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第2章最弱魔王はクラスメートのために頑張るそうです
第35話 ゴウカ①
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今日からまた学校とか・・・ダルいし、メンドクサイ・・・!
サタンはスタレマン学園に行く前、鍛冶屋という店の前で大きなあくびをしながらメルをボーっと待っていた。
どうして待っているかと言うと、何やらメルが剣を改造するらしいからだ。
「お待たせしました~さ、学校へ行きましょう!」
メルはなに食わぬ顔で鍛冶屋から出てきた。
「遅いっ!」
メルが出てきた途端サタンはメルに怒鳴った。サタンはもう30分は鍛冶屋の前で待たされていたのだ。
「な、何ですか、いきなり! それに、男の人は女の人を黙って待っているのが昔から決まってるんですよ!」
メルはそんな意味不明な理屈を言う。
「そんなの関係ないな! だいたい男とか女とかどうこう言うから差別になるんだよ! だから、俺は男女関係なく遅いものは遅いと言う!」
メルを指差してびしっと言うサタン。
「せっかくの二人きりなんだからそんなに言わなくてもいいじゃないですか~」
「な・ん・か、言ったか!? ん?」
「・・・~~~っ、何でもないですよ! さ、行きましょう!」
少し涙目になりながらずかずかと歩き出すメル。
「それで、結局何を頼んでたんだ? あんなにも時間をかけて」
「ああ、それはですね――」
「お嬢ちゃん・・・これをどこで・・・? いや・・・それよりも、本当にこれで剣を造るつもりかい・・・?」
ゴクリと唾を飲み込みながら慎重に聞く鍛冶屋の老店主。老店主が吸っているキセルから煙が静かに昇っていく。
「ええ! この毛皮で剣を造ってください! 可能であればですが?」
「可能なのは可能だが・・・本当にいいのかい? 伝説の聖獣の毛皮なんて売れば凄い高値がつくんだぞ」
「かまいません! この毛皮で最高の剣を是非造ってください」
メルは止まるどころか少しの迷いもなく答えた。
「お嬢ちゃんがそこまで言うなら分かった! 最高の剣を精一杯造らしてもらうよ。夕方までには仕上げておくからその時にまたおいで」
「分かりました。それで、お値段はいくらでしょうか?」
「金はいらんよ! 元々のお嬢ちゃんの大剣をこの毛皮で改造するんだ、ただでいい」
老店主はメルの大剣と伝説の聖獣――ユニコンの毛皮を見て言った。
「本当ですか!? ありがとうございます! では、また夕方に」
メルは老店主の粋な計らいに目を輝かせながら礼を言い、鍛冶屋を後にした。
「――ということで、帰りにまた剣を受け取りに寄るので付き合って下さいね」
「それは分かったけど・・・え、何? お前、ユニコンの毛皮なんて持って帰ってたのか!?」
サタンはメルがユニコンの毛皮を持って帰っていたという事に目を丸くする。
「あの時――尻尾と一緒に地面に落ちた時、尻尾から数本毛皮を引きちぎったんですよ。手を伸ばせば届く距離をミスミス見捨てるわけないじゃないですか?」
「ああ、そうですか・・・抜け目ないのね・・・」
「あ~楽しみです! 一体どんな剣になるんでしょう? 今から気になりますっ!」
すっかり元気になり、目をキラキラと輝かせながら言うメル。
「はいはい・・・」
サタンはそんなメルを見ながらため息をついた。
そうこうしているうちにサタンとメルはスタレマン学園へと到着した。
サタンとメルが教室(今更だがサタンのクラスは3組)へ向かうと何故か他のクラスの連中が教室を取り囲んでザワザワと騒いでいた。
「今日、何かあったっけ?」
「さぁ・・・? とりあえず行ってみましょう」
サタンとメルは顔を見合わせて他のクラスの連中を掻き分けて教室へ入った。
女・・・? いや、男、か・・・?
