魔王が最弱でスライムが最強の世界!?

クソニート

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第2章最弱魔王はクラスメートのために頑張るそうです

第34話 自然の恩恵

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 無数の宝石の形をした星がユニコンに命中した。無数の宝石の形をした星が爆発しユニコンは奇声をあげて地面へと落ちていく。

 はぁはぁ・・・な、何だ今の力・・・!? というか体の奥から力が溢れてくる・・・!

 サタンは体の奥から力が湧いてくるのを感じた。

「やりましたね・・・サタンさん・・・! 遂にユニコンを倒しました!」

 アズラはメルの頭をを膝に乗せながら落ちていくユニコンを見ていた。

「アズラ!」

 サタンはアズラとメルの所までゆっくりと降り地面に着地した。

「メルの様子は!?」

 サタンは横になっているメルを見て慌ててアズラに聞く。

「大丈夫です・・・疲れて、眠っているだけです」

 アズラはメルの髪を撫でながら言った。

「んっ・・・」

 メルの口から小さい声が漏れたがすぐに寝息をたてて眠った。

「そっか、良かっ――」
「サタンさん!?」

 サタンはいきなり足の力が抜け、背中からはえていた翼が消え去りその場に倒れこんでしまった。

「サタンさん! サタンさんっ!」
「ア、ズラ――」

 ヤベェ・・・眠いとかそういうのじゃなく体の力が抜けていく・・・

 その時、サタンの後ろで大きな足音が鳴り響いた。

「そ、そんな・・・! 倒したはずじゃ・・・」
「マジか、よ・・・!」

 ユニコンは体のあちこちから血を流し、ボロボロになりながらもフラフラとサタンとアズラに向かって歩いて来る。そして、口を大きく開けて雄叫びを上げた。森林中に轟く咆哮。落ちてくる雷《いかづち》。

 ユニコンが叫び落ちてきた雷《いかづち》が地面を走りサタン達へ迫りくる。

「キャアアアアアア!」

 アズラはとっさにメルを抱き、かばう。

 動け・・・俺の体・・・せめて、後数秒だけ・・・アズラとメルを守れる時間だけ・・・

「グワアァァァァァ・・・!」

 残った力をふりしぼり何とか立ちあがったサタン。サタンはアズラとメルをかばい立ち自らの体で雷《いかづち》を受け止めた。

「メルを連れて逃げろ・・・アズラ・・・」

 その場に倒れ込むサタン。

「サタンさん! しっかりしてください、サタンさんっ!」

 アズラはサタンに駆け寄り体を揺らす。しかし、返事をしないサタン。

 そこへ、ユニコンがゆっくりとやって来る。

「・・・っ、今度は、私が戦います・・・!」

 アズラは背中から黒い翼を出し、ユニコンを睨み立つ。ユニコンもアズラを見下し睨む。

 アズラは両手を前に出し、力を入れた。

「本当は・・・こんなことしたくないんです・・・もしまた、昔のようなことが起こってしまったら私は――」

『私の前から消えてよ! この人殺し! やっぱり・・・悪魔のあんたは人を簡単に殺すんだ!』

 アズラは目から大量の涙を流し、自分を泣き睨む少女を思い出していた。

「ですので・・・今すぐ立ち去ってください・・・」

 アズラの言うことを無視して前へと進み出るユニコン。

「仕方ないですね・・・私もこれ以上サタンさんとメルさんを傷つけられるわけにはいきませんので!」

 両手の親指と人さし指で四角い箱を作るアズラ。そして、ユニコンをその四角い箱の中に入れるかのように狙いを定める。

(ごめんなさい――)

 アズラがユニコンの心臓に狙いを定めた時だった、ユニコンは急にフラフラと横倒れ動かなくなってしまった。

(え・・・? 終わった、の・・・?)

 アズラはしばらく手を構えたまま動かなかった。しかし、ユニコンは全く動く気配がないと分かると、アズラはそ~っとユニコンへ近づいて体を触った。

(寝てる・・・)

 ユニコンの体が僅かに上下するのがアズラの手に伝わる。アズラはユニコンを起こさないよう離れた。

「帰りましょう・・・」

 アズラがサタンを背中に背負い、メルを抱っこしようとした。サタンを背中に背負おうとアズラが体に手を伸ばした時、周りに生えていた植物がサタンに向かって伸びだした。

「こ、今度は一体――」

 サタンの体に巻きつく植物。
 アズラがサタンに巻きついた植物をちぎろうとした時――。

「う~ん・・・」

 サタンの意識が戻った。

「俺・・・は・・・」
「サタンさん!」

 アズラが意識の戻ったサタンを呼ぶ。

「アズ・・・ラ・・・」

 アズラがサタンの体に巻きついている植物を見た。よく見ると植物は自分の栄養をサタンへとおくっていた。

「これは・・・!?」

 サタン自分の体を見て驚いた。体についた傷がみるみるうちに塞がっていく。やがて傷が完全に治ると植物は再び地面へと戻り何もなかったかのように動かなくなった。

「サタンさん!」

 サタンは手をついて起き上がった。抜けていた力が戻ってくる。

「アズラ、ユニコンは――」

 サタンは横になっているユニコンを見た。

「なんとかなったようだな・・・アズラが倒したのか?」
「いいえ・・・眠りました・・・」

 アズラは翼を背中へと戻して答えた。

「そうか・・・じゃあ、起こさないようにしないとな・・・」

 サタンが言ったとき、アズラが後ろからサタンに頭をなすりつけた。

「アズラ・・・?」
「サタンさんが起きてくれて本当に良かったです・・・! サタンさんは死んでしまっても生き返ってくれるはずなのに返事をしてくれなくて本当に心配しました・・・!」

