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第1章最弱魔王は魔界で頑張ると決めたそうです
第8話 いきなり神登場
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ふっ・・・決まった!
サタンは逃げていく男3人組を見てガッツポーズした。
「大丈夫かアズラ――ウオッ!」
サタンが振り返った時、アズラがサタンに抱きついた。
「良かった・・・サタンさんが無事で本当に良かったです・・・!」
「ちょ、苦しい・・・」
アズラはサタンを力いっぱい抱きしめる。
「怖かったんです・・・サタンさんが死んでしまったのかと思い・・・また、独りになってしまったのかと・・・ウワァアアアン!!」
サタンの胸に顔をうずめながら泣きじゃくるアズラ。
「アズラ・・・怖い思いをさせて悪かった・・・」
「グスグス・・・」
「確かに、俺はさっき死んだ――けど、今は何故か生きてる――俺はアズラと魔界を救うまでは絶対に死なない! だから、泣き止んでくれ・・・」
サタンは自分が着ているジャージを脱ぎながらアズラに被せた。
「本当に良かった・・・です・・・!」
アズラは顔をあげてジャージをキュッと握りながら満面な笑みで言った。
「っ、アズラ・・・」
サタンはアズラの笑顔にドキッとする。
互いの顔が近づき吐息が触れる。誰かが後ろから背中を押せば唇と唇が触れそうになる距離にサタンの心臓の音が高鳴る。
こ、これはあれか・・・? 唇と唇が触れるあれをする雰囲気なのか・・・!?
「サタンさん・・・」
アズラはサタンの顔を見つめる。僅かに頬が紅潮している。
「アズラ・・・」
自然と顔が近づく2人。唇と唇が触れそうになる瞬間――。
「あの~いい雰囲気なところで悪いんだけどちょっといいかな?」
突然2人の前に銀色と灰色が混ざった短髪の小さい子どものような少年が現れた。
「あ、ああ!」
「は、はい!」
いきなり現れた事と雰囲気的に唇と唇が触れそうになっていることに気づいたサタンとアズラは急いで離れた。
「あちゃ~これはタイミング悪かったかな・・・? ま、いっか、こんにちは! 僕の名前はプタ」
いきなり現れた少年は自分の名前を名乗りだした。
「ブタ?」
「ブタじゃないよ! プタだよ!」
サタンが名前を間違えるとプタはサタンの体をポカポカと叩いた。
本当にポカポカって叩く人いるんだ・・・。
「わ、悪かったって・・・」
サタンは謝りながらプタを押し離した。
「え~・・・それでプタ・・・だっけ? お前は一体――?」
「あっ、忘れてた! 今日は君達に頼みがあって現れたんだ~」
プタは思い出したようにポンと手を叩く。
「「頼み?」」
サタンとアズラは顔を見合わせ首をかしげる。
「うん。サタン・・・君は魔王だよね? そして、アズラは――」
「ちょっと待て」
「何?」
「どうして俺達の名前を知ってるんだ・・・? いや、名前なんてどうでもいい。なんで俺が魔王だって――?」
するとプタは大声を出して笑いだした。
な、何者なんだこいつ・・・?
「アハハ、そう言えばまだちゃーんと自己紹介してなかったね」
「ど、どういうことだ・・・?」
「じゃあ、改めて・・・」
プタはコホンと咳ばらいすると――
「僕の名前はプタ。神様でーす」
すごい事を言い出した。
「・・・・・・は!?」
こいつ、頭いかれてるのか・・・?
隣を見るとアズラも口をポカーンと開けたまま立ち尽くしている。
「そうか! 神様なのか! うんうん、神様か~じゃ、またな、プタ様! 行くぞアズラ」
「え、ええ、そうですね!」
サタンはプタを適当にあしらうとアズラとその場を離れようとした。
なんでそんな事するのかって? だって、自分の事をいきなり神様だって言うなんてヤバイやつだろ? こういうのには関わらない方がいい!