教室へ入ると見知らぬ男がいた。パッと見は女に見えるがオレンジ色の髪を綺麗に整え、可愛らしい顔をした男が席に座っていた。
「誰だアイツ――?」
「ゴウカ!」
メルがその男を見て叫んだ。
「ゴウカ!? あいつが!?」
サタンが驚いている内にメルはゴウカに声をかけようと近づく。
「久しぶりですね、今までどうしてたんですか――」
ゴウカに近づこうとするメルをモカが止める。
「メル、ちょっと・・・」
モカがメルを連れていく。
「どうしたんですか?」
コソコソと話し出すメルとモカ。
「それが、何か様子が変なの・・・ずっと上の空って感じがして・・・心配だよ~・・・」
「それは・・・心配ですね」
「ふん、放っておけばいいんだよ。そのうち、元気になるだろ」
イサムが読んでいた本を閉じて二人の会話に入ってきた。
「イサム! あなたは心配じゃないんですか?」
「心配は心配だ。でも何も聞いていないようじゃ放っておくしかないだろ。それとも、何かいい案があるのか?」
「うっ・・・それは――」
メルはイサムの問いに答えられない。
「ほらな、こういうのは元気になったときにいつも通り接してやるのが一番なんだよ」
イサムはそう言うと再び本を開き読書の世界に入った。
ふ~ん、あいつがゴウカなのか・・・
サタンは座っているゴウカの隣に立って挨拶した。
「おい、俺の名はサンタだ。新しくこのクラスの一員になったんだよろしく」
サタンはゴウカに向かって手を差し出した。しかし、ゴウカの反応がない。サタンの事を全く見ようともしない。
サタンはゴウカの目の前に立ってもう一度を同じ挨拶をした。
「俺の名はサンタ。新しくこのクラスの一員になったんだよろしく」
しかし、やはり何を言っても反応しないゴウカ。ボケーっと頬杖をつきながら外を眺めているだけだ。
コイツ・・・可愛い顔してるくせにムカつくな・・・
サタンが最初に抱いたゴウカの印象はウザいということだった。
サタンはゴウカの頬を引っ張りながらゴウカの耳もとでもう一度言った。
「おい! 聞いてるのか? 聞こえてるんだったら返事くらい――」
「うるさいな・・・! 君、誰?」
「な、誰って・・・さっきから言ってるだろ! 俺は――」
「耳もとでホントうるさいな~黙らないと君燃やすよ・・・」
サタンを見ながら掌に炎を宿して言うゴウカ。
「ちょ、ちょっと二人とも何やってるんですか?」
メルが慌ててサタンとゴウカの間に入る。
「俺はただ挨拶をしてたけだ。それなのにコイツが返事をだな」
「メル、このうるさい人は誰?」
ゴウカはサタンを無視してメルに問う。
「本当に聞いてなかったんですか!? さっきから言ってたじゃないですか!」
「興味ないから」
こいつ・・・!
サタンはイラついてゴウカの胸ぐらを掴んだ。
「もう一度言ってやる! 俺の名はサンタ、だ!」
「ふ~ん・・・で、いつまで掴んでるの? いい加減にしてくれないかな」
ゴウカが掌をサタンの目の前へ向けた。掌に力を込めてサタンに炎をぶつけようとする。掌から熱気がサタンに伝わった。
くる・・・!
サタンは炎をぶつけられる前にゴウカを殴ろうと右手を握りしめる。
ゴウカの掌に僅かな炎が、サタンがゴウカを殴ろうと手を伸ばした、その時――。
「こらーーー! お前らーーー! 何してるーー!」
ダエフが間に入って二人を引き剥がした。
「お前ら同じクラスの仲間なんだから仲良くしろっ!」
「仲間・・・? 僕とこのうるさい人が・・・? 今日会ったばかりなのに?」
ゴウカは掌に出た僅かな炎を引っ込めて言う。
「それでも仲間は仲間だ! 仲良くしろ!」
「分かったよ、けど・・・僕はもう帰るよ」
そう言うとゴウカは教室を出ていった。教室を取り囲んでいた連中もゴウカを見ながら避ける。
「あ、おい、まだ話は終わってない――ってもういないか・・・サンタも、同じ仲間なんだから仲良くしろよ」
ダエフはサタンの方を向いて言った。
「分かったよ・・・」
サタンはダエフに言われて渋々頷いた。
「ほら、お前達も早く自分の教室に戻れ~」
ダエフに言われて教室を取り囲んでいた連中もゾロゾロと自分の教室へと帰っていった。
「じゃあ、出席をとるぞ~」
サタンとメル、モカもそれぞれ自分の席に着席した。
「ゴウカ・・・」
席についたモカは教室を出ていったゴウカの姿を思い出し、誰にも聞こえないくらいの小さな声で呟いた。
「ごめんね~サンタ君、ゴウカがあんな事をして気分悪くしちゃったよね・・・」
