魔王が最弱でスライムが最強の世界!?

クソニート

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第1章最弱魔王は魔界で頑張ると決めたそうです

第17話 結局この展開②

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 リエノア村が見え始めた頃には辺りはすっかり暗くなっていた。サタンとメルは今リエノア村に近いみちを歩いていた。

「すっかり暗くなっちゃいましたね~早く帰らないとアズラが心配しそうですし急ぎましょう!」
「――っと言うか・・・ちょっと遠いどころの距離じゃないだろっ!」

 リエノア村は町からちょっと遠いどころではなくかなり離れていた。

「ま、まぁまぁ、もう少しで着きますから・・・!」

 メルがそう言った途端、草むらから前方に緑色をしたボールサイズのスライムが現れた。

「スライムですか・・・」
「またスライムかよっ・・・!」

 スライム――それはアズラ曰くこの世界最強の生物。実際にサタンも前回あっさりとやられた。

 さすがのメルでもスライム相手だとキツいか? ここは、俺がやる・・・けど――

 サタンはスライムを見た。

「っ・・・!」

 スライムを見てサタンは戦う気を失いそうになる。

 これで、また、前みたいにあっさりとやられたらどうしよう・・・

 それは、負けたものが心に背負う当たり前の事だった。

 怖い・・・けど、俺は決めたんだ・・・! もうスライムを恐れないって・・・だから――

「メル・・・ここは、俺がやる・・・! お前はそこで見ていてくれ・・・!」

 サタンは決心し、メルの前に立つ。

「サタン・・・」
「いくぞ――スライム!」

 サタンはその場に落ちていた小石を拾い上に投げた。そして、右手に力を込めた――。

「魔王パンチ!」

 落ちてくる小石に向かって魔王パンチを打った。サタンに打たれた小石がスライムに向かって飛んでいく。

 勢いよく飛ぶ石がスライムの体を貫通した。辺りに飛び散るスライムの破片。

「よっし・・・!」

 サタンはスライムを倒した、と思った。

 しかし、飛び散ったスライムの破片がグニョグニョと動き出しスライムに合体した。そして、何もなかったかのようにゆっくりと動き出した。

「クソ・・・!」

 あ~もう、足し算なんて教える前に先ずはスライムの倒し方を教えてくれよ! あの教師ぃーーーー!!

 サタンへと向かって来るスライムを見てサタンは心の中で叫ぶ。

「もう一度だ! メルお前は――」

 サタンがもう一度魔王パンチで小石を打とうと小石を拾った時――。

「まったく・・・」

 メルが腰につけていた剣を抜きながらサタンの前に立った。

「メル・・・?」
「少しは魔王らしい姿を見せて下さいよ・・・」

 サタンに近づいていたスライムをメルが縦断した。スライムは一瞬にして真っ二つに斬られた。斬られたスライムは地面に溶けて消滅した。

「ふう・・・終わりましたよ・・・!」
「あ、ああ・・・ありがとう・・・!」
「いえいえ・・・こういう展開にも慣れてきましたから大丈夫です。それよりほら、早く行きましょう」

 剣を腰の位置に戻しながらメルは何事もなかったかのように前へと歩き出した。

「あ、ああ・・・」

 サタンは急いでメルの後ろへと行き、歩いた。

 ふっ・・・結局またこの展開か・・・いったいいつになったらスライムを倒すことが出来るんだ・・・? それにしてもこの世界に住む女の子はアズラにしてもメルにしても強すぎるだろ・・・! このままじゃ本当に魔王の存在価値がなくなってしまう・・・

 サタンはスライムを一瞬で倒すアズラとメルの姿を思い出していた。

 スライムはこれから先も必ず現れる・・・いつまでも、アズラやメルが倒してたんじゃカッコがつかねー・・・もっと、強くならねーと・・・


「着きました! ここが私の故郷リエノア村です!」
「本、当に、遠かった・・・」
「普段から鍛えていないからこれくらいで息があがるんですよ!」
「うる、せ~な・・・言ってるだろ? 俺は普段から特訓なんかしてても強くなることが出来ないって・・・」
「それは、強くなるって話でしょう? 体力をつける事くらい運動さえすれば自然とつくんですよ。強さとか関係なくね」
「それ、は、そうだが、想像してみてくれよ・・・魔王が運動してる姿を・・・なんか違うだろ・・・?」
「確かに・・・魔王が運動している姿を想像すると微妙ですね・・・ま、今はそう言う事にしておきましょう」

 そう言うとメルはある家に向かって走っていった。

 そして家の前に着くと家に向かって叫んだ。

「お母さーーん、私帰って来たよーー!」

 メルが叫んでしばらくするとその家のドアがガチャっと開き、中からメルと同じ髪の色をした美しい女性が出てきた。

「メ、ル・・・? メルなの・・・!?」

 女性はメルの姿を確認すると目から涙を流した。

「うん・・・そうだよ・・・お母さんっ・・・!」
「本当にメル、なのね・・・おいで・・・!」

 女性がメルに向かって手を伸ばす。メルは女性の腕の中へと飛び込んだ。そして――。

「メル・・・!」
「お母さんっ・・・!」

 二人は抱き合いながら泣き笑いあっていた。

 何だ・・・この状況・・・!?

 サタンにはこの状況が意味分からずただただその場に立ち尽くしその光景を眺めているだけだった。
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