「ちょ、ちょっと待ってよ! 僕の話は本当だよっ!!」
プタは急いでサタンの服の裾を掴んだ。
「はぁ・・・あのなぁ、このご時世自分が神様なんて言うやつどこにいるんだ?」
・・・まぁ、自分を悪魔だと言って今俺と一緒に行動してる本物の悪魔もいるが――。
サタンは横目でアズラを見た。
「それに神様って・・・何か証拠でもあるのか?」
サタンが聞くとプタはパアァっと顔を輝かせた。
「サタン君はさっき一度死んだよね? けど、今は生きてる・・・それはどうしてか分かる?」
「そんなの俺が知りてーよ!」
「なんと! 僕はその理由を教える事が出来るんだ!」
プタはえっへんという風に胸を張る。
「それが証拠、なのか・・・?」
「うん! そうだよ~」
プタは頷く。
「はぁ・・・分かったよ・・・とりあえず話だけは聞いてやるよ」
サタンがそう言うとプタは顔を輝かせ「ありがとう!」と言った。
「じゃあ、先ずはサタンが今生きている事から説明しようかな」
「俺が生きてる理由・・・」
サタンはゴクリと唾を飲み込む。
「死者転生――それが君が今生きている理由だよ」
プタはフフンという感じで話したがサタンは即座に
「いや、意味分からん!」
こう言った。
せっかく決め顔で言ったのプタが固まる。
「サタン、君が死んだのに生き返ることが出来た魔能力の名前だよ」
プタにそう言われてサタンは思い出した。
確かに、あの時、俺は勝手に叫んでたな――死者転生って・・・でも、それがどういう事なのか全く分からん!
「で、その、死者転生が何かお前は知っているのか?」
「言ったでしょ? 僕は神様だって。そんなの当然だよ! それにサタンだけじゃなくてアズラの魔能力についても知ってるよ。教えてあげよっか? アズラのはね――」
プタがアズラの魔能力について話そうとした時――。
「わーわー! 私の魔能力については自分で説明するので今は言わないでください!!」
アズラが慌てて手を横に振りプタが話そうとするのを止めた。
なんだ・・・? アズラがこんなに焦るなんて珍しいな・・・
「まぁ、そうだね。じゃあサタン。君の死者転生について説明してあげるよ」
プタが死者転生について話し始めた。
「死者転生――それは、魔柱72柱の悪魔を自分の体に憑依《てんせい》することなんだ」
「魔柱72柱の悪魔・・・」
「そ、君は死ぬ度にその悪魔達を自分の体に憑依して生き返る事が出来る。それが、サタンに与えられた魔能力なんだ」
プタが言い終わった。
しばらくサタンは黙って考える。そして、声を出した。
「それって、つまり、俺最強じゃん! キタァーー!」
サタンは嬉しそうに跳び跳ねる。
「あ、何か勘違いしてない? 君は最強じゃないよ」
「え?」
サタンの動きが止まる。
「死者転生の欠点が君を最強にしないんだ」
「欠点・・・?」
「そう。それはサタンが死なないと強くなれないって事」
「死ぬ・・・」
死者転生――それは決して有りがたい魔能力ではなかった。
「そ、それなら特訓とかしたら強くなれるんじゃないのか?」
「特訓って・・・アハ、アハハハ、わ、笑わせるね。残念だけど特訓とか全くの無意味だよ」
笑いながら言うプタ。
「なんで――」
「なんでって君魔王だろ? 先ず魔王は特訓なんかしない。それに魔王は特訓なんかしても強くなれないって設定されてるんだ」
「設定!?」
「考えてみてよ魔王が特訓してる姿なんて想像出来る?」
サタンは魔王が特訓してる姿を想像してみた。
『はあ!』
拳を交互に前へと突き出したり足で木を蹴ったりするいかつい姿を。
「・・・・・・確かに、魔王は特訓とかしないでずっと椅子に威張り散らしてそうだな・・・」
「でしょ? だからサタンは死なないと強くなれない」
「だから全力でA男を殴っても最初は全く効いてなかったのか・・・」
サタンはA男を殴っても最初はダメージがなかった事を思い出した。