モカがサタンにゴウカがした事を謝る。
「いや、モカが謝ることじゃない」
サタンは首を横に振りモカに言う。
「ゴウカったら昔はあんなんじゃなかったのに・・・どうしたんだろう・・・?」
「モカはゴウカのことに詳しいのか?」
「うん~家が隣で昔からの知り合いなんだ~」
「幼なじみってやつですね」
「そう~」
放課後、サタンとメルとモカは学校の校庭を歩きながら話していた。
「昔はよく『女の子みたいだ』って言われて~よく泣きながら私の後をついてきてたのに・・・」
そう言うとモカは小さい頃の自分とゴウカを思い出した――。
「ほら、もう泣かないで~皆、ゴウカが可愛くて焼きもち妬いてるだけんなだから~」
泣いているゴウカを励ますモカ。
「グスっ・・・グスっ・・・本当・・・?」
目に涙をいっぱいためて上目遣いでモカに聞くゴウカ。
ズキューンとモカの心臓はゴウカの可愛さに射抜かれた。
「ほ、本当だよ!」
少し意識が飛んだモカはハッとして我に帰った。
(う~ん、これは仕方ないよ~だってこんなにも可愛かったらそれは気になっちゃうよね~男の子も女の子も~)
「そっかぁ・・・」
ゴウカは手で涙を拭いながら答える。
「だから元気を出して! ね?」
「うんっ!」
ゴウカはモカに笑って答えた。
「よし、じゃあ帰ろう~」
モカはゴウカに向かって手を差し出す。ゴウカはモカの手をギュット握る。二人は手を繋いで歩き出した。
「僕、将来はモカの旦那さんになってモカのことを守れるくらい強くなるよ!」
帰りながら夕日に向かってゴウカが言った。
「え~それってプロポーズ~?」
モカはあまり気にせずに少しイジワルしようとする。
「プロポーズ? 何それ・・・?」
「結婚してくださいってことだよ~」
「結婚か~・・・うん、じゃあ今のはプロポーズだ!」
モカはイジワルのつもりで言ったが逆にゴウカが結婚しようと言って顔を赤くした。
「えっ!? 本当~?じゃあ、私ももっと女子力を磨いてゴウカより可愛くならないとね~。約束だよ~?」
「うん、約束!」
モカとゴウカは指きりをして約束した――。
「それからも私とゴウカはずっと一緒にいたの・・・それなのにあんなゴウカは初めて見たよ・・・」
モカは遠い日の記憶のように懐かしむ。
「それで、ゴウカが変わりだしたのはいつからなんだ?」
「それが、分からないんですよ。一ヶ月前位から学校に来なくなって・・・それまでは、毎日学校に来て普通に過ごしていたんですけど」
メルが答える。
「つまり・・・その一ヶ月の間に何かあったってわけか・・・」
サタンが考えていた時だった。
「待ってたよ・・・え~っとそこのうるさかった人・・・名前何だっけ・・・? まぁ、何でもいいや・・・それより、僕と能力《チカラ》比べ、しようよ!!」
サタンを指差しながらゴウカが校庭の真ん中へやって来た。
「ゴウカ!」
モカはゴウカに向かって叫ぶ。しかし、ゴウカはモカの方を一瞬見るとすぐにサタンに見直した。
「能力《チカラ》比べ・・・? って言うか、俺の名前はサンタだって言っただろ!」
「あーそう言えばそんなこと言ってたね・・・さぁ、早く始めよう!」
ゴウカはサタンの名前なんて無視してその謎の能力《チカラ》 比べとやらを始めようとする。
「これは・・・よくある理由もないのにいきなり戦うヤツです!」
戦いに一人盛り上がるメル。
「うん、一人で盛り上がる前に能力《チカラ》比べって何か説明しようか、メル」
サタンはそんなメルにすかさずツッコミを入れる。
「そ、そうですね。能力《チカラ》比べとは・・・」
メルはハッとして咳払いをし、説明し始めた。
「俺が代わりに説明しよーう! 能力《チカラ》比べとは、スタレマン学園に設けられた生徒同士の決闘のことだぁ!」
メルが説明しようとするとどっから話を聞き付けたのか、ダエフがその場に表れて、メルの代わりに説明した。
「ダエフ先生!?」
メルはダエフの出現に驚いた。
「能力《チカラ》比べっつったって、俺じゃあなぁ・・・」
サタンはメルの方をチラッと見る。
「た、確かに、サンタは能力《チカラ》がないですし、これじゃあ勝負になりませんよ!」
メルはサタンの視線に気づき、能力《チカラ》比べを止めさせようとする。
「勿論、挑まれた方が判断していい事にになっている。受けるのも自由、断るのも自由だ。どうする、サンタ?」
ダエフがサタンに聞く。
ここで俺が戦ってもし魔王だとバレると色々とマズイからな・・・うん・・・!