 アズラの体が震えているのがサタンに伝わる。

「アズラ・・・俺は大丈夫だ・・・だから、城に返ろう・・・?」
「はい・・・!」

 アズラはサタンから離れて目をこすり笑顔で答えた。


「伝説の薬草、ちゃんと持ったよな?」

 メルをおんぶしながらサタンが言った。

「はい」

 アズラは手にしっかりと伝説の薬草を持って見せた。

「また、来た道を戻るとなると骨が折れるな・・・」
「そうですね・・・すいません・・・私がワープを上手く展開出来ればいいのにこうゴチャゴチャとしていると上手く展開出来なくて・・・」

 シュンと肩を落とすアズラ。

「いや、アズラのせいじゃないし元気出せ。な?」
「サタンさん・・・」

 アズラはサタンに言われて体に力が湧いてくるのを感じた。

「私はまだまだイケます! サタンさんのお陰です!」
「お、おう・・・」

 熱くなるアズラにサタンは少し戸惑いつつ苦笑いした。

「じゃ、行くか」

 サタンはもう一度横になっているユニコンを見た。ユニコンは朝日を体に浴びて気持ち良さそうに眠っている。

「じゃあな・・・」

 サタンはユニコンにそう呟いて出発した。


 サタンとアズラは森林の中を走っていた。

「す、すっかり遅くなってしまいましたね・・・ラエルさん心配していなければいいんですけど・・・」
「絶っっ対心配してるだろうな!」

 背中に背負っているメルをちらっ見ながら答えた。

 まったく・・・のんきに寝やがって・・・気持ち良さそうだな・・・!

 サタンは幸せそうに寝ているメルを見て思った。

「う~ん・・・サタ~ン・・・そんなところ触ったらダメですぅ・・・許しませんよぉ・・・って話を聞いて下さぃ~ん・・・むにゃむにゃ・・・」

 一体・・・何の夢を見てるんだよ・・・!

「それにしてもどうしてあんな所に伝説の聖獣がいたんでしょう? もしかしてユニコンは伝説の薬草を守っていたんでしょうか?」

 走りながらアズラが言った。

「そうかもしれないな・・・」

 サタンはユニコンの強さを思い出した。

 あれほど強いやつを相手に一回も死なずにこうやっていられるのは奇跡だ・・・!

 サタンは死んでも可笑しくない戦いを思い出して身震いする。

 死ぬのが慣れたからってやっぱり、死ぬのは怖いからな・・・!

「ま、もう伝説の聖獣なんて二度と出会わないだろ」

 サタンはとんでもないフラグを踏んでしまった。

「そうだといいんですけど・・・まだまだ、伝説の聖獣と呼ばれる存在はいますから気をつけないといけませんね!」
「他にもユニコンみたいなヤツがいるのか!?」
「ええ!」
「そう、なのか・・・」

 このやり取り前にもあったな・・・スライムの時か・・・っと言うか、この世界の強さ可笑しすぎぃ!