「そういう事~・・・でも――だからこそ――サタンに頼みがある」
急に真剣な表情になるプタ。
「頼み?」
「そう・・・元々魔界が壊滅的な状況に陥ったのも突如現れたやつのせいなんだ」
「やつってのはアズラが言ってた謎の存在と同じなのか?」
「同じだよ・・・けど教えることは出来ない」
「どうして?」
「だって・・・僕は非力だからね。殺されにきたらすぐに殺されちゃうよ。だから、サタン・・・君に倒してほしいんだ」
「お、俺が!? なんで!?」
「魔界を救うんでしょ? だったら君が倒さないと魔界を救う事は出来ないじゃない」
にっこりと指をサタンに向けながら言うプタ。隣ではアズラもうんうんと頷いている。
「でも、だからってどうして俺が・・・それに存在が分からないやつとどう戦えばいいんだよ!?」
「大丈夫! サタンなら出来るさ魔王なんだから!」
「そうです! サタンさんなら出来ます! 私と一緒に頑張りましょう!」
サタンの手をとり、上目使いで言うアズラ。
その期待の眼差しにサタンはうろたえる。
「はぁ・・・分かった・・・分かったよ! 俺がその謎の存在ってやつを倒してやるよ!」
結局サタンは根負けした。
「サタン!」
「サタンさん!」
プタとアズラは同時に声を出した。
「――それで、先ずはどうしたらいいんだ?」
「う~ん・・・そうだね、とりあえず魔界と人間界と天界の争いをなくして角界から仲間を集う事かな」
「争いをなくすって今はもう争いは起こってないんだろ?」
「今は収まってるってだけでいつまたその謎の存在が現れて狂い出すか分からない。だから、先ずは角界から仲間を集める所から始めていくんだ」
淡々と言うプタ。
「分かったよ・・・」
サタンは答えた。
「じゃあ、角界から仲間を集め終えたらまた僕が現れるよ」
そう言うとプタは次第に空へと昇っていく。
「くれぐれも頼んだよ! サタン、アズラ! また、その時にね~」
プタは遥か上空に昇り次第に見えなくなっていった。
サタンとアズラはしばらく黙って空を見上げていた。
「ほえ~、本当に神様なんですねぇ」
先に口を開いたのはアズラだった。
「どうやら、そうらしいな」
「ビックリでしました!」
「俺もだよ・・・はぁ・・・これからどうしたらいいんだ?」
「とりあえず城に帰りましょうか。城でこれからの事を決めましょう」
「そうだな」
アズラが展開したワープに乗りサタンとアズラは城へ帰った。
ふ~無事帰ってこれたな・・・ま、一回死んだから無事ってわけじゃないが・・・っ?
サタンは城へ帰ってくるなり、いきなり倒れた。
ヤバい・・・体が動かな・・・い・・・
「サ、サタンさん! どうしたんですか!? 大丈夫ですか!?」
「アズ・・・ラ・・・めちゃくちゃ眠い・・・」
「・・・・・・え!?」
「どうしようもなく眠いんだ・・・悪いけど布団まで連れてってく・・・れ・・・」
サタンは言い終わらないうちに眠ってしまった。
アズラはサタンを抱えて布団まで連れていき優しく寝かせた。
「ふふっ、可愛らしい寝顔です・・・」
アズラはサタンの寝顔を除きこみながら笑った。
「今日はお疲れ様でした、サタンさん。天使に襲われた時も男性達に襲われた時も本当は私の魔能力《チカラ》でなんとか出来たのです・・・しかし、それをしてしまうと私はまた・・・」
アズラは過去に犯した過ちを思い出していた。
(今でも鮮明に覚えている・・・沢山の悲鳴を・・・)
「――だから、今日は私を助けてくれてありがとうございました! それでは、おやすみなさい」
「んっ」
アズラはサタンの耳元でそう呟くとおでこに軽く唇で触れ部屋を出ていった。
◇
ここは人間界のとある町――。
「ゆ、勇者様~」
先ほどサタンとアズラに絡んできた男達が駆けてき、勢いよく部屋の扉を開けた。
「何ですか? あなたたちは? 騒々しいですよ」