サタンは頷き答えた。
「そんなの、勿論――断るに決まってる!!」
サタンはスタレマン学園に行く前、鍛冶屋という店の前で大きなあくびをしながらメルをボーっと待っていた。
どうして待っているかと言うと、何やらメルが剣を改造するらしいからだ。
「お待たせしました~さ、学校へ行きましょう!」
メルはなに食わぬ顔で鍛冶屋から出てきた。
「遅いっ!」
メルが出てきた途端サタンはメルに怒鳴った。サタンはもう30分は鍛冶屋の前で待たされていたのだ。
「な、何ですか、いきなり! それに、男の人は女の人を黙って待っているのが昔から決まってるんですよ!」
メルはそんな意味不明な理屈を言う。
「そんなの関係ないな! だいたい男とか女とかどうこう言うから差別になるんだよ! だから、俺は男女関係なく遅いものは遅いと言う!」
メルを指差してびしっと言うサタン。
「せっかくの二人きりなんだからそんなに言わなくてもいいじゃないですか~」
「な・ん・か、言ったか!? ん?」
「・・・~~~っ、何でもないですよ! さ、行きましょう!」
少し涙目になりながらずかずかと歩き出すメル。
「それで、結局何を頼んでたんだ? あんなにも時間をかけて」
「ああ、それはですね――」
「お嬢ちゃん・・・これをどこで・・・? いや・・・それよりも、本当にこれで剣を造るつもりかい・・・?」
ゴクリと唾を飲み込みながら慎重に聞く鍛冶屋の老店主。老店主が吸っているキセルから煙が静かに昇っていく。
「ええ! この毛皮で剣を造ってください! 可能であればですが?」
「可能なのは可能だが・・・本当にいいのかい? 伝説の聖獣の毛皮なんて売れば凄い高値がつくんだぞ」
「かまいません! この毛皮で最高の剣を是非造ってください」
メルは止まるどころか少しの迷いもなく答えた。
「お嬢ちゃんがそこまで言うなら分かった! 最高の剣を精一杯造らしてもらうよ。夕方までには仕上げておくからその時にまたおいで」
「分かりました。それで、お値段はいくらでしょうか?」
「金はいらんよ! 元々のお嬢ちゃんの大剣をこの毛皮で改造するんだ、ただでいい」
老店主はメルの大剣と伝説の聖獣――ユニコンの毛皮を見て言った。
「本当ですか!? ありがとうございます! では、また夕方に」
メルは老店主の粋な計らいに目を輝かせながら礼を言い、鍛冶屋を後にした。
「――ということで、帰りにまた剣を受け取りに寄るので付き合って下さいね」
「それは分かったけど・・・え、何? お前、ユニコンの毛皮なんて持って帰ってたのか!?」
サタンはメルがユニコンの毛皮を持って帰っていたという事に目を丸くする。
「あの時――尻尾と一緒に地面に落ちた時、尻尾から数本毛皮を引きちぎったんですよ。手を伸ばせば届く距離をミスミス見捨てるわけないじゃないですか?」
「ああ、そうですか・・・抜け目ないのね・・・」
「あ~楽しみです! 一体どんな剣になるんでしょう? 今から気になりますっ!」
すっかり元気になり、目をキラキラと輝かせながら言うメル。
「はいはい・・・」
サタンはそんなメルを見ながらため息をついた。
そうこうしているうちにサタンとメルはスタレマン学園へと到着した。
サタンとメルが教室(今更だがサタンのクラスは3組)へ向かうと何故か他のクラスの連中が教室を取り囲んでザワザワと騒いでいた。
「今日、何かあったっけ?」
「さぁ・・・? とりあえず行ってみましょう」
サタンとメルは顔を見合わせて他のクラスの連中を掻き分けて教室へ入った。
女・・・? いや、男、か・・・?