「ま、そうそうあれほどの存在とは出会うはずがないので頭の隅に」
「いや、しっかり記憶しておくよ」

 サタンは頭の隅にしっかりと伝説の聖獣の存在を入れておいた。

「見えました、入り口です!」

 それから少し走って森林の入り口まで戻って来た。

「町へ戻ろう」

 森林の入り口でアズラがワープを展開し、サタンとアズラはワープに乗り町へ戻った。森林から消える時には既に完全に日が昇っていた。


「これが、伝説の薬草です」

 町に戻るとサタン達は依頼主である大金持ちの老夫婦の家をそのまま訪ねていた。魔王であるサタンが住んでいるよりも大きな家にサタンは圧倒された。

 サタンはメルを床に寝かさせてもらいおじいさんに伝説の薬草を渡した。

「おお・・・これが、あの伝説の・・・ありがとう・・・ありがとう!」

 おじいさんは大喜びで伝説の薬草を受け取った。そして、急いで伝説の薬草をすりおろした。

「さあ、婆さんや・・・」

 おじいさんはすりおろした伝説の薬草をお湯で溶かしおばあさんに飲ませてあげた。

「どうじゃ、婆さん・・・」

 ドキドキとしながらおじいさんはおばあさんの顔を覗き込む。

 ゴクンとおばあさんが伝説の薬草を飲み込んだ。

 すると――。

「キエェェェェェー」

 いきなり元気になったおばあさんは叫びながらベッドから飛び起きた。

「すごい、すごいぞぉぉぉ! 体の奥から力が湧いてみるみる元気になる!!爺さんや、あたしゃ、ちょっとそこら辺を走ってくるぞい!」

 そう言うやいなやおばあさんは家を飛び出していった。
 サタン達は口をぽかーんと開けて見ているだけだった。

「す、凄いですね、伝説の薬草・・・」

 アズラがポツリと呟いた。

「ビックリだよ・・・」

 サタンも頷いた。


「はい、これが依頼料じゃ」
「こんなにもいいんですか!?」

 おじいさんから渡された金は予想よりも多く、サタンは驚いた。

「ああ、ずっと寝込んでいた婆さんが元気になってくれたんじゃ。感謝してもしにきれん!」
「そうですか・・・じゃ、ありがたくもらっておきます」

 サタンは大金をしっかりと受け取った。

「そうしてくれ」
「それでは、俺たちはそろそろ行きます」
「おじいさん、おばあさんと二人で元気に過ごしてくださいね」

 アズラはおじいさんに頭を下げながら言った。

「ああ、本当にありがとうな」
「では」
「さようなら~」

 サタンとアズラはおじいさんに手を振って別れた。

「さ、城に帰ろうぜ」
「はい!」

 アズラがワープを展開しサタンはメルを背負いながらワープに乗った。

「ウオォォォォォォーーー! 体が60年は若返った気分じゃーーー!」

 サタンとアズラが人間界から消える時、元気よく走るおばあさんの姿を見た。

「本当にスゴいですね・・・伝説の薬草の力・・・」
「ああ・・・」

 サタンとアズラはおばあさんをじっと見つめながら人間界から消えた。


 ラエルはアオニャンを抱きながら城の前をウロウロとしていた。

(皆遅すぎる・・・は、もしかして何かあったんじゃ――)

 ラエルがハッとしてアオニャンを落とす。アオニャンはとっさに地面に着地して城の中へと戻ってしまった。

(やっぱり遅すぎる・・・人間界位なら変装して行けば大丈夫よね・・・? 何回も行ってたんだし・・・)

 ラエルが城に戻って変装し、人間界に行こうとした時、城の前にワープが浮かび上がった。ワープから出てくるサタン達。

「ただいま、ラエルさん・・・遅くなってすいません」
「ただいま戻りました~」

 サタンとアズラは城の前にいたラエルに挨拶した。

「サタン君・・・アズラちゃん・・・お帰りなさい・・・メルは?」
「メルならここに」

 ラエルにメルの居場所を聞かれたサタンは後ろを向いてサタンの背中で寝ているメルを見せた。

「寝てるのね・・・ごめんねサタン君」
「いえ・・・それより、ラエルさん。いつから外に?」
「日が出てからよ」

 日が出てから既に結構な時間が経っている。

「本当、遅くなりすぎてすいません!」

 サタンはラエルに謝った。

「いいのよ! 私は心配する事位しか出来ないもの」
「そんな事ありませんよ! 私だって心配する事しか出来ませんし、それにラエルさんが来てくれたお陰で城の事が大分助かってますから!」
「メルちゃん・・・ありがとうね! そろそろ城に入りましょう!」 

 ラエルが言った。

「そうですね。ほら、城に帰ってきたぞメル。そろそろ起きろよ」

 サタンは背中で寝ているメルに声をかける。

「う~ん・・・」

 眠そうに目を擦りながらうっすらと目を開けるメル。

「あれぇ~もう帰ってきたんですか・・・?」

 眠たくて寝ぼけているメル。

「お前な・・・」
「ほら、メルお布団にいってもう一度寝よう」
「うん・・・」
「じゃあ、メルを寝かしたら私もまた寝るわね。二人も早く休んでね」

 ラエルはそう言うとメルと手を繋いで城へと戻っていく。

「私たちも休みましょう」
「そうだな。体がもうくたくただ・・・」

 サタンは背中を後ろに反ると骨がボキボキと鳴る音がした。

 あぁ~思った以上に体が疲れてるな・・・

 サタンとアズラも城に戻った。


「とりあえずお金は大切に金庫にでも入れておきますね」
「ああ。口座というものがないしそれがいい」

 お金はアズラによって大切に金庫にしまわれた。

「じゃあ、寝るか!」
「はい」

 サタンとアズラはそれぞれ自分の部屋に向かった。

「それじゃ、おやすみアズラ」
「おやすみなさい、サタンさん」

 部屋のまでおやすみと言いサタンとアズラは別れた。

 さぁ~寝よう寝よう・・・もう、まぶたがくっつきそうだ・・・

 サタンはフラフラと歩いて布団に倒れた。

 ん・・・? 何か忘れてるような・・・

 サタンは布団に倒れてから何かを忘れていることに気づく。

 そうだ、学校! 今日からまた授業が始まるじゃん・・・――でも、ま、今日は疲れたから休むということで・・・だいたい魔王だしそんな学校行かなくてもいいしな・・・

 サタンは学校の存在を思い出す。

 まぁ、魔王だしってのはただの言い訳なんだが・・・おやすみ世界・・・

 サタンは目を瞑り、深い眠りに入った。


 これにて――[森の奥にある伝説の薬草を採ってきてほしい]――仕事《クエスト》終了。
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