勇者にお付きの人が男達の前に立ち通そうとしない。
「お伝えしたいことが! 新たな魔王が現れた様なんです!」
男達は大声で叫ぶ。
「へ~それは、興味深い話ですね」
奥から白銀の長髪を揺らしながら出てくる可憐な少女。
「その話、詳しく教えてください」
サタンは逃げていく男3人組を見てガッツポーズした。
「大丈夫かアズラ――ウオッ!」
サタンが振り返った時、アズラがサタンに抱きついた。
「良かった・・・サタンさんが無事で本当に良かったです・・・!」
「ちょ、苦しい・・・」
アズラはサタンを力いっぱい抱きしめる。
「怖かったんです・・・サタンさんが死んでしまったのかと思い・・・また、独りになってしまったのかと・・・ウワァアアアン!!」
サタンの胸に顔をうずめながら泣きじゃくるアズラ。
「アズラ・・・怖い思いをさせて悪かった・・・」
「グスグス・・・」
「確かに、俺はさっき死んだ――けど、今は何故か生きてる――俺はアズラと魔界を救うまでは絶対に死なない! だから、泣き止んでくれ・・・」
サタンは自分が着ているジャージを脱ぎながらアズラに被せた。
「本当に良かった・・・です・・・!」
アズラは顔をあげてジャージをキュッと握りながら満面な笑みで言った。
「っ、アズラ・・・」
サタンはアズラの笑顔にドキッとする。
互いの顔が近づき吐息が触れる。誰かが後ろから背中を押せば唇と唇が触れそうになる距離にサタンの心臓の音が高鳴る。
こ、これはあれか・・・? 唇と唇が触れるあれをする雰囲気なのか・・・!?
「サタンさん・・・」
アズラはサタンの顔を見つめる。僅かに頬が紅潮している。
「アズラ・・・」
自然と顔が近づく2人。唇と唇が触れそうになる瞬間――。
「あの~いい雰囲気なところで悪いんだけどちょっといいかな?」
突然2人の前に銀色と灰色が混ざった短髪の小さい子どものような少年が現れた。
「あ、ああ!」
「は、はい!」
いきなり現れた事と雰囲気的に唇と唇が触れそうになっていることに気づいたサタンとアズラは急いで離れた。
「あちゃ~これはタイミング悪かったかな・・・? ま、いっか、こんにちは! 僕の名前はプタ」
いきなり現れた少年は自分の名前を名乗りだした。
「ブタ?」
「ブタじゃないよ! プタだよ!」
サタンが名前を間違えるとプタはサタンの体をポカポカと叩いた。
本当にポカポカって叩く人いるんだ・・・。
「わ、悪かったって・・・」
サタンは謝りながらプタを押し離した。
「え~・・・それでプタ・・・だっけ? お前は一体――?」
「あっ、忘れてた! 今日は君達に頼みがあって現れたんだ~」
プタは思い出したようにポンと手を叩く。
「「頼み?」」
サタンとアズラは顔を見合わせ首をかしげる。
「うん。サタン・・・君は魔王だよね? そして、アズラは――」
「ちょっと待て」
「何?」
「どうして俺達の名前を知ってるんだ・・・? いや、名前なんてどうでもいい。なんで俺が魔王だって――?」
するとプタは大声を出して笑いだした。
な、何者なんだこいつ・・・?
「アハハ、そう言えばまだちゃーんと自己紹介してなかったね」
「ど、どういうことだ・・・?」
「じゃあ、改めて・・・」
プタはコホンと咳ばらいすると――
「僕の名前はプタ。神様でーす」
すごい事を言い出した。
「・・・・・・は!?」
こいつ、頭いかれてるのか・・・?
隣を見るとアズラも口をポカーンと開けたまま立ち尽くしている。
「そうか! 神様なのか! うんうん、神様か~じゃ、またな、プタ様! 行くぞアズラ」
「え、ええ、そうですね!」
サタンはプタを適当にあしらうとアズラとその場を離れようとした。
なんでそんな事するのかって? だって、自分の事をいきなり神様だって言うなんてヤバイやつだろ? こういうのには関わらない方がいい!