教室へ入ると見知らぬ男がいた。パッと見は女に見えるがオレンジ色の髪を綺麗に整え、可愛らしい顔をした男が席に座っていた。
「誰だアイツ――?」
「ゴウカ!」
メルがその男を見て叫んだ。
「ゴウカ!? あいつが!?」
サタンが驚いている内にメルはゴウカに声をかけようと近づく。
「久しぶりですね、今までどうしてたんですか――」
ゴウカに近づこうとするメルをモカが止める。
「メル、ちょっと・・・」
モカがメルを連れていく。
「どうしたんですか?」
コソコソと話し出すメルとモカ。
「それが、何か様子が変なの・・・ずっと上の空って感じがして・・・心配だよ~・・・」
「それは・・・心配ですね」
「ふん、放っておけばいいんだよ。そのうち、元気になるだろ」
イサムが読んでいた本を閉じて二人の会話に入ってきた。
「イサム! あなたは心配じゃないんですか?」
「心配は心配だ。でも何も聞いていないようじゃ放っておくしかないだろ。それとも、何かいい案があるのか?」
「うっ・・・それは――」
メルはイサムの問いに答えられない。
「ほらな、こういうのは元気になったときにいつも通り接してやるのが一番なんだよ」
イサムはそう言うと再び本を開き読書の世界に入った。
ふ~ん、あいつがゴウカなのか・・・
サタンは座っているゴウカの隣に立って挨拶した。
「おい、俺の名はサンタだ。新しくこのクラスの一員になったんだよろしく」
サタンはゴウカに向かって手を差し出した。しかし、ゴウカの反応がない。サタンの事を全く見ようともしない。
サタンはゴウカの目の前に立ってもう一度を同じ挨拶をした。
「俺の名はサンタ。新しくこのクラスの一員になったんだよろしく」
しかし、やはり何を言っても反応しないゴウカ。ボケーっと頬杖をつきながら外を眺めているだけだ。
コイツ・・・可愛い顔してるくせにムカつくな・・・
サタンが最初に抱いたゴウカの印象はウザいということだった。
サタンはゴウカの頬を引っ張りながらゴウカの耳もとでもう一度言った。
「おい! 聞いてるのか? 聞こえてるんだったら返事くらい――」
「うるさいな・・・! 君、誰?」
「な、誰って・・・さっきから言ってるだろ! 俺は――」
「耳もとでホントうるさいな~黙らないと君燃やすよ・・・」
サタンを見ながら掌に炎を宿して言うゴウカ。
「ちょ、ちょっと二人とも何やってるんですか?」
メルが慌ててサタンとゴウカの間に入る。
「俺はただ挨拶をしてたけだ。それなのにコイツが返事をだな」
「メル、このうるさい人は誰?」
ゴウカはサタンを無視してメルに問う。
「本当に聞いてなかったんですか!? さっきから言ってたじゃないですか!」
「興味ないから」
こいつ・・・!
サタンはイラついてゴウカの胸ぐらを掴んだ。
「もう一度言ってやる! 俺の名はサンタ、だ!」
「ふ~ん・・・で、いつまで掴んでるの? いい加減にしてくれないかな」
ゴウカが掌をサタンの目の前へ向けた。掌に力を込めてサタンに炎をぶつけようとする。掌から熱気がサタンに伝わった。
くる・・・!
