」
私がそういうと久米さんはまた優しく笑って、
「今回の件でかの子さんを守る為、強くなるんだ!と言ってました」
久米さんはニコッと笑ってそう言った。
私は「そっか」とだけ言った。
尚輝は尚輝なりに私のことを想ってくれてるのね。
その後、尚輝も合流し、駅までみんなで歩いていく。始発に乗るんだ。だからまだ外は暗い。
やがて駅に着き、私達が乗る列車が見えた。
尚輝が私の身体が冷えないように上着を着せてくれた。
「さあ、かの子、冷えると身体にさわるから列車に乗ろうか」
尚輝がそう言って、私の手を握った。
尚輝は皆さんに頭を下げて
「みなさん、本当にお世話になりました。またお会いしましょう」
とみんなに挨拶した。みんなもうなずいた。
みんなの笑顔がすごくまぶしい。とても愛おしい。本当に素敵な人達と私は一緒だったんだ。
「みんなありがとう。また会おうね」
私は真希と静佳の手を取って笑顔で言った。
「私達。ずっと親友だからね。忘れたら承知しないから。体には十分気をつけてね」
真希が泣きながらそう言った。静佳も泣いている。尚輝は私の後ろで静かに笑みを浮かべて見つめている。
私も涙があふれてきた。みんなのこと、この街のこと忘れないから。そう私は心の中で言って、私は涙を拭って、みんなに大きな声で言った。
「私、私として生きるわ!かの子で生きるわ!」
私はそういうと笑顔で手を振り列車に乗った。みんなうなずいている。
列車はやがて出発した。みんな手を振る。私は列車の窓を開けて手を振り続けた。
「私、かの子で生きるわ!かの子で生きるわ!!みんなありがとう!本当にありがとう!!」
みんなの姿が小さくなっていく。私はずっと手を振り続ける。
私の手を振る姿を優しく微笑みながら見ていた尚輝が私にあたたかな言葉で言った。
「向こうでは何があるかな?」
尚輝はそう言った。
「かの子と尚輝の物語よ」
「そうだね」
そういうと尚輝は私の手を握った。その手のぬくもりが私の全身に伝わっていく。
私はこのぬくもりと一緒に生きるんだ。
私のぬくもりもあなたと一緒だよ。
これからも、ずっと二人で生きる。
そうでしょう。尚輝……。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
やがて外が明るくなっていく。空が白み始めた。建物の間から太陽が昇っている。
太陽の光は二人を乗せた列車の窓を照らし、
鏡のように光っている。
嵐は過ぎ去り、過ぎ去った嵐の後、
新しく生まれ変わったかの子の新しい旅立ちを照らすように、
鏡のように光る窓はまばゆくきらびやかに光り続けていた。
完
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優しい旦那様、善良なご夫婦で、なんだかホッとします♪
文体も、大変、読みやすく好感度、高いです。(*^。^*)