「ちょ、ちょっと待ってよ! 僕の話は本当だよっ!!」
プタは急いでサタンの服の裾を掴んだ。
「はぁ・・・あのなぁ、このご時世自分が神様なんて言うやつどこにいるんだ?」
・・・まぁ、自分を悪魔だと言って今俺と一緒に行動してる本物の悪魔もいるが――。
サタンは横目でアズラを見た。
「それに神様って・・・何か証拠でもあるのか?」
サタンが聞くとプタはパアァっと顔を輝かせた。
「サタン君はさっき一度死んだよね? けど、今は生きてる・・・それはどうしてか分かる?」
「そんなの俺が知りてーよ!」
「なんと! 僕はその理由を教える事が出来るんだ!」
プタはえっへんという風に胸を張る。
「それが証拠、なのか・・・?」
「うん! そうだよ~」
プタは頷く。
「はぁ・・・分かったよ・・・とりあえず話だけは聞いてやるよ」
サタンがそう言うとプタは顔を輝かせ「ありがとう!」と言った。
「じゃあ、先ずはサタンが今生きている事から説明しようかな」
「俺が生きてる理由・・・」
サタンはゴクリと唾を飲み込む。
「死者転生――それが君が今生きている理由だよ」
プタはフフンという感じで話したがサタンは即座に
「いや、意味分からん!」
こう言った。
せっかく決め顔で言ったのプタが固まる。
「サタン、君が死んだのに生き返ることが出来た魔能力の名前だよ」
プタにそう言われてサタンは思い出した。
確かに、あの時、俺は勝手に叫んでたな――死者転生って・・・でも、それがどういう事なのか全く分からん!
「で、その、死者転生が何かお前は知っているのか?」
「言ったでしょ? 僕は神様だって。そんなの当然だよ! それにサタンだけじゃなくてアズラの魔能力についても知ってるよ。教えてあげよっか? アズラのはね――」
プタがアズラの魔能力について話そうとした時――。
「わーわー! 私の魔能力については自分で説明するので今は言わないでください!!」
アズラが慌てて手を横に振りプタが話そうとするのを止めた。
なんだ・・・? アズラがこんなに焦るなんて珍しいな・・・
「まぁ、そうだね。じゃあサタン。君の死者転生について説明してあげるよ」
プタが死者転生について話し始めた。
「死者転生――それは、魔柱72柱の悪魔を自分の体に憑依《てんせい》することなんだ」
「魔柱72柱の悪魔・・・」
「そ、君は死ぬ度にその悪魔達を自分の体に憑依して生き返る事が出来る。それが、サタンに与えられた魔能力なんだ」
プタが言い終わった。
しばらくサタンは黙って考える。そして、声を出した。
「それって、つまり、俺最強じゃん! キタァーー!」
サタンは嬉しそうに跳び跳ねる。
「あ、何か勘違いしてない? 君は最強じゃないよ」
「え?」
サタンの動きが止まる。
「死者転生の欠点が君を最強にしないんだ」
「欠点・・・?」
「そう。それはサタンが死なないと強くなれないって事」
「死ぬ・・・」
死者転生――それは決して有りがたい魔能力ではなかった。
「そ、それなら特訓とかしたら強くなれるんじゃないのか?」
「特訓って・・・アハ、アハハハ、わ、笑わせるね。残念だけど特訓とか全くの無意味だよ」
笑いながら言うプタ。
「なんで――」
「なんでって君魔王だろ? 先ず魔王は特訓なんかしない。それに魔王は特訓なんかしても強くなれないって設定されてるんだ」
「設定!?」
「考えてみてよ魔王が特訓してる姿なんて想像出来る?」
サタンは魔王が特訓してる姿を想像してみた。
『はあ!』
拳を交互に前へと突き出したり足で木を蹴ったりするいかつい姿を。
「・・・・・・確かに、魔王は特訓とかしないでずっと椅子に威張り散らしてそうだな・・・」
「でしょ? だからサタンは死なないと強くなれない」
「だから全力でA男を殴っても最初は全く効いてなかったのか・・・」
サタンはA男を殴っても最初はダメージがなかった事を思い出した。
「そういう事~・・・でも――だからこそ――サタンに頼みがある」
急に真剣な表情になるプタ。