サタンは炎をぶつけられる前にゴウカを殴ろうと右手を握りしめる。
ゴウカの掌に僅かな炎が、サタンがゴウカを殴ろうと手を伸ばした、その時――。
「こらーーー! お前らーーー! 何してるーー!」
ダエフが間に入って二人を引き剥がした。
「お前ら同じクラスの仲間なんだから仲良くしろっ!」
「仲間・・・? 僕とこのうるさい人が・・・? 今日会ったばかりなのに?」
ゴウカは掌に出た僅かな炎を引っ込めて言う。
「それでも仲間は仲間だ! 仲良くしろ!」
「分かったよ、けど・・・僕はもう帰るよ」
そう言うとゴウカは教室を出ていった。教室を取り囲んでいた連中もゴウカを見ながら避ける。
「あ、おい、まだ話は終わってない――ってもういないか・・・サンタも、同じ仲間なんだから仲良くしろよ」
ダエフはサタンの方を向いて言った。
「分かったよ・・・」
サタンはダエフに言われて渋々頷いた。
「ほら、お前達も早く自分の教室に戻れ~」
ダエフに言われて教室を取り囲んでいた連中もゾロゾロと自分の教室へと帰っていった。
「じゃあ、出席をとるぞ~」
サタンとメル、モカもそれぞれ自分の席に着席した。
「ゴウカ・・・」
席についたモカは教室を出ていったゴウカの姿を思い出し、誰にも聞こえないくらいの小さな声で呟いた。
「ごめんね~サンタ君、ゴウカがあんな事をして気分悪くしちゃったよね・・・」
モカがサタンにゴウカがした事を謝る。
「いや、モカが謝ることじゃない」
サタンは首を横に振りモカに言う。
「ゴウカったら昔はあんなんじゃなかったのに・・・どうしたんだろう・・・?」
「モカはゴウカのことに詳しいのか?」
「うん~家が隣で昔からの知り合いなんだ~」
「幼なじみってやつですね」
「そう~」
放課後、サタンとメルとモカは学校の校庭を歩きながら話していた。
「昔はよく『女の子みたいだ』って言われて~よく泣きながら私の後をついてきてたのに・・・」
そう言うとモカは小さい頃の自分とゴウカを思い出した――。
「ほら、もう泣かないで~皆、ゴウカが可愛くて焼きもち妬いてるだけんなだから~」
泣いているゴウカを励ますモカ。
「グスっ・・・グスっ・・・本当・・・?」
目に涙をいっぱいためて上目遣いでモカに聞くゴウカ。
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「ほ、本当だよ!」
少し意識が飛んだモカはハッとして我に帰った。
(う~ん、これは仕方ないよ~だってこんなにも可愛かったらそれは気になっちゃうよね~男の子も女の子も~)
「そっかぁ・・・」
ゴウカは手で涙を拭いながら答える。
「だから元気を出して! ね?」
「うんっ!」
ゴウカはモカに笑って答えた。
「よし、じゃあ帰ろう~」
モカはゴウカに向かって手を差し出す。ゴウカはモカの手をギュット握る。二人は手を繋いで歩き出した。
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帰りながら夕日に向かってゴウカが言った。
「え~それってプロポーズ~?」
モカはあまり気にせずに少しイジワルしようとする。
「プロポーズ? 何それ・・・?」
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「結婚か~・・・うん、じゃあ今のはプロポーズだ!」
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メルが答える。
「つまり・・・その一ヶ月の間に何かあったってわけか・・・」
サタンが考えていた時だった。
「待ってたよ・・・え~っとそこのうるさかった人・・・名前何だっけ・・・? まぁ、何でもいいや・・・それより、僕と能力《チカラ》比べ、しようよ!!」
サタンを指差しながらゴウカが校庭の真ん中へやって来た。
「ゴウカ!」
モカはゴウカに向かって叫ぶ。しかし、ゴウカはモカの方を一瞬見るとすぐにサタンに見直した。
「能力《チカラ》比べ・・・? って言うか、俺の名前はサンタだって言っただろ!」
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「俺が代わりに説明しよーう! 能力《チカラ》比べとは、スタレマン学園に設けられた生徒同士の決闘のことだぁ!」
メルが説明しようとするとどっから話を聞き付けたのか、ダエフがその場に表れて、メルの代わりに説明した。
「ダエフ先生!?」
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「能力《チカラ》比べっつったって、俺じゃあなぁ・・・」
サタンはメルの方をチラッと見る。
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メルはサタンの視線に気づき、能力《チカラ》比べを止めさせようとする。
「勿論、挑まれた方が判断していい事にになっている。受けるのも自由、断るのも自由だ。どうする、サンタ?」
ダエフがサタンに聞く。
ここで俺が戦ってもし魔王だとバレると色々とマズイからな・・・うん・・・!
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