「頼み?」
「そう・・・元々魔界が壊滅的な状況に陥ったのも突如現れたやつのせいなんだ」
「やつってのはアズラが言ってた謎の存在と同じなのか?」
「同じだよ・・・けど教えることは出来ない」
「どうして?」
「だって・・・僕は非力だからね。殺されにきたらすぐに殺されちゃうよ。だから、サタン・・・君に倒してほしいんだ」
「お、俺が!? なんで!?」
「魔界を救うんでしょ? だったら君が倒さないと魔界を救う事は出来ないじゃない」
にっこりと指をサタンに向けながら言うプタ。隣ではアズラもうんうんと頷いている。
「でも、だからってどうして俺が・・・それに存在が分からないやつとどう戦えばいいんだよ!?」
「大丈夫! サタンなら出来るさ魔王なんだから!」
「そうです! サタンさんなら出来ます! 私と一緒に頑張りましょう!」
サタンの手をとり、上目使いで言うアズラ。
その期待の眼差しにサタンはうろたえる。
「はぁ・・・分かった・・・分かったよ! 俺がその謎の存在ってやつを倒してやるよ!」
結局サタンは根負けした。
「サタン!」
「サタンさん!」
プタとアズラは同時に声を出した。
「――それで、先ずはどうしたらいいんだ?」
「う~ん・・・そうだね、とりあえず魔界と人間界と天界の争いをなくして角界から仲間を集う事かな」
「争いをなくすって今はもう争いは起こってないんだろ?」
「今は収まってるってだけでいつまたその謎の存在が現れて狂い出すか分からない。だから、先ずは角界から仲間を集める所から始めていくんだ」
淡々と言うプタ。
「分かったよ・・・」
サタンは答えた。
「じゃあ、角界から仲間を集め終えたらまた僕が現れるよ」
そう言うとプタは次第に空へと昇っていく。
「くれぐれも頼んだよ! サタン、アズラ! また、その時にね~」
プタは遥か上空に昇り次第に見えなくなっていった。
サタンとアズラはしばらく黙って空を見上げていた。
「ほえ~、本当に神様なんですねぇ」
先に口を開いたのはアズラだった。
「どうやら、そうらしいな」
「ビックリでしました!」
「俺もだよ・・・はぁ・・・これからどうしたらいいんだ?」
「とりあえず城に帰りましょうか。城でこれからの事を決めましょう」
「そうだな」
アズラが展開したワープに乗りサタンとアズラは城へ帰った。
ふ~無事帰ってこれたな・・・ま、一回死んだから無事ってわけじゃないが・・・っ?
サタンは城へ帰ってくるなり、いきなり倒れた。
ヤバい・・・体が動かな・・・い・・・
「サ、サタンさん! どうしたんですか!? 大丈夫ですか!?」
「アズ・・・ラ・・・めちゃくちゃ眠い・・・」
「・・・・・・え!?」
「どうしようもなく眠いんだ・・・悪いけど布団まで連れてってく・・・れ・・・」
サタンは言い終わらないうちに眠ってしまった。
アズラはサタンを抱えて布団まで連れていき優しく寝かせた。
「ふふっ、可愛らしい寝顔です・・・」
アズラはサタンの寝顔を除きこみながら笑った。
「今日はお疲れ様でした、サタンさん。天使に襲われた時も男性達に襲われた時も本当は私の魔能力《チカラ》でなんとか出来たのです・・・しかし、それをしてしまうと私はまた・・・」
アズラは過去に犯した過ちを思い出していた。
(今でも鮮明に覚えている・・・沢山の悲鳴を・・・)
「――だから、今日は私を助けてくれてありがとうございました! それでは、おやすみなさい」
「んっ」
アズラはサタンの耳元でそう呟くとおでこに軽く唇で触れ部屋を出ていった。
◇
ここは人間界のとある町――。
「ゆ、勇者様~」
先ほどサタンとアズラに絡んできた男達が駆けてき、勢いよく部屋の扉を開けた。
「何ですか? あなたたちは? 騒々しいですよ」
勇者にお付きの人が男達の前に立ち通そうとしない。
「お伝えしたいことが! 新たな魔王が現れた様なんです